時効の援用とは|条件や手続きの流れを解説

弁護士法人アディーレ法律事務所
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時効の援用(じこうのえんよう)とは、時効の制度を利用する意思を、債権者(お金を貸している貸金業者や金融機関)に伝えることです。時効の制度を利用すると、その借金を0円にできます。

 

ただ、誰でも利用できるわけではありません。時効を援用するためには、時効期間が経過するまで待つ必要があり、その間、借金の取り立てなどを受けないことが必要だからです。

 

この記事では、時効の援用の手続きを行う上で重要なポイントとなる、条件や流れなどの基礎知識を紹介します。

 

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時効の援用に関して、弁護士や司法書士に依頼すると、このようなことを一任できます。

 

  1. 時効ができるかの判断
  2. 時効の援用に必要な書類の作成・発送
  3. 必要に応じて、業者との交渉
  4. 債務整理に関する相談・手続き

 

もし、時効を成立させられない場合でも、あなたに最適な借金問題の解決方法を提案してもらうことができます。

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時効の援用に必要な時効期間に関する知識

“時効=返済義務がなくなる”ではありません。時効期間が経過しても、時効の援用をしなければ、返済義務はなくならないのです。まず、時効の援用ができる機関についてご紹介します。

 

各債権の時効期間

時効期間は、借金の内容によって異なります。詳しくは以下の表を参考にしてください。

 

借金の種類

時効期間

個人間の借金

10年

飲食代のツケ

1年

慰謝料

3年

買掛金(商品購入によるツケ)

2年

賃金業者からの借金

5年

信用金庫・信用組合・保証協会からの借入

5年または10年

 

ちなみに、上記の表は 2020年4月1日からの民法改正で一掃され、全て5年で統一するとされています。

 

改正民法、20年4月施行決定 契約ルール抜本見直し

生活に密着したルール変更も多い。賃貸住宅の敷金について、退去時に原則として返すと明文化した。飲食代のツケ払いは取り立て期間が長くなる。飲食代は1年、弁護士報酬は2年など業種ごとに異なる「短期消滅時効」を改め、原則「権利を行使できると知ってから5年」に統一する。

引用元:日本経済新聞

 

消滅時効の起算日

では、時効期間はいつをスタート地点に数えればいいのでしょうか。

             

第百四十条

日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

引用元:民法第140条

 

(消滅時効の進行等)

第百六十六条 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。

2 前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

引用元:民法第166条

 

この2つの内容を踏まえると、“債権者(賃金業者)が権利を行使できる時”つまり、最終返済日の翌日からカウントすることになります。 

 

連帯保証人の債務にも時効期間が設けられているのか

債務の内容によっては連帯保証人が付いていることもありますが、連帯保証人の借金にも時効は適用されるのでしょうか。

 

連帯保証人は、債務者と同等の債務を背負うことになりますが、保障債務にも時効が適用されます。

 

そのため、無事に時効期間を迎えた上で時効の援用を行えれば、連帯保証人の返済義務も消滅します。

 

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時効の援用手続き

時効の援用の手続きは、裁判所を通す必要がなく、書類や口頭でのやり取りが中心になります。ここでは時効援用の手続きに関してご紹介します。

 

手続きをする前に借金の時効が成立しているのか確認する

まず本当に時効の援用ができるのかを確認しなければなりませんが、確認は専門家に依頼することをおすすめします。実際に時効成立に必要な期間が経過していても、本人が知らない間に、賃金業者側が時効中断(「時効が中断されてしまう2つのケースに注意」にて後述)を行っているかもしれないからです。

 

もし、時効中断が行われていた場合、債務整理などの別の解決策も考えなければなりません。債務者によって適切な解決方法は異なりますが、専門家に相談すると自分に適した解決方法を提示してもらえます。

 

専門家に依頼して代理人を立てる

時効の援用ができるのは原則的には債務者本人ですが、弁護士や司法書士が代理で行うこともできます(司法書士は、代理権に制限あり)。ただ、正直なところ時効の援用は「時効が成立しましたよ」という旨を伝えるだけに過ぎませんので、わざわざ費用を払ってまで代理人を立てる必要はないかもしれません。

 

内容証明郵便の利用はおすすめできない

時効の援用は、内容証明郵便を介して行うのが一般的だと言われていますが、内容証明で書いた内容によっては自身に不利な事実を書いてしまう可能性があるので利用する際は注意が必要です。

 

例えば『●年●月●日に借りた80万円については、消滅時効が成立しているので〜〜』といった内容を内容証明郵便に記載した場合、借金を認めた証拠が残ります。

 

その証拠を利用して相手側が借金の返済を要求した場合、立場が悪くなるのでおすすめしません。

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時効が中断されてしまう2つのケースに注意

時効成立の期間が近づいてきても、民法第147条に規定されている“1:請求” “2:差し押さえ、仮し差押さえまたは仮処分” “3:承認”が、債権者によって行われた場合は時効が中断されてしまいます。特に重要となるのが、請求と承認です。

 

1:債務の承認

債務の承認というのは、債権者(貸主)に対して、借金を返済する義務(債務)があることを認める行為を言い、「私はあなたから●●円を借りていますよ。」と伝えることだけではなく、一部弁済も含まれます。

 

つまり、借金の一部を支払うという行為自体が、「借りたお金を返す意思がある」と言っているようなものだからです。このような行為自体が債務の承認となることには注意が必要です。

 

例えば、借金の時効が近づくと『金利だけでも振り込んで下さい』『いつ払えますか?』『予定だけでも教えてください』と巧みに債務の承認を迫ってくる貸金業者もいます。

 

貸金業者からすれば、貸した金を返してもらうために行うことですが、借りた人が知らずに払うと、また時効が延びてしまうことになるので、慎重になりましょう。

 

取引履歴による時効期間の確認方法

貸金業者は通常顧客ごとに、●月●日にいくら貸して、いくらの返済があって、利息はどれくらいだという取引履歴を持っています。最近はATMで現金を出し入れすることで借り入れや返済ができますが、そういった情報が記載してあります。

 

弁護士が時効を援用する場合、通常、これを業者に開示してもらい、時効期間を考えます。分かりやすく考えると、何度か返済をしているうちの最後の返済日を取引履歴から確認して、その日から5年経過しているかを判断します。

 

こちらから時効援用を積極的にすべきなのか?

債務者の認識では時効期間は経過したと思っていても、取引履歴を確認すると、5年経過していなかったということがあります。

 

そのような場合、今まで貸金業者が請求することを忘れていたのに取引履歴を確認したり、または取引履歴を確認せずに時効の援用をすることで、業者の方が取り立てを再開することはあり得るでしょう。

 

本来は、債権を時効にかからせないよう、しっかりと管理するはずですが、貸金業者といえども人間のやる仕事ですので、うっかり忘れているということはあります。そのような眠っている債権を起こしてしまう可能性はあります。

 

時効期間が経過していることは間違いないといえる場合や、その他、よほどのことがなければ、業者が請求してくるまで待って、業者が請求してきたら、「まずは、取引履歴を送ってくれ。話はそれからだ」と言って、取引履歴を送ってもらったらよいと思います。

 

時効期間が経過した後に業者が何を言ってきても、「時効ですよ」と反論すれば、業者の請求は意味を成しません。時効期間が経過すれば、(時効の援用をしない限り)返済義務は残るものの、請求された場合には時効の援用をすれば返済義務はなくなります。

 

ただし、時効期間が経過した後であっても、一部弁済をしたり、債務を承認したりすると、時効の援用ができなくなる場合があるとされた例もあるので、注意が必要です。

 

時効が経過した後に債務の承認をしたら、業者側に、『時効が経過しても支払ってくれるんだ』という信頼が生まれる可能性があるという理由です。

そして同時に、この信頼を害してはならないと裁判所に判断される可能性も生まれてしまいます。

 

2:請求について

請求とは、債権者がその権利を主張することです。請求をするためには、基本的には訴訟を提起する必要がありますので、いくら電話やハガキで『支払ってください』と連絡が来ても、それは時効を中断させる『請求』にはなりません。

 

ただ、時効が成立する6ヶ月前なら、緊急の手段として、催告状による請求でもOKとされています。これは、時効が成立する直前になって時効に気付いた場合、訴訟の準備をしていたら間に合わないため、緊急の手段として民法が用意したものです。

 

そのため、催告をしてから6ヶ月以内に訴訟を起こさないと、時効が成立してしまいます。

 

例外的な時効中断方法

債務の承認をしてから十分な期間もたったし、訴訟も起こされていないし、催告もされていない。だからといって、絶対に時効が成立しているのかというと、実はそういうわけでもありません。先程、業者が時効の管理をミスして時効期間が成立してしまうことがあることは説明しましたが、業者が請求をしたくともできないことがあります。

 

それは、債務者が引越しをしている場合です。借入れをするときには通常、住所や電話番号を業者に知らせますが、それらを変更しても業者に伝えないと、業者が債務者に連絡を取れなくなり、請求ができなくなります。

 

訴訟を起こすときには、訴状と呼ばれる書面を相手の住所に送る必要がありますが、住所が分からないと送達ができないことになります。すると、訴訟自体が起こせないから『請求』ができず、時効の中断ができないのではないかとも思えます。

 

しかし裁判所は、住所を十分に調べても分からないという相手に対しては、相手方を呼び出さないままで訴訟を行い、結果として、業者の言うとおりの判決を出してしまいます。

 

このような訴訟でも『請求』と認められるので、引越しをしたのに業者に新たな住所を知らせていないと、自分の知らない間に時効が中断している可能性があります。

 

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時効の援用を行う際によくある質問と失敗するケース

さまざまなリスクをはらんだ時効の援用。行う際に気になるであろう注意点を紹介します。

 

ありがちな失敗事例

時効の援用が失敗するケースとしてよくあるのが、そもそも時効が成立していない場合です。具体的には

 

  • 時効起算日を勘違いしていた
  • 催告状が届いていた
  • 債務名義が取得されていた など

 

が考えられます。

 

時効の停止期間もある

時効の停止とは、債務者が権利行使をすることが不可能、または著しく困難である場合に、一定の期間だけ、時効の成立を猶予する制度のことです。時効の停止期間が終了した時点から、再び時効期間が進行します。

 

未成年者又は成年被後見人と時効の停止

時効の期間の満了前六箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない。

引用元:民法第158条

 

夫婦間の権利の時効の停止

夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

引用元:民法第159条

 

相続財産に関する時効の停止

相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

引用元:民法第160条

 

天災等による時効の停止

時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため時効を中断することができないときは、その障害が消滅した時から二週間を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

引用元:民法第161条

 

サービサー(債権回収会社)に債権譲渡がされた場合

サービサー(債権回収会社)とは、金融機関等から委託を受けて、債権の回収を行う会社のことを言います(参考:サービサーとは)。

 

消費者金融やカード会社などは、自社で取り立てをするには費用や時間がかかりますが、採算割れをすると判断した場合に、第三者である債権回収会社(サービサー)に回収業務を委託する場合があります。

 

サービサーは債権回収のプロですので、あらゆる手段を講じて時効の中断を図ってくるでしょう。

 

時効の援用をしても催促が止まらない場合

時効の援用をしたのにも関わらず、債権者が支払いの催告をしてくることもあります。その際、貸金業者などから“減額和解提案書”が送られてくる事が考えられますが、これは少額でもいいから借金を返済してもらうための手段です。

 

もちろん、時効の援用が成立しているのであれば、和解に応じる必要は1ミリもありません。

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時効の援用以外で借金を減らす方法

時効を待つのではなく、『債務整理』を行い今すぐに借金問題を解決することをおすすめします。

 

債務整理には『任意整理』『個人再生』『自己破産』の3つの方法があり、それぞれ以下のような違いがあります。

まとめ|借金に悩んでいる場合は専門家に相談しよう

時効の援用を行う場合や、借金返済などに苦しい状況にあるなら、借金問題を得意とする弁護士や司法書士に相談してみましょう。債務整理を行う場合にも役立ちますので、貸金業者との交渉を代行してもらいたい場合は必ず相談することをおすすめします。

 

司法書士と弁護士のどちらがよいのか迷ったときは、交渉に制限がない弁護士に相談するとよいでしょう。詳しい内容は「債務整理が得意な弁護士の選び方と知っておきたい弁護士費用」で解説していきますので、参考にしていただければ幸いです。

 

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このような悩みをお抱えの人は、弁護士や司法書士など債務整理の専門家へ相談することで簡単に解決できるかもしれません。

時効の援用に関して、弁護士や司法書士に依頼すると、このようなことを一任できます。

 

  1. 時効ができるかの判断
  2. 時効の援用に必要な書類の作成・発送
  3. 必要に応じて、業者との交渉
  4. 債務整理に関する相談・手続き

 

もし、時効を成立させられない場合でも、あなたに最適な借金問題の解決方法を提案してもらうことができます。

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この記事の監修者
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編集部

本記事は債務整理ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※債務整理ナビに掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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