個人再生の履行テストとは?トレーニング期間と始まるタイミング
履行テスト(履行可能性テスト)とは、個人再生手続きを申立てた人が実際に返済できるのかを判断するテストのことです。主に東京地方裁判所で行われ、再生計画案認可の可否に大きな影響を与えます。
この記事では、履行テストがいつ、どのように行われるのかについてご紹介します。
なお、履行テストは必ず実施されるものではなく、そのような運用を行っている裁判所(例えば東京地裁)が必要に応じて実施するものです。
【関連記事】個人再生に失敗したらどうなる?|失敗パターンと成功のための対策
具体的な履行テストの内容と期間
ここでは具体的な履行テストの内容や期間についてご説明します。
履行テストの具体的な内容
履行テストとは、再生計画に沿って指定された口座に一定期間お金を支払う手続きです。作成された再生計画案通りに弁済が可能かを見極める目的があります。そのためこの結果は、再生計画案の認可の可否を判断する1つの参考になります。
東京地裁裁判所で実施されることが多く、日本全国から見ると実施している裁判所は多くありません。
例えば、大阪地方裁判所では履行テストではなく積立金制度を用いることで、申立人の弁済能力を図っています。
東京は人口が多く、それに比例する形で個人再生手続の申立件数も多いことから、原則として全件について裁判所の補助者として個人再生委員を選任しているようです。
そして、場合によっては同委員を通じて履行テストを実施することがあるようです。
履行テストで支払う金額
実際に履行テストで支払うことになる金額は、作成する再生計画案によって異なります。
ご自身の経済状況や抱えている借金の金額によって変わりますので、支払い続けられる金額を弁護士・司法書士などと相談した上で、計画案を練ることが重要です。
履行テストが始まるタイミング
履行テストが始まるタイミングは、個人再生委員が選任後に裁判所が必要と認めるタイミングです(申立て直後に選任されるのが通常です)。
実施期間は個人再生手続次第ですが、概ね6ヶ月程度と思われます。
ただし、履行テストを行っている最中に、申立人に十分な弁済能力があると裁判所が判断した場合には、早期(例えば3ヶ月等)でテスト終了となることもあります。
履行テストの途中で滞納した場合
履行テスト中に滞納した場合、個人再生はどうなってしまうのでしょうか。
個人再生が認められないリスク
履行テストは、個人再生手続の申立人に債務の弁済能力があるかどうか判断するために設けられた仕組みです。
そのため、履行テストの途中で支払を滞納してしまった場合には、個人再生委員は「この申立人は債務の弁済能力がない」「再生計画に無理がある」などの判断をする可能性があります。
そのため、履行テストの途中で滞納した場合は、個人再生開始決定がされなかったり、再生計画が認可されないというリスクがあります。
こうなってしまうと、個人再生のメリット(借金の減額)を享受できなくなってしまいます。そうした事態を防ぐためにも、再生手続を進める上では弁護士などの専門家のアドバイスは必須でしょう。
弁護士に相談の上、自己破産を検討する
履行テストにおいて、支払いの滞納が起こってしまうということは、個人再生に適さない又は予定する再生計画に無理があるということです。
この場合、計画を見直して個人再生を進める方法もありますが、別の方法として自己破産することも検討に値します。
自己破産の場合は免責許可決定を裁判所から受けることで、借金(非免責債権を除く)の返済義務が免除されます。つまり、借金が帳消しとなるのです。
もし、債務者にそもそも返済能力がないという場合は、自己破産を選択するべきかもしれません。まずは、弁護士などの専門家に相談されてみると良いでしょう。
履行テストで支払ったお金は返済される?
履行テストでは一定の金額を半年近くにわたって支払います。
この支払ったお金は、原則として履行テスト終了と共に返還されます。ただし、全額が返済される訳ではないため注意が必要です。
履行テストの実施にあたっては、個人再生委員への報酬が発生し、これは積立金から清算されます。
東京地方裁判所では、個人再生委員への報酬は25万円で、代理人(弁護士)がいる場合15万円です。よって、この報酬金を差し引いた金額が返還されます。
まとめ
履行テストは、個人再生手続によって減額された返済額を毎月支払い続けることができるのかどうかを判断するための仕組みです。
もし支払いが遅れてしまうと、個人再生自体が認められないリスクがあります。失敗しないためにも、履行テストでは絶対に滞納がないように気を付けましょう。
また、履行テストの代わりに「積立金制度」がある事もあります(例えば大阪の裁判所)。
同じように再生計画案に沿ってお金を積み立てる制度ですが、履行テストと異なり、全額返金されます。
申立て先の裁判所がどのような制度をとっているか、あらかじめ確認しておきましょう。
【最短30秒】ユーザーアンケートに回答する |
|
【秘密厳守の法律相談/初回相談無料】【分割払いOK】【借金総額200万円以上の方へ】毎月返済がつらい方、自己破産を迷っている方、ご相談下さい。1万件以上の破産・再生事件を担当した弁護士が味方になります。
事務所詳細を見る【自己破産/法人破産】【相談実績約10,000件】【秘密厳守の法律相談/初回相談無料】【借金総額200万円以上の方】返済義務を無くしたい・自己破産を迷っている方、ご相談下さい。経験豊富な弁護士がお力となります
事務所詳細を見る【借金のご相談は何度でも無料!】【法人破産にも対応】経営が苦しいと感じる経営者の方はご相談を。返済に追われ、生活ができない/督促が来てしまったなど、個人の方からのご相談も歓迎◎【依頼後は最短即日で督促が止まります!】
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡
いつ起きるかわからない法的トラブル。弁護士費用の準備はできていますか?
答えがNoの方、ベンナビ弁護士保険が役立ちます。
弁護士への依頼費用は数十万~数百万円かかりますが、ベンナビ弁護士保険(月2,950円)に加入しておくことで、弁護士費用の補償が受けられます。
- 保険料は1日あたり約96円
- 通算支払限度額1,000万円
- 追加保険料0円で家族も補償
補償対象となる家族が5人の場合、1人あたりの保険料は月590円(2,950円÷5人)。労働問題、ネット誹謗中傷、近隣トラブルなど様々な法的トラブルに対応しています。
補償内容、付帯サービスをまとめた資料の請求はWEBから。
弁護士保険で法律トラブルに備える
個人再生に関する新着コラム
-
個人再生後は、基本的に住宅ローンをはじめとするローン商品は利用できません。しかし、5〜10年程度経過すれば、信用情報機関のブラックリストから削除され...
-
不景気といわれている現代でも、住宅ローンを組まれる家庭は多くいらっしゃいます。住宅ローンは、何十年の長い期間で返済する高額なローンのため、少しでも返...
-
借金の返済が重荷になった時の法的債務整理の一つに個人再生があります。実は個人再生後でもスマホや携帯を今まで通り利用する方法がありますのでそれについて...
-
この記事では、個人再生に失敗するケース、個人再生に失敗したらどうなるのか、成功するための方法、また失敗したときにどういった方法で借金を減額すればよい...
-
小規模個人再生とはどのような債務整理なのか、特徴や条件、再生計画案が認可される要件などを給与所得者等再生と比較しつつご紹介します。
-
返済に困って個人再生をしたいのに、費用が高すぎて申立てができないという悩みを抱える方はたくさんいます。本記事では、弁護士費用に不安を感じる方のために...
-
個人再生を含む債務整理は、家族に内緒で申し立てることができます。しかし、状況によっては大きな財産(車など)を処分する必要もでてきますので、内緒で行う...
-
任意整理後、あなたの代わりに弁護士・司法書士事務所が代わりに返済を行う返済代行という方法があります。返済代行にはメリットもあればデメリットもあること...
-
今回は個人再生をした後に自己破産を行った方に話を聞きました。個人再生をしてから自己破産に至るまでの経緯や、奥さんにばれずに自己破産をした方法など貴重...
-
個人再生を行うと金融事故情報として公的な書類である官報に掲載されます。これを俗に「ブラックリストに載る」と言われていますが、具体的にどのくらいの期間...
個人再生に関する人気コラム
-
個人再生後は、数年間クレジットカードを発行できなくなります。ただ、カードの種類によっては発行できますし、一定の期間後は、再び発行することができます。...
-
この記事では、個人再生に失敗するケース、個人再生に失敗したらどうなるのか、成功するための方法、また失敗したときにどういった方法で借金を減額すればよい...
-
個人再生を行うと金融事故情報として公的な書類である官報に掲載されます。これを俗に「ブラックリストに載る」と言われていますが、具体的にどのくらいの期間...
-
個人再生は裁判所を介して借金の返済計画手続きを申立てることで借金を大幅に減額することができますが、一方で、車を手放すことになるとも言われています。本...
-
これから個人再生を申し立てる方に向けて、必要な提出書類から書類の準備・作成方法についてまとめました。この記事を見ていただくことで、個人再生申立てに必...
-
時効の援用をすることで、時効が成立し借金の返済義務が消滅します。ただ誰でも利用できるわけではありません。この記事では、時効を狙っている人や時効間近の...
-
個人再生で失敗するリスクを減らすために、やってはいけないことや失敗例、個人再生など債務整理の得意な弁護士の選び方を解説します。
-
個人再生では家計簿を提出します。この記事では、家計簿を提出する理由、いつからいつまで書くのか、家計簿の作成方法・注意点、裁判所のチェックポイント、家...
-
個人再生をするためには、2つの条件を満たす必要があります。この記事では、個人再生できる条件や、収入状況別(バイトや年金など)に個人再生を利用できるか...
-
返済に困って個人再生をしたいのに、費用が高すぎて申立てができないという悩みを抱える方はたくさんいます。本記事では、弁護士費用に不安を感じる方のために...
個人再生の関連コラム
-
任意整理から個人再生に切り替えるには、利用条件を満たす必要があります。この記事では、個人再生へ切り替えるためのメリットやデメリット、切り替えるべき人...
-
個人再生で失敗するリスクを減らすために、やってはいけないことや失敗例、個人再生など債務整理の得意な弁護士の選び方を解説します。
-
個人再生を行うと、保証人・連帯保証人が残りの借金を一括(分割)返済しなくてはならなくなります。この記事では、保証人と連帯保証人の違い、個人再生が保証...
-
個人再生では家計簿を提出します。この記事では、家計簿を提出する理由、いつからいつまで書くのか、家計簿の作成方法・注意点、裁判所のチェックポイント、家...
-
個人再生を検討しているけど、その後のローンについて気になる方は多いのではないでしょうか。実際5~10年は新規で組めなくなります。また10年経過しても...
-
住宅ローンが残っていても、個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の利用により、家を手放さず債務整理できます。また、競売手続きが開始された場合で...
-
個人再生では、持ち家などを残せますが状況によっては財産を処分した方がよい場合があります。この記事では、個人再生で財産を没収されるケース、個人再生で財...
-
一度個人再生を行っていても、2回目の個人再生を申し立てることは可能です。しかし、1回目とは違い、いくつか注意すべきポイントがあります。2回目の個人再...
-
個人再生は自己破産と違い、生命保険を解約しなければならないということはありません。ただし、解約返戻金がある生命保険は個人再生の最低弁済額(最低限返済...
-
時効の援用をすることで、時効が成立し借金の返済義務が消滅します。ただ誰でも利用できるわけではありません。この記事では、時効を狙っている人や時効間近の...
-
個人再生では、再生計画案通り返済ができるかどうか履行テスト(履行可能性テスト)を行うケースがあります。これを失敗すると、再生計画案の認可に大きく影響...
-
今回は個人再生をした後に自己破産を行った方に話を聞きました。個人再生をしてから自己破産に至るまでの経緯や、奥さんにばれずに自己破産をした方法など貴重...
弁護士・司法書士があなたの借金返済をサポート
債務整理では、債権者と交渉する任意整理や法的に借金を減額する、個人再生や自己破産などがあります。また、過去の過払い金がある方は、過払い請求を行うことも可能です。
ただ、どれもある程度の法的な知識や交渉力が必要になってきます。債務整理をしたくてもなかなか踏み切れないあなたをベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)の弁護士・司法書士がサポートいたします。
個人再生をもっと知りたいあなたに