公開日:2020.10.21  更新日:2021.6.9

自己破産手続きはどう進む?免責までの流れをわかりやすく解説

弁護士 福田 圭志
弁護士法人やがしら 船橋リバティ法律事務所
監修記事
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自己破産の手続きや期間は、あなたが所有している資産や借金をした理由などによって異なります。

そこでこの記事では、自己破産の手続きの流れや期間の目安を解説します。加えて、自己破産の費用や自己破産手続きでよくある質問についても解説しています。

なお、破産手続きは裁判所によって手続き運用が異なる点があります。以下では、あくまで千葉地方裁判所での手続きの流れについて解説します。

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この記事に記載の情報は2021年06月09日時点のものです

自己破産手続きの流れと期間

自己破産には、大きく分けて「同時廃止」と「管財事件(多くは少額管財事件)」の2種類があり、それぞれで手続きが異なります。

自己破産の手続きの種類

内容

少額管財事件

高額な財産(33万円以上の現金・20万円以上の資産など)や免責不許可事由があり、破産管財人が財産の調査を行う手続き。債権者集会や換価処分をする必要があり、免責許可まで一定の時間がかかる。

同時廃止

高額な財産(33万円以上の現金・20万円以上の資産など)がなく、破産管財人の調査がない手続き。破産手続きが直ちに終わり、免責許可までの期間が短い。

少額管財事件と同時廃止の流れを図で解説すると次の通りです。

破産手続きの流れ

同時廃止は少額管財と比べて手続きが少なく、免責決定までの期間が短くなります。

自己破産の手続き

期間の目安

少額管財

6ヶ月~1年

同時廃止

3ヶ月~6ヶ月

ここでは、それぞれの流れについて見ていきましょう。

まずは債務整理が得意な弁護士に相談

概要

自己破産手続きの相談

期間の目安

1週間程度

自己破産手続きをするには、まず専門家である弁護士に依頼しましょう。

自分で申立をすることは可能ですが、自己破産手続きは借金の支払いを免除してもらうための裁判所での厳格な法的手続きです。法律的・手続的な知識・経験が必要となる場面も少なくありません。

また、もし債権者からの執拗な督促に悩んでいるような場合は、弁護士に依頼をすることで直接の督促を遮断することができますので、平穏な日常を取り戻せるかもしれません

弁護士に依頼するメリット

実際に借金問題について弁護士に依頼する場合には、自己破産手続きに先立って、借金問題に関する相談をすることになるでしょう。

そして、この相談を通じて、現在の経済状況を踏まえて任意整理などの私的整理手続きをするべきなのか、個人再生や自己破産などの法的整理手続をするべきなのか、アドバイスを受けると良いでしょう

専門家の説明に納得がいかないような場合や他の専門家の意見も聞きたいというのであれば、もちろん相談したその場で契約をする必要はありません。専門家側から契約締結を迫られることもないでしょう。

なお、突然事務所に行っても相談に応じてもらえることはまずありませんので、必ず事前に事務所に電話・eメール・ホームページの申し込みフォームから相談予約をしましょう

自己破産手続きを依頼〜破産手続き開始まで

概要

自己破産手続きの依頼

期間の目安

1週間程度

相談の結果、信頼できる相手であると思うのであれば、自己破産手続きについて依頼しましょう。

依頼にあたっては契約書を交わすことになります。もし、相談した日にそのまま契約することも視野に入れているのであれば、相談の際に本人確認ができる身分証明書と印鑑を持っていくと良いかもしれません。

なお、依頼する際には、着手金がどの程度かかるのか、報酬金がどの程度かかるのか、最終的にどの程度の費用となるのかは、きちんと確認しましょう。

受任通知の送付

概要

取り立てのストップ

期間の目安

即日

弁護士に自己破産を依頼したのちには、債権者に受任通知が送付されます。そして、受任通知が到達した後は、基本的には、債権者が直接借金の取り立て・請求をすることはありません。

債権者に受任通知が到達した時点から取り立てがストップしますので、依頼者にとっては精神的な負担が軽減するのではないでしょうか。

申立てに必要な書類の準備

概要

必要書類の準備

期間の目安

3ヶ月程度

次に、自己破産の申立てに必要な書類を準備しましょう。主な必要書類は次の通りです。

  • 破産手続開始及び免責申立書【ダウンロード
  • 陳述書【ダウンロード
  • 債権者一覧表【ダウンロード
  • 資産目録【ダウンロード
  • 家計の状況【ダウンロード
  • 住民票(本籍が省略されていないもの)
  • 戸籍謄本
  • 給与明細書の写し
  • 源泉徴収票の写し
  • 市民税・県民税課税証明書
  • 預金通帳の写し
  • 賃貸契約書の写し
  • 不動産登記簿謄本
  • 退職金を証明する書面
  • 車検証の写し
  • 自動車の査定書
  • 保険証券の写し
  • 保険解約返戻金証明書
  • 年金等の受給証明書の写し など

なお、上記書類は必要最低限のものであると理解しておいてください。あなたの資産状況を示すものはすべて必要になります。

また、弁護士に依頼していれば、基本的には弁護士が必要書類を作成します。あなたは、弁護士の指示に従って資料を集め、事情を説明するだけで問題ありません。

破産手続きの申立て

概要

破産手続きの申立て

期間の目安

即日

必要書類が揃ったら、あなたの所在地を管轄する裁判所に申し立て書類を提出します。

裁判所での書面審査

概要

裁判所での書面審査

期間の目安

2週間程度

申立書を提出したあとは、裁判所が書面を審査します。

場合によっては補正や質問等の連絡があり、対応する必要があります。なお、弁護士に依頼している場合には裁判所から弁護士に連絡がいきます

裁判所は少額管財と同時廃止どちらになるかを決め、破産手続きの開始決定を行います。

破産手続きとは、破産開始決定の時点であなたが持っている資産を現金に替えて債権者に平等に分配する手続きです。

破産手続きの開始決定以降は、少額管財のケースと同時廃止のケースで流れが異なりますので、それぞれで手続きを確認しましょう。

少額管財の手続きの流れ

次にあげるような事情がある場合には、基本的に少額管財になります。

  • 一定以上の財産がある場合(※1)
  • 個人事業主である場合
  • 免責不許可事由がある場合(※2)
  • 33万円以上の現金
  • 20万円以上の預貯金
  • 20万円以上の価値がある自動車
  • 20万円以上の解約返戻金がある生命保険
  • 20万円以上の価値があるとみなされた株券など
  • 破産者名義の土地や建物 など

(※1)一定以上の財産として扱われるもの

(※2)免責不許可事由とは

免責不許可事由とは、裁判所が原則的に自己破産を認めない事情のことです。ただし、免責不許可事由があった場合でも、諸々の事情を考慮して免責が相当とされる「裁量免責」となるのが通常です。もっとも、資産を隠すなどの不誠実な行為があった場合は免責が許可されませんので注意が必要です。

免責不許可事由になり得るもの
  • 浪費行為や賭博行為により著しく財産を減少された場合
  • 債権者を害する目的で財産を隠匿等した場合
  • 裁判所の調査を拒否した場合
  • 不正の手段により破産管財人等の業務を妨害した場合 など

破産管財人との面接

概要

破産管財人と面談

期間の目安

即日

破産手続きが開始されるのと同時に、破産管財人が選任されます。そして、通常破産手続き開始の1~3週間後に、管財人の事務所において管財人面接が行われます

面接では、借金の内容や理由のほか、財産の内訳や収支などについて聞かれます。基本的には管財人から質問された内容について正直に回答すれば問題ありません。

なお、弁護士に依頼していれば、弁護士も面接に同席しますので心強いでしょう。

破産管財人による財産処分

概要

財産の処分

期間の目安

3ヶ月程度

破産管財人は選任された後、不動産や自動車等の動産を売却して金銭に換価していきます。

債権者集会

概要

債権者の意見を聴く

期間の目安

即日

破産手続き開始から3ヶ月程度で債権者集会が開かれます。 

債権者集会では、破産管財人が財産の収支状況を報告します。とくに問題がなければ5分程度で終わります。 

債権者は債権者集会に出席して意見を述べることができますが、出席しないことが多いです。 

この時点で、破産管財人の財産調査換価業務が全て終了していれば、債権者集会は1回で終了します。破産管財人に残務があれば、再度債権者集会の期日を設定します。 

免責審尋 全て 

概要

債権者の意見を聴く

期間の目安

即日

免責審尋は、裁判官があなたと面談をして、免責、つまり借金を帳消しにしてもよいかを判断する手続です。もっとも、実際には破産管財人が免責に関する意見を述べる程度で終了します。

免責審尋は、債権者集会が終了すると、引き続いてすぐに実施されます

同時廃止の手続きの流れ

概要

免責審尋を行う場合がある

期間の目安

2週間程度

管財事件となる事情がないときには、同時廃止の手続きになります。同時廃止は、破産手続き開始と同時に手続きを終了させる手続で、管財人による調査や財産処分等を行いません。

同時廃止では、同時廃止決定がされた際に、裁判官が必要と判断した場合には免責審尋の日程が決まります。

免責審尋は2回目以上の破産の場合等に行われることが多いです

免責許可決定

概要

免責許可が出て返済義務がなくなる

期間の目安

数日~2か月

管財事件では免責審尋から数日で裁判所の「免責許可決定」が出ます。

同時廃止手続きでは、免責審尋がない場合には開始決定から2ヶ月程免責審尋がある場合には免責審尋から2ヶ月程、債権者の意見を聞く期間を設けます。

裁判所は同期間が経過した後に「免責許可決定」を出すことになります。

免責許可決定が確定すれば、借金を返済する必要はなくなります。

自己破産の手続きについて知っておくべきこと

破産手続きは以上になりますが、自己破産を行う上でのデメリットや注意点などをご紹介しておきます。

自己破産に必要な費用

自己破産をする場合に、裁判所に納める手続費用は次の表の通りです。

費用

少額管財事件

同時廃止事件

裁判所費用

22万円~

1.5~3.5万円

少額管財事件の手続費用が高額になるのは、破産管財人の費用が必要となるからです。

一方、同時廃止事件では破産管財人の費用は不要なので、手続費用は低く抑えられています。

自己破産のデメリット

自己破産は「借金を返済しなくてよくなる」と言うメリットがありますが、一方で次のようなデメリットもありますので注意しておきましょう。

信用情報に事故情報が載る

信用情報とは、債務者の氏名・年齢・住所のほか、職業や年収、現在の借入額、過去の返済履歴などのことで、各金融機関で共有されています。

自己破産をすると、この信用情報に事故情報が載ります。そうすると、次のようなものに制限が発生します。

  • クレジットカードの審査に落ちる
  • ローンやキャッシングが利用できなくなる
  • 携帯電話の分割払いができなくなる

自己破産してから信用情報が回復するまでの期間

信用情報に事故情報が載ると、クレジットカードなどを利用できないとお伝えしましたが、これはずっと続くわけではありません。

  • 信用情報を扱っている機関は「CIC」「JICC」「全銀協」の3種類がありますが、CICとJICCは5年程度、全銀協では7~10年程度で信用情報が回復すると言われています。

就ける職業に制限がかかる

破産手続きが始まると、免責許可の決定が出るまでの間以下の職業につけません。

  • 弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士などの士業
  • 質屋、古物商
  • 生命保険外交員
  • 宅地建物取引主任者
  • 警備員

これらの職業についている場合には、一時的に辞めるか、資格を使わず仕事をする必要がありますので注意してください。

職業制限を受ける期間

自己破産をすると職業制限を受けることはお伝えしましたが、その期間はあまり長くありません。破産手続きの開始決定から、免責許可の確定までです。

期間にするとおよそ3~6ヶ月程度です。職業制限と言われると不安になるかもしれませんが、そこまで心配する必要はないでしょう。

官報に掲載される

自己破産を行うと、官報(国が発行する新聞のようなもの)に名前や住所が記載されます。

しかし、官報を読んでいる人は少ないので自己破産した事実が周りの人に知られてしまう可能性は低いといえるでしょう。

借金の保証人に影響がでる

あなたの借金に保証人が付いている場合、債権者は保証人に対して残債務の一括返済を求めることになります。

自己破産手続についてよくある質問

自己破産についてよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。

年金への影響

自己破産をしても年金を打ち切られることはありません。

国民年金や厚生年金等は、法律上差押禁止財産とされていますので、破産手続き開始の決定でも影響は受けません

家族の生活への影響

自己破産をする場合、一定の財産を処分することとなります。そのため、持ち家が申立人名義である場合、家を売却する等する必要が生じるため、引っ越す必要が生じる可能性が高いです

他方、自分の財産がほとんど無い場合には、家族の生活への影響はほとんどないでしょう。

もし、家を残して債務整理をしたい場合には、弁護士に必ず相談してください。良い方法が見つかるかもしれません。

生活保護への影響

自己破産の有無は、生活保護を受ける上で関係ありませんので、要件を満たせば生活保護の受給は当然できます

自己破産が勤務先に知られるか

基本的に、勤務先に自己破産の事実が知られることはありません。

ただし、勤務先からの借入れがある場合には、勤務先も債権者として破産手続きに加わることになりますので、自己破産をすることは当然に知られることになります。

会社との関係で債務整理を悩んでおられる方は必ず弁護士に相談して下さい。良い方法が見つかるかもしれません。

免責許可決定が確定するとすべての借金がなくなるか

免責許可決定が確定しても、あらゆる債務の支払が免除されるわけではありません。次のような債務は支払う必要があります。

  • 税金等の請求権
  • 罰金等の請求権
  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償
  • 夫婦間の婚姻費用分担請求権
  • 子に関する養育費請求権
  • 従業員等の給料請求権
  • 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった債権

上記のものは破産法上、非免責債権とされ、自己破産をしても支払い義務がなくなるわけではありません。税金の支払いが困難である場合には役所に必ず相談しましょう。

真摯に相談すれば分割での分納等に柔軟に応じてもらえるはずです。税金の滞納は延滞税等が高額となりますので絶対にそのまま放置しないで下さい。

まとめ|弁護士と司法書士どちらに依頼すべきか

債務整理の依頼先としては、弁護士・司法書士が考えられますが、自己破産を依頼するのであれば絶対に弁護士が良いと思います。

大きい理由としては、司法書士は代理人になれないため、基本的に債権者集会や免責審尋期日に同席することができず、もしそのような場合になったら破産者が一人で臨まなければならなくなるからです。

この点、弁護士であれば当然に同席するため、破産者をしっかりフォローしてくれます。

弁護士に依頼することで、手続きの終了(免責確定)までしっかりサポートしてもらうことができます。

まずは、弁護士へ無料相談して下さい。

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この記事の監修者
弁護士 福田 圭志
弁護士法人やがしら 船橋リバティ法律事務所 (千葉県弁護士会)
船橋で長年弁護士業をしている地元密着の弁護士。借金問題、離婚問題、相続問題、企業法務に注力。依頼者の納得のいくゴールを目指し、依頼者と二人三脚で事件に挑む。司法書士、税理士等の他士業との連携も武器。

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編集部

本記事は債務整理ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※債務整理ナビに掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。