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小規模個人再生とは?給与所得者等再生との違いを比較

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
小規模個人再生とは?給与所得者等再生との違いを比較
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小規模個人再生とは、2種類ある個人再生のひとつです。

特徴として、減額幅が大きく、利用しやすい点が挙げられます。

※再生計画案とは、今後の返済額や期間などの返済計画をまとめた書類です。

この記事では、小規模個人再生でどれくらい借金を減額できるのか、特徴や利用条件などをわかりやすく解説します。

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小規模個人再生とは

小規模個人再生とは、裁判所に借金の返済計画をまとめた再生計画案を提出し、債権者の同意を得ることで、借金を減額できる債務整理です。

弁護士・司法書士に個人再生を依頼

小規模個人再生には借金の返済義務がありますので、手続き終了後から原則3年で借金を返済することになります。

小規模個人再生は個人再生の基本的な方法で、司法統計によると、令和元年の個人再生総数13,601件のうち、小規模個人再生は12,628件(93%)に上がったそうです。

小規模個人再生は、個人事業主のように安定しない収入の方を対象にした債務整理です。

しかし、給与所得者等再生より減額幅が大きく利用しやすいことなどから、収入の安定している会社員でもほとんどの人が小規模個人再生を行っています

小規模個人再生は最大90%借金を減額できる

小規模個人再生は、借金の総額もしくは財産の価格(清算価格)で最低限返済しなければいけない金額(最低弁済額)が変動します。

両方の金額を算出し、最低弁済額が高い方に決定されます。

借金の総額で変わる最低弁済額

借金額によって、下表のように最低弁済額が変動します。

借金総額

最低弁済額

100万円未満

借金総額

100~500万円未満

100万円

500~1,500万円未満

借金総額の20%

1,500~3,000万円未満

300万円

3,000~5,000万円未満

借金総額の10%

例えば、借金が500万円ある場合、最低弁済額は500万円の20%なので、100万円になります。

清算価格で変わる最低弁済額

裁判所が判断する財産(不動産や車)の総額を清算価格といいます。

これを計算し、借金の総額から計算した最低弁済額と比較して、高い方がその小規模個人再生の最低弁済額となります。

上の図のように、通常なら最低弁済額は100万円ですが、清算価値が上回っているため、最低弁済額が200万円に変わります

小規模個人再生の3つの利用条件とは

小規模個人再生は、主に個人事業主を対象としており、利用条件は以下の3つとなります。

  1. 個人の債務者であること
  2. 反復的かつ継続的な収入が見込めること
  3. 負債の総額が5,000万円以下であること

このように、小規模個人再生は、収入が安定しない人でも継続的な収入があれば利用できるようになっております。

ただし、以下のような人は、この限りではありません。

アルバイト・パートタイムで勤務している人

アルバイトやパートの方でも、3つの条件を満たせていれば利用できる可能性があります。

ただし、短期間で就職先を変えていたり短期バイトなど、就職期間が決まっていたりする場合は、利用するのは難しいでしょう。

年金を受給している人

年金は、死ぬまで受け取ることができ、安定した収入と見なされますので、小規模個人再生を利用できるでしょう。

ただし、「障害年金」「遺族年金」など、必ずしももらえるとは言えない年金を受け取っている場合は、小規模個人再生の利用ができません。

生活保護を受けている人

生活保護を受けている人は、定期的な収入があるとはいえ、継続的な収入とはいえません。

そのため、債務整理をする際は「自己破産」をすすめられるでしょう。

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小規模個人再生で再生計画案が認可される要件

申し立てても再生計画案が認可されなければ、借金は減額できません。

ここでは、再生計画案が認可されるためのポイントについてご紹介します。

再生計画案認可には債権者の認可が必要

再生計画案を認めてもらうには、債権者の同意が必要です。

これは、民事再生法第230条によって定められています。

6 第四項の期間内に再生計画案に同意しない旨を同項の方法により回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつ、その議決権の額が議決権者の議決権の総額の二分の一を超えないときは、再生計画案の可決があったものとみなす。

7 再生計画案に同意しない旨を第四項の方法により回答した議決権者のうち第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定によりその有する議決権の一部のみを行使したものがあるときの前項の規定の適用については、当該議決権者一人につき、議決権者総数に一を、再生計画案に同意しない旨を第四項の方法により回答した議決権者の数に二分の一を、それぞれ加算するものとする。

引用元:民事再生法|e-Gov法令検索

これを要約すると、以下のような反対がある場合は再生計画案が認められません。

  1. 債権者からの半数以上の反対がある
  2. 反対した債権者から借り入れている借金額が、借金総額の半分以上に該当する

反対があった場合、その小規模個人再生は失敗になります。

ただし、このように拒否されることはほとんどありません

理由としては、自己破産になってしまえば、まったく返済されなくなるため、小規模個人再生を認めて、少しでも返済された方がマシを考えられるためです。

再生計画案が認可される5つの要件

再生計画案の認可・不認可については、民事再生法第174条に定められています。

一 再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき。ただし、再生手続が法律の規定に違反する場合において、当該違反の程度が軽微であるときは、この限りでない。

二 再生計画が遂行される見込みがないとき。

三 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき。

四 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき。

引用元:民事再生法|e-Gov法令検索

要約すると、以下のような場合に再生計画案は認可されます。

  1. 小規模個人再生の手続きや再生計画が法律の規定に違反していないとき
  2. 再生計画が遂行される見込みがあるとき
  3. 再生計画の認可・不認可を決める決議の方法に不正がないとき
  4. 再生計画の取り決めが債権者の一般の利益に違反しないとき

これに加え、先ほど説明した債権者の同意が必要です。

弁護士や司法書士とよく相談し作成すれば、よほどのことがない限り不認可になることはないでしょう。

また、再生計画が遂行される見込みの判断資料になる「履行テスト(履行可能テスト)」(※)で滞納や不払いを起こしてしまうと、不認可になる可能性が高まりますのでご注意ください。

履行テスト(履行可能テスト)

再生計画で提示した支払いを再生委員の指定する口座に6回行うものです。

継続して返済計画案で提示した金額を返済できるか判断する重要な資料になります。

裁判所によって行い方が違いますのでご注意ください。

なお、支払った金額は、最終的に再生委員の報酬額を差し引かれた後に、返還されます。

再生計画案が否決された場合

再生計画案が、債権者から過半数の支持を得られなかった場合、認可が下りないことをお伝えしました。

その場合、以下のような3つの解決方法が考えられます。

  1. 給与所得者等再生
  2. 再度の小規模個人再生
  3. 破産手続きを行う

1:給与所得等再生

債権者によっては、より減額の幅を小さくするために、給与所得等再生で話をまとめようとする債権者もいます。

そのため小規模個人再生の手続きが失敗した人は、給与所得等再生をおこなうのが一般的です。

2:再度の小規模個人再生

再度、小規模個人再生を行うのもひとつの方法です。

以下の2点に気を付けて、債権者からより賛同の得やすい計画案を作り直しましょう。

  1. 反対をした債権者に対する返済額の増加
  2. 返済の期日の見直し

ただ、再度拒否されるリスクがある上に、手間と時間、専門家へかかる費用などが負担になります。

3:破産手続きを行う

個人再生ができない場合の最終手段として、「破産する」ことも検討しましょう。

破産には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

  • 免責許可されれば、借金はゼロ
  • 誰でも手続きできる

デメリット

  • 手続き後に一定の規制がある
  • 基本的に家や車は残せない

借金をゼロにする手続きではありますが、借金原因によっては免責が受けられない可能性があります

給与所得者等再生との違い

給与所得者等再生との違いは、以下の通りです。

給与所得者等再生は、利用条件が小規模個人再生のものに加え『安定していること』が必要です。

そのため、収入の変動が大きい個人事業主などは利用できないこともあります。

ただ、債権者の同意が必要ありませんので、もし債権者の多くが反対しても、認可要件を満たしていれば再生計画案が認可されるというメリットがあります。

ほとんどの人は小規模個人再生になるかと思いますが、最適な債務整理方法は人によって異なります。

あなたの最適な方法については弁護士もしくは司法書士にご相談ください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。