公開日:2021.7.30  更新日:2021.7.30

借金減額の仕組み・からくりとは?各制度のリスクやデメリットを解説

一歩法律事務所
南 陽輔
執筆記事
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最近、ネットやテレビ等の広告で、「借金減額」という言葉を目にしたり、耳にしたりするようになりました。

文字通りに借金が減額できれば、借りている側としてはこんなに嬉しいことはありません。ただ、簡単に借金が減額されてしまうとすれば、貸した側が納得するはずがありません。

実は、「借金減額」は、そんなに簡単に行えるものではありません。国が定めた制度等を活用し、法律に則って行う必要があります。

また、借金減額の手続きを取るには法の専門家である弁護士、司法書士に依頼して行った方が良いです。

この記事では、具体的に「借金減額」するにはどうすればよいのか、どのような仕組みで行われているのかなどについて、弁護士の視点で解説します。

この記事に記載の情報は2021年07月30日時点のものです

「借金減額制度」とは

借金減額を実現させる方法、制度としては以下の3つに分けられます。

  • 実質金利の減額(おまとめローンの利用)
  • 過払い金返還請求
  • 債務整理

①については金融機関との話し合いが必要で、②③は、弁護士、司法書士などの法律の専門家に相談するのが良いでしょう。

具体的な仕組みや各方法のメリット・デメリットは次項で詳しく解説します。

借金減額の仕組み①実質金利の減額(おまとめローンの利用)

「おまとめローン」とは、複数の借入先がある場合に、その複数の借入先への借金総額を返済するための資金を一つの金融機関から借り入れ、その借り入れたお金で借金を返済し、借金を一本化することを指します。

一括して返済できるだけの資金を借金して、複数の借金を消すというもので、つまりは借金をもって借金を返済するものですので、弁護士としてはあまりお勧めできません。

ただ、おまとめローンによって救われる人もいるというのも事実としてはあるでしょうから、利用されるかどうかについてよく検討の上、行ってください。

おまとめローンを利用すると、実質金利が減額される可能性があります。これは利息制限法の定め方が影響しています。

利息制限法では、10万円未満の借金の年間利率(年利)を最大20%、10万円以上100万円未満の年利を最大18%、100万円以上の年利を最大15%と定めています。

お金を貸す側からすると、この利息こそが収入源であり、貸付にあたっては上限利率にできるだけ近づけて貸付を行います。そのため、100万円以下の借金については、18%に近い金利での貸付が行われています。

そうすると、複数の借入先がある場合、借主側からみると借金総額が100万円を超えていても、一つ一つの借金は100万円未満であるため年利18%程度の利息の負担を強いられているという状態が起こります。

これに対して、おまとめローンでは、金融機関によって異なりますが、概ね年利10~12%で貸付を行っていることが多いです。そうすると、借主としては、借金総額に対して年利18%であったものが、おまとめローンを利用することで、年利10~12%前後にまで利率を下げられるということになります。

実質金利の減額が向いている人とメリット

上で述べましたように、おまとめローンを使うと、実質の金利を18%から10~12%前後にまで下げることができるのがメリットです。おまとめローンの利用が向いているのは、こうした100万円未満の高金利の借金が複数ある人です。

複数の借り入れがある場合、毎月の返済期日もバラバラである場合が多く、把握できなくなってしまったり、気づかないうちに返済期限が過ぎてしまっていたりということも起こりえます。

おまとめローンを利用し、複数の借り入れを解消すれば、返済相手はおまとめローンを組んだ1社だけとなりますので、返済期日の管理をしなくてよくなります。この点もおまとめローンのメリットと言えます。

実質金利を下げるリスク・デメリット

前提として、おまとめローンは、実質金利を下げられる点に大きなメリットがありますので、元の借金の金利が低い場合には、おまとめローンを利用することでかえって金利が高くなるということが起こりえます。

特に年利が7%前後の大手の銀行系カードローンを利用されている場合には、おまとめローンを利用することで金利が高くなってしまいます。

また、おまとめローンを利用することで、実際の支払総額が増えることも考えられます。

高金利で短期の返済スケジュールの借金をおまとめローンを利用している場合、おまとめローンを利用することによって低金利で長期の分割払いとすることができても、その長期間で支払った総額と計算してみると、おまとめローンを利用前の方が返済総額は低くて済んだということも考えられます。

加えて、おまとめローンを利用すると、金融機関の間で情報共有されて、新たな小口の借り入れができなくなる可能性もあります。

必ず覚えておきたい!おまとめローンのデメリット

  • 根本的な借金問題を解決できない
  • 最終的な返済額が増加する
  • 金利が低い金融機関は審査が厳しい
  • おまとめローンを利用したという情報が共有される

借金減額の仕組み②過払い金返還請求

過払い金という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。過払い金は、利息制限法と貸金業法との間で法定利率が異なっていたことにより生じるものです。

以前は貸金業法の利率は利息制限法の上限利率よりも高く定められていました。そのため、継続的に分割して返済していた場合の返済額を利息制限法の上限利率に照らして引き直し計算してみると、利息制限法の上限利率を超える金額を返済していたというケースが多数ありました。

こうした利息制限法の上演利率を超える返済部分が「過払い金」と呼ばれます。最高裁判所の判例で、貸金業者は、取りすぎた「過払い金」を返還しなければならないとの判決が出され、以後、貸金業者に対する過払い金返還請求訴訟が頻発しました。

ただ、平成18年(2006年)に貸金業法の上限利率を利息制限法と統一するに法改正され、平成22年(2010年)以降は、同改正法が完全に施行されましたので、近年では過払い金が発生しているケースは減少しています。

過払金返還請求が向いている人とメリット

過払い金返還請求ができるのは、過払い金が生じている場合だけです。上で述べましたように、貸金業法が改正され、平成22年(2010年)以降は、利息制限法以内での貸付が行われていますので、過払い金が発生する可能性があるのは、平成22年以前から長期にわたって同一の貸金業者との間で借り入れと返済を繰り返してきた場合です。

ただ、平成22年以降でも利息制限法の定めを守らずに貸付を行っている業者もいるかもしれませんので、長期にわたって借り入れと返済を繰り返している人は、念のため、過払い金が生じていないかを計算してみるのも一つの方法でしょう。

過払金返還請求のリスク・デメリット

平成18年(2006年)に貸金業法が改正されたことにより、現在では過払い金が発生するケースは減ってきています。また、過払い金返還請求権については時効により消滅する可能性もありますので、この点も注意が必要です。

基本的に時効の起算点は、最後に返済を行ったときです。最後に返済を行ったときから10年を経過していると、過払い金返還請求は時効によって消滅している可能性があります。

また、過払い金が生じているかどうかは、貸金業者から返済履歴の開示を受けて、その履歴をもとに利息制限法への引き直し計算を行わないとわかりません。

こうした手続、引き直し計算は、ご自身で行うのは困難ですので、専門家である弁護士、司法書士に依頼したほうが良いでしょう。

過払い金請求について詳しくはコチラ
過払い金請求とは?

借金減額の仕組み③債務整理

借金減額の方法の一つである債務整理ですが、さらに細かくは、個別の交渉を行う任意整理と、裁判所を利用する個人再生自己破産とに分けられます。

「任意整理」の仕組み

任意整理とは、債権者と個別に弁護士が分割払いの交渉を行うというものです。具体的な流れとしては、弁護士に依頼し、弁護士が債権者に受任通知を送付します。

受任通知が届いた後は、債権者は債務者に直接連絡はできなくなります。そうして、弁護士が債務者の代理人となって、借金の返済方法について交渉することになります。

債権者によりますが、基本的な話し合いの方向性としては、利息・遅延損害金をカットして元金を3~5年程度に分割して返済するという内容で協議していきます。

任意整理が向いている人とメリット

任意整理は、元金だけなら分割して返済していけるという人に向いています。その前提としては、まず、毎月一定の安定した収入見込みがあり、返済資金が確保できることが必要となります。

また、任意整理は、債権者との個別の交渉を弁護士が代理人となって行いますので、基本的には誰にも知られず、家族にも知られずに進めていくことができます。

加えて、弁護士が代理人となる旨の受任通知を債権者に送付することにより、債権者からの電話や郵便による催告は止まりますので、その点もメリットと言えるでしょう。

任意整理のリスク・デメリット

任意整理に向いている人の裏返しになりますが、借金の利息、遅延損害金を免除してもらうだけでは不十分なほどに借金元金が大きい人や、安定した収入がなく返済の見込みが立たない人は、任意整理は向いていません。

目安としては、借金元金(複数の借入先がある場合には借金元金の総額)を5年間で分割返済する見込みが立たない場合には、任意整理は難しい(交渉に応じれくれない債権者が現れる)と認識しておいた方が良いでしょう。

その場合は個人再生や自己破産などを検討すべきとなります。

また、弁護士から債権者への受任通知が送付されると、貸金業者が共有している信用情報に債務整理が開始されたという情報が載ることになります。これにより、クレジットカードの利用や、新たな借り入れができなくなる可能性があります。

任意整理について詳しくはコチラ
任意整理とは?

「個人再生」の仕組み

個人再生は、裁判所の決定により、借金の総額を100万円ないし最大10分の1にまで減額して、減額された借金を3~5年かけて返済していくというものです。裁判所が関与するというのが最大の特徴です。

個人再生が向いている人とメリット

個人再生が向いているのは、毎月安定した収入の見込みがある人です。目安としては、最低月に3万円程度の返済資金を確保できる目途がある人ということになります。

また、借金の一つとして住宅ローンがある人にとっては、住宅ローン特別条項を付けることで、自宅を売却することなく債務整理を行えるというメリットもあります。

加えて、任意整理は交渉ですので債権者が応じれくれなければ実現できませんが、個人再生では、反対する債権者がいても、債権者の過半数が再生計画に同意してくれれば手続を進めていくことができます

個人再生のリスク・デメリット

安定した収入の見込みが立たない人・借金の総額が大きい人は、裁判所が個人再生を認めてくれない可能性があります。

目安としては、月に3万円程度の返済のめどが立たない人、借金を10分の1にしても、5年以内に分割返済する見込みが立たない人は、個人再生の決定が出ない可能性が高いです。

また、個人再生は、裁判所の監督下で手続きを遵守する必要があります。さらに、再生の決定が出た場合には官報(国が発行する広報誌)に名前が載ります。通常、官報を見ている人はほとんどいませんが、自分の名前が官報に載るということは知っておいてください。

加えて、任意整理と同じく、銀行・貸金業者などの金融機関で共有している信用情報にも個人再生しているという情報が登録されます。いわゆる「事故情報が登録される」「ブラックリストに載る」という状態です。

したがって、数年間はクレジットカードを利用したり、新たな借り入れをしたりすることができないというデメリットがあります。

個人再生について詳しくはコチラ
個人再生とは?

「自己破産」の仕組み

自己破産は、原則としてすべての借金の返済義務を免除してもらえるという裁判手続きのことを指します。返済義務の免除のことを「免責」と言います。税金や養育費等の一定の法律が定める非免責債権がありますが、これらの非免責債権に該当しない債権(銀行借入や消費者金融からの借金等)はすべて返済義務を免れます。

自己破産が向いている人とメリット

収入の見込みがない人や、借金の額が過大な人等、任意整理や個人再生に向いていない人は自己破産が向いていると言えます。自己破産は、上でもお伝えしたとおり原則としてすべての借金の責任を免れることができるというのが最大のメリットです。

自己破産のリスク・デメリット

個人再生と同じく、裁判所が定める手続きを遵守する必要があります。

破産の決定が出てから破産の手続きが終了するまでは、旅行などで長期間不在にすることはできませんし、郵便物は、裁判所が選任する破産管財人がチェックすることになります。また、破産開始の決定が出た時点と、免責の決定が出た時点の2回、官報に名前が載ります

また、破産開始決定時にある資産はすべて破産管財人の管理下に置かれます。一定の資産を自由財産として除外してもらうことはできますが、基本的には資産はすべて破産管財人が換価して、債権者の配当等に充てられます。

資産を隠していたりすると、破産法上の犯罪に当たるとして処罰される危険性もあります。

加えて、任意整理、個人再生と同じく、信用情報に傷がつきますので、破産後数年間は、クレジットカードを利用したり、新たに借り入れをしたりすることができません。また、警備員等、職種によっては破産したことにより就けない職業が存在します。

自己破産について詳しくはコチラ
自己破産とは?

「借金減額」を宣伝するサービスは信用できる?

最近、ネットやテレビCM等で、「借金減額」を謳うサービスをよく目にしませんか。「借金減額」という響きはとても理想的なものに感じますが、内容を理解せずに申込みすることは避けるようにしてください。

「借金減額」を謳う業者の中には、詐欺まがいな行為をする業者もいるからです。

まず、「借金減額」の内容がどういうものか確認してください。おまとめローンのことを言っているのか、過払い金や債務整理のことを言っているのか、まず、この点を確認しましょう。そのうえで、過払い金や債務整理のことを言っているのであれば、その広告主が弁護士(法律事務所)か司法書士であるかどうかをチェックしましょう。

過払い金返還請求や債務整理を行うのは専門家である弁護士、司法書士です。特に任意整理での債権者との交渉等の業務は弁護士しか行えません

また、ネットでは、「借金減額診断」を謳い、少しの質問に答えるだけでシミュレーターによってどのような借金減額方法があるかを示すものがあります。まずは、この「借金減額診断」を、弁護士(法律事務所)、司法書士が行っているのかどうかをチェックしましょう。弁護士、

えて、「借金減額診断」は、あくまで簡易なものであることを気に留めておいてください。いくらシミュレーターといっても、正確なものではありません。

「借金減額診断」では、借金額、借金の期間、返済状況を入力するものが多いです。これは、まず借金額や返済状況から債務整理の中で、任意整理・個人再生・自己破産のいずれが良いのか、借金の期間については過払い金が生じている可能性がないかについて、それぞれの見込みを簡易に診断しています。

また、サイトによっては居住地や連絡先を入力するものがありますが、それは、借金減額診断を利用した方に対して、弁護士・司法書士から連絡を取るためです。

「借金減額診断」はあくまで目安、見込みを示すものに過ぎません。正確に診断してもらうためには、弁護士・司法書士に実際に相談するのが最良と言えます。

借金減額は債務に詳しい弁護士への相談がおすすめ

「借金を減らしたい」「債務整理を行いたい」という方は、その分野に詳しい弁護士へ相談を寄せるのがおすすめです。

弁護士が行えること

弁護士は、法律業務全般を行うことができます。司法書士も法律の専門家ですが、職域としては、書面作成を主たる業務としています。したがって、過払い金の返還の交渉や、分割払いの交渉等、債権者との交渉ごとは弁護士のみが専門的に行えるということになります。

また、個人再生や自己破産等の裁判所での手続きにおいても、弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人としてほとんどすべてのことを行えます。

弁護士にトラブル解決を依頼するメリット・デメリット

上でもお伝えしたとおり、弁護士に債務整理を依頼すれば、ほとんどすべてのことを弁護士が行ってくれます。

まず、債権者に受任通知を送付し、債権者からの直接的な督促を止めてもらえます。また、取引履歴を取り寄せて過払い金が生じているかどうかも調査してくれます。その後の債権者との交渉や裁判所への申立てもすべて弁護士が代理人として行います。

そして、債務整理の方法として、任意整理、個人再生、自己破産等の選択肢の中でどれが最も適切なのかもアドバイスしてもらえます。

弁護士に依頼するデメリットとしては弁護士費用(相談料・着手金・報酬金)がかかるということくらいですが、債務整理の場合には、法テラスを利用できますので、弁護士費用が高額で支払えないという事態はまず考えられません。

まとめ

借金減額の方法は、主に以下の3つです。

  • 実質金利の減額(おまとめローンの利用)
  • 過払い金返還請求、
  • 債務整理

おまとめローンは年利を下げられるという点でメリットがあるかもしれませんが、長期返済になることで返済総額が増える可能性もありますので、利用する場合には慎重に検討しましょう。

借金減額の主たる方法としては、過払い金返還請求や債務整理ということになります。これらは過払い金の引き直し計算や債権者との交渉等、ご自身で行うのは困難なものが多いです。債務整理の中でどの手続を取るべきかという選択も難しいでしょう。

借金問題に悩まれている方は、法律の専門家である弁護士に問い合わせをしてみるのがおすすめです。借金問題でお困りの方を対象に無料相談を受け付けている法律事務所も多くあります。

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この記事の執筆者
一歩法律事務所
南 陽輔 (大阪弁護士会)
大阪大学法学部卒業。大阪弁護士会所属。法律事務所に12年勤務した後、2021年3月独立開業。いわゆる「町弁」として、債務整理案件や、離婚等の一般民事事件全般、刑事事件などを主に取り扱っている。

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本記事は債務整理ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※債務整理ナビに掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。