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自己破産が連帯保証人に与える影響とは?配偶者が保証人の場合の対応

齋藤健博 弁護士
監修記事
自己破産が連帯保証人に与える影響とは?配偶者が保証人の場合の対応
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連帯保証人や保証人がついている場合、自己破産するのはためらってしまうものです。「重要な契約の保証人になってくれた人に迷惑をかけたくない」という感情は当然でしょう。

まず結論としては、あなたが自己破産をした場合、連帯保証人へ一括請求されるなどさまざまな影響があります。しかし、保証人への影響を考えるあまり借金が悪化してしまえば、元も子もありません。

この記事では、自己破産における連帯保証人への影響や、配偶者や家族が連帯保証人になっている場合の対処法、自己破産後も保証人になれるかどうかについて解説します。

【関連記事】保証人と連帯保証人の違いをわかりやすく解説!

家族への影響に不安がある方へ

自己破産をすることで、子供や配偶者にどのような影響があるのかも併せて把握しておきましょう。

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自己破産による連帯保証人への影響

自己破産は、あくまでも申立人自身の支払い義務がなくなるだけで、連帯保証人の支払い義務は消えません。

そのため、お金を貸した銀行等の金融機関は、支払えなくなった申立人の代わりに連帯保証人へと債務を請求することになります。どのような影響が生じるかについては、以下の通りです。

連帯保証人に一括請求がいく

自己破産を行うと、連帯保証人に対して債務の一括請求が行われることになります。通知が行くタイミングは、主債務者が自己破産の申立てを行い、開始が決定された後になります。

そして返済が滞ったり、主たる債務者が自己破産を行ったりすると「期限の利益」と呼ばれる権利を失うことになります。この期限の利益とは、借金を分割で支払って返済することができる権利だと捉えてもらって構いません。

ちなみに、破産の前兆となるような仮差押えや破産開始決定前の破産申し立ての時点では、期限の利益を喪失する合意ができている金銭の支払い債務なども存在しています。そして自己破産の開始決定がなされ、免責といって債務を免れることが決定すると、基本的にすべての権利が喪失されるため、金融機関は連帯保証人に対し一括で残りを支払うよう請求することが可能になります。なお、破産によっても消滅しない権利は一部存在しています。

ただ、金融機関との交渉によっては、分割払いに応じてくれる余地もあることを覚えておいてください。

連帯保証人は通常の保証人とは異なり、「まず主債務者へ請求してくれ」と主張できる催告の抗弁権や、「主債務者の財産があるからそちらを調査した後に請求してくれ」と主張できる検索の抗弁権が存在しないため、注意が必要になります。

【関連記事】保証債務とは|保証人が背負うリスクと有する権利

連帯保証人の『求償権』がなくなる

民法には「求償権」と呼ばれる権利が存在します。求償権とは、主債務者の代わりに立て替えた金額分を、支払った分だけ返済してもらうよう返還請求できる権利のことです。

しかし、自己破産の申立を行い裁判所によって免責が認められると、この求償権も一緒に免除されてしまうため、連帯保証人は求償権を行使することができません。

自己破産が認められても求償権が存在してしまうと、主たる債務者はいつまでたっても借金を完済してくれた連帯保証人に対して返済し続けることになってしまいます。

連帯保証人側にとっては酷な処分であるかもしれませんが、主たる債務者が新たなスタートを切るためにも、求償権は免除されることになります。

連帯保証人を隠して自己破産することは違法

このように、自己破産では連帯保証人にも非常に大きな影響が出てしまいますが、なかには「連帯保証人に迷惑をかけたくない」と、連帯保証人の存在を隠して自己破産手続きを密かに考える人が出てくるかもしれません。

まず結論としては、連帯保証人を隠して自己破産することは違法行為で、自己破産が認められないだけではなく、最悪のケースでは詐欺破産罪(10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はそれらの併科)という罪に問われることも起こりえます。

連帯保証人に迷惑をかけたくないからといって、自己破産手続きでやってはいけないことをしてしまわないように気を付けましょう。

【関連記事】自己破産が失敗する11のケースと失敗を回避する方法のまとめ

配偶者が連帯保証人の場合

連帯保証人が配偶者である妻(夫)になっているケースも多くあります。ただし本人が支払不能な状況に陥っているにもかかわらず、配偶者が全額支払うということはなかなかできることではありません。

そのため、配偶者が連帯保証人である際に行う対応として、以下のようなものがあります。

保証人も含めての自己破産を視野に入れる

自己破産で主たる債務者が支払えなくなり、その保証人も返済資力がなく、やむを得ず自己破産を選択するというケースは少なくありません。特に配偶者が連帯保証人である場合、このような連鎖的な自己破産に陥ってしまうこともあります。

夫(妻)が自己破産を選択した場合には、連帯保証人も含めた自己破産を視野に入れておいたほうがよいでしょう。

なお婚姻時に連帯保証人になっている場合、その後離婚したとしても支払い義務は残っているという点には注意が必要です。

夫婦や家族で自己破産する際は双方の支払い義務がなくなる

主たる債務者と連帯保証人が自己破産を選択した場合、双方の支払い義務がなくなることになります。同時に自己破産をすると決めたら、まずは当事者が一緒に弁護士事務所に相談をすることになります。

それぞれが作成しなければならない書類もありますが、双方が同時に申し立てた場合には、基本的には同時に手続きが進行する形になります。

まずは弁護士に相談し、その後の流れについて適切なアドバイスを求めることが大切です。

夫婦で自己破産を検討中の方へ

夫婦での自己破産する場合、通常と異なる点がありますので、まずは専門家への無料相談をおすすめします。また、夫婦で依頼した場合、それぞれが安くなる事務所もあるので、よく確認しましょう。

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自己破産のデメリットと他の債務整理による連帯保証人への影響

ここまで自己破産と連帯保証人の関係について解説してきました。大まかには、連帯保証人がいる自己破産手続きでは、連帯保証人への影響を全く生じさせずに行うことは困難ということが言えます。

借金や収入の額によっては、自己破産以外の方法では難しい方もいるかもしれませんが、もし他の方法で借金を減らせるのであれば、そちらも検討してみるべきでしょう。

ここでは、自己破産以外の債務整理の方法と連帯保証人への影響、メリット・デメリットについて紹介します。

任意整理|保証人が付いていない債務だけを選ぶこともできる

 

メリット

デメリット

自己破産

  • 返済義務がなくなる
  • 保証人に請求される
  • 官報・信用情報機関に載る
  • 高額な財産を失う

任意整理

  • 保証人が付いていない債務のみ選ぶことも可能
  • 手続きが簡単
  • 返済義務は残り、減額も利息分程度
  • 信用情報機関に載る

任意整理は、債権者との交渉によって債務を減らしていく方法です。この交渉は債権者ごとに行っていきますので、複数から借り入れを行っている場合、連帯保証人が付いている借金以外を対象にすることで連帯保証人に影響なく借金の減額が可能です。

ただし減らせる借金は、主に利息分や返済期限の延長による月々の返済負担を軽減する程度です。自己破産を考えるような莫大な借金があったり返済能力がないような方には、焼け石に水のような方法かもしれません。

【関連記事】任意整理とは?

個人再生|保証人への請求はされるが一部の財産は残せる

 

メリット

デメリット

自己破産

  • 返済義務がなくなる
  • 保証人に請求される
  • 官報・信用情報機関に載る
  • 高額な財産を失う

個人再生

  • 財産を残せる
  • 原則1/5まで借金を減らせる
  • 保証人に請求される
  • 返済義務は残る
  • 手続きが複雑
  • 官報・信用情報機関に載る

自己破産と同じく裁判所を介した手続きとして、個人再生があります。連帯保証人への影響に関しては個人再生も同様に発生するため、結局は保証人に迷惑をかけてしまうことになるでしょう。

自己破産のように借金そのものの返済義務がなくなるわけではないものの、自宅などの高額な財産を残しつつ大幅な借金減額ができる点は魅力です。残したい自宅があるようであれば、個人再生を検討すべきでしょう。

【関連記事】個人再生とは|手続きの流れ・費用・メリットを解説

自己破産をした人でも今後連帯保証人になれる|条件と連帯保証人になりにくいケース

「経済的に苦しく、自己破産を選択したい」と思っていても、「自己破産をしたら子どもの奨学金や教育ローンの保証人、賃貸借契約の連帯保証人になれないのでは…」と考えている方も多いかもしれません。

一般的には、自己破産を行った破産者がすぐ保証人になることは難しいと言われていますが、これは永久的なものではありません

以下では、自己破産をした後でも保証人になれるケースについて解説します。

自己破産をした人が連帯保証人になる条件

自己破産した人が連帯保証人になるための最低限の条件として、ブラックリストに登録されていないということが挙げられます。

自己破産の場合、およそ10年程度でブラックリストから情報がなくなると言われています。ただしブラックリストに載っているからといって、常に保証人になれないわけではありません。

たとえ過去に自己破産を行ったとしても、現在は平穏な生活が送れており資力が十分にあれば、保証人を要求する業者側が認めてくれるケースもあります。

【関連記事】ブラックリストとは|載る理由・クレカ等の制限・消し方を解説

条件を満たしても連帯保証人になりにくいケース

保証人契約の契約先が、過去に自己破産して免責をしてもらった金融機関やその関連機関の場合には、たとえ10年を過ぎていても連帯保証人になることができない可能性があります。

金融機関はブラックリストとは別に独自のデータベースを有しており、過去に自己破産した人の情報が保存されているケースがあります。

金融機関としては「過去にお金を踏み倒した人物が保証人になっても、再び踏み倒されるのではないか」といった懸念が生じてしまうのです。

どうしても保証人になる必要がある場合は、過去に借りた金融機関は避け、別の金融機関と契約を結ぶほうがよいでしょう。

まとめ

債権者を平等に扱わなければならない自己破産では、連帯保証人への影響を逃れることはできません。そのため自己破産を検討している方は、申立て前に必ず保証人の方と相談するようにしましょう。

もし「どうしても連帯保証人に迷惑をかけられない!」という場合には、任意整理ができないか弁護士に相談しましょう。任意整理では債務整理する対象を選べるため、保証人がついている借金を対象から外すことができます。

ただし状況によっては自己破産せざるを得ないこともあります。弁護士とよく相談して決めることが、債務整理成功への近道です。

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この記事の監修者
銀座さいとう法律事務所
齋藤健博 弁護士 (東京弁護士会)
多重債務、闇金、カード破産など、あらゆる借金問題を得意とし、多数の実績あり。個人再生・任意整理・自己破産など、ケースに応じた債務整理法を提案し、相談者と二人三脚で丁寧迅速な解決を目指している。
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。