住宅ローンを賢く返済するために知っておくべき知識のまとめ

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
住宅ローンを賢く返済するために知っておくべき知識のまとめ
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不景気といわれている現代でも、住宅ローンを組まれる家庭は多くいらっしゃいます。住宅ローンは、何十年の長い期間で返済する高額なローンのため、少しでも返済総額が安くすませられる返済方法や、利用者の負担が少ない返済方法にも注目が集まっています。

そこで今回の記事では、住宅ローンに関する各返済方法の内容や、利息を安くすませる返済方法、返済困難になった場合の対処法などを紹介していきますので、参考にして頂ければと思います。

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【目次】
住宅ローンの返済方法
 ◆返済の確認事項
 ◆元利均等返済
 ◆元金均等返済方法
 ◆変動金利の仕組み
住宅ローンの返済総額を安く済ませるための銀行への金利交渉術
 ◆他の金融機関と比較させる
 ◆交渉の手順
 ◆優遇金利の利用
繰り上げ返済を関して住宅ローンの返済総額を安く抑えるのは有効か?
 ◆利息軽減効果:繰り上げ返済によって得られる効果
 ◆期間短縮型と返済額軽減型の違い
 ◆繰り上げ返済を利用する上での注意点
 ◆利息軽減効果は住宅ローンの返済の全てではない
返済ができなくなることで起こりうるリスク
 ◆自宅の競売
 ◆個人情報機関への事故登録
返済が難しくなった場合の対応策
 ◆銀行への交渉
 ◆任意売却
 ◆住宅に住み続けたい人が取るべき対応策
 ◆売却後も残高がある場合の対応策
まとめ

住宅ローンの返済方法

住宅ローンの返済方法に関するおさらいとして、銀行が取り扱っている返済方法や、住宅ローンの仕組みについて紹介していきます。

住宅ローンの返済における確認事項

住宅ローンの返済方法は「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があり、希望する物件を購入するために必要な借入総額毎月可能な返済金額を確認しなければいけません。住宅ローンは長い期間の返済になります。

年収を元に、背伸びをしない返済金額を定めることと、その上で自分に見合った返済方法を決めることが大切です。また返済方法に関しては、固定金利か変動金利か、金利の種類を選ばなければなりません。

  • 固定金利:返済期間中の金利の変動なし

  • 変動金利:金利の変動あり

元利均等返済と元金均等返済の紹介をしていきます。

元利均等返済

元利均等返済は、金利の変動がない限り、毎月の返済金額が変わらない返済方法です。そのため固定金利の場合、返済金額の変動はありません。そのため返済計画が立てやすいことがメリットですが、元金均等返済と比べるとトータルで支払う返済金額が高額なことがデメリットです。

利息は返済の残高に比例して加算されていきます。返済当初は残高が多いため、毎月の利息は高額であり返済に充てられる利息の割合が高く、その分の残高の減りは少なくなります。

返済が進むにつれ、利息の減りが少なくなりますが、返済に充てられる利息の割合が高いため、返済総額が高額です。

金利に伴う毎月の返済金額の変動

変動金利を選択された場合、当然、毎月の返済金額は金利の変動に影響されますが、返済金額の見直しは5年おきに行われます。通常、金利は半年ごとに更新されますが、もしこの5年以内に金利が上昇した場合、金利差に比例して未払い分の利息が発生します。

そのため未払い分の利息を含めた返済金額が、見直し後の返済金額です。しかしながら元利均等返済を選択される多くの方が、毎月の返済額に負担が少ないことを目的としていきます。

もし激しい金利の上昇により、毎月の返済金額が急激に上昇したら、返済できなる人が多くなるでしょう。利用者の負担を減らすために、元利均等返済では急激な金利の変動に対し、激変緩和措置が取られます。

激変緩和措置

激変緩和措置は、金利の上昇に対し増える返済額の上限の幅を1.25倍までと定めた制度です。返済者の負担を重くしないための制度ですが、問題点として急激に金利が上昇した場合、未払いの利息が発生することが懸念されています。

<激変緩和措置の例>

例えばなのですが、ローンの残高が30,000,000円、毎月の返済額が70,000円、金利が0.5%と仮定します。もし金利が3.8%まで上昇したとすると、毎月の利息は、(残高×金利3.8÷100)÷12ヶ月=95,000円です。

激変緩和措置が適用されると、返済額の上限は70,000円×1.25=87,500円となるため、95,000円-87,500円=7,500円の未払い金が発生します。この未払い金に関する措置は、分割支払いや翌月の支払いなどで補うと言われていますが、定かではありません。

今後、過度の金利の上昇は見込めないため、未払い金に関する心配は取り越し苦労でしょう。

返済のシミュレーション

借入金額30,000,000円、借入期間30年、固定金利1.2%、月々の返済金額を100,000円として、元利均等返済のシミュレーションを行います。以下、借入残高と利息の推移です。

  借入残高 利息
・初年度 29,160,000円 360,000円
・2年目 28,309,920円 349,920円
・3年目 27,449,639円 339,719円

・30年目 完済 12,826円

利息の合計金額は、5,881,711円となり返済の総額は35,881,711円になります。

元利均等返済

元金均等返済方法

元金均等返済は、利息の金額に伴い、返済金額が変わってく返済方法です。利息分が毎月の返済金額に反映されるため、利息分が高額な返済当初は、毎月の返済金額が高額になります。

しかしその一方、残高に充てられる返済金額は一定であり、元利均等返済と比べ返済に充てられる利息の割合が高いことから、返済総額が低額です。また利息は残高に比例するため、返済が進むにつれ毎月の返済額は安くなり負担が少なくなっていきます。

金利に伴う毎月の返済金額の変動

繰り返しになりますが、元金等返済方法の特徴は、残高に充てられる返済金額が一定であることです。そのため利息分に応じて、返済金額は高額になります。

つまりは金利の変動への対応も、元利均等返済と異なり、元金均等返済では、返済金額の見直しも5年おきではなく、金利の変動と共に見直され、激変緩和措置も適用されません。

つまりは金利の変動に対し増加する毎月の返済額の上限がないことを意味しますが、これは利用者の多くがトータルで支払う利息、返済総額を安く抑えたいと考えているためです。

  元利均等返済 元金均等返済
特徴 金利の変動がない限り返済金額が一定 元金に対する返済金額が一定
毎月の返済金額(返済当初)
返済総額
金利の変動と毎月の返済金額の関係
  • 5年おきの見直し
  • 激変緩和措置
変動に対し見直しされる

返済のシミュレーション

元利均等返済と同様に、借入金額30,000,000円、借入期間30年、固定金利1.2%の場合の、元金均等返済のシミュレーションを行います。以下、借入残高と利息に加え毎月の返済金額の推移です。

  借入残高 利息 毎月の返済金額
・初年度 29,160,000円 360,000円 113,500円
・2年目 28,309,920円 347,976円 112,498円
・3年目 27,449,639円 335,952円 111,496円

・30年目 完済 11,304円 84,442円

利息の総額は、5,569,560円となり返済総額 は、35,569,560円となります。元利均等返済の返済総額が35,881,711円であるため、35,569,560円-35,881,711円=312,211円の差額分、元金均等返済の返済総額の方が低いことがわかりました。

元金均等返済

金利変動の仕組み

返済方法とは別に住宅ローンを組む際、金利の選択(固定金利か変動金利)をしなければなりません。

返済期間中、金利が変動しない固定金利の方はリスクが少なく安全に思える一方、変動金利を選択する割合は高く、住宅金融支援機構の調査によると2015年における住宅ローンの利用者の内、50%以上の人が変動金利を利用しています。

令和3年5月時点の平均金利
・変動金利 0.38%
・固定金利 0.62%

参照:「価格.com

住宅ローンの変動金利の仕組み

金利が安定しない変動金利を選択する人が多いのはどうしてだろうか。その背景には、日本の景気が住宅ローンの変動金利に大きく反映していることがあります。銀行の金利は、政策金利(日本銀行の金利)を元に設定されますが、政策金利は、日本の景気を元に設定されます。

景気が悪いときは低く設定され、景気が良いときは高く設定されるため、景気の悪い現代では銀行の貸し出しの金利は低い傾向です。

通常、変動金利の方が、固定金利より低く設定されているため、今後、景気の回復が望めないのであれば、変動金利を選択した方が、利息を安く抑えられます。しかしながら、金利の変動は誰にも読めないため、「変動金利がお得である」という確かな保証はありません。

今後ますます加速していく少子高齢化に伴い、景気の大幅な回復は見込めないことから、金利が大きく変動することはないであろうという見通しの元に、多くの人が変動金利を選択します。

返済のシミュレーション

借入金額30,000,000円、借入期間30年、変動金利0.7%の元利均等返済の場合のシミュレーションを行います。もし金利の変動がなければ月々の返済金額が95,000円で完済可能です。ここで3年目に金利が1.2%で変動した際のシミュレーションを見ていきましょう。

ここで、もし金利変動がなかった場合の借入残高の推移と、0.7%から1.2%へ金利が変動した場合の推移を見ていきます。

  金利変動がなかった場合 3年目に金利が変動した場合
  借入残高 利息 借入残高 利息
・初年度 29,094,000円 210,000円 29,094,000円 210,000円
・2年目 28,181,658円 203,658円 28,181,658円 203,658円
3年目 272,629,29円 197,271 円 27,403,837円 338,179円
・4年目 26,337,770円 190,840円 26,616,683円 328,846円
・5年目 25,406,134円 184,364円 25,820,084円 319,400円

5年間は、返済金額は一定(95,000円)です。それに対し利息分は金利の上昇に従い、元の0,7%の頃より増加しているため、利息分の支払いに余りがでるため、30年で返済しきれません。

上記の表から、5年目の借入残高が、25,820,084円-25,406,134円=413,950の差額分があり、未払い分の利息分に該当します。

6年目以降は、この未払い分の利息分を回収する形で、1.2%の金利における残高の支払いが可能な返済金額を設定することが必要であり、そのためには6年目以降の毎月の返済金額を100,600円にしなければなりません。

返済開始から3年目に利息が0,7%から1.2%に上昇した場合の返済完了までの利息の合計額は、5,597,767円となり返済総額は35,597,767円となります。以下、利息と返済残高の推移のグラフです。

変動金利

住宅ローンの返済総額を安く済ませるための銀行への金利交渉術

返済総額を安くすませるためには、元金均等返済が有効なことがわかりました。そこでより返済総額を安く抑えるために、住宅ローンの契約時に銀行と交渉するために必要な点について紹介いたします。

他の金融機関と比較させる

銀行へ金利交渉する際に、効果的な方法は他の金融機関の金利と比較させることです。各銀行の金利を提示することで、銀行側に金利の競争をさせましょう。銀行の営業担当も契約を取ることに一生懸命なため、少しでも安い金利で借入できるように駆け引き上手になることが大切です。

交渉の手順

交渉するまでの手順は、まず比較するために各銀行の金利の情報収集が必要です。実際に銀行に足を運んで提示された金利を元に各銀行のデータの作成、時間がない方はネットを介して金利の情報収集をしましょう。

情報の収集が完了したら、不動産業者に相談します。不動産業者側も、ローンの申請が通らないと不動産が販売できないため、利用者へのサポートは惜しみません。不動産業者は、銀行の情報も多数持っているため、銀行間の対立関係など熟知しています。

不動産業者への相談が完了したら、実際に不動産業者のアドバイスを元に、銀行へ交渉しましょう。

<交渉の手順>

  1. 1.各銀行の金利の情報収集

  2. 2.不動産業者への相談

  3. 3.銀行への交渉

優遇金利の利用

各銀行によって対応は変わりますが、金利を安くすませるために優遇金利を利用することが可能です。優遇金利には、当初期間優遇型と、全期間一律優遇型の2種類があります。

当初期間優遇型

固定金利を選択された方が一般的に利用できる優遇金利であり、借り入れ当初の優遇される金利の幅が大きいことが特徴です。優遇期間中の優遇される金利の幅は、銀行の基準金利から約1%~1.7%、期間終了後は、基準金利から0.2%~1.0%の金利が優遇されます。

全期間一律優遇型

変動金利、固定金利のどちらを選択された方でも利用できる優遇金利であり、借入開始から完済までの全期間、銀行の基準金利から、約0.7%~1.2%の金利が優遇されます。優遇される金利の幅は契約が決まった段階で、変動することがありません。

利用方法

また各種銀行によって取り扱いは異なりますが、利用条件として、返済口座を給与口座に指定することが一般的です。また銀行によっては、銀行のクレジットカードを作成することが利用条件になります。

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繰り上げ返済を関して住宅ローンの返済総額を安く抑えるのは有効か?

返済総額を安く抑える手段として、繰り上げ返済があります。繰り上げ返済とは、毎月の決められた返済額より多くの金額を返済する返済方法であり、返済期間中にいつでも利用することが可能です。

利息軽減効果:繰り上げ返済によって得られる効果

では毎月の返済金額より多く返済することでどのような効果が得られるのでしょうか。一般的に繰り上げ返済を利用することによって総額で返済する利息を安く抑えることができ、結果として返済総額を安く抑えることができます。

期間短縮型と返済額軽減型の違い

期間短縮型と返済額軽減型の違いは、期間短縮型の方が利息軽減効果は大きく表れます。期間短縮型は、返済を多く済ませた分、返済期間が短縮されますが、毎月の返済金額は変わりません。

その反面、返済額軽減型は、毎月の返済金額が減る代わりに、返済期間は通常時の返済と同じです。短期的にみれば、返済額軽減型の方が負担は少ないですが、返済する金額が少なくなる分、期間短縮型と比べ残高の減りも少なくなります。

利息は残高に比例するため、トータルで支払う利息の金額は、期間短縮型の方が高額です。

 

期間短縮型

返済額減額型

返済期間

短縮

不変

毎月の返済金額

不変

減額

利息軽減効果

繰り上げ返済を利用する上での注意点

総額で返済する利息を安く抑える意味では繰り上げ返済は確かに有効的です。しかしながら、住宅ローンの返済は数十年という期間を要するため、繰り上げ返済による効果が得られるのは数十年先の話しであり、当事者にとっては返済期間中にメリットを実感することは難しいでしょう。

生活資金ではなく余剰資金で運用する

繰り上げ返済の利用者の中には、利息軽減効果に気を取られるあまり、身の丈に合ってない返済を行っているため生活が切り詰められる人がいます。

繰り上げ返済は将来、生活に余裕を持つために利用するための返済方法であり、利用すること住宅ローンの返済期間中、生活が切り詰められることは返って危険なことです。

急な出費に対応できない原因になりかねないので、あくまで生活費を切り詰めるのではなくボーナスが入った時など金銭的に余裕があるときに利用しましょう。

控除額に気を付ける

住宅ローンの利用から10年間、ローンの残高に比例して住民税や所得税を控除することができます。住宅ローンの控除を受ける上で繰り上げ返済を利用する注意点は、通常より控除額が安くなることです。

繰り上げ返済を行うと通常の返済より、残高の減りが多いため、控除される額が通常より安くなってしまいます。

もし繰り上げ返済を利用しながらも、控除額を高くしたい方は、控除利用が可能な10年間は繰り上げ返済を利用しないか、もしくは年末ではなく年始に繰り上げ返済を利用しましょう。

控除額は年末のローンの残高を元に定められるので、年末ではなく年始に利用するのを勧める理由はそのためです。

変動金利における繰り上げ返済の注意点

また、変動金利は半年ごとに金利の見直しが行われますが、一般的に住宅ローンの返済においては5年間、月の返済金額を一定にするルールが設けられています。

しかしながら、繰り上げ返済を利用すると、5年おきに実施される返済金額の見直しが行われる前に、半年ごとに変動される金利を元に返済金額の見直しが行われます。

そのため金利が上昇した場合、月々の返済金額は大きくなりますが、金利の上昇具合によって生活が締め付けられるリスクも懸念すべきでしょう。

利息軽減効果は住宅ローンの返済の全てではない

住宅ローンを返済していく上で、一番、気を付けるべき点は家計を破綻させないことであり、完済までの期間、どうやって資金繰りをしていくかです。

当然、なるべく余裕を持って返済をしていくべきですが、上記で記述した通り月々の生活が締め付けられるのであれば、繰り上げ返済は利用するべきではありません。

しかしながら、多くの方が利息を安く抑えることが、将来の保険だと思いがちであり利息の軽減効果の多い期間短縮型の繰り上げ返済を利用する傾向にあります。

生活に負担を減らす意味では返済額軽減型が適切

その一方、返済の負担が軽くなることを生で実感できるのは返済額軽減型であり、経済的な余裕が持てない方は、同じ繰り上げ返済でも返済の負担を減らす意味で返済額軽減型を利用した方が適切かもしれません。

返済額軽減型と比べると期間短縮型の方が、軽減される利息の効果は高いことは確かですが、返済額軽減型によって軽減された返済額をまた新たに繰り上げ返済に充てても、利息軽減効果に大差がないのが実情です。

そのため返済額軽減型を利用しながらが、余裕のある月にまた新たに繰り上げ返済を利用することが、生活面から考えても賢い繰り上げ返済の利用方法かもしれません。繰り上げ返済に関して詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

 

返済ができなくなることで起こりうるリスク

住宅ローンの返済ができなくなることのリスクとして、住宅の競売と、個人情報機関への事故登録が挙げられます。それぞれのリスクについて確認していきましょう。

住宅の競売

住宅ローンの返済ができなくなった段階で、ローンの分割支払いができなくなります(期限の利益の損失)。銀行は住宅ローンの残高を保証会社に立て替えてもらう(代位弁済)ため、保証会社から残高の全額分を一括請求され、支払うことができないため住宅は競売にかけられることが一般的です。

競売にかけられてしまうと相場の半額の売値で売却され、売却後はローンの残高と売値の差額分を返済しなければなりません。また返済分には延滞した返済額に対して課される遅延損害金も含まれます。遅延損害金とは:延滞した返済額に対して課される損害金。上限14.6%の金利が課される。

競売までの流れ

競売までの流れとして、まず保証会社が競売の申し立てを裁判所へ行い、裁判所が申し立てを受理した段階で競売が確定します。その後、裁判所の執行官が競売に関する情報を集める目的で、自宅に訪れるので、訪問後、しばらくしたら入札開始です。

売却が完了すれば、強制的に退去しなければなりません。

<競売までの流れ>

  1. 1.競売の申し立て

  2. 2.執行官の自宅訪問

  3. 3.入札開始

  4. 4.退去

また住宅の競売に関して、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

 

個人情報機関への事故登録

住宅の競売にかけられると個人情報機関への事故登録(ブラックリスト)に、個人情報が掲載されます。掲載されてからしばらくは、他の金融機関からの借入やクレジットカードの利用ができません。

また残高分の返済が完了後、しばらくすると事故登録から個人情報は削除されますが、住宅ローンの借入先の銀行や、その系列の金融機関への借入は難しくなるでしょう。個人情報機関への事故登録に関して詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

 

返済が難しくなった場合の対応策

住宅ローンの返済が困難な人が取るべき対応策についてまとめました。

銀行への交渉

返済が困難な方で、ローンの返済を怠っていない段階であれば、まずは銀行へ支払い方法の交渉をしましょう。各銀行によって異なりますが、交渉できる内容として、「返済額の軽減」、「返済期間の延長」があります。

返済額の軽減

返済額の軽減とは、一定の期間、毎月の返済額を減らすことで利用者の負担を軽くする内容です。銀行側からは、自分や家族に関する病気や事故が原因での想定外の出費や、収入の減少など、経済的な理由が問われます。

気を付けなればいけない点としては、減額の適用中、残高にかかる金利は変わりません。利息は残高に比例するため、期間終了後に通常よりも多くの利息を支払わなければならず、返済総額は高額になります。

返済期間の延長

返済期間の延長とは、ローンの返済期間を長くすることで利用者の不安を減らす内容です。返済期間が長くなった分、毎月の返済金額は減少するため、返済計画が立てやすくなります。しかしながら、支払うべき利息分は、延長した返済期間に応じ高額になるため、トータル支払う返済総額は高額です。

また返済額の軽減も返済期間の延長も、銀行側の同意の元に成り立つため、必ず適用されるとは限りません。交渉の際は、返済の意思を強くみせることと、諦めずに何度も交渉することです。

任意売却

ローンの返済を怠ったことによって、自宅が競売にかけられそうになった方は、任意売却をしましょう。任意売却は、個人で債権者と住宅を売却する買い手に交渉することで、住宅を売却する売却方法であり、競売と比べ高値で売却することができます。

また競売と異なり個人で交渉するため、交渉の相手次第では退去日を調整することが可能です。注意点としては、競売と異なり、裁判所を介さず個人で交渉をしなければなりません。個人で交渉を行うのは難しいため不動産コンサルタントなど専門家へ依頼しましょう。

任意売却について詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。

 

住宅に住み続けたい人が取るべき対応策

返済困難になった人が、住宅を手放さないための手段として、「リースバック」と「住宅ローン」の巻き戻しがあります。

リースバック

住宅が競売にかけられる前の段階で、親族や不動産投資家などに住宅を買い取ってもうことで、賃貸物件として住み続ける方法がリースバックです。注意点としては、不動産投資家は営利目的で買い取りをおこなうため、売値を安く月々の家賃を高く設定します。

また売却金額に比例して家賃は設定されるため、安値で売却した場合の家賃は安くなりますが、売却後の残高の返済額は高額です。

売却後の住宅ローンの残高の返済額と、家主に支払う家賃が、今後の生活費に上乗せされるため、リースバックを利用の際は売却後の収入との兼ね合いを考えましょう。

住宅ローンの巻き戻し

住宅ローンの巻き戻しは、返済を怠ったことにより、保証会社へ移行した住宅ローンの債権を銀行に戻すための制度です。利用条件は、代位弁済から半年以内に申請を行うこと、利用方法としては個人再生を併用して行います。

住宅ローンの巻き戻しやリースバックについて詳しくは「代位弁済とは|知っておくべき7つのリスクと対処法」を参考にしてください。また個人再生について詳しく知りたい方に以下の記事を参考にしていただけたらと思います。

 
 
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売却後も残高がある場合の対応策

住宅の売却後、住宅ローンの残高が残っている場合、債権回収会社(サービサー)から残高の返済請求がきます。売却後も残高が残っている人の対応策は、債権回収会社へ交渉するか、自己破産を行うかです。

債権回収会社:金融債権の回収を行うための会社。住宅ローンに関しては保証会社から住宅ローンの債権を買い取るため、債権回収会社へ住宅ローンの債権が移行している。

債権回収会社(サービサー)への交渉

売却後の住宅ローンの債権は、債権回収会社が持っているため、返済に関する交渉は債権回収会社にしなければなりません。交渉の内容としては、残高より安い値段で債権を買い取ることと、なるべく負担の少ない分割の返済方法にしてもらうことです。

債権回収会社との交渉は個人で行うのは難しいため、法律の専門家へ依頼しましょう。また、債権回収会社(サービサー)について詳しくは以下の記事を参考にしてください。

 

自己破産

自己破産は、裁判所を介して裁判所からの許可(免責)をもらうことで借金の免除を行うための手続きです。換価可能な資産は全て没収されますが、借金が全額なくなるため、売却後にローンの支払いが困難な方は自己破産も検討しましょう自己破産について以下の記事も参考にしてください。

 

 

また住宅ローンの返済が難しい人に以下の記事もオススメです。

 

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まとめ

住宅ローンを利用する人の状況は様々です。そのためどの返済方法が適切かは一概には言えません。できるだけ返済総額を抑えた方がお得ではありますが、私生活を犠牲にしてしまっては本末転倒です。

そのため順風満帆な私生活を送れるための、返済方法を選択することを一番にオススメします。今回の記事が、住宅ローンの返済方法について検討されている方のお役にたてたら幸いです。また住宅ローンに関して、以下の記事も参考にしていただけたらと思います

 

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  • 通算支払限度額1,000万円
  • 追加保険料0円で家族も補償

補償対象となる家族が5人の場合、1人あたりの保険料は月590円(2,950円÷5人)。労働問題、ネット誹謗中傷、近隣トラブルなど様々な法的トラブルに対応しています。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。