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債務整理と自己破産の違いを知らないと損する!わかりやすい比較表で解説

アシロ 社内弁護士
監修記事
債務整理と自己破産の違いを知らないと損する!わかりやすい比較表で解説

債務整理や自己破産という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。

とくに借金の返済に困難を感じている方は、すぐにでも検討したいと考えているのではないでしょうか。

本記事では、債務整理や自己破産について何が違うのか、どのような手続きや生活への影響があるのかを、比較しながら解説します。

どのような場合にどの手段を選ぶべきか、弁護士への相談方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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自己破産は債務整理手続きのひとつ

自己破産というのは、実は債務整理のうちのひとつです。

債務整理には、自己破産のほかにも任意整理や個人再生などの手段があります。

なかでも、任意整理のことを債務整理と呼ぶ方も多いため、混乱してしまうかもしれません。

実際には、自己破産も任意整理も債務整理のうちの一種です。

任意整理とは、裁判所などを通さずに債権者と直接交渉することによって将来利息や遅延損害金の減額や免除をし、借金の総額を減らすことを図る手続きです。

個人再生は、裁判所に申し立てることによって、借金を5分の1〜10分の1(最低100万円以上)程度に減額するための手続きです。

そして、自己破産とは借金を全額免除してもらうための手続きとなります。

詳しくは、それぞれ本記事のなかで詳しく説明していきます。

債務整理(自己破産・任意整理・個人再生)各手続きの主な違いは?

まずは、自己破産・個人再生・任意整理、それぞれの違いについてみてみましょう。

項目

自己破産

個人再生

任意整理

裁判所での手続き

必要

必要

不要

減額の程度

全ての借金がゼロに

借金を1/5~1/10まで減額

(※最低100万円以上、また資産を残す場合は当該資産の清算価値以上を返済する必要がある)

利息・損害金分が減額

元金の減額

ある

ある

原則としてない

財産(家・車など)を失うか

20万円以上の財産は原則として処分

(現金99万円までは手元に残せる)

ローンが残っていない限り残せる

※家は住宅ローン特則があれば残せる

影響はない

ブラックリストへの掲載

×

約5~10年掲載

×

約5~10年掲載

×

約5年掲載

保証人への影響

×

保証人が返済義務を負うことに

×

保証人が返済義務を負うことに

保証人への影響はない

職業・資格への影響

一部職業・資格に影響がある

影響はない

影響はない

勤務先に知られる可能性

知られる可能性は低い

知られる可能性は低い

知られる可能性はほぼない

官報に載るか

×

載る

×

載る

載らない

手続きにかかる期間

約3~12ヵ月

約6〜12ヵ月

約1~6ヵ月

裁判所を通す必要があるかが違う

一つめの違いは、裁判所をとおす必要があるかどうかです。

自己破産と個人再生をおこなう場合は裁判所に申し立てる必要があるのに対し、任意整理ではその必要がありません。

任意整理は、お金を借りている債権者などと直接交渉をする手続きです。

自己破産と個人再生では、裁判所に届け出るための書類やある程度決まった記載内容がありますが、任意整理には決まったやり方がありません。

ただし、直接交渉をして借金を減額してもらうのは容易なことではないため、弁護士への依頼をおすすめします。

借金をどのくらい減額できるかが違う

債務整理を検討されている方が最も気になる点は、どのくらい借金を減らせるかではないでしょうか。

借金の支払いを全て免除してほしいという場合には、自己破産という選択肢があります。

ただし、一定の価値を超える財産を回収されてしまう点や、正当ではない理由(浪費やギャンブルなど)で借金を抱えた場合、自己破産が認められないことがあるのを考慮する必要があります。

個人再生と任意整理は、借金の免除ではなく減額を目的とする債務整理です。

個人再生では、借金は5分の1〜10分の1程度(最低100万円以上)に減らすことができます。

なお、個人再生手続きを利用し、家や車などの資産を残す場合は、債務の5分の1〜10分の1程度(最低100万円以上)の最低弁済額の金額と、残したい資産の清算価値の金額を比較し、大きい方の金額までしか減らすことができません。

任意整理では、将来利息や遅延損害金をカットしてもらい、かつ分割返済とすることで返済期限を延ばしてもらうことを目指します。

いずれの選択肢であっても、弁護士に相談のうえ無理のない返済額や期間にできるよう、交渉や申し立てをおこなうがよいでしょう。

元金を減額できるかどうかが違う

実際に借りたお金(元金)を減額できるかどうかも、債務整理の種類によって異なります。

たとえば100万円を借りたのであれば、100万円が元金です。

通常、元金100万円に加えて、利息や遅延損害金などの手数料がかかります。

自己破産と個人再生では元金を減らすことができるものの、任意整理で減額できるのは、利息および遅延損害金で、一般的に元金の減額が認められるケースはほとんどありません。

ただし、債権者との取引期間が長い場合、過去に払い過ぎた利息(過払い金)が発覚するなどした場合には、元金を減らせる可能性もあります。

借金の返済期間に違いがある

自己破産は、借金が全額免除される手続きなので、返済期間はありません。

個人再生と任意整理では、返済期間が3年となることが多く、長くても5年となります。

車や家などの財産を失うかどうかが違う

自己破産では、時価20万円以上の一定以上の価値がある財産は回収され処分されます。

そのため、車や家に関しては手放さなければならない可能性が高いと考えてよいでしょう。

ただし、99万円以下の現金は手元に残せるため、全ての財産を失うわけではありません。

個人再生では、以下のケースに該当すれば車を手元に残すことができます。

  • ローンをすでに完済している
  • 車の名義が個人再生をおこなう本人である
  • 車の名義が家族である

また、ローンの支払いが残っている場合、車は原則ローン会社に引き上げられてしまいますが、家族などに返済してもらったり、ローン会社に交渉することで残せる可能性があります。

家については、住宅ローン特則の利用によって残すことができます。

住宅ローン特則は、個人再生をおこなう人が生活を立て直しやすいよう準備されている制度です。

住宅ローンをこれまでどおり支払い続けることを前提に、持ち家を手元に残すことができます。ただし、住宅ローン特則の利用には条件があるため、弁護士など専門家に相談することを強くおすすめします。

任意整理では、車や家を失うことはありません。

ただし、ローンが残っている場合、自動車ローンや住宅ローン自体の減額を交渉するのは避けましょう。

債務整理をしなければならない状態であると伝われば、支払い能力がないと捉えられ、車を引き上げられたり、住宅を売却されてしまうリスクを伴います。

ブラックリスト(信用情報機関の事故情報)にはどの手続きでも載ってしまう

債務整理をすると、信用情報機関に、金融事故情報が記録されます。

いわゆる「ブラックリスト入りしている」状態です。

なお、自己破産・個人再生・任意整理のどの方法を選ぶ場合でも掲載されてしまいます。

日本には、内閣総理大臣によって指定される指定信用情報機関が3つあります。

  • 日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
  • シー・アイ・シー(CIC)

どの情報を参照するかによって記載内容は異なりますが、基本的には債務整理の種類までが登録されていると考えてよいでしょう。

保証人に影響があるか否かが違う

自己破産または個人再生をおこなうと、保証人に対して返済請求がなされることになります。

保証人への請求は、基本的に全額一括払いとなります。

そのため、自己破産や個人再生をしたタイミングで、保証人の資力が十分でない場合、保証人も債務整理をしなければなりません。

任意整理では、影響を及ぼしたくない保証人がついている債務については、交渉をおこなわないようにすることで、保証人への影響を避けることができます。

自己破産では、一部の職業・資格に影響がある

個人再生と任意整理をしたとしても、職業や資格に制限はありません。

しかし、自己破産をおこなう場合は破産者と扱われるため、一部の職業や資格に制限がかかります。

  • 弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士などの士業
  • 質屋、古物商
  • 生命保険外交員
  • 宅地建物取引主任者
  • 警備員 など

これらの職業に就いている場合、仕事を一時的に辞めるか、資格を使わずに仕事をする必要があります。

なお、自己破産をした場合に職業や資格に制限を受ける期間は、一般的に破産手続きの開始決定から手続きが終了するまでです。

破産手続きが終了した時点で、再び資格を使ってまた働くことができます。

取締役、執行役員などの会社役員は自己破産をすると退任しなければなりません(民法第653条)。

ただし、破産手続き終了後、 再び選任されることで、役員として復帰することができます。

同様に、商工会議所や信用金庫、日本銀行などの団体企業の役員も自己破産した場合には解任されることとなっています。

勤務先に知られる可能性に差がある

いずれの方法で債務整理をおこなったとしても、勤務先に知られることは基本的にはないと考えてよいでしょう。

しかし、知られてしまうリスクがまったくないわけではありません。

債務整理をするにあたって準備した書類などから知られる可能性はあるので、職場には持ち込まないなど、管理には細心の注意を払うようにしましょう。

また、個人再生と任意整理では返済が続きますが、手続きのあとに再び滞納してしまったことにより、給与が差し押さえられてしまえば、勤務先に知られてしまうでしょう。

そのほか、次節の「官報に載るかどうかが違う」も参考にしてください。

官報に載るかどうかが違う

自己破産か個人再生をおこなうと、国が発行する機関誌である官報に住所と氏名が掲載されます。

ただし、官報を読む方の多くは、金融関係者や法律関係者です。

それ以外の業界で働いている方に、債務整理をしたことを知られる可能性はほとんどないでしょう。

そうはいっても、官報は誌面だけでなくインターネット上で誰でも読むことができるため、発見されるリスクが全くないとは言い切れません。

任意整理の場合は、官報に掲載されることはありません。

手続きにかかる期間が違う

どの債務整理を選ぶかによって、手続きにかかる期間が異なります。

借入先がいくつあるのか、借金の総額がいくらかなど、それぞれの状況によって差が出てきます。

目安として、自己破産の場合は約3~12ヵ月個人再生の場合は約6~12ヵ月任意整理の場合は約1~6ヵ月と考えるとよいでしょう。手続きにかかる期間はあくまで目安であり、ケースによってはこれより長くなる可能性もあります。

債務整理が完了するまでの期間を長いと感じる方もいるかもしれません。

しかし、弁護士に依頼し、弁護士から債権者に受任通知を送付すれば、すぐに督促や支払いを一時的にストップさせることが可能です。

そのため、弁護士をつけた時点で負担は大きく減るはずです。

詳しくは、このあとの「自己破産や債務整理の対応を弁護士に依頼した方がよい理由」を参照してください。

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債務整理(自己破産・任意整理・個人再生)各手続きを選ぶおおまかな基準

ここまで、3つの債務整理について、違いを比較しながら紹介してきました。

では、債務整理をする場合、自己破産・任意整理・個人再生のうち、どの手続きを選べばよいのでしょうか。

弁護士に相談するのが一番ですが、ここではおおまかに各手続きを選ぶ基準を紹介します。

任意整理は借金が少ない方に適した手続き

任意整理は、債務整理のなかで最も多く利用されている方法です。

任意整理では、借入先との直接交渉によって、将来利息や遅延損害金をカットしてもらい、返済期限を延長してもらうことで、無理のない返済を目指します。

返済期限を延長するといっても、3〜5年となるケースがほとんどです。

延長したとしても月々の返済が難しいほどの金額を借りている場合は、任意整理以外の方法をとるべきでしょう。

任意整理は裁判所を介さない手続きであり、決まった方法があるわけではありません。

保証人に迷惑をかけたくない場合は、保証人がついている債務を対象から外して交渉を進めることができます。

財産が没収されることはないため、持ち家や車をはじめとした財産を手元に残したまま、債務整理をしたいという方に向いているといえます。

任意整理が適している方
  • 返済する意思がある
  • 3〜5年で返済できる安定した収入や資産がある
  • 保証人に迷惑をかけたくない
  • 家や車などの財産を手元に残したい

個人再生は借入金が5,000万円以下の方が借金を大幅に減額できる手続き

借金が5,000万円以下で、大幅に減額されれば返済可能である方は、個人再生を検討しましょう。

個人再生では、借金を5分の1〜10分の1程度に減らすことができます。

ただし、個人再生を利用し、家や車などの資産を残す場合は、債務の5分の1〜10分の1程度(最低100万円以上)の最低弁済額の金額と、残したい資産の清算価値の金額を比較し、大きい方の金額までしか減らすことができないため、注意が必要です。

自己破産と異なり、住宅ローンが残っていても持ち家を手元に残せるため、借金が多いけれど家を手放すのは困るという方に向いています。

また、自己破産を選んでしまうと資格が制限されてしまう職業に就いている方も、個人再生を選ぶとよいでしょう。

個人再生が適している方
  • 返済する意思がある
  • 5,000万円以下の任意整理では返済できない借金がある
  • 持ち家を手放すのは困る
  • 自己破産では、制限されてしまう資格を使って働いている

自己破産はもう借金の返済が難しい方のための最終手段

多重債務に陥りどうしても返済が苦しい方や、借金の額が多くて任意整理や個人再生では返しきれないという方は、自己破産が向いています。

ここまでにも紹介してきたとおり、自己破産をすると20万円以上の財産は全て回収されてしまうというデメリットがあります(ただし、現金は99万円まで手元に残せます)。

一方で、自己破産は国民に求められた権利であり、自己破産を選択するのは悪いことではありません。

無理をしすぎないうちに、まずは早めに弁護士に相談しましょう。

自己破産が適している方
  • ほかの債務整理では解決できず、借金の全額免除を希望する
  • 安定した収入がない
  • 複数の金融機関から借りており、多重債務に陥っている

自己破産や債務整理の対応を弁護士に依頼したほうがよい理由

債務整理を検討している場合は、弁護士に相談することを強くおすすめします。

専門家でない方が、どの方法が適しているかを見極めるのは困難です。

また、いずれの債務整理を選ぶとしても、自分で手続きを完了させるのはとても大変なため、実務も依頼するほうがよいでしょう。

ここでは、弁護士に依頼したほうがよい理由について解説していきます。

最適な方法がどれかアドバイスしてくれる

債務整理にはいくつかの種類があり、どの方法を選んだとしても、個々の状況によって最適なタイミングや細かな手順は異なります。

借金の総額はもちろん、借入先の数や月々の返済額、家族構成など、さまざまな点から検討することが大切です。

債務整理のサポート経験が豊富な弁護士であれば、各ケースにおける最適な方法をアドバイスしてくれます。

また、状況によっては債務整理をせずに解決できる可能性が見つかることもあります。

正式に依頼するかどうかわからなくても、まずは弁護士へ相談してみましょう。

相談したとしても、基本的に弁護士が契約を迫ってくるようなことはありません。

無料相談を受け付けている法律事務所も多いので、ぜひ活用してください。

取り立てをストップさせられる

実際に弁護士に依頼すると、弁護士は債権者やクレジットカード会社などの借入先に受任通知を送ります。

これは、弁護士が代理人となり窓口になることを知らせるものです。

受任通知が到達すれば、金融機関などは、借りている方に直接連絡を取ることができません。

債務者からの直接の取り立ては違法となるのです。

その時点で借金が帳消しになるわけではありませんが、督促が止まることで日々のプレッシャーやストレスが大きく軽減されるはずです。

生活を立て直さなければならない状況下では、そのような不安要素からの解放は早いほうがよいでしょう。

いずれ弁護士に依頼するつもりである場合は先延ばしにせず、早めに委任契約を進めるのがおすすめです。

債権者との交渉を代わってもらえる

取り立てをストップできるだけでなく、そのあとの交渉や対応を全て弁護士に任せることができるのも、債務整理を弁護士に依頼した方がよい大きな理由のひとつです。

たとえば、受任通知が担当者の手元に届くまでにタイムラグがあり、債務者本人に連絡が入ってしまうなどした場合でも、自分で応答する必要はありません。

また、任意整理においては債権者と直接交渉をしなければなりません。

弁護士に任せることで最大限、有利な結論を導き出すことができます。

うっかり自分で債権者に対して支払いをするのを忘れてしまわないよう、法律事務所に弁済代行を依頼することも可能です。

とくに任意整理を複数社に対しておこなった場合、振込先が一つになるため便利です。

煩雑な続きを任せられる

債務整理をするためにはまず、どの債権者からいくら借りているのか、どの程度返済して、いくら残額があるのかなどを整理しなければなりません。

弁護士に依頼すれば、そのような債権者への問い合わせ、申立書作成、裁判所への連絡まで、煩雑な手続きを全て任せることができます。

とくに、裁判所での手続きが必要となる自己破産や個人再生では、専門家でない方が書類の作成や準備を全て自分でおこなうのは、非常に困難です。

弁護士は、本人の代理人として多くの手続きを代行できます。

債務整理を得意とする弁護士に依頼すれば、よりスムーズに完了できるでしょう。

さいごに | 債務整理をしたい場合は弁護士へまず相談を!

債務整理を考えはじめている方は、すでに返済が困難になりつつあるのではないでしょうか。

そうであれば、なるべく早めに弁護士に相談してください。

返済が滞ったり、返済のために新たな借金を増やしたりすれば、債務整理の選択肢の幅を狭めてしまうことになりかねません。

少し不安になってきた程度であっても、まずは気軽に相談してください。

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この記事の監修者
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この記事は、株式会社アシロの『ベンナビ債務整理編集部』が執筆、社内弁護士が監修しました。
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。