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個人再生の費用はいくらかかる?相場や手続き、払えない場合の対処法

かがりび綜合法律事務所
代表弁護士 野条 健人
監修記事
個人再生の費用はいくらかかる?相場や手続き、払えない場合の対処法

経済的にひっ迫しているからこそ個人再生を申し立てたいのに、弁護士費用が高くて払えないというジレンマを抱えている方は多いのではないでしょうか。しかし、弁護士費用が払えないからといって、自力で個人再生を申し立てることは難しいでしょう。個人再生の申し立ては、とても複雑で厳格な手続きだからです。

個人再生を申し立てたいけれど弁護士費用を払う余裕がなくためらっている方のために、費用を安く抑える方法と、払えない場合の対処法について解説します。

【関連記事】個人再生に失敗したらどうなる?|失敗パターンと成功のための対策

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この記事に記載の情報は2023年11月07日時点のものです

個人再生にかかる費用はどれくらい?2つの費用相場と内訳

個人再生にかかる費用は、主に「弁護士に支払う費用」と「裁判所に支払う費用」の2種類です個人再生を申し立てる際には、裁判所に手数料などを納めなければなりません。申立費用は、弁護士に支払う報酬とは別に発生します。金額は裁判所ごとに異なる場合がありますが、費用の相場は以下のとおりです。

個人再生にかかる裁判費用の相場と内訳

内訳

内容

費用相場

申立手数料(収入印紙代)

裁判所に個人再生を申し立てる際に申立書に貼る収入印紙。

1万円程度

予納郵券代

裁判所から債権者へ個人再生手続開始決定の通知などを送るための郵便切手。申し立て時に提出する。

2,000円程度

管轄裁判所や債権者数により異なる

官報公告費

国の発行する新聞のようなものに、個人再生開始決定時や再生計画案認可決定時などに掲載する費用

13,744円

(令和元年9月改定)

個人再生委員の報酬

個人再生委員を選任する場合に裁判所に納める費用

 

15万円~20万円

(個人再生委員が選任される場合のみ)

申立手数料


申立手数料とは、裁判所に収入印紙で納める手数料で、1万円程度必要です。個人再生を裁判所に申し立てる際には、申立書に収入印紙を貼り付けて裁判所に提出します。

予納郵券代


予納郵券代とは、裁判所から債権者宛てに個人再生手続開始決定や再生計画案の認可決定などを送るための郵送代のことです。郵券とは郵便切手を指し、裁判所ごとに納める金額や切手の組み合わせが細かく決められています。ただし、近年では切手管理の煩雑さのため、インターネットバンキングやペイジーなどのシステムを利用して裁判所へ電子納付することが推奨されています。

官報公告費

官報とは国の発行する新聞のようなもので、再生手続きをする際にはその官報掲載費を裁判所を経由して納めます。令和元年の消費税改正によって金額が改定され、現在の費用は13,744円です。

官報公告費は官報を発行する独立行政法人国立印刷局により全国同一で価格設定されており、消費税や物価の状況などにより変更される可能性があります。

なお、官報を習慣的に確認するのは、金融機関など一部の職業関係者に限られます。そのため、官報掲載をきっかけに周囲に個人再生を知られる心配はほとんどありません。

個人再生委員の報酬

個人再生委員とは、裁判所が選任し、中立な立場から申立人の財産チェックや再生計画案に対して意見する機関のことです。通常は弁護士が選任されます。個人再生委員の報酬は裁判所ごとに異なりますが、およその相場は15万円から20万円程度です。

ただし、個人再生委員の選任をするかは、裁判所によって運用が異なります。東京地方裁判所では、原則全ての事件で個人再生委員が選任されます。しかし、東京以外の多くの地方裁判所では、原則申立代理人に弁護士がついていない場合や、債務額が3,000万円を超えるなど大きな事件の場合のみ再生委員を選任する運用となっています。

これは、申し立てに弁護士が関わることで申立人の財産調査ができている以上、再生委員を新たに選任して再調査をする必要がないからです。個人再生委員の報酬が発生する場合、再生手続開始決定・個人再生委員の選任決定から再生計画の認可決定までの原則6ヵ月間、1ヵ月ごとに再生委員指定口座へ納付する「分割予納金」方式がとられます。分割予納金の積み立ては再生計画案の遂行テストでもあるため、滞りなく納付しなければなりません。個人再生委員への分割予納金納付の具体的な流れは以下のとおりです。

【分割予納金方式】※東京地方裁判所

再生計画開始・個人再生委員選任決定

  

再生計画案で予定する月額返済額の積み立て開始(再生委員指定口座へ)

例)月額3万円

  

   原則6ヵ月間(3万円×6ヵ月=18万円)

  

再生計画の認可決定

 個人再生委員の報酬15万円

 18万円ー15万円=3万円・・・申立債務者に返還される

 


ただし、申立代理人に弁護士がついていない場合には、どの裁判所でも個人再生委員は選任されます。また、弁護士ではなく司法書士が書類代理作成して申し立てた場合にも、再生委員が選任されることがあります。

個人再生の弁護士費用相場と内訳

内訳

弁護士の費用相場

相談料

~1万円程度

着手金

20万円~50万円程度

報酬金

~40万円程度

その他実費等

3万~5万円程度

合計金額

30万円~50万円程度

弁護士費用は弁護士事務所により金額や請求方法などが大きく異なることがあります。着手金0円とする代わりに事件終了時の報酬金として請求する事務所や、逆に報酬金を請求せず、着手時もしくは事件終了時に手数料として一括で請求する事務所もあります。

そのため、複数の弁護士事務所の費用を比較する際には、着手金と報酬金の合計額がいくらになるかで判断すべきでしょう。

相談料

法律相談料は、無料から1万円程度とする事務所まであります。相談料を安く抑えたい場合は、各地の弁護士会が主催する多重債務相談や法テラスが実施する相談、または市町村の市民相談など、無料相談窓口で相談することもできます。そこで相談した弁護士に、別途契約書を結んで依頼することもできます。

着手金

着手金とは、依頼主から個人再生の案件を受任したことにより発生する費用であり、個人再生が裁判所から適用されるかどうかに関わらず弁護士に払う費用です。着手金の相場は20万円から50万円程度です。

平成16年までの旧弁護士報酬基準では、個人再生の着手金は20万円以上とされていました。そのため、多くの事務所では現在も着手金を20万円以上としています。ただし、個人再生事件は事務所により請求の時期や方法が異なります。着手時または終了時に「手数料」としてまとめて請求する事務所もあれば、着手・報酬金を別々に請求する事務所もあります。費用で比較するなら、報酬金・実費も含めた合計額で判断しましょう。

報酬金

報酬金とは、個人再生が成功し、裁判所から減額が認められたことによって発生する弁護士費用です。報酬金の費用としては、30~40万円程度が相場です。報酬金を着手金と分けて請求する事務所では、「経済的利益」を基準にその金額に一定の率をかけて報酬金が算出されます。経済的利益とは、再生手続きにより減額を受けた債務額のことです。

一般的に再生事件の場合は、再生計画案で減額された「経済的利益」をもとに、10%程度の割合を掛けた金額を報酬金として請求されることが多いでしょう。

【報酬金の考え方の例】

 債務額500万円÷5100万円・・・再生債務額

 ①500万円ー②100万円=400万円・・・経済的利益

 ③400万円×10%=40万円+消費税・・・報酬額

また、住宅ローン特則を使った場合、追加の報酬が必要になる場合もあります。

その他実費等

個人再生申し立て準備でかかる実費には、以下の費用が含まれます。

  • 債権者に「受任通知」を送る郵送代
  • 申立書などのコピー代
  • 必要書類の取得実費
  • 交通費

3万円から多くても5万円程度を見ておけば十分でしょう。

個人再生費用を安くできる?費用を抑える2つの方法

借金を払えなくて個人再生を申し立てる依頼者にとって、50万円以上の出費はかなりの負担になるでしょう。そこで、個人再生申し立て費用を抑える方法を2つご紹介します。ただし、抑えられるのは弁護士費用のみで、裁判所から要求される手続き費用を抑えることはできません。

1.法テラスの法律扶助制度を利用する

法テラスは、法務省所轄の法人で、法的トラブルを抱えたすべての人に司法サービスを提供することを目的としています。資力や収入が一定額以下の方であれば、法テラスの法律扶助制度を利用し、通常の弁護士報酬よりも安い金額で依頼をすることができます。

ただし、法律扶助制度を使いたい場合は、法テラスと契約している弁護士や司法書士に依頼する必要があります。法律扶助は、契約弁護士を通して法テラスに申請書と収入を証明する書類などを提出して申請し、その後法テラスの設ける審査をクリアすることで受けられます。

 

人数

手取月収額の基準

家賃・住宅ローンを負担している場合の加算限度額

資産合計額の基準

1人

18万2,000円以下

(20万200円以下)

4万1,000円以下

(5万3,000円以下)

180万円以下

2人

25万1,000円以下

(27万6,100円以下)

5万3,000円以下

(6万8,000円以下)

250万円以下

3人

27万2,000円以下

(29万9,200円以下)

6万6,000円以下

(8万5,000円以下)

270万円以下

4人

29万9,000円以下

(32万8,900円以下)

7万1,000円以下

(9万2,000円以下)

300万円以下

引用:法テラス「資力・資産基準」

法律扶助制度を利用して、法テラスと契約している弁護士に依頼する場合の報酬基準は以下のとおりです。個人再生申し立て手続き(弁護士費用)

債権者数

実費分

報酬

10社まで

3万5000円

16万5000円~

11社~20社まで

3万5000円

18万7000円~

21社以上

3万5000円

22万円~

※事件の複雑さや再生委員がつくかどうかによって加算あり

引用:別表3  1.代理援助立替基準

また、法テラスと提携している弁護士に依頼すれば、法律扶助審査の申し込み手続きも申請してもらうことができます。審査が通り、法律扶助決定が出ると、法テラス・弁護士・本人の3者契約を締結します。個人再生を申し立てると法テラスから弁護士に上記基準による報酬が支払われ、再生手続き終結後、法テラスが立て替えた弁護士報酬を本人が法テラスに分割返済していくことになります。

2.司法書士に依頼する

個人再生の申し立ては、司法書士にも依頼することができます。司法書士報酬は弁護士よりも若干低く設定されており、20万円から30万円程度が相場でしょう。ただし、個人再生手続きの中には、弁護士にできて司法書士できない業務があります。申し立てを代行できるのは、「認定司法書士」のみです。司法書士は本来登記申請を主な業務としていますが、特別な研修を受け、国の試験に合格した者のみ「認定司法書士」として、簡易裁判所が管轄する事件のみ依頼者の代理人となることができます。

司法書士と弁護士に依頼した場合の違い 

司法書士に依頼して個人再生を申し立てた場合、以下の点で弁護士と異なる対応になります。

  • 個人再生委員が選任される可能性がある
  • 裁判所や再生委員との面談に同席してもらえない

個人再生の申し立てに弁護士が代理人としてついていない場合、個人再生委員を選任する裁判所は多く、司法書士が申し立てた場合にも再生委員が選任されるケースがあります。再生委員が選任されると、分割予納金15万円〜20万円程度が追加で必要になることがあります。

また、個人再生を申し立てると、裁判所や再生委員との面談のため出廷しなければなりません。弁護士は代理人として同行できますが、司法書士は面談に同行できないので注意しましょう。
認定司法書士が代理人になるのは簡易裁判所が担当する事件のみです。個人再生手続きは地方裁判所の管轄であるため、司法書士は代理人になることはできません。あくまで「書面作成代理」という立場で依頼を受けます。そのため、個人再生や自己破産など、地方裁判所に申し立てる手続きは司法書士より弁護士に依頼した方がよいといえるでしょう。

個人再生の弁護士費用が払えない!そんなときにできる2つの対処法

個人再生の費用のうち、裁判所の費用は減額してもらえませんが、弁護士費用を抑えるためには以下の2つの対処法があります。

1.弁護士事務所の無料相談でアドバイスをもらう

個人再生の申立費用に困ったら、まずは弁護士事務所に相談してみましょう。相談だけなら無料で受け付けてくれる弁護士事務所もたくさんあります。自分は個人再生を申し立てるつもりで相談しても、弁護士に話を聞いてもらっているうちに実は任意整理で対応できることがわかったり、場合によっては過払い金が発生していたりする可能性もあります。

多くの人にとって、個人再生を申し立てることは初めてのことでしょう。しかし、弁護士は何度も申し立ての経験をし、たくさんの知識を持っていますので、あなたに合った方法をアドバイスしてくれるはずです。

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2.分割払い・後払いにしてもらう

近年では、弁護士費用を後払いで分割支払いできる法律事務所も増えています。弁護士費用を工面するのが難しい方は、後払いが可能な弁護士事務所に依頼すると良いでしょう。

50万円程度の費用を一括で支払うことは、債務整理中でなくても厳しいものです。弁護士も、目の前の債務が支払えずに個人再生を申し立てようとする依頼者にとって、50万円以上一括払いするのは難しいとわかっています。弁護士費用を一括で支払うことができない場合、報酬の分割払いや支払い期限を延ばして後払いにできないか、一度相談してみましょう。

最後に|費用に不安を感じたら複数の弁護士事務所に相談を

個人再生手続きを申し立てるには、50万円から60万円程度の費用がかかります。この金額は、借金を返済できずに債務整理をせざるを得ない方にとって、決して少ない金額ではありません。しかし、弁護士費用を節約するために自力で個人再生手続きを申し立てることは難しいでしょう。個人再生は「債権者平等の原則」に反する手続きであるため、法律により提出書類や手続きの進め方が複雑で厳格に定められているからです。

個人再生の費用に不安を感じたら、複数の弁護士事務所を比較し、相談してみましょう。法テラスの法律扶助を受けたり、報酬の分割払いに応じたりすることで、費用負担軽減に積極的に協力してくれる弁護士も多くいます。なお、個人再生手続きは年間申立件数が自己破産の10分の1程度しかないため、申し立て経験が少ない弁護士事務所や司法書士事務所もあります。スムーズに手続きを進めるためには、実績が多く制度に精通した事務所に依頼することも大切なポイントです。

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この記事の監修者
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代表弁護士 野条 健人 (大阪弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。