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任意売却の流れを徹底解説|住宅ローンの支払に困ったら

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
任意売却の流れを徹底解説|住宅ローンの支払に困ったら

任意売却(にんいばいきゃく)とは、住宅ローンが払えなくなったり、借金の返済が困難になったりした際に行う手段です。

裁判所を介する競売よりも高額で売却できる可能性も高く、条件や明け渡しの融通も利くため、弁済手段としてまずは任意売却の可否を検討するのが一般的です。

任意売却はどういった流れで行われ、業者に依頼するとどうなるのでしょうか?

この記事では任意売却を行う際に気になる点、知りたいことをご紹介します。

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この記事に記載の情報は2023年11月21日時点のものです

任意売却の流れ

それでは、任意売却を行う際の流れについて確認していきましょう。

競売の場合は債権者が裁判所に申請して競売処理が実行されますが、任意売却の場合は債務者が業者を介して自主的に売却処理を行うことになります。

① 相談先を決める

任意売却は、自らまたは弁護士・司法書士を通じて不動産会社に依頼します。

弁護士・司法書士

任意売却と並行して自己破産や任意整理などの債務整理も検討しているのであれば、これら専門家に依頼したほうがよいでしょう。専門家に依頼すれば、適切な不動産業者を紹介してもらうことも可能な場合があります。

司法書士は弁護士と同様の対応ができますが、債権額が140万円を超える場合、受任できない場合があります。

不動産会社

任意売却を実際に行うのは不動産会社です。任意売却の実績の多い不動産業者なら手続きをスムーズに行えるだけでなく、不動産のネットワークが広いため買主探しにも長けています。

② 相談先へ相談

相談先には必要な情報を適宜提供しましょう。

もし、債務整理まで専門家に依頼する場合は、自分の現在の借入先の金融機関や住宅ローンの残高などの詳しい状況を伝えましょう。住宅と借入状況、生活状態など詳しい情報があるほどスムーズに話を進めることができるので、相談に行く前に整理しておくとよいでしょう。

③ 物件の査定・専任媒介契約の締結

物件の価格査定を行い、売却の方法や今後のプランを立てていきます。

また査定の前後で売却を行う不動産業者と媒介契約を締結するのが一般的です。

媒介契約には専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の3種類がありますが、任意処分の場合特に制限はありません。ただ、実務的には専属専任媒介契約または専任媒介契約で処理する事例が多いようです。

④ 債権者と交渉

任意売却はあくまで債権者への弁済手段として行われますので、債権者との交渉も必要です。交渉事項は、仲介業者、販売価格、販売時期、抵当権の処理などです。

⑤ 販売から購入者決定まで

債権者との協議が成立した段階で、不動産業者は物件の販売を開始します。

販売が開始されると購入希望者が内覧に来る場合もあるので、適宜協力しましょう。

価格や明け渡し条件など、よりよい条件で購入者が選定されます。

⑥ 債権者の同意を得る

売却の具体的方針が固まった時点で、債権者との間で売却代金の分配等について協議します。協議が整えば同意された後、売買契約を締結します。

⑦ 契約締結・決済・精算

上記の債権者との協議が整った時点で、購入者と売買契約が締結されます。

その後、売買代金の決済が行われ、所有権移転の処理が実行されます。

売買代金は上記協議で合意された内容に従い、売却費用に充当されたり、債権者に分配されたりして、精算されます。

任意売却の一般的な流れは上記のとおりです。

早ければ2ヶ月程度で完了するケースもありますが、目安としては半年前後と考えておくとよいでしょう。

任意売却中もその物件に居住することは可能なため、新しい居住先を検討しながら手続きを行えます。

任意売却を業者に依頼した場合の費用

任意売却を業者に依頼した場合、任意売却の費用として仲介手数料や実費がかかります。

仲介手数料は宅地建物取引法によって定められているため、業者によって手数料が異なるということはありません。

仲介手数料の計算方法は、売却価格の【3%+6万円+消費税】となります。

つまり、物件が1,000万円で売却された場合、【30万円+6万円+消費税】となるので、38万8,800円が手数料です。

この仲介手数料を差し引いた額を債権者への返済に充てることになります。

交渉によっては、業者だけでなく債務者の費用(引っ越し代金など)も売却代金で精算できることもありますが、あくまで交渉事なので確実ではありません。

任意売却を行う際の注意点

競売に比べるとメリットの多い任意売却ですが、もちろんデメリットもあります。

任意売却を行うにあたり気をつけておきたい注意点がいくつかあるので、事前によく確認しておきましょう。

任意売却をするには条件がある

誰もが任意売却を選択できるわけではありません。

例えば、担保権者の一部が任意売却に反対しているような場合は、任意売却の処理が難しい場合があります。

ブラックリストに載る

任意売却に当たって債務の圧縮などの債務整理も行う場合、ブラックリストに情報が掲載されてしまう可能性があります。

そうなった場合、相当期間に渡ってローンが組めなくなったり、クレジットカードが作れなくなったりします

自己破産をする場合は向いていない

もし自己破産を考えているのであれば、任意売却は不向きです。

自己破産した場合、不動産は換価処分されますが、代わりに債務は免責されます。そのため、自己破産により免責を求める場合は、あえて任意売却をする必要性はあまりありません。また、任意売却は手続きから2ヶ月~半年ほどで完了しますが、競売であれば1年〜1年半かかることもあります。任意売却を選択しない方が、今後の生活の立て直しを考えたり準備したりする期間が多く持てるという考え方もあります。

もっとも、自己破産しても免責されない債務(租税債務等)が残ってしまうという場合は、高く売却できる任意売却を選択すべきでしょう。

この点もケースバイケースなため、専門家とよく相談することをおすすめします。

任意売却後の返済方法

任意売却によって借金がなくなることもありますが、借金が残る場合は残債の返済方法について債権者との交渉が必要です。

専門業者や弁護士に依頼することで交渉を有利に進めやすくなります。

しかし、債権者が銀行以外にも消費者金融など2社以上ある場合、売却価格の分配で問題が生じます。

この調整も業者や弁護士に任せることが可能ですが、分配とともに残りの返済についても考えながら調整する必要があります。

必ずしも競売よりも高いとは限らない

任意売却は競売よりも高く売却できることが多いとされていますが、絶対にそうとは言い切れません。

立地が悪い物件や、築年数が長く古い物件の場合などは任意売却では売れない可能性もあります。

競売では落札額の高い人が購入できるものですが、任意売却では業者や銀行などが間に入るため競売よりも価格が明確ではありません。

まとめ

任意売却は、早く物件を売却できる方法であるものの、自分1人では交渉や手続きが多いため難しいものです。

状況に応じて弁護士や不動産会社に相談をして、難しい交渉や煩雑な手続きを行ってもらうことでスムーズに進めることができます。

任意売却後の生活や返済プランなども考えた上で、よく相談してみてください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。