総量規制を徹底解説|規制の対象になるもの・ならないもの


総量規制(そうりょうきせい)とは、年収の3分の1以上のお金を貸金業者から借りることができないことを定めた貸金業法で、2006年に公布され2010年に完全に施行されました。
もちろん、カードローンの他にクレジットカードのキャッシングもこの規制の対象になります。
ただし、クレジットカードのショッピング枠は規制の対象にならないなどの例外もあります。
この記事では、
- 総量規制の仕組み
- 総量規制の除外・対象にならないケース
- 返済が苦しい人を助ける救済措置
についてお伝えします。
総量規制とは? 目的や範囲について
冒頭でもお伝えしましたが、総量規制とは「年収の3分の1以上の借り入れができない制度」のことです。
年収が300万円ですでに70万円の借り入れをしている場合は、残り30万円までしか借りらることができません。
総量規制の目的とは?
2010年に完全施行された総量規制ですが、これは主に下記のことを目的としています。
- 貸し手側の一方的、過剰な貸し付けを減らすこと
- 貸し付けに制限を設けることで消費者の経済破綻を防ぐこと
実際に、総量規制が施行されたことで5社以上からの借り入れをしていた230万人の多重債務者は18万人に減りました。
なお、新型コロナウイルス感染症の患者などが貸金業者から返済能力を超えないか仕入れをする場合に、法令に定める手続きなどが問題となって、本来借りることができた資金を借りられない不都合が生じる恐れがあるため、貸金業法施行規則の一部の 改正が内閣府から公布・施行されました。
これは、新型コロナウイルス感染症に対する時限措置であって、施行は公布の日(令和2年3月16日)からとされています。
複数の金融機関から借りても適用される
総量規制は1つの貸金業者ではなく全ての金融機関(※)が対象です。
つまり、年収300万円でA社から50万円、B社から50万円借り入れしている場合は、総量規制によってどこの貸金業者からもお金を借りられません。
(※)ノンバンクの金融機関が対象です。銀行については後述します。
いくら借りているかを誤魔化すことはできない
貸金業者は、「FINE(ファイン)」という独自のネットワークで繋がっているため、消費者が現在いくらの金額を借りているのか把握しています。
そのため、年収の3分の1以上のお金を借りたいからといって、借り入れの時に誤魔化した金額を申告しても意味はありません。
年収の3分の1まで借りられないこともある
ただし、年収が300万円あるからといって、絶対に100万円まで借りられるとは限りません。
総量規制ができたことにより、貸金業者も貸し付けにはシビアになっています。
貸金業者は、お金を借りたい人の年収が下がることも考えているため、年収の3分の1ギリギリまで貸す可能性は低いようです。
総量規制対象外になるケース
金融機関によっては、総量規制対象外になるでしょう。
総量規制が除外になるケース・例外的にお金を借りられる場合もあるのでご紹介します。
総量規制の除外・例外のケース
以下の場合には総量規制が除外・例外になります。
除外 |
例外 |
・不動産購入または不動産に改良のための貸付け(そのためのつなぎ融資を含む) ・自動車購入時の自動車担保貸付け ・高額療養費の貸付け ・有価証券担保貸付け ・不動産担保貸付け ・売却予定不動産の売却代金により返済できる貸付け ・手形(融通手形を除く)の割引 ・金融商品取引業者が行う500万円超の貸付け ・貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介 (施行規則第10条の21第1項各号) |
・顧客に一方的有利となる借換え ・緊急の医療費の貸付け ・社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付け ・配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け ・個人事業者に対する貸付け ・預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付け (施行規則第10条の23第1項各号) |
法人がお金を借りる場合は総量規制対象外
法人は、個人でお金を借りる場合とは異なり総量規制対象外です。
法人借入は、貸金業法で対象外とされているため年収の3分の1以上のお金を借りることができますが、事業計画・資金計画などの書類を提出する必要があります。
また、絶対にお金を借りられるわけではなく、返済能力を超えない範囲での貸し付けです。
銀行は総量規制対象外
総量規制は、預金の預け入れや為替の機能を持たないノンバンクの金融機関が対象となるので、銀行での借り入れは総量規制対象外です。
「消費者金融からの借り入れは断られたけど、銀行カードローンはできた」というケースも往々にしてあります。
銀行は、消費者金融に比べると低金利でお金を貸し付けています。
もしお金を借りるのであれば、消費者金融よりも銀行を検討しましょう。
つらい借金問題も専門家への無料相談で解決できる可能性があります。
借金原因は問われませんので、まずは、お気軽にご相談ください。
中小企業の貸し剥がしと行政処分
もし、総量規制を超える範囲のお金を企業側が許した場合どうなるのでしょうか。
ここでは、総量規制の問題点と違反した企業に対する処分についてご紹介します。
総量規制の問題は中小企業の【貸し剥がし】
貸し剥がしとは、「お金を貸さない・すでに貸しているお金を期限前に返済してもらう」ことを指します。
総量規制の施行で多くの人が無理な借り入れをしなくなりました。
しかし、総量規制が施行されたことで、中小企業の貸し剥がしがおこなわれるようになったことも事実です。
過去には、お金を返済するために闇金でお金を借りたり、クレジットカードの現金化をしたりする人もいました。
しかし、現在もお金の返済に苦しんでいる方もゼロではありません。
お金の返済で悩んでいる人は、後述している債務整理を考えてみてはいかがでしょうか。
総量規制に違反した貸金業者は行政処分
貸金業者は、総量規制に違反して年収の3分の1以上のお金を貸し付けた場合に、業務指導・営業停止などの行政処分を受けることになります。
ちなみに、年収の3分の1以上のお金を借りた人は罰則の対象に含まれませんが、借り入れは無効にならず、返済する必要があるので注意してください。
返済が苦しい人は債務整理を検討
上述しましたが、総量規制ができたことで返済を急ぐことになった方は少なくありません。
借金の返済が苦しい人は債務整理(借金を減らすまたは無くす方法)を検討してみてください。
債務整理には、借金がゼロになる「自己破産」や、借りた金額の10分の1(最大)まで減らすことのできる「個人再生」、無理のない金額で毎月返済していく「任意整理」などがあります。
債務整理を考えるにあたって、専門的な知識が必要になる場面もあるでしょう。
そういった時のためにも、弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
総量規制は、経済破産者を少しでも減らすために開設された制度です。
借り入れをする際、この総量規制がネックになることもありますが、債務者を守るための制度でもあります。
もちろん他の機関から借り入れをせずに、自力で支払うことが一番でしょう。
どうしても大きな支払いや緊急の出費がある場合は、今回の総量規制に当てはまるかどうかを知っておくとよいでしょう。
一方、少額な借り入れなら簡単にできることを良いことに借金体質になっている方はいませんか?
「借りては返すを繰り返す・・・」自転車操業をしている方は、どこかで一度リセットするためにも「債務整理」を検討されたほうが良いかもしれません。
無料相談を受け付けている弁護士もいますから、まずは専門家にアドバイスを求めるとよいでしょう。

【弁護士4名体制で全国ご相談可能!】自己破産/個人再生/任意整理をはじめとした債務整理に豊富な対応実績!債権者との交渉に自信◎毅然とした態度で交渉に臨みます!「借金を0にしたい」「借金を減額したい」といった方はご依頼を!
事務所詳細を見る
【弁護士4名体制で全国ご相談可能!】自己破産/個人再生/任意整理をはじめとした債務整理に豊富な対応実績!債権者との交渉に自信◎毅然とした態度で交渉に臨みます!「借金を0にしたい」「借金を減額したい」といった方はご依頼を!
事務所詳細を見る
『月々の返済額を減らしたい』『利息分しか返済が出来てない』『月々の返済額が減れば継続して返済ができる』といった方はぜひご相談を!【リーズナブルな料金体系|分割・後払い対応】≪平日夜21まで・休日も18時まで≫
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡

借金問題に関する新着コラム
-
借金を滞納すると、ブラックリストに掲載されたり一括返済を求められたりと、滞納期間に応じてさまざまなリスクが発生します。最終的には財産を差し押さえられ...
-
借金の時効援用についてさまざまな疑問があると思います。そこで本記事では、時効援用と信用情報・事故情報について、信用情報機関別にわかりやすく解説します...
-
本記事では、差し押さえの基礎知識から差し押さえまでの流れ、差し押さえを回避する方法を解説します。「差し押さえって具体的にどんな手続き?」「差し押さえ...
-
借金問題の弁護士費用、いくら?任意整理・個人再生・自己破産、手続き別の費用目安や内訳をわかりやすく解説。弁護士費用が用意できない場合の対処法、費用倒...
-
ホストへの未収金は支払わなくてもいいケースがあります。弁護士に相談すれば支払い義務の有無を確認した上で適切な解決法を提案してもらえます。未収金に悩ん...
-
カードローンの借金は弁護士に相談すれば解決可能です。債務整理は手続きごとにメリット・デメリットが異なるため、自分に合った手続きを探すには弁護士のアド...
-
三菱UFJニコスでキャッシングを利用していた場合、過払い金が戻ってくる可能性があります。過払い金を全額回収したいなら、弁護士への依頼も検討しましょう...
-
イオンカードでキャッシングを利用した場合、過払い金が発生している可能性があります。十分な金額を回収するためにも必要な知識を身につけておきましょう。本...
-
借金問題を抱えているなら、まず弁護士に相談してみましょう。一人で悩んでいても、事態は悪化していくばかりです。本記事では、借金問題に対応してくれる弁護...
-
本記事では、督促と催告の違いについて解説していきます。 債権者から督促や催告を受け取った際に注意して確認すべきポイントも詳しく解説していきますので...
借金問題に関する人気コラム
-
借金の時効援用は、成功すればどれほど多額な借金でも返済を免除されます。しかし同時に、失敗すれば大きなリスクを背負う法律行為でもあります。 この記事...
-
専門家の助力があったとしても、今すぐブラックリストを削除することは難しいです。信用情報を回復させる方法、ブラックリストが消えるまでの期間、これ以上悪...
-
自己破産を検討されている方にとっては、破産後の生活は気になるところでしょう。この記事では、自己破産後に受ける制限や、生活を良くするために考えておきた...
-
債務者(さいむしゃ)とは、特定の債権者(さいけんしゃ)に対してお金を借りている、あるいは一定の給付義務を持つ人のことで、ローンの未払いや奨学金の滞納...
-
催告書(さいこくしょ)とは、滞納しているお金等を請求する際に送られてくる書類のことをいいます。この記事では、①催告書の意味②督促状との違い③すぐに払...
-
奨学金の返済額をしっかり把握していることで、利用後の返済計画が立てやすくなり、効率よく返済することができます。この記事では、返済額の相場とともに、返...
-
自分の知らない間に住民税を滞納しているケースは珍しくありません。この記事では、住民税を滞納するリスクや滞納した場合の対処法、支払いが困難な場合に活用...
-
国民健康保険は国民皆保険と呼ばれるように、「20歳以上の社会保険未加入者は国民健康保険へ加入する義務」があるため、もし滞納をしている場合は必ず滞納分...
-
自己破産は、全ての借金の支払い義務を逃れ、所持する高価な財産を処分する法的手続きであり、生活をゼロから再建するための最終手段です。本記事では自己破産...
-
奨学金が返せないとどうなるのか、皆さんはご存知でしょうか。今や大学生の約半数が利用している奨学金ですが、返せない人が増えていることが社会問題にもなっ...
借金問題の関連コラム
-
自己破産はできる条件があります。これに該当しない場合には自己破産が実現できず借金を免責することができません。この記事では、自己破産ができない4つのケ...
-
借金返済にはコツがあります。家計は固定費から見直すこと、返済は利息を減らすことを意識することです。この記事では、少しでも早く借金を返済するためのコツ...
-
「友達から10万円借りている」「クレジットカードの支払いを滞納してしまった」「ローンの返済に追われている」「今日の食費すらない」など、借金の悩みは人...
-
息子の借金が発覚したら、親が返済するべきか息子に払わせるべきかを解説します。ほかにも、借金が発覚したときの対処法、債務整理が借金へ与える効果や子ども...
-
お金を借りる方法には様々な種類があります。お金を借りる方法を知らないばかりに無理に金利の高いところから借りてしまったり、信用を傷つけてしまい、結果的...
-
自己破産をしてもクレジットカードを利用したいですよね?クレジットカードは利用できませんが、代わりになる2枚の便利なカードをご紹介します。この2枚のカ...
-
消費者金融から裁判を起こされ、「どうすればよいのかわからない!」という方に向けて、対処法や注意点などを解説します。放置したり無視したりして思わぬ不利...
-
「ホストクラブへの借金返済がどうしても間に合わない…」そんなときの対処法をご紹介します。ホストに貢いだ借金も減額・帳消しにできる可能性があります。母...
-
借金問題は早いうちに対処しておかなければ、家庭崩壊へと繋がる危険性もあります。自力での完済が難しい場合は、速やかに債務整理を行うのが良いでしょう。こ...
-
借金を滞納してしまい、裁判所から通知が届いたら、決して放置してはいけません。 本記事では、裁判所から届く通知にはどのようなものがあるのか、どのよう...
-
任意整理後、あなたの代わりに弁護士・司法書士事務所が代わりに返済を行う返済代行という方法があります。返済代行にはメリットもあればデメリットもあること...
-
ノンバンクとは、法律で定められた銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫などの金融機関以外で、貸金業務を営む金融会社の総称のことです。要約すると、融資のみ...
弁護士・司法書士があなたの借金返済をサポート
債務整理では、債権者と交渉する任意整理や法的に借金を減額する、個人再生や自己破産などがあります。また、過去の過払い金がある方は、過払い請求を行うことも可能です。
ただ、どれもある程度の法的な知識や交渉力が必要になってきます。債務整理をしたくてもなかなか踏み切れないあなたをベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)の弁護士・司法書士がサポートいたします。

借金問題の解決方法をもっと知りたいあなたに