借金は任意整理で削減!債務整理との違いや減額事例を解説
任意整理は債務整理の1つで、借金の利息をカットして元金を返済していく方法です。この記事では、
- 任意整理の性質
- 任意整理で減らせる借金
- 任意整理のメリット・デメリット
- 任意整理の条件・所要期間・流れ
- 弁護士や司法書士への依頼費の相場
- 依頼費を工面できないときの対処法
- 任意整理でよくある質問
についてご説明しています。「借金があって任意整理を検討しているけど、任意整理について詳しくない」という方は、これを読めばひとまず要点を押さえることができるでしょう。
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任意整理と債務整理は違うものという誤解
往々にして、任意整理と債務整理は違うものであると誤解されます。しかし、任意整理は、債務整理という借金を整理する方法のうちの1つです。
債務整理には、ほかにも個人再生、自己破産があります。また、債務整理から一歩進んだ処理として過払い金請求などもあります。
なかでも任意整理は、借金の利息を削減して元金のみを返済していく方法です。債務整理のなかでも比較的手続きの負担が軽く、利用のハードルは高くありません。
そのため、多くの債務者(借金を抱えた人)にとって利用しやすい傾向にあります。
過払い金請求とは、貸金業者に払い過ぎた利息を返還請求することですが、任意整理を行う中で過払い金が発生していることが判明すれば、別途過払い金請求をすることもあります。
その場合は、返還金を借金の返済に充当する処理も可能です。
任意整理によって借金はどの程度減る?
下表は、任意整理によって減らせる借金です。任意整理では基本的に、借金の利息をカットすることで借金の総額を減らします。
①未払い利息 |
住宅ローンの毎月の利息額が、返済額を超える場合の超過分の利息 |
②遅延損害金 |
債務の支払いが遅れた場合に債権者に支払わなければならない利息 |
③経過利息 |
債権者と返済期間について交渉している間に発生する利息 |
③将来利息 |
現在もしくは将来にわたって支払う利息 |
任意整理によって借金が減った事例
任意整理で借金を減額した前例として、以下のようなものがあります。
350万円の借金を任意整理で減額したケース
・債務者プロフィール
[年齢]35歳
[性別]男性
[借金を作った理由]夜遊び
[手取り月収]34万円
・任意整理前の借金
[借金の総額]350万円
[月々の返済額]8万8,000円
[完済見込み期間]3年以上
・任意整理後の借金
[借金の総額]90万円
[月々の返済額]4万円
[完済にかかった期間]約2年
280万円の借金を任意整理で減額したケース
・債務者プロフィール
[年齢]28歳
[性別]女性
[借金を作った理由]ショッピング
[手取り月収]25万円
・任意整理前の借金
[借金の総額]280万円
[月々の返済額]4万円
[完済見込み期間]約6年
・任意整理後の借金
[借金の総額]96万円
[月々の返済額]2万3,000円
[完済にかかった期間]3年半
上記2つはあくまでも例であるため、あなたの借金が任意整理によって同様に減額するわけではありません。
任意整理では利息を削減するので、利息の大きさによって借金の総額が変動します。
利息額は、以下の公式で計算することもできます。
[利息の公式]利息額=借金の元金額×金利(利率)×借入期間
注意点ですが、金利の種類によって、借入期間の数字が異なってきます。そのため、計算前に借金の金利を確認してみてください。
例えば、金利が『年利』の場合は、借入期間を『年』単位にして計算する必要があります。
金利の単位には、日歩、月利、年利の3つがあります。それぞれの内容は以下の通りです。
・年利
多くの債権者が採用している利率です。元金に対する1年あたりの利息の割合で、利率を『%』で表します。
上記の公式で利息額を算出する場合は、借入期間を『年』にします。
・月利
元金に対する1ヶ月あたりの利息の割合で、利率を『%』で表します。
上記の公式で利息額を算出する場合は、借入期間を『月』にします。
・日歩
現金100円に対する1日あたりの利息の額です。利率を『●銭●厘』で表します。銭は円の100分の1、厘は円の1,000分の1の値です。
利息が日歩の場合は、借入期間を『日』にして計算します。
ご自身で正確な利息額を算出するのが難しい場合は、弁護士や司法書士に尋ねてみましょう。
なお、その際は、以下の記事でご紹介している事項について答えられるようにしてください。
【関連記事】任意整理の無料相談窓口10選|選び方と見るべきポイント
任意整理のメリット・デメリット
任意整理の代表的なメリット・デメリットは以下です。
メリット
メリット①処理が簡単
任意整理は、債務整理のなかでも利用のハードルが低い処理と言われています。
個人再生や自己破産と異なり、裁判所を介さない非法的な処理であるため、裁判所に書類を提出したり出頭したりする必要がないからです。
メリット②債務を選べる
任意整理では、債務者が交渉相手とする債権者を選ぶことができるため、特定の債権者を交渉の対象から外すことが可能です。
例えば、連帯保証人のいる債務や住宅ローンなどを避けることができます。これにより、連帯保証人に迷惑をかける事態を避けたり、マイホームを手放さずに済んだりします。
これに対し、個人再生と自己破産では、強制的にすべての債権者が債務整理の対象となるため、債権者を選ぶことができません。
これらは法的な手続きであり、法令上、債権者を平等に取り扱う必要があるためです。
元々任意整理は、裁判所を介さない処理であり、債権者との単なる『任意』の交渉に過ぎないため、債務者が自由に債務を選択することができるのです。
デメリット
デメリット①約5年間はクレジットカードの作成と利用・借り入れが不可
任意整理をすると、およそ5年間は信用情報機関に個人情報が登録されることで、ローンを組んだりクレジットカードを作成・利用したりできなくなります。
5年ほど経てば、信用情報機関から個人情報が削除されるので可能になります。
デメリット②債権者と和解できないことがある
任意整理では、債権者が『任意』で債務者との交渉に応じることになっているので、必ず和解できるとは限りません。
債権者が交渉に応じない恐れもあります。その場合は法的拘束力のある、個人再生や自己破産を検討せざるを得ないことになります。
任意整理の条件・期間・流れ
基本的に、任意整理をスムーズに進める上で大切なことは、債務者自信に「削減した借金を返済していく能力があるかどうか」です。
任意整理はあくまで債権者との交渉により債務圧縮を目指す処理であり、その性質上「3~5年かけて借金の元金を返済できる見込みがあること」を要求されることが多いです。
これは、このような返済すら難しいということであれば、債権者が交渉に応じないことが多いためです。
任意整理ができないケースもある
任意整理の条件を定めている法律はありませんが、返済額が極端に少なかったり、利息を免除しても3~5年で借金を完済できなかったりする場合は、任意整理による処理が難しいケースに該当します。
任意整理ができない場合は、和解できない債権者の債務を除いて任意整理を行ったり、個人再生や自己破産の手続に変更したりすることを検討することになります。
任意整理の期間
任意整理にかかる期間は、約1~3ヶ月程度と言われています。
債権者との交渉がスムーズに進めばその分手続きが早く完了し、逆に交渉が難航すると手続きは長期化すると考えられます。
任意整理の流れ
任意整理の流れは以下の記事で詳しく解説しているので、そちらをご覧ください。
【関連記事】弁護士や司法書士に相談した際の解決までの流れ
任意整理の費用相場
任意整理の費用相場は以下の通りです。
弁護士に依頼する場合
基本的に、任意整理の依頼費は債権者数によって変動するので、合計金額の目安はご提示できませんが、費用の内訳や費用体系は以下のようになっていることが多いです。
相談料
0円
着手金
1債権者あたり2~4万円
報酬金
減額した債務の10%
その他
交通費など
司法書士に依頼する場合
一般的に、司法書士への依頼費は、弁護士より安い傾向があります。
司法書士は、着手金を無料にしていたり低額にしていたりすることが多いからです。
よって、司法書士に依頼するのも1つの手ですが、場合によっては依頼できないことがあります。
司法書士に依頼できないケースについては、以下の記事でご説明しています。
【関連記事】任意整理を司法書士に相談する前の注意点
上記の弁護士・司法書士の依頼費はあくまでも目安であるため、実際にかかる費用や費用体系は弁護士により異なります。
ご自身で手続きをする場合
個人で任意整理を行う場合は、債権者に送る書類の郵送代などの雑費がかかります。配達記録郵便代の料金(160円)や基本郵送代(82円)などです。
個人で任意整理を行うと、弁護士や司法書士に依頼するよりも何倍も費用が安く済みます。しかし、リスクが多いため、あまりおすすめできません。
個人で任意整理を行うリスクに関しては、下記「弁護士や司法書士に依頼するべき理由」で言及しています。
弁護士や司法書士に依頼するべき理由
弁護士や司法書士に依頼すると、取り立てが止まったり、煩雑な手続きを一任できたりするという利点があります。
さらに、債権者と和解しやすかったり、過払い金が発生している場合は請求してもらえたりします。
逆に、任意整理を個人で行うのはあまりおすすめできません。取り立てが続く上、債権者と和解できなかったり、処理に何らかの不備が出たりする恐れがあるからです。
さらに、過払い金が発生していても見過ごされやすいと言われています。
任意整理の依頼費を工面できない場合の対処法
任意整理の依頼費を捻出できなくても、法テラス(法的トラブル解決のための国立総合案内所)の立て替え制度を利用したり、依頼費を分割で支払ったりするなどの方法で、依頼が可能になることが考えられます。
任意整理に関する質問
以下は、任意整理を検討している方からよく寄せられる質問です。
周囲に知られずにできるの?
弁護士や司法書士に依頼すれば、債権者からの連絡や郵送物が弁護士/司法書士に届くので、任意整理をしていることを知られるリスクは小さいと考えられます。
また、任意整理を行っても官報※には載りません。
※官報とは、国の公文書など公示事項を周知させるための機関紙のことです。
任意整理後に個人再生や自己破産に切り替えることはできるの?
できます。ただし、途中で切り替えると費用が上乗せされたり、手間がかかったりするため、はじめに無理のない返済計画を立てて適切な債務整理を選ぶことが重要です。
就職に影響はあるの?
ありません。そもそも、官報に載らないため、任意整理をしたことが知られるリスクは小さいですし、企業が任意整理をしたことを調べることもありません。
企業には信用情報機関にアクセスできる権限がないためです。
保険や携帯の契約はできるの?
携帯電話の契約自体はできますが、端末を分割で購入することはできません。分割による端末購入は、借金をするのと同じなので、審査に通らないのです。
保険は、信用による取引ではないため、保険料を定期的に支払っていても特に影響はありませんし、加入の際に信用力が問題となることもありません。
借金の一本化とはどう違うの?
借金の一本化は、複数の債権者から借り入れているのをやめ、1つの債権者から新規で借り入れを行うことで、俗に言う、おまとめローンです。
おまとめローンを利用すれば、新たに借金を1つの債権者から借り入れることで、低金利で借り入れをすることができます。
しかし、低金利で借り入れをし直すことができても、利息が一切なくなるわけではありませんので、注意しましょう。
これに対し、任意整理をはじめとする債務整理は、借金そのものを削減することが目的です。任意整理では借金の利息を削減できますし、個人再生や自己破産では、借金を大幅に削減できたり借金を帳消しにできたりします。
そのため、おまとめローンよりも債務整理を行ったほうが減額できる借金は多いと言えます。
まとめ
任意整理を行えば、現在の借金が大幅に削減でき、月々の返済が楽になる可能性が高いです。借金の利息を計算し、借金がどれくらい減るか確認してみてください。
任意整理を行うのなら、弁護士や司法書士への依頼をおすすめします。依頼費がかかりますが、弁護士/司法書士に依頼するほうが、利点が多く、任意整理に失敗するリスクが小さいためです。
依頼費を工面できなくても、さまざまな工夫によって依頼が可能になる可能性があるので、一度相談してみましょう。
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最後になりますが、あなたの借金が少しでも減って返済が楽になることを祈っています。
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