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自己破産をしても就職に不利にはならない|就労制限とはなにか

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
自己破産をしても就職に不利にはならない|就労制限とはなにか
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「自己破産をすると就職ができなくなる?」

「今やっている仕事もクビになる?」

自己破産を検討されている方の中にはこのような心配をされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論から言いますと、一部の職業については、自己破産中の一定期間について就労制限があることがありますが、ほとんどの職業については自己破産によりただちに影響を受けるということはありません

この記事では、自己破産手続きと就職など仕事との関係についてお伝えします。

【関連記事】自己破産したらどうなる?デメリットや費用・条件を弁護士がわかりやすく解説

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自己破産手続きをした場合のデメリット

まず、自己破産をするとどのようなデメリットがあるのでしょうか。

就職や仕事を続けることの関係で指摘されるデメリットについて見てみましょう。

官報に公告される

まず、官報という国の刊行物に氏名・住所・自己破産手続きをしたことなどが掲載されることになっています。

ブラックリスト

個人の与信に関する情報(信用情報)は、信用情報機関とよばれるところに登録をされています。

自己破産を含む債務整理をすると、信用情報機関に登録をされるため(事故情報)、債務整理をすると借り入れやクレジットカードを作ったりすることができなくなります。

このことをブラックリストと呼んでいます。

各種制限

自己破産手続きをすると一定の場合には、手続き期間中は住所を制限される、郵送物を管財人が開封して中を確認する、といったことがあります。

また、警備業、宅建業、弁護士業などの一定業種については、自己破産手続期間中は「破産者」という状態となり事業を行うために必要となる登録ができないという制限があります。

しかし、これも一時的なものであり、破産手続により免責許可を受けて復権した場合には、当該制限は解除されます

自己破産をした場合の就職

それでは、自己破産をしたことが原因で仕事を失うリスクはどの程度あるのでしょうか。

基本的には就労・就職には影響しない

上記のとおり、自己破産により仕事に影響があるのは、特定業種に限られます。

したがって、当該特定業種に就いていなければ、自己破産を申請したからといって、就労にただちに影響が出るということはありません。

また、官報やブラックリストを常時チェックしている会社もほとんどありませんので、就職先が自己破産の事実を当然に把握して、採用を拒むということもあまり考えられないと思われます。

したがって、自己破産をしたことが就労や就職にただちに影響することは基本的にないと思われます。

自己破産の影響があり得るケース

自己破産による影響が考えられるとすれば以下のようなケースが想定されます。

金融機関への就労

金融機関は事業遂行を行う上で信用情報を確認することが可能です。

そのため、就職先が金融機関である場合、求職者の同意に基づいて信用情報を閲覧することはあり得ます。

この場合に、自己破産の事実が確認された場合、適格性に疑問があるとして採用を拒否される可能性はゼロではありません

欠格事由に該当する職業

自己破産が事業者としての欠格事由に該当するような職業である場合には、破産手続中は就職も就労もできません。

例えば、不動産会社で宅建士として活動しているような労働者が破産した場合、少なくとも破産期間中は宅建士としての職務を行うべきではないでしょう。

もっとも、このような資格制限も「復権」までとされていますので、破産手続で免責許可を受けてこれが確定した場合には、制限は解除されます。

破産者の家族への影響

破産手続による影響は、直接的には破産者にしか及びませんので、破産者の家族が法律上影響を受けることはありません。

しかし、破産者に生じた影響が、間接的に家族に及ぶことは十分あり得ます

したがって、破産するにあたっては家族に対する十分な説明を行うなどの一定の配慮をしたほうがよいかしれません。

欠格事由に該当するような場合には個人再生を検討する

上記のように、自己破産により欠格事由に該当するような事業を行っている場合は、自己破産手続きではなく、個人再生などの別の法的手続も検討した方が良いかもしれません。

自己破産手続き中であることが欠格事由に該当する職種でも、民事再生手続中であることは欠格事由には該当しませんので、就労への影響を抑制できると思われます。

自己破産を理由に仕事をクビにされないか

自己破産について基本的には就職・就労に影響がないことは上記のとおりです。

そのため、自己破産をしたからといって、当然に会社から解雇されたり、退職を求められるという心配は基本的にありません。

そもそも、会社は労働者を当然に解雇することはできず、解雇するためには客観的合理的理由があり、社会通念上相当でなければなりません。

労働者が自己破産したという一事のみではこの要件は基本的に充足されません(仮に、資格制限を受ける職種であっても、自己破産による制限があくまで一時的なものに留まることを踏まえれば、当然に解雇を正当化する理由にはならないでしょう。)。

他方、企業との間で委任契約に従って就労している場合(個人事業主や取締役・監査役である場合)には、受任者による破産が契約終了事由とされていることに鑑みて、契約を打ち切られるリスクはそれなりにありますので、その点は留意しましょう。

闇金からの借入れについて

自己破産をすれば、基本的にすべての債務について免責されますので、闇金業者からの借入金についてもすべて免責されます(そもそも法律上返済義務がない場合もあります。)。

したがって、他借入先と同じように、闇金業者に対しても返済等は不要となります

しかし、違法な闇金業者は法律などお構いなしに取立をしてくることがあるかもしれません。

そのような場合には、警察や自己破産に詳しい弁護士に速やかに相談しましょう。

破産したのに執拗に取立をしてくる業者については、警察が動く可能性も十分あります。

まとめ

この記事では、自己破産をする際の就職についてお伝えしました。

これから仕事をすることや、仕事を続けることに不安があるのであれば、その旨も弁護士に相談をしてみるのが良いでしょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。