期限の利益とは? 喪失する理由と対処法を解説
![監修記事](/assets/supervisor/pc_supervisor_tag-ade1039aa16bd66422c7ca661c3f04bb55c33d1608d79a489c5ae672cbef7e76.png)
![期限の利益とは? 喪失する理由と対処法を解説](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/saimu-prod2/system/thumbnails/62/original/%E3%81%82%E3%81%82%E3%81%82%E5%8B%95%E4%BF%9D%E5%AD%98%E6%B8%88%E3%81%BF_.jpg?1542875575)
期限の利益とは、取り決めた期限が来る前に、業者から返済を請求されない権利です。
期限の利益がないと、住宅購入のために3,000万円を借りた翌月、急に3,000万円を一括請求されるような事態も発生するかもしれません。
ただ、滞納などの契約違反が続くと「期限の利益の喪失」といって、期限の利益を失うことがあります。その場合は、期限の利益喪失通知書が届きます。
この記事では期限の利益が喪失する理由、喪失した後のリスクや対処法について解説します。
期限の利益喪失通知書が届き 不安な方へ |
期限の利益喪失通知書が届いても、すぐに差押えや一括請求されるわけではありません。 期間内でどうにかなることもありますが、支払うお金が手元にない場合、借金問題の解決が得意な専門家に相談することをおすすめします。 専門家へ相談することで、支払い期間を伸ばしてもらうなど、業者と直接交渉してもらうことができます。 借金原因は問いません。ひとりで悩まず、まずは専門家に無料相談してみましょう。 |
期限の利益があることで分割払いができる代わりに利息がつく
期限の利益があることで、分割払いすることができます。例えば、債権者の状況が変わり、
![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/saimu-prod2/ckeditor_assets/pictures/259/content_saiken_7.png?1542871767)
状況が変わった、来月までに貸していた300万円全部返してくれ
と請求されても
![](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/saimu-prod2/ckeditor_assets/pictures/258/content_saimu_9.png?1542871752)
ちょっと待って下さい!
返済期間を2年って決めましたよね? 来月分しか返せません
というように、断る権利があります。
期限の利益によって返済期間が長くなると、債務者(借金を返済する義務のある方)の音信不通、死亡、失業、景気の悪化など様々なリスクが伴います。
利息は、年に何%ともらうことで、そのリスクを埋め合わせていくのです。
期限の利益を喪失するケース
期限の利益は、状況によって失うこともあります。
期限の利益の喪失は、民法第137条に明記
まず、期限の利益の喪失に関しては、民法第137条に明記してあり、以下のとおりです。
(期限の利益の喪失)
第百三十七条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
引用:民法第137条
このことによると、債務者が自己破産手続きを開始したり、担保が無断で売られたり、差し出されないような場合、期限の利益を喪失してしまいます。
当事者間で期限の利益の喪失について条項を決める
しかし、上記の内容だけでは債権者が不利になることもあります。そこで、契約時に債務者と債権者の当事者同士で追加の条項を決めることがあります。
例えば「1度でも分割支払が滞ったら、残りの金額を一括請求する」といった内容です。
こちらに関しては当事者間で決めるので(厳密には債権者が契約書に条件を提示し、債権者がサインする)、内容にはバラつきがあります。
3回の滞納で期限の利益の喪失になるか、1回の滞納で期限の利益の喪失になるかは一概に言えず、各契約書を確認する必要があります。
債務者が自己破産手続きを始めたとき
民法第137条にもあるように、債務者が破産手続き開始を決定した場合、それを債権者が知ると期限の利益を喪失させ一括請求することもできます。
債務者が契約違反した時
契約時に当事者同士で取り決めをするとお伝えしましたが、その契約に違反した場合、期限の利益を喪失する可能性もあります。
例えば、担保を勝手に売却したり、契約書に記入した内容に嘘があったような場合です。
住宅ローンの場合、一般的に6回の滞納で期限の利益の喪失になる
大きな金額の借入となると、住宅ローンが考えられますが、住宅ローンの場合、一般的に6回の滞納が続くと期限の利益の喪失になることが多いです。
1~5回の滞納で督促書や催告書などが送られ、それでも返済がされない場合、いよいよ期限の利益喪失通知書が届き、期限の利益を喪失してしまいます。
期限の利益の喪失した後のリスク
実際に家に「期限の利益喪失通知書」が届いたときに期限の利益という言葉を初めて知った方も多いでしょう。
これは、『期限の利益』という権利が失われたという通達ですが、それには大きな2つのリスクがあります。
期限の利益を喪失すると一括請求されることもある
上記のように期限の利益とは、ローン契約などを安心して行える権利ですが、もしも期限の利益を喪失すると、その権利を失うことになります。つまり、それまでの滞納分と今後支払っていく予定だった未払い金を一括請求されてくる可能性も出てきます。
住宅ローンの場合、住宅を手放す可能性も出てくる
期限の利益喪失の対象が住宅ローンだった場合、数千万円規模の高額な未払い金を容赦なく請求される可能性もあります。そのような高額な金銭を直ちに用意できる人は少ないでしょう。
もしも、そうなってしまったのであれば、自宅を売却することで未払い金の埋め合わせをするしかありません。競売や任意売却です。
住宅を手放すとなると、精神的負担も大きいでしょう。そうなってしまう前に対処が必要です。そのような方は下記まで読み進めていってください。
期限の利益喪失通知書が届いた場合の2つの対処法
期限の利益喪失通知書が届いても、即刻この権利を失うわけではありません。ここでは、2つの対処法を解説します。
期限内に指定の金額を支払う
期限の利益喪失通知書は「指定した期限までに滞納分を支払わなければ、期限の利益の喪失になりますよ」という、通達です。
ですので、指定の日にちまでに記載されてある金額を支払えば、期限の利益の喪失を回避することが出来ます。絶対に無視してはいけません。
債権者に相談
どうしても指定された期限内に請求額が支払えないようでしたら、債権者に正直にその旨を伝えましょう
ただ、業者が全く応じてくれないことも考えられます。できれば、借金問題解決の専門家に相談し、専門家から交渉してもらうようにしましょう。
期限の利益を喪失後にできること
期限の利益を喪失すると、以下の方法を取るしかありません。
競売・任意売却
住宅ローンなどの高額な財産に対して期限の利益を喪失してしまうと、高額な債務を一括請求されてしまう可能性が考えられます。
そうなると、競売か任意売却で住宅を売却して資金を作ることで返済に充てることになります。
競売だと予想以上に低い金額で売却されてしまい、資金が足りないということも考えられますので、任意売却を検討してください。
債務整理をする
債務整理とは、借金(債務)の減額や返済猶予、過払い利息の返還などの手続きの総称です。具体的には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの方法があります。
任意整理とは、債権者との交渉により毎月の返済額や返済方法を調整し、無理のなく完済する手続きです。基本的に元本が減額されませんが、手続き開始後は利息がカットされるため、これ以上借金が増えることがありません。
個人再生とは、裁判所に認められることで借金を最大90%まで減額し、残った借金を3~5年で返済する裁判所を介した手続きです。減額を認めてもらうには、完済までの返済金額や方法をまとめた再生計画案を認可してもらう必要があります。
自己破産とは、破産申立書を裁判所に提出し、免責許可をもらうことで借金を免除(ゼロ)するための手続きです。裁判所が申し立てた人の収入や借金の額、借金理由を考慮し、本人と面談した上で借金をゼロにするか判断します。
まとめ
期限の利益によって、債務者は安心してローンを組むことが出来ます。しかし、返済が滞ると期限の利益の喪失になり、一括請求、持ち家の売却などの最悪のシナリオになってしまうケースが有ります。
借金に困ったら、まずは弁護士や司法書士などの債務整理の専門家に相談することをおすすめします。専門家が適した解決方法を提示してくれるでしょう
相談無料の事務所も多くありますので、手持ちがない方も安心してご相談いただけます。
【最短30秒】ユーザーアンケートに回答する |
|
![Office info 202206101545 19741 w220](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/navi-admin-prod/system/images/1974/office_info_202206101545_19741_w220.jpg?)
【全国65拠点以上】【法律相談実績90万人以上】【周りに知られずに相談OK】はじめの一歩は弁護士への無料相談!あなたの街のアディーレに、何でもお気軽にご相談ください
事務所詳細を見る![Office info 202206101545 19741 w220](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/navi-admin-prod/system/images/1974/office_info_202206101545_19741_w220.jpg?)
【全国65拠点以上】【法律相談実績90万人以上】【周りに知られずに相談OK】はじめの一歩は弁護士への無料相談!あなたの街のアディーレに、何でもお気軽にご相談ください
事務所詳細を見る![Office info 202206101545 19741 w220](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/navi-admin-prod/system/images/1974/office_info_202206101545_19741_w220.jpg?)
【全国65拠点以上】【法律相談実績90万人以上】【周りに知られずに相談OK】はじめの一歩は弁護士への無料相談!あなたの街のアディーレに、何でもお気軽にご相談ください
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡
いつ起きるかわからない法的トラブル。弁護士費用の準備はできていますか?
答えがNoの方、ベンナビ弁護士保険が役立ちます。
![Cta_merci](/assets/cta_merci/bnr_90-728_a.png)
弁護士への依頼費用は数十万~数百万円かかりますが、ベンナビ弁護士保険(月2,950円)に加入しておくことで、弁護士費用の補償が受けられます。
- 保険料は1日あたり約96円
- 通算支払限度額1,000万円
- 追加保険料0円で家族も補償
補償対象となる家族が5人の場合、1人あたりの保険料は月590円(2,950円÷5人)。労働問題、ネット誹謗中傷、近隣トラブルなど様々な法的トラブルに対応しています。
補償内容、付帯サービスをまとめた資料の請求はWEBから。
弁護士保険で法律トラブルに備える
![この記事の監修者](/assets/supervisor/pc_supervisor_title-9920411ecf6e3ccfa3953c7d30cc08e35e2c436500bf535251ba050d938c4a32.png)
借金問題に関する新着コラム
-
本記事では、督促と催告の違いについて解説していきます。 債権者から督促や催告を受け取った際に注意して確認すべきポイントも詳しく解説していきますので...
-
消費者金融から裁判を起こされ、「どうすればよいのかわからない!」という方に向けて、対処法や注意点などを解説します。放置したり無視したりして思わぬ不利...
-
借金を滞納してしまい、裁判所から通知が届いたら、決して放置してはいけません。 本記事では、裁判所から届く通知にはどのようなものがあるのか、どのよう...
-
不景気といわれている現代でも、住宅ローンを組まれる家庭は多くいらっしゃいます。住宅ローンは、何十年の長い期間で返済する高額なローンのため、少しでも返...
-
お金を借りるのに個人間融資掲示板やSNSを利用する、様々な危険性を弁護士が解説しています。また、個人間融資掲示板をなるべく安全に使うため確認しておく...
-
借金減額を考える人に向けて、各制度の仕組みを法律のプロが詳しく解説。借金減額制度のメリット・デメリットを知ることで、自身に最適な減額方法を選ぶことが...
-
借金の支払いを延滞し続け、裁判所から通知が来てしまった人に向けて、裁判所からの通知を無視すると起こる重大なリスクについて解説します。また、裁判を和解...
-
クレジットカードの料金が支払いできておらず、延滞を告げるハガキが来てしまった場合に取るべき対処をケース別に紹介。合わせて、クレカの料金未納が引き起こ...
-
自己破産において、司法書士にどこまでの業務を委託できるのか気になるところだと思いますが、今回の記事では自己破産における司法書士に委託できる業務、弁護...
-
任意整理を行って借金の整理を行った人が、新たにクレジットカードを発行することは可能なのでしょうか。債務整理後にクレジットカードを作りたいと思っている...
借金問題に関する人気コラム
-
借金の時効援用は、成功すればどれほど多額な借金でも返済を免除されます。しかし同時に、失敗すれば大きなリスクを背負う法律行為でもあります。 この記事...
-
専門家の助力があったとしても、今すぐブラックリストを削除することは難しいです。信用情報を回復させる方法、ブラックリストが消えるまでの期間、これ以上悪...
-
自己破産を検討されている方にとっては、破産後の生活は気になるところでしょう。この記事では、自己破産後に受ける制限や、生活を良くするために考えておきた...
-
債務者(さいむしゃ)とは、特定の債権者(さいけんしゃ)に対してお金を借りている、あるいは一定の給付義務を持つ人のことで、ローンの未払いや奨学金の滞納...
-
催告書(さいこくしょ)とは、滞納しているお金等を請求する際に送られてくる書類のことをいいます。この記事では、①催告書の意味②督促状との違い③すぐに払...
-
奨学金の返済額をしっかり把握していることで、利用後の返済計画が立てやすくなり、効率よく返済することができます。この記事では、返済額の相場とともに、返...
-
自分の知らない間に住民税を滞納しているケースは珍しくありません。この記事では、住民税を滞納するリスクや滞納した場合の対処法、支払いが困難な場合に活用...
-
国民健康保険は国民皆保険と呼ばれるように、「20歳以上の社会保険未加入者は国民健康保険へ加入する義務」があるため、もし滞納をしている場合は必ず滞納分...
-
自己破産は、全ての借金の支払い義務を逃れ、所持する高価な財産を処分する法的手続きであり、生活をゼロから再建するための最終手段です。本記事では自己破産...
-
奨学金が返せないとどうなるのか、皆さんはご存知でしょうか。今や大学生の約半数が利用している奨学金。返せない人が増えていることが社会問題にもなっていま...
借金問題の関連コラム
-
エステローンを組むのは、多額の借金を作ることと同じです。一括払い以外で返済しようとすると、利息が高額になり、返済額が大きくなります。この記事では、エ...
-
不景気といわれている現代でも、住宅ローンを組まれる家庭は多くいらっしゃいます。住宅ローンは、何十年の長い期間で返済する高額なローンのため、少しでも返...
-
マイナンバー制度を介して、借金の事実が周りに知られるリスクがあるのか、またマイナンバーにおいて管理される個人情報についてまとめてみました。
-
「街金」(まちきん)とは、貸金業者のうち、大手の消費者金融会社や銀行を含まない、地元の人を主に顧客とした中小の貸金業者のことです。
-
便利なクレジットカードですが、支払いを滞納してしまった場合、延滞によるリスクは1日目から発生します。この記事では、滞納するリスクやまずすべきこと、カ...
-
リボ払いが終わらないのには訳があります。この記事では、リボ払いの仕組み、リボ払いについて相談できる相手、返済を終わらせる方法(一括払いなど)、債務整...
-
督促状が届いても自動車税の滞納を続けていると、突然給与や預貯金を差し押さえられるリスクがあります。
-
任意整理後、あなたの代わりに弁護士・司法書士事務所が代わりに返済を行う返済代行という方法があります。返済代行にはメリットもあればデメリットもあること...
-
公務員が多額の借金を抱えてしまうケースは珍しくありません。その際、気になるのが会社への影響ではないでしょうか。この記事では、債務整理が仕事に与える影...
-
借金返済にはコツがあります。家計は固定費から見直すこと、返済は利息を減らすことを意識することです。この記事では、少しでも早く借金を返済するためのコツ...
-
名義貸しはとてもリスクの多い行為です。名義を貸したために、借金ができてしまったり、ブラックリスト入りしたりしてしまうかもしれません。この記事では、名...
-
催告書(さいこくしょ)とは、滞納しているお金等を請求する際に送られてくる書類のことをいいます。この記事では、①催告書の意味②督促状との違い③すぐに払...
弁護士・司法書士があなたの借金返済をサポート
債務整理では、債権者と交渉する任意整理や法的に借金を減額する、個人再生や自己破産などがあります。また、過去の過払い金がある方は、過払い請求を行うことも可能です。
ただ、どれもある程度の法的な知識や交渉力が必要になってきます。債務整理をしたくてもなかなか踏み切れないあなたをベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)の弁護士・司法書士がサポートいたします。
![](/assets/bennavi/media_logo-5978167816681c2c32d33f97503c2a96a20b3bb465fd421b05b7ec10bd7585d1.png)
借金問題の解決方法をもっと知りたいあなたに