自己破産するには?自分で手続きする方法と弁護士に頼むべき理由を解説

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「借金が多すぎて返済できない」「督促の電話が怖くて毎日がつらい」と感じている方に知ってほしいのが、自己破産という選択肢です。

自己破産とは、裁判所に認められれば借金を原則全てゼロにできる、法律で定められた救済制度です。条件を満たせば、これまで返済に追われていた生活から抜け出し、新たなスタートを切れます。

本記事では、自己破産とはどういう手続きなのか、費用・デメリット・条件・流れをわかりやすく解説します。自分で自己破産する方法やメリット・デメリットも解説しますので、自己破産とは何なのかを網羅的に知りたい方は必見です。

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目次

自己破産とは?借金をゼロにして生活を再建する手続き

自己破産とは、裁判所から支払い不能と認定された方の借金を、原則として全てゼロにする法的手続きです。多額の負債による生活の破綻を防ぐだけでなく、再出発を図ることを目的とした国が認める正当な権利です。

任意整理や個人再生が債務の減額や月々の返済額の調整を主とするのに対し、自己破産は借金の元本そのものが免除される点が主な違いとなります。また、弁護士が受任通知を送付した時点で、債権者(貸金業者など)からの督促は法的にストップします。

日々の取り立てや返済の不安に追われている方にとって、まず精神的な平穏を取り戻せるのは大きなメリットです。手続き後は収入を全て生活費に充てられるため、経済的な立て直しも迅速におこなえます。

借金問題で「もう道がない」と感じている方こそ、検討すべき解決策のひとつと言えるでしょう。

自己破産の手続きは3種類ある

自己破産の手続きは、主に同時廃止事件・管財事件・少額管財事件の3つに分かれます。

手続き 詳細
同時廃止事者 債務者に債権者へ分配できるほどの財産がない場合の手続き
管財事件 債務者に車やマイホームなど換価・分配できるだけの財産がある場合の手続き
少額管財事件 本来は管財事件に該当し、弁護士が代理人である場合に選択できる手続き

どの手続きが選択されるかによって、必要となる費用や解決までの期間が大きく変わるため、手続きを始める前に自分がどのケースに当てはまりそうかをあらかじめ確認しておくことが重要です。具体的に解説します。

同時廃止事件|各資産が20万円以下の場合

同時廃止事件とは、換価(売却)すべき財産がほとんどない場合に、破産手続きの開始と同時に手続きを終了させる方式です。

具体的には、20万円以上の財産や、33万円を超える現金を持っていない場合が対象となります。また、財産状況だけでなく、浪費やギャンブルといった免責不許可事由がないことも同時廃止事件として認められる重要な条件です。

もし明らかな免責不許可事由がある場合は、たとえ財産が少なくても、裁判所が内容を精査するために管財事件として扱われるため注意しましょう。

なお、同時廃止事件では破産管財人が選任されないため、裁判所に納める手続き費用(予納金)は数万円程度と安くすみます。手続きにかかる期間も3ヵ月〜4ヵ月と短いのが特徴です。

同時廃止事件は全破産事件の約7割を占めており、個人の自己破産でよく使われる手続きのひとつです。財産がほとんどなく、早期解決を望む方に向いています。

管財事件|各資産が20万円以上で弁護士に依頼しない場合

管財事件とは、一定以上の財産がある場合や著しい浪費などの免責不許可事由がある際におこなわれる管財手続です。主に20万円以上の財産(不動産や生命保険の解約返戻金など)、または33万円を超える現金がある場合が対象となります。

注意が必要なのは、本人申立てをおこなう場合や裁判所が少額管財を運用していない地域で申し立てる場合、自動的に通常管財が選択される点です。通常管財になると、裁判所へ支払う予納金は最低でも50万円以上と非常に高額になります。

通常管財は破産管財人へ支払う報酬額も高額になりやすく、時間的・費用的な負担が大きい手続きです。まずは弁護士に相談し、より負担の少ない少額管財などの手法を選べないか検討しましょう。

少額管財事件|資産が20万円以上で弁護士に依頼する場合

少額管財事件とは、弁護士が代理人となって裁判所の手続きを簡略化する手続きです。本来、現金33万円超もしくは20万円以上の財産がある場合は通常管財となり、高額な予納金と長い審理期間が必要になります。

しかし、弁護士が事前に財産状況を精査して申し立てれば裁判所側の負担が減るので、より負担の少ない少額管財を選択できます。裁判所へ納める予納金が20万円からと管財事件の半分以下に抑えられ、期間を3ヵ月〜6ヵ月程度に短縮できるのも大きなメリットです。

ただし、少額管財事件は弁護士に依頼しているのが利用の必須条件です。自分一人で申し立てをおこなう場合は利用できず、管財事件として扱われるので注意が必要です。

自己破産をおこなう3つのメリット

自己破産には、借金問題を根本から解決できるメリットがあります。まずは、どんな利点があるかを確認しておきましょう。

①借金がゼロになり再スタートできる

自己破産をおこなう大きなメリットは、裁判所から免責許可を受ければ、法律上の返済義務を全て消滅させられる点です。これまでは給与が入っても、多くを返済に回さざるを得ず、生活費を捻出するために再び借り入れを繰り返すという自転車操業に陥っていた方も多いはずです。

自己破産をして借金がゼロになれば、消費者金融からの借り入れやカードローン、医療費や個人的な借金などの支払いに追われる日々が終わります。税金や国民健康保険料、養育費、罰金といった一部の非免責債権を除けば、経済的な制約は一切なくなります。

長年抱えてきた「返さなければならない」という重圧から解放され、生活費の確保や貯蓄、さらには自己研鑽といった将来への投資が可能になるでしょう。

 ②取り立て・差し押さえから解放される

弁護士に自己破産の手続きを依頼すると、直後から債権者による督促や取り立てが止まります。弁護士が各債権者に対して受任通知を送付すると、本人への電話や自宅訪問、督促状の送付といったアプローチが一切禁止されるからです。

さらに、自己破産によって支払い義務がなくなれば、督促だけでなく強制執行による取り立ても中止されます。強制執行とは、裁判所の手続きを経て預貯金や給与を強制的に差し押さえる手続きのことです。

ただし、注意が必要なのは自己破産の申立前には強制執行を止めることはできないという点です。すでに給与や預金口座が差し押さえられている場合でも、自己破産の手続きを申し立てて開始決定が出れば、強制執行を中止させられる可能性があります。

給与の一部を削り取られていた状況が解消されれば、手元に残る現金が増え、当面の生活基盤を安定させることが可能です。法律の枠組みの中で保護を受けながら債権者との交渉を全て弁護士に任せられるのは、大きなメリットといえるでしょう。

③生活に必要な財産は手元に残しておける

自己破産をしても、生活に欠かせない財産はそのまま手元に残せます。自己破産はあくまで、債務者の経済的更生を目的とした制度であり、路頭に迷わせるためのものではないからです。

具体的には、テレビ・冷蔵庫・洗濯機などの生活家電や寝具、衣服といった日常生活に不可欠な家具は原則として没収の対象になりません。また、99万円以下の現金も手元に残すことが認められています。

さらに、差し押さえが禁止されている給与の一部(原則として手取り額の4分の3)や、将来受け取る年金の受給権なども保護の対象です。処分の対象となるのは、あくまで持ち家や土地、20万円を超える価値がある自動車や生命保険の解約返戻金といった高額な資産に限られます。

自己破産をすれば、身の回りの大切な生活基盤を壊すことなく、借金という負の遺産だけを清算できます。無理のない形で安心感を抱きながら、生活を建て直せるでしょう。

自己破産をおこなう6つのデメリット

自己破産にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。具体的にみていきましょう。

①約5〜7年間クレジットカード・ローンが使えない

自己破産をすると信用情報に事故情報が登録(いわゆるブラックリスト入り)され、5〜7年間は新たな借り入れができなくなります。

ブラックリストに登録されている間は、クレジットカードの新規発行や更新、住宅ローンやスマートフォンの分割払いなどの審査が原則として通りません。金融機関が審査の際に必ず信用情報を確認するため、支払い能力が低いと判断されてしまうからです。

ただし、自分の銀行口座から即時に引き落とされるデビットカードや、事前チャージ式のプリペイドカードは破産後も利用可能です。

不便を感じる場面はありますが、この期間は借金に頼らず、手持ちの現金で生活を再建する期間と捉えることも大切です。期間が過ぎれば信用情報から事故情報は削除され、再びカードやローンの申込みができるようになります。

②高額な財産は処分される

自己破産をすると、一定以上の価値がある財産は破産管財人によって換価(売却)され、債権者への返済に充てられます。処分対象となる主な財産は、不動産・自動車・99万円を超える現金・解約返戻金が高額な生命保険などです。

ローンが残っている自動車や持ち家も、原則として手放さなければなりません。「車がないと仕事に支障が出る」「今の家に家族が住んでいる」といった事情がある方は、早めに弁護士へ相談してください。

弁護士に相談すれば、査定額が20万円未満の自動車は処分対象外になるケースがあるほか、家族が適正価額で買い取る形で手元に残せる場合もあります。財産を全て失うわけではないので、状況次第で対応策は十分に検討できます。

③官報に氏名・住所が掲載される

自己破産をすると、手続き開始や免責許可決定の内容が、国の発行する官報に公告(掲載)されます。氏名・住所などが掲載されるため、「周囲にバレてしまうのでは」と不安に感じる方は少なくないでしょう。

実際には、官報を日常的に確認しているのは金融機関や一部の専門家に限られます。Web上でも閲覧できますが、特定の人物を調べるには氏名や掲載日時などの情報が必要なので、周囲の人に知られるケースはほとんどありません。

戸籍や住民票に記載されることもなく、日常生活で周囲に知られるリスクは低いので、過度に心配する必要はありません。

④保証人に一括返済の請求がいく

自己破産をすると、申立人本人の返済義務はなくなりますが、保証人の支払い義務まで免除されるわけではありません。主債務者が破産手続きを開始すると、債権者は法律に基づき、保証人に対して残額の一括返済を請求するのが一般的です。

一括返済を請求する場合、保証人には分割での返済が認められず、厳しい条件での支払いを求められるケースが少なくありません。もし保証人がその金額を支払いきれない場合は、保証人自身も自己破産や個人再生などを検討せざるを得ない状況になるでしょう。

「大切な人に迷惑をかけたくない」という思いから、一人で悩みを抱え込んで手続きを先送りにしてしまうケースも多く見られます。しかし、対策を立てずに放置してしまうと遅延損害金によって保証人が背負う負債額がさらに膨らむリスクがあるので注意が必要です。

保証人がいる借金がある場合は、自分だけで判断して進めるのではなく、まずは弁護士に状況を詳しく伝えましょう。保証人が負うことになるリスクを正確に把握した上で、事前に保証人へ事情を説明し、解決策を考えるのが最善です。


⑤手続き完了まで一部の職業に就けない

破産手続き中は、一定の職業に就く資格が一時的に停止されます。制限される主な職業は以下のとおりです。

職業 具体例
士業 弁護士・司法書士・税理士・行政書士など
金融・保険 保険外交員・貸金業者など
警備・管理 警備員・マンション管理士など
その他 旅行業務取扱管理者・後見人など

たとえ手続き中に資格や職業の制限を受けていても、免責許可決定が確定すれば制限は解除され、再び弁護士や司法書士などの職に就けます(復権)。

現在上記の職業に就いている方や就職・転職を検討している方は、手続きのスケジュールを事前に弁護士に確認した上で申立てを進めましょう。

⑥税金や罰金などの債務は免責されない

自己破産をしても、全ての借金がゼロになるわけではありません。非免責債権と呼ばれる種類の債務は、免責後も返済義務が残ります。主な非免責債権は、以下のとおりです。

非免責債権 詳細
税金・社会保険料 所得税、住民税、国民年金保険料
罰金・科料 交通反則金、刑事罰による罰金
養育費・婚姻費用 離婚後の子の養育費および生活費
悪意による不法行為の損害賠償 故意の詐欺・暴行による賠償金

税金や社会保険料の滞納がある場合、自己破産後も引き続き支払いを求められます。借金の大部分が非免責債権である場合、自己破産で解決できる範囲が限られるため、手続きを選ぶ前に弁護士へ確認することが重要です。

自己破産が認められる4つの条件

自己破産は、誰でも申し立てれば必ず認められるわけではありません。裁判所から「支払不能」とみなされ、免責を許可してもらうには3つの条件があります。

①支払不能の状態にあること

まず大前提として、あなたが自己破産を認めてもらうためには裁判所から支払不能と認定される必要があります。支払不能とは、将来にわたって継続的に債務を返済できない状態のことです。

判断の際は、借金の総額だけでなく、職業・年齢・収入・財産・家族状況なども総合的に考慮されます。収入があっても、借金の返済額が収入を大きく上回っている場合は認められる可能性があります。

一方で、借金が少額で資産が十分にある場合は支払不能とは認められないので注意が必要です。自分の状況が該当するかどうかは、弁護士への相談で確認するのが確実です。

②予納金を用意できること

自己破産の申立てには、裁判所への予納金の納付が必須です。予納金とは、自己破産や個人再生などの裁判所手続において、手続き開始の要件として申立人が前もって裁判所に納める費用です。

予納金の目安は、同時廃止の場合は数万円程度、管財事件では20万円以上となります。予納金は、原則として全額一括で納付する必要があります。

手元にまとまったお金がない場合は、弁護士費用の分割払いや後払いを検討してください。裁判所に直接分割払いを相談するケースもありますが、認められるかどうかは状況次第です。

③免責不許可事由に該当しないこと

自己破産では、借金の原因や手続き中の態度によっては、免責が認められない「免責不許可事由」に該当する可能性があります。免責不許可事由となる主なケースは、次のとおりです。

  • ブランド品の購入、競馬・パチンコ、FX・仮想通貨の取引をおこなう
  • 裁判所への虚偽説明、財産をわざと隠す行為、書類の偽造をおこなう
  • 親族や友人など、特定の相手にだけ優先して借金を返済する(偏頗弁済)

ただし、免責不許可事由に該当しても、申立てに至った経緯や反省の度合いによっては、裁判所の裁量で免責が認められる場合があります(裁量免責)。「ギャンブルで借金が増えたから諦めている」という方も、まず弁護士に相談するのをおすすめします。

④対象債務が非免責債権でないこと

税金・罰金・養育費などの非免責債権は、破産手続き後も返済義務は残ったままです。

借金の多くが税金や養育費である場合は、自己破産で解決できる範囲が限られます。弁護士へ相談し、親族からの資金援助や役所への分納・猶予の相談といった、ほかの方法も含めて検討することが大切です。

なお、ある債権が免責の対象になるかどうかは、破産を担当する裁判所ではなく、必要に応じて一般の民事裁判所が最終的な判断を下します。自分の借金が免責されるものなのか不安がある方は、まずは債務の内訳を正確に専門家へ伝えることから始めましょう。

自己破産で免責が認められない主なケース6つ

免責不許可事由に該当すると、借金がゼロにならない可能性があります。どのようなケースが対象になるかを理解しておくことが、手続きを進める上で重要です。

ケース①浪費や賭博で借金を増やした

パチンコ・競馬などのギャンブルや収入に見合わない買い物で借金が膨らんだ場合、免責が認められない可能性があります。自己破産は返したくても返せない人を救う制度であり、自分の行動で借金を増やした場合は、原則として免責を認めないという考え方があるからです。

ただし、該当するからといって必ず免責されないわけではありません。ギャンブル依存症などの病的な背景がある場合や、申立て後の態度が誠実であると認められた場合は、裁判所の判断で免責が下りるケースもあります。

大切なのは、借金の原因を弁護士に正直に話すことです。隠したまま進めると、後から発覚したときに心証が悪化し、免責される可能性が低くなるので注意しましょう。

ケース②財産隠しや不当な名義変更をおこなった

財産隠しや不当に名義変更をおこなった場合も、自己破産が認められない代表的なケースのひとつです。財産隠しや不当な名義変更は破産詐欺に該当し、詐欺破産罪として刑事罰(10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金)の対象になり得ます。

「少しでも財産を残したい」という気持ちは理解できますが、破産管財人は預金の流れや不動産の名義変更履歴を細かく調査します。申立て前の数年間にさかのぼって確認されるため、隠し通せると思わないほうがよいでしょう。

最悪の場合、刑事事件に発展する可能性もあり、生活再建どころか状況が大きく悪化します。財産の扱いに不安がある場合は、隠すのではなく、弁護士に正直に相談するのが最善です。

ケース③特定の債権者にだけ優先して返済した

特定の債権者にのみ優先的に返済する行為も、自己破産が認められない原因のひとつです。特定の債権者にのみ借金を優先的に返す行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」といい、免責不許可事由に該当します。

自己破産には全ての債権者を平等に扱うという原則があり、特定の相手だけを優遇すると、ほかの債権者との公平性が損なわれるためです。申立て前の一定期間内におこなった返済は、管財人によって返還を求められる場合もあるので注意が必要です。

特定の相手への返済を残したい場合は、交渉する債権者を自分で選べる任意整理が向いている可能性があります。自己破産ありきで考えず、まず弁護士に状況を話した上で、最適な手続きを一緒に検討しましょう。

ケース④収入や返済能力を偽って借り入れた

返済の見込みがないにもかかわらず、収入を偽って融資を受ける行為は詐術による信用取引として免責不許可事由に該当します。具体的には、返済できないのをわかっていながら、嘘をついてお金を借りたケースです。

申込書に実際より高い収入を記載する、他社からの借入件数を少なく申告するといった行為が典型例として挙げられます。特に注意が必要なのは、破産申立ての1年以内の借り入れです。

申立て直前に借りた=最初から返済する気がなかったと判断されやすく、厳しい判断をなされる傾向があります。申立て前に新たな借り入れがある場合は、隠さず弁護士に伝えることが重要です。

ケース⑤裁判所や管財人に虚偽の説明をした

財産状況について嘘をつく、実態と異なる家計簿を提出する、書類の提出を拒否するといった行為は、免責不許可事由に該当します。裁判官や破産管財人は、申立書の内容と実態に矛盾がないかを細かく確認します。

「少しくらい誤魔化しても気づかれないだろう」という判断は禁物です。通帳の入出金履歴や申告内容の整合性など、調査は想像以上に丁寧におこなわれます。

免責を得るための大前提は、手続きに対する誠実さです。反省や更生の意欲がないとみなされると、たとえ免責不許可事由がほかにない場合でも、裁判所の心証が悪化します。

隠したいことや説明しづらいことがあっても、まず弁護士に正直に話してください。弁護士はその内容をもとに、裁判所への適切な説明の仕方を一緒に考えてくれるでしょう。

ケース⑥財産に関する重要書類を破棄・隠蔽した

財産に関する重要書類を破棄したり隠蔽したりした場合も、自己破産が認められない可能性が高いでしょう。自己破産の手続きにおいては、保有する全資産(現金・預貯金・不動産・車・保険など)を裁判所に申告するのがきわめて重要だからです。

特に個人事業主や会社経営者の場合、事業に関する帳簿類の提出は破産申立ての数年前にさかのぼって求められる場合があります。取引履歴や売上・経費の記録が確認できない場合、財産隠しを疑われるリスクがあるので注意が必要です。

書類が見当たらない場合でも、意図的な隠蔽でなければ正直に状況を説明することが大切です。「紛失した」「データが消えた」といった事情であれば、弁護士と一緒に説明の仕方を整理できるでしょう。

自己破産の手続きの流れと期間

自己破産の手続きは、弁護士への相談から免責許可決定まで、一般的に4ヵ月〜12ヵ月程度かかります。どのような流れで進むかを事前に把握しておくと、手続き中の不安を減らせるでしょう。なお、以下の流れは東京地方裁判所での手続きの流れとなります。破産手続きは地域により異なる点がありますので、詳細は各地域の弁護士に確認しましょう。

①債権調査・申立書の作成をおこなう

弁護士への依頼後、最初におこなうのが債権調査です。まずは全ての借入先に取引履歴の開示を請求し、借金の総額を正確に確定させます。

漏れがあると手続きに支障が出るため、記憶が曖昧な借入先も含めて弁護士に伝えることが重要です。残高が確定したら、続いて裁判所に提出する申立書の作成に入ります。

申立書には借金の経緯・家計状況・財産目録などを詳しく記載する必要があり、添付書類も含めると書類の種類は相当な量になります。作成期間は、通常1ヵ月〜3ヵ月程度です。

なお、この作成期間中は弁護士費用を毎月積み立てながら準備を進めるのが一般的です。受任後は貸金業者からの督促がストップしているので、それまで返済に充てていた金額を積み立てに回せます。費用が準備できた時点で、いよいよ申立てに移ります。

②破産・免責手続きの申し立てをする

書類の準備が整ったら、次におこなうのは裁判所への申立書の提出です。申立て後は、裁判官と弁護士が書類の内容を確認する破産審尋がおこなわれます。

破産審尋では、収入・財産・借金の経緯などに不明点があれば、裁判官から確認されます。弁護士に依頼している場合は、弁護士が代理人となるため、申立人本人が裁判所に向かうのは原則として不要です。

審査の結果、内容に問題がなければ、申立てから1ヵ月程度で破産手続きの開始が正式に決定されます。また開始決定が出ると同時に、手続きの種類(同時廃止または管財事件)もあわせて確定します。

財産がほとんどない場合は同時廃止、一定以上の財産や免責不許可事由がある場合は管財事件となり、その後の流れが分かれることになります。

③破産手続き開始が正式に決定される

申立てから約1ヵ月程度で、裁判所から破産手続き開始決定が出ます。この時点で、手続きの種類が同時廃止か管財事件かに確定します。

もし財産がほとんどない場合は同時廃止、一定以上の財産や免責不許可事由がある場合は管財事件です。同時廃止であればそのまま免責手続きへ移行し、比較的短期間で手続きが完了します。

一方で、管財事件となった場合は破産管財人が選任され、財産の調査・換価・配当といったプロセスが加わります。その分、手続きの期間は長くなる傾向にあるため、どちらの決定が出るかによってその後のスケジュールも大きく変わってくるでしょう。

④同時廃止|免責審尋をおこなう

同時廃止の場合、破産手続きの開始と同時に廃止が決定され、続いて免責審尋(めんせきしんじん)と呼ばれる手続きへと移ります。免責審尋とは、裁判官が申立人と直接面談し、破産に至った経緯や現在の生活状況を確認する手続きです。

当日は弁護士が同席するため、初めての方でも落ち着いて臨めます。面談は開始決定からおよそ2ヵ月後に実施するケースが多く、時間は30分程度で終わるケースがほとんどです。

事前に弁護士と受け答えの内容を確認しておけば、当日は裁判官の質問に素直に答えるだけで問題ありません。内容に問題がなければ、審尋から約1週間後に免責許可決定の通知が届きます。

⑤少額管財・通常管財|破産管財人と打ち合わせする

もし管財事件(少額管財・通常管財)となった場合、裁判所から選任された「破産管財人」との打ち合わせが必要です。破産管財人とは、破産者の財産を調査・管理し、債権者に公平に配分する役割を担う弁護士です。

この打ち合わせでは、申立書の内容確認・財産の詳細・借金に至った経緯などが確認されます。破産管財人との打ち合わせには、申立人本人が必ず出席しなければなりません。

また、この打ち合わせのタイミングで破産管財人への引継予納金の支払いも発生します。正当な理由のない欠席や虚偽の回答は免責が認められないリスクにつながるので、日程調整は慎重におこなってください。

⑥免責許可を裁判所が決定する

免責審尋から約1週間後、申立人に免責許可決定の通知が届き、正式に借金の返済義務が免除されます。免責許可決定が確定するまでには、2週間の異議申立て期間があります。

この期間中に異議が出なければ確定し、申立人は破産者の地位から完全に外れることが可能です(復権)。手続き中に制限されていた職業への就業は解除され、居住・移転に関する自由も戻ります。

この復権と同時に、自己破産を依頼していた弁護士との委任関係も終了です。長かった手続きがここで一区切りとなり、借金ゼロの状態から再出発できるのが、最終的なゴールです。

自己破産の手続きは自分でも可能

自己破産は、弁護士に依頼せず自分で申立てることも法律上は可能です。弁護士費用がかからないのはメリットですが、書類の作成や裁判所とのやり取りなど、手続きに関わる対応を全てこなす必要があります。

申立書類は種類が多く、記載内容に不備があれば裁判所から訂正を求められる場合があるので注意が必要です。また、財産がある場合や免責不許可事由がある場合は管財事件となり、本人の申立てでは予納金が高額になりやすいというデメリットもあります。

弁護士が代理人なら利用できた少額管財が使えないため、結果的にコストが増えるケースも少なくありません。費用面に不安がある方も、弁護士費用の分割払いや法テラスの立替制度を活用すれば、負担を抑えながら専門家のサポートを受けることが可能です。

まずは弁護士への無料相談を活用して、費用の全体像を確認するのを強くおすすめします。

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自己破産の申立を自分でおこなう場合の手順

自分で申立てをおこなう場合、大きく分けて6つのステップに沿って進めます。

全体の流れを把握した上で、一つひとつ丁寧に進めることが重要です。

項目 内容の詳細
①借入先と残高の確認 全借入先へ取引履歴の開示を請求し、債務総額を正確に把握する
②必要書類の収集 住民票、収入証明、財産目録、家計収支表などの必要書類を揃える
③申立書の作成 裁判所の書式に従い、借金の経緯や生活状況を記した申立書を作成する
④裁判所への申立て 管轄の地方裁判所へ書類を提出し、予納金などの費用を納付する
⑤審尋への出席 裁判官との面談に出席。管財事件の場合は管財人との面談もおこなう
⑥免責許可の確定 免責許可決定後、2週間の異議申立期間を経て免責が確定する

特に難易度が高いのが、③の申立書の作成です。記載内容に不備があると裁判所から補正を求められ、手続きが長引く原因になります。

自己破産を自分でおこなうデメリット

本人申立てには、費用以外にも注意すべきデメリットが存在します。以下5つのデメリットを理解した上で判断しましょう。

①書類作成・裁判官とのやり取りを自分でおこなう必要がある

自分での申立ては、膨大な書類準備と裁判所対応の全てを自力でこなさなければならない点です。自己破産には、申立書以外にも財産目録や家計収支表、陳述書など、複雑な書類が必要です。

以下では、書類の一例をまとめました。

書類 書類の概要・必要な条件など
破産手続開始および免責申立書 書類内の指示に沿って必要なもの(保険契約をしている場合は保険証券の写しなど)も用意します。
賃貸契約書の写し 賃貸物件に住んでいる場合に必須です。
不動産登記簿謄本 不動産を所有している場合に必須です。
退職金を証明する書面 退職金を受け取ったことがある場合や、退職金を今後受け取ることがある場合は必須です。
年金などの受給証明書の写し 年金などを受給している場合は必須です。
債権者一覧表 債権者は全て記載します。使途・原因欄には借金をした理由(生活費・遊興費など)を記載し、詳細な事情は申立書の該当箇所に記載します。
陳述書 なぜ借金をし、破産をしたのかという理由を記載します。可能な限り詳細に記載する必要があります。
財産目録 現金や預貯金のほか、不動産や車など、所有する財産を記載します。
戸籍謄本 戸籍の場所や氏名が変更になった場合に必要です。
現在の借金額がわかる書類の写し 請求書や督促状など、残高明細がわかるものです。

法律知識がない中での作成はミスが起きやすく、不備があれば裁判所からやり直しを命じられ、手続きが数ヶ月単位で停滞するケースも珍しくありません。また、書面作成だけでなく、裁判官や破産管財人との面談も一人で臨む必要があります。

法的な要点を外した回答をすると、「財産を隠しているのではないか」と疑われるなど、手続きが不利に進むリスクがあるので注意が必要です。専門家のサポートなしで進めた場合、莫大な精神的・時間的コストが発生するのが大きなデメリットといえます。

②自分で自己破産手続きをおこなうと費用が高くなる場合がある

弁護士費用を節約したいと考えて自分で申立てをしても、トータルの支払い額がかえって高くなるケースがあります。その理由は、予納金(裁判所に納めるお金)の違いにあります。

自己破産の手続きを自分でおこなう場合、手続きにかかる費用の相場は以下のとおりです。

自己破産の費用相場 同時廃止事件 管財事件 少額管財事件
申立手数料 約1,500円~ 約1,500円~ 約1,500円~
予納郵券代 3,000円~1万5,000円程度 3,000円~1万5,000円程度 3,000円~1万5,000円程度
裁判所への予納金 約1万円~ 約50万円~ 約20万円~
合計 約1万4,500円~ 約50万4,500円~ 約20万4,500円~

弁護士が代理人として申立てると少額管財の手続きを踏めますが、本人申立ての場合は不可能です。少額管財なら予納金は約20万円程度で済むのに対し、本人申立ての通常管財では最低50万円以上が必要となります。

つまり、弁護士費用を浮かせようとした結果、裁判所への支払いだけで大きな出費が発生する可能性があります。費用を抑えたい場合こそ、まず弁護士に相談して費用の全体像を確認するのをおすすめします。

③管財事件になった場合、少額管財事件にできない

自分で申立てをすると、費用と期間の両面で有利な少額管財を選択できません。少額管財は、専門家である弁護士が事前に財産状況を精査していることを前提に、裁判所の手続きを簡略化する運用だからです。

弁護士を介さない本人申立ての場合は、強制的に通常管財として扱われることになります。通常管財が適用されると、予納金が高額になるだけでなく、手続き完了までの期間も大幅に伸びるので注意が必要です。

少額管財であれば3ヵ月〜6ヵ月程度で終わる手続きが、通常管財では半年~1年以上かかるケースも少なくありません。車や自宅などの財産を所有している方は、専門家に依頼しないと、かえって時間的・金銭的な不利益を被る可能性が高まります。

④自己破産手続き中も借金の督促が止まらない

自分で申立てをした場合、裁判所に受理されるまでの数ヵ月間、債権者からの督促に耐え続けなければなりません。自分でおこなう場合は、申立書類を全て完成させて裁判所に提出し、受理されるまでは督促を止める法的手段がないからです。

弁護士に依頼すれば、受任通知(弁護士が代理人になった旨の通知)を各債権者に送付した時点で、即座に直接の督促や取り立てを止めることが可能です。

自分で自己破産を進める場合、書類作成を進めている間も電話や督促状、自宅への訪問といった精神的プレッシャーがかかります。手続きに慣れていない個人では書類準備に時間がかかるため、結果として取り立てを受ける期間が長期化するリスクが高まります。

生活再建に集中すべき時期に債権者からの連絡で精神的に消耗するのは、大きなデメリットといえるでしょう。

⑤裁量免責が許可されにくい傾向にある

ギャンブルや浪費など借金の原因に問題がある場合、本人申立てでは免責を認めてもらえない可能性があります。裁判所の裁量で免責を認めてもらう裁量免責を目指すには、深い反省と更生への具体的な意欲を論理的に説明しなければなりません。

自分一人では、裁判官の厳しい質問に対して不用意な回答をしてしまい、心証を悪くするおそれがあるので注意が必要です。専門的なフォローがないまま裁判官とやり取りすると、借金をゼロにするという目的そのものを危うくしかねません。

確実な免責許可を勝ち取るには、弁護士の力を借りるのが必要不可欠といえるでしょう。

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弁護士に自己破産の手続きを依頼した場合の費用

弁護士に依頼した場合の費用は、手続きの種類によって異なります。具体的には次のとおりです。

手続きの種類 弁護士費用の目安 裁判所への予納金 合計の目安
同時廃止 30〜50万円 数万円 約35〜60万円
少額管財 40〜60万円 20万円〜 約60〜80万円
通常管財 50万円〜 50万円〜 約100万円〜

弁護士費用の大まかな内訳は、以下のとおりです。

費用の項目 費用相場
着手金 20万〜50万円程度
成功報酬金 0円〜50万円程度
実費・予納金 2万〜50万円以上(※)

※同時廃止の場合は約2万円、管財事件の場合は20万〜50万円以上の予納金が必要です

法律事務所によっては、自己破産については着手金のみで成功報酬をとらない事務所もあります。具体的な金額は法律事務所によって異なるので、事前にホームページなどで弁護士費用の内訳を確認しておきましょう。

自己破産の費用を安く抑える方法

費用の目安は、同時廃止なら合計40万円前後、少額管財なら50万円前後が一般的でしょう。手元にお金がない状態で申立てる人がほとんどのため、費用の工面方法を知っておくことが重要です。

弁護士費用の分割払い・法テラスの立替制度・司法書士への依頼という3つの方法を解説します。

①弁護士費用を分割で支払う

弁護士費用は、借金問題の場合は分割払いに対応している事務所が多いため、まとまったお金がなくても依頼できる可能性があります。具体的な流れとしては、受任後は毎月一定額を積み立てていき、費用が揃った時点で申立てをおこなうのが一般的です。

受任後は貸金業者からの督促もストップするため、それまで返済に充てていた金額をそのまま積み立てに回せます。

注意点として、積み立て期間中は手続きが進まないため、その間も利息は発生し続けます。督促は止まっても借金総額が増える可能性があることは、あらかじめ理解しておきましょう。

分割払いの条件や月々の金額は事務所によって異なるため、相談時に確認するのをおすすめします。

②法テラスを活用する

収入や資産が一定基準を下回る方は、法テラスの立替制度を使えば、弁護士費用をほぼ無理なく支払うことが可能です。毎月5,000円〜1万円程度の返済で分割払いができ、生活保護受給者など一定の条件を満たす場合は免責後に返済が免除される場合もあります。

利用時は収入・資産・勝訴見込みなどの条件がありますが、審査に通れば法テラスと提携している弁護士に依頼でき、費用は法テラスが立て替えてくれます。自分で弁護士を探す必要がなく、相談窓口として使いやすい点も特徴です。

裁判所への管財費用の予納金は自己負担となる可能性がありますので、必ず事前に確認しましょう。

審査基準や手続きに関する詳細は、法テラスの「公式サイト」で確認してください。

③司法書士に依頼する

弁護士より費用を抑えたい場合、司法書士への依頼が選択肢になります。依頼費用の目安は弁護士の6〜8割程度とされており、同時廃止のように手続きがシンプルな場合は司法書士がおすすめです。

司法書士に依頼する主なメリットは、書類作成や裁判所への提出といった事務的な負担を減らせる点です。ただし、司法書士には裁判所での代理権がないので、審尋への出席や管財人との打ち合わせは申立人本人が対応しなければなりません。

また、管財事件となった場合や免責不許可事由がある場合は、弁護士のサポートなしでは対応が難しくなるリスクがあるので注意が必要です。手続きの複雑さが見込まれる方は、弁護士への依頼を検討しましょう。

自己破産を弁護士に相談するなら「ベンナビ債務整理」

自己破産を弁護士に相談したい方には、「ベンナビ債務整理」の利用をおすすめします。ベンナビ債務整理とは、借金・債務整理の問題解決に注力する弁護士・司法書士を全国から探せるポータルサイトです。

ベンナビ債務整理を利用すれば、自己破産・債務整理に注力する弁護士を効率的に検索できます。オンライン相談に対応している事務所も多いので、地方在住の方にも利用しやすいのも大きなメリットです。

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 「ベンナビ債務整理」で自己破産を弁護士に依頼した解決事例

実際にベンナビ債務整理を通じて弁護士に相談し、自己破産で問題を解決した事例を紹介します。借金額や状況は人それぞれ異なりますが、解決のヒントとして参考にしてください。

【950万→0円】終わりない返済を自己破産で解決したケース

まず紹介するのは、一見すると解決が難しい状況でも、弁護士への相談によって再出発を果たした事例です。相談者様は、子どもの教育費に加え、FXなどで預金を失って返済が困難になりました。

7社から膨らんだ借金は950万円に達し、月々20万円の返済に追われていましたが、弁護士が介入し、自己破産の手続きをおこないました。結果、負債は0円となり、相談者様は借金に頼らない平穏な生活を取り戻せました。

借金の理由にギャンブルや投資などが一部含まれる場合でも、弁護士のサポートによって免責が認められるケースもゼロではないと知れる事例です。

【1300万円→0円】自己破産で約1300万円の借金をなくせたケース

最後に紹介するのは、複数の事務所で断られた困難な状況でも、専門的な知見によって解決に至った事例です。相談者様は、ギャンブルが原因で10社から計1,300万円もの借金を抱えていました。

他事務所では「ギャンブルによる負債は免責が認められない」と言われ、支払いの目処が立たない任意整理を勧められるなど、八方ふさがりの状態でした。そこで自己破産に強い弁護士に相談したところ、状況を精査した上で「十分に免責が認められる」と判断。

適切な手続きを進めた結果、無事に自己破産が認められ、1,300万円の負債が全て免除されました。借金の理由がギャンブルであっても、反省の姿勢や生活再建の意思を示せば裁量免責を受けられる可能性があるのがわかる事例です。

自己破産に関するよくある質問

最後に、自己破産について多くの方が抱く疑問をQ&A形式でまとめました。自分のケースはどうなるのかを確認するために参考にしてみてください。

Q1.2回目の自己破産は可能?

1回目の免責許可決定から7年以上が経過していれば可能です。

2回目は1回目と比べて審査が厳しくなるので、より慎重かつ誠実に対応することが重要です。2回目の自己破産が認められない場合は、即時抗告のほか、任意整理・個人再生など別の手続きも検討してください。

Q2.会社にバレたら退職すべき?

仮にバレたとしても、自己破産を理由とした解雇は労働契約法上認められないため、退職する必要はありません。基本的に、裁判所・債権者・弁護士が会社に通知することはないのでご安心ください。

ただし、以下の場合は会社に知られる可能性があるので注意が必要です。

  • 会社や労働組合・共済会からの借入がある
  • 退職金証明書を会社から取り寄せた
  • 資格制限で一時的に仕事ができなくなる
  • 会社が官報を定期的にチェックしている など

これらに該当する場合は、弁護士に事前に相談の上、対応策を考えておきましょう。

Q3.家族への影響は?離婚すべき?

基本的に家族への影響はないため、離婚を心配する必要はありません。家族名義の財産は清算対象外であり、配偶者の自己破産は民法上の離婚理由にも該当しません。

ただし、家族が保証人になっている場合は例外です。主たる債務者が破産しても保証人の義務は消えず、代わりに一括返済を求められます。仮に離婚しても、保証人としての義務は消滅しないので注意が必要です。

Q4.無職でも自己破産できる?

無職でも、自己破産は可能です。自己破産の要件は支払不能であること・免責不許可事由に該当しないこと・対象債務が非免責債権でないことであり、収入の有無は問われません。

費用の準備が難しい場合は、自治体の支援制度や親族からの援助を検討しましょう。生活保護受給者の場合、法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、予納金・弁護士費用が猶予・免除されます。

Q5.住宅や車・携帯電話は手放す必要がある?

結論、住宅は原則処分となりますが、車や携帯電話は条件次第で手元に残せます。

項目 処分の目安 取り扱い
住宅・土地 原則、手放す必要がある ローンの有無を問わず、高価な財産として清算対象となる
自動車 査定額・ローンの状況による ローンがなく査定額20万円未満なら残せるが、その他は原則処分・回収対象
携帯電話 契約維持は可能だが端末代による 完済済みなら使えるが、分割中なら一括返済や返却を求められる場合がある

携帯電話の利用料金の滞納がある場合は、強制解約となるおそれがあります。また、自己破産後は数年間、端末の分割払いが組めなくなるので、買い替え時は一括購入が必要になるので注意が必要です。

Q6.自己破産を自分でやって失敗したらどうなるの?

書類の不備などで申立てが認められなかった場合、借金の返済義務はそのまま残り、経済的に苦しい状態が続きます。自己破産が難しいと判断された場合でも、個人再生や任意整理といった別の債務整理手続きで解決できるケースがあります。

自力で手続きを進めて失敗した場合は、弁護士に相談して次の選択肢を検討しましょう。

Q7.自己破産は「したもん勝ち」だと聞いたけど本当?

決して、「したもん勝ち」の制度ではありません。自己破産は、経済的に再建が困難になった人を救済するための法的手段だからです。

借金が免除される一方で、家や車などの財産を手放す必要があり、約5〜7年間のブラックリスト登録など、生活再建に向けた相応の制約も伴います。

ギャンブルや浪費などが原因の場合は免責不許可事由に該当し、必ずしも免責が認められるとは限りません。自己破産は得をするための裏技ではなく、あくまで法的なルールに則って誠実に生活を立て直すための手段です。

Q8.生活保護を受給していても自己破産の手続きはできる?

はい、可能です。むしろ生活保護受給中の方に自己破産が推奨されるケースは少なくありません。

生活保護費は最低限度の生活を維持するためのものであり、借金の返済に充てることは認められていないので、借金をゼロにする手続きが必要になります。

生活保護受給中の方は、法テラスの民事法律扶助を利用すれば、弁護士費用の支払いが猶予・免除される制度も利用可能です。

Q9.自己破産をすると将来もらえる年金はどうなるの?

原則として、将来受け取る年金への影響はありません。自己破産によって受給額が減ったり、受給権がなくなったりすることはなく、現在受給中の公的年金も差し押さえの対象外です。

ただし、すでに受け取って銀行口座に入ったお金は預金扱いとなり、金額によっては換価の対象になる場合があります。

Q10.自己破産をすると選挙権を失うというのは本当?

自己破産をしても、選挙権・被選挙権は失われません。自己破産は経済的な更生を目的とした手続きであり、戸籍や住民票に記載されることもないので、以前のように投票も可能です。

弁護士・税理士・警備員といった一部の職業は、手続き中に一時的な資格制限がかかりますが、免責が確定すれば解除されます。

まとめ

自己破産は、裁判所が「支払不能」と認めた人の借金を原則としてゼロにする、法律で認められた救済制度です。督促や差し押さえから解放され、生活に必要な財産は手元に残しながら再スタートできる点が最大のメリットです。

一方で、約5〜7年間のブラックリスト登録や高額財産の処分、一部職業の就業制限といったデメリットも伴います。手続きには同時廃止・少額管財・通常管財の3種類があり、財産状況や借入の経緯によって適用される手続きが異なります。

自分でも自己破産の申立ては可能ですが、書類の複雑さや裁量免責のリスクを考えると、弁護士への相談が解決への近道です。費用が心配な方は、弁護士費用の分割払いや法テラスの立替制度も活用できます。

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この記事の監修者
弁護士法人やがしら 船橋リバティ法律事務所
福田 圭志 (千葉県弁護士会)
船橋で長年弁護士業をしている地元密着の弁護士。借金問題、離婚問題、相続問題、企業法務に注力。依頼者の納得のいくゴールを目指し、依頼者と二人三脚で事件に挑む。司法書士、税理士等の他士業との連携も武器。
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。