任意整理の相談機関5つと解決までの流れを解説
借金は、時として返済が不可能とも思えるほど膨らんでしまい、自分一人では解決できない事態に至ることもあります。そのような場合は、弁護士や司法書士といった法律専門家の力を借りて、借金を整理するしかありません。
現在、借金を整理する方法として、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4つの方法があります。
各方法にメリット・デメリットがありますが、任意整理は各業者と直接交渉して今後の返済額を調整するため、他の手続きとは異なり、裁判所を通さないぶん、家計状況などを明らかにする書面をひととおり用意するなどの必要がなく、手続きがご家族へわかってしまうなどのリスクも小さい点などから、比較的利用しやすい方法だといえます。
そこで、以下では任意整理とその相談先について、詳しく解説していきます。
利息がついたままだと、返済しても返済しても減らないどころか、完済までにかなりのお金を支払うことになります。
任意整理は、いま手元にお金がなくても行えます |
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弁護士費用を支払いえないと考えて、任意整理を含めた債務整理に踏み切れない方も多いですが、いま手持ちのお金が少ない、ほとんど無い場合でも依頼することは可能です。分割払いや後払いに対応している事務所も多いので、まずは費用のことも含めて弁護士に『無料相談』をしてみましょう。 |
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弁護士|相談した場合のメリットデメリット
弁護士に相談するメリット
弁護士に任意整理を依頼するメリットは、大きく2つあります。
扱える債務額に制限がない
司法書士は、司法書士法3条各号に定められた業務を扱うことができますが、個別の債務額が140万円を超えるものに関しては、代理人になることができません。
一方、弁護士法では、弁護士の業務範囲を「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする」
と規定しており、弁護士の扱える債務額に制限はありません。(弁護士法3条1項)
つまり、1件当たり140万円を超える借金の整理をしたい場合は、弁護士に依頼することになります。
他の債務整理の方法へ移行できる
もう1つのメリットは、もし任意整理が行き詰まり、破産や個人再生に変更となった場合でも、その代理人のまま他の債務整理の方法へ移行できるという点です。
任意整理を依頼した場合に債権者との和解交渉がうまくいかなかったり、和解成立後に返済に行き詰まったりして、個人再生や破産への変更を余儀なくされる可能性があります。
ですが、司法書士は前述のとおり、その職務範囲に制限があるため、個人再生や自己破産における司法書士の業務は、基本的に裁判所へ提出する書類の作成・提出の代行となります。
任意整理から個人再生や自己破産に変更する際には、裁判所へ提出した書類について裁判官から質問を受ける「審尋」をはじめ、裁判所とのやりとりが発生いたしますので、裁判所内でのさまざまな手続きをご自身で行う必要が生じます。
これらの手続きも代理人に任せたいのであれば、弁護士に依頼する方がご負担にはなりません。
トータルサポートを受けられる
司法書士に依頼する場合も、司法書士がご自身から聞き取りをし、精査したうえで裁判所に書類を提出しますので、平日の昼間に裁判所へ向かい、書面を見た裁判官からの審尋にご自身でお答えいただくお時間が取れる方であれば、そこまでの問題はありません。
ただし、会社の破産をお考えの場合、各債権者が一堂に会する債権者集会に出席し、各債権者と直接やりとりをする可能性があることから、この場合は弁護士へ依頼する方がご負担は少ないといえます。
弁護士はどの債務整理手続も代理人として行動できるので、万が一の時でもトータルサポートを受けられる点が強みといえます。
弁護士に依頼するデメリット
弁護士に依頼することのデメリットは、費用が司法書士に依頼する時よりも高額であることが多いという点です。
このため、依頼する際、借入先1件あたりの金額が140万円を超えない場合であれば、司法書士に依頼する方が安く済むケースが多いといえます。
司法書士|相談した場合のメリットデメリット
司法書士に相談・依頼するメリット
司法書士に任意整理を相談・依頼する最大のメリットは、弁護士に依頼するよりも費用を安く抑えられるという点です。
事務所によっても異なりますが、弁護士は前述のようにその職務権限が広いため、多くの弁護士事務所では一般的に「着手金」と「成功報酬」の両方を請求します。
これに対して、司法書士事務所の場合はこのうちのどちらか一方のみを請求することがほとんどですので、司法書士の方が低価格で任意整理を受任してもらえることが多いといえます。
債務整理の費用をできるかぎり安く抑えようとお考えであれば、まずは司法書士事務所を訪ねるのがよいでしょう。
司法書士に相談・依頼するデメリット
任意整理を司法書士に相談・依頼する場合、注意すべき点が2つあります。
1つは、そもそも司法書士に任意整理を依頼できない場合があるという点です。前述のとおり、司法書士の代理権は司法書士法で制限されており、債権額が1件当たり140万円を超える案件を扱うことはできません。
過払い金があったとしても、債権者に対して140万円を超える請求を行うことはできませんし、裁判外の和解交渉であっても、1件当たり債権額が140万円を超える場合、司法書士が代理人となることはできません。
もう1つの注意点は、たとえ1件あたりの借金額が140万円以下であっても、あらゆる司法書士に債務整理を依頼することができるわけではなく、法務省の試験を通過した「認定司法書士」でなければ代理人にはなれません。
ただ、債務整理を手掛けている旨を表示している司法書士であれば、まず試験を通過していないということはないといえます。
参考:司法書士法3条1項7号
表:弁護士と司法書士の受任できる業務の比較
弁護士 |
司法書士 |
|
1件当たりの債権額が140万円を超える法律相談、交渉、訴訟 |
○ 対応可能 |
× 対応不可 |
1件当たりの債権額が140万円以下の法律相談、交渉、訴訟 |
○ 対応可能 |
△ 認定司法書士のみ可能 |
個人整理手続きや自己破産手続き |
○ 「代理人」として対応可能 |
△ 「代理人」としては対応不可。書類の作成・提出の代行のみ |
利息がついたままだと、返済しても返済しても減らないどころか、完済までにかなりのお金を支払うことになります。
法テラス|弁護士・司法書士のあっ旋をしてくれる
法テラスは正式には「日本司法支援センター」といいます。法テラスでも、借金に関する相談をすることができます。
法テラスでは、弁護士・司法書士に無料相談ができ、同じ内容であれば3回まで相談できます。そのため、一度相談して疑問などがあった場合に、疑問を解消するためにさらに相談することができます。
もっとも、予約なしに相談しに行くと、担当するスタッフ弁護士・司法書士を選ぶことができず、自分のニーズに合った対応をしてもらえない可能性があります。また、ご自身が抱える問題に精通していない弁護士などが対応するなど、ミスマッチも考えられます。
また、弁護士や司法書士に依頼するほか、まず消費生活センターや国民生活センターに相談することもできます。
消費生活センター|手続きなどの手引きを相談できる
ただし、消費生活センターは各地方自治体(都道府県、市町村等)の管轄する相談窓口ですので、平日しか対応していなかったり、ご自身の代わりに債権者と交渉してくれるわけではなく、弁護士や司法書士を紹介することまでしかできませんので、その紹介までに時間がかかったりする、というデメリットもあります。
国民生活センター|トラブル情報の提供
国が設置する独立行政法人で、消費者トラブルの情報を全国から集めているほか、消費者と事業者間のトラブル相談、生活(衣食住)に関する情報提供を行っている組織です。
総合窓口である消費者ホットラインへ局番なしの「188」に電話をかけると、最寄りの消費者センターに電話をつないでもらえ、そこで相談することが可能です。
しかし、こちらも消費生活センター同様、ご自身の代わりに債権者との交渉を行ってもらえるわけではありませんので、その点は注意が必要です。
任意整理は、いま手元にお金がなくても行えます |
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弁護士費用を支払いえないと考えて、任意整理を含めた債務整理に踏み切れない方も多いですが、いま手持ちのお金が少ない、ほとんど無い場合でも依頼することは可能です。分割払いや後払いに対応している事務所も多いので、まずは費用のことも含めて弁護士に『無料相談』をしてみましょう。 |
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【注目】1社からの借金額が140万円以下なら、司法書士への相談がお得! まずは、無料相談をご利用ください。 |
任意整理の相談を弁護士や司法書士をおすすめする理由
任意整理には、自力で債権者と交渉する方法と、弁護士や司法書士といった法律専門家に依頼して代わりに交渉してもらう方法の2つがありますが、おすすめなのはやはり後者です。以下では、任意整理を法律専門家に依頼するメリットをご説明します。
最適な債務整理方法を提示してもらえる
弁護士や司法書士に依頼する前に、どのような借金の返済方法があるのかをインターネットなどで調べる方も多いのではないでしょうか。
しかし、債務整理の方法は様々なものがあり、また抽象的な表現も多いため、結局自分に合った債務整理の方法が分からないという方も少なくないはずです。
弁護士や司法書士といった法律専門家は、債務整理のさまざまな案件を扱っているため、どのような場合にどのような債務整理を行うのが適切かを熟知しています。消滅時効など、法律に詳しくない人が見落としがちな点についても見落とすことはありません。
法律専門家に依頼すれば、ご自身が抱える問題に則した個別具体的な方法による解決を期待することが出来ます。
【関連記事】
任意整理できない原因5つ|うまくいかなかった場合の対処法3つも解説
返済方法の見直しができる
多額の借金を抱える人にありがちなのが、自分の収入状況に合っていない無理な返済計画を立てることです。最初は順調に返済できていても、途中から行き詰まり、最悪の場合、返済が滞って利息がかさむ事態になりかねません。
また、返済のために新たな借り入れを行うと、結果として借金総額が増え、毎月の返済額がよりかさんでしまうため、それだけは避けなくてはなりません。
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すれば、中長期的で確実な返済計画を一緒に考えてくれます。時間はかかったとしても、着実に手元の借金を減らすことができるでしょう。
賃金業者からの取り立てが止まる
後述しますが、弁護士や司法書士が貸金業者に対して受任通知(介入通知)を送付した場合、和解成立までの期間は返済を中断することになり、貸金業者は債務者に対して借金の取り立てを行うことができなくなります。
債権者(金融機関)への交渉が有利に進む
自分一人で任意整理を行う場合、貸金業者などに足下を見られて有効に交渉を行うことができないのは、想像に難くありません。
弁護士・司法書士といった法律の専門家は「法律のプロ」であると同時に、「交渉のプロ」でもあります。債権者と債務者それぞれの利益になるような条件を提示し、両者の合意に至らせる能力に長けています。
また、債務者から依頼を受けているといえども、弁護士・司法書士も第三者であるため、債権者との交渉の際に当事者間では生じやすい感情的な意見のぶつかり合いは起こりにくいといえます。
手続きがスムーズに進む
人生の中で債務整理手続きを何度も繰り返す人は、そう多くありません。
多くの方が、債務整理を行うことは初めてでしょう。初めての手続きを一人で行うとなると、勝手がわからないことからどうしても手際が悪くならざるを得ません。そのため、思ったように進められずに話が決まってしまうこともあります。
また、返済を滞らせている場合などにおいて、債権者に直接連絡をすることはハードルが高く、ためらわれるものではないでしょうか。
法律専門家はさまざまな債務整理の案件を受任しており、債務整理の流れを熟知しています。経験も豊富であるため、手続きを柔軟かつスムーズに進めることが出来ます。
利息がついたままだと、返済しても返済しても減らないどころか、完済までにかなりのお金を支払うことになります。
弁護士や司法書士に相談した際の解決までの流れ
任意整理を弁護士や司法書士に相談した場合、一般的に行われる手続きの流れは以下のようになります。
まずは無料相談
任意整理をお考えの場合、まずは弁護士や司法書士に相談に行きましょう。
現在は多くの事務所が無料相談を実施しています。相談することで、一人で抱え込んでいたときよりも気持ちが楽になるでしょう。
電話相談窓口を設けている事務所も多いので、まずはこちらを利用することで不安な点を解消し、その後、直接顔を合わせての面談手続きへ進まれるのもよいのではないでしょうか。
面談による詳細の確認
委任契約に必要な書類などを準備し、面談を行います。
- 保険証や免許証などの身分証明書
- 印鑑
- クレジットカードや消費者金融カード
- 債権者一覧表
- 預金通帳や給料明細・源泉徴収票などの収入証明書
といった書類を用意するとよいでしょう。
③クレジットカードや消費者金融カード
ご自身が所持しているすべてのカード会社のものを用意しましょう。任意整理を行えばこれらのカードは使用できなくなるので、ハサミを入れて受任通知とともに各社へ返還することになります。
④債権者一覧表
サラ金やキャッシングだけでなく、銀行からの借り入れやショッピングのローン、滞納している家賃や電話料金、友人・銀行から借りているお金など、すべての債務を記載しましょう。
この際、借入先の一部を伏せてしまうと、後々弊害が生じることが多いため、必ずすべて申告してください。不明点があれば、面談時に弁護士や司法書士に指示を仰ぐとよいでしょう。
このほか、不動産を所有している場合は「登記簿謄本」、生命保険に加入している場合は「生命保険証券」、勤務先に退職金制度がある場合には「退職金見込額証明書」など、ケースによって必要となる書類が増えることがありますが、弁護士・司法書士の指示に従っていただければ差し支えありません。
受任契約の締結
弁護士・司法書士との面談で、現在の債務状況(借入れ状況)や、収入や支出などの家計状況を確認してもらうことで、最も適切な債務整理方法を選択できます。
なお、冒頭で述べたように、債務整理方法には任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類がありますが、手続きにかかる期間やご家族との関係など、ご自身の労力を考えると、あまりにも借金が多くないかぎり、任意整理を利用した方がよいケースが多いといえます。
いずれにせよ、相談時の対応や費用などを踏まえた上で、「この人になら債務整理手続きを任せられる」と思える法律専門家と、委任契約を締結しましょう。
貸金業者への受任通知
必要書類の準備後、弁護士・司法書士は各債権者に対して受任通知を送付します。この通知の送付によって、債権者からの取立てを停止させます(貸金業法21条1項9号)。
受任通知の送付と同時に「取引履歴の開示」を債権者に請求します。これは各債権者の残額を調査すると同時に、後述する「引き直し計算」を行うため、当該貸金業者と債務者との間でどのような取引が行われたかを確認する手続きです。
弁護士・司法書士が開示請求を行うと、貸金業者は特段の事情がないかぎり、取引履歴を開示する義務があります。
借金返済の交渉
借金返済を交渉するにあたり、まずは開示された取引履歴をもとに「引き直し計算」を行うことになります。
引き直し計算とは、利息制限法に基づき利息の計算をし直すことをいい、これにより過払い金があるか否かを確認します。引き直し計算によって、過払金の発生とまではいかなくとも、大幅に借金が減る場合もあります。
引き直し計算によって正確な借金の残額を算出した後は、任意整理案を作成します。任意整理案は中長期的な返済計画書のことで、債務者の経済状況や周囲からの経済援助の有無などを総合的に判断して作成することになります。
作成した任意整理案をもとに、各債権者と個別に和解交渉を行います。
弁護士や司法書士は、債務者が一方的に有利な内容にならないよう、和解案に反して返済が滞った場合には債務者は借金を一括で支払う旨の約束(期限の利益喪失約款)などをすることで、債権者にとっても納得しやすいような返済計画案を提示します。
解決
債権者との話し合いがまとまれば、和解契約を締結します。債務者は成立した和解案をもとに借金を返済していくことになります。話し合いがまとまらなかった場合は、裁判や特定調停を利用するなどして解決を図ることになります。
まとめ
生活を営む上で、貸金業者などからお金を借りることもあるでしょう。
借金の額が多くなり、返済が困難になったときは、まずは借りた相手に謝罪をした上で、返済期日を変更してもらったり、1回の返済額を減らしてもらったりして、借金返済のための努力をしましょう。
それでも対応が難しいときは、任意整理など、必要な債務整理の手を打つことで、ご自身の生活が守られます。
借金について、なかなか周りの人には相談しにくいものです。弁護士事務所や司法書士事務所の中には無料相談を行っている所も多いので、一人で抱え込まず、まずは無料相談を利用するのがよいでしょう。
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