FXで破産する3つのケース|FX借金を防ぐコツと対処法
FX(Foreign Exchange/外為[がいため])とは「外貨為替証拠金取引」のことで、簡単に言えば『日本円などで外貨を買ってタイミングを見てそれを売る』ことによって成り立つ取引です。
株や先物取引と同じで、原理としては安いときに買って高いときに売ることで利益を得られるわけですが、FX最大の特徴として『レバレッジ(Leverage)』があり、自己資金(現物資金)の最大25倍の金額を取引できるようになっています。レバレッジとはレートのようなものです。
レバレッジが高くなれば利益も大きくなる一方、リスクも跳ね上がります。
今回は、FXで破産する具体的なケースと、もしもの時の対処法を解説します。
FXでできてしまった借金も債務整理をすることで、問題を解決できるかもしれません。
高額な借金でも自己破産以外の解決策があるかもしれません。
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FXで破産する3つのケース
FXは、証拠金が一定割合を下回ると強制ロスカットが行われるため、本来であれば借金を抱えるリスクは低いものといえます。
しかし、FXで破産をする人が少なからず存在するのは理由があり、借金ができる3つのパターンがあります。
1:追加証拠金が払えない
ロスカットが行われる際に、『追証(おいしょう|追加証拠金)』を納めることで、ロスカットを回避できる場合があります。これを促す警告をマージンコールと呼びますが、要は強制決済されるまで多少の猶予が与えられる取引会社があるわけです。
もちろん、すべての取引会社で追証を採用しているわけではないので利用する取引会社によって異なりますが、ロスカットによって多額の借金ができてしまう前に追証をなんとか準備しようとして借金をしてしまうケースがあります。
また、ナンピン投資(難平投資)という手法で、外貨の価値(または株価)が下落した際に取られる処置があり、新たに外貨を購入することで手持ちの外貨の平均購入価格を上げることができますが、この場合にも追加で外貨を購入するための資金を借金してしまうケースがあるのです。
参考:ナンピン投資の仕組み
再び、外貨の価値が上昇した際に損失を早めに巻き戻しできるため、ナンピン投資はFXや株式で広く使用されます。
1ドル100円の外貨の100ドル(1万円分)を購入したのにもかかわらず、1ドル90円まで下降した場合を想定してください。ここで新たに100ドル(9,000円分)購入すると、【(1万円+9,000円)÷200ドル=95円】となるため、1ドル95円で購入したことになります。
もし、この外貨が1ドル95円まで上昇した場合、損失を取り戻すことができることがナンピン投資を利用するメリットです。しかしながら、外貨の価値が下落し続けても、いつか上昇することを期待するあまり損切りできず、結果として借金を抱えるケースが珍しくありません。
2:ついハイレバレッジで取引してしまった
レバレッジが低ければ低いほど借金を負うリスクは少ないですが、利益もあまり出ません。そんなときにたまたま少し高めのレバレッジを設定して大きな利益が出てしまうと、「これならいける!」とハイレバレッジでの勝負を選びがちです。
FXは最大25倍の金額で取引ができますから、レバレッジが高ければ高いほど利益が大きい代わりに、借金を負うリスクも高まります。また、ハイレバレッジでロスカットをされると金額が段違いに大きくなりますので、借金や破産につながるケースが多いです。
3:自転車操業をしてしまった
追証やナンピン投資とも関係しますが、負けを取り戻そうとして借金を繰り返し、最終的に返済不可能な額まで膨らんでしまったり、相場の急落で大きな損失を出してしまってロスカットに遭うケースもあります。
FXでの借金や破産を避けるための最低限の3つのコツ
FXで借金を負う場合、その金額は資産状況やレバレッジによって大きく異なってきます。できるだけ少額で大きな利益を生みたいと思うのが人の性ではありますが、借金や破産を避けるためには冷静に状況を判断することが大切です。
ここでは、FXでの借金や破産を避けるために最低限覚えておくべき3つのコツをご紹介します。
1:あくまで余剰資金で行う|目安金額を決める大切さ
FXは、仕事を辞めてまで、生活費を切り詰めてまで行うものではありません。借金などで今の生活が苦しいときほど一発逆転にかけてしまうのは、誰もが持っている弱さかもしれません。
しかし、知識のない状態でいきなり参入して勝てるほど甘い世界ではありません。また、知識があるからといって確実に利益を上げられるかといえば、決してそうとも言い切れないのが為替です。やるなら趣味の範囲内で、なくなってもよいと思える金額で運用しましょう。
加えて、「あと少しやれば勝てそう…。」と思うのは非常に危険で、やればやるほど負のスパイラルに陥るリスクも考慮しましょう。例えば月に10万円まで、といったように投資に注ぎ込む目安の金額を設定し、それを守って取引を続けることも大切です。
2:ある程度値動きの幅を予測する|1円動くとどうなるか?
また、レバレッジが高い場合は銭単位で、低い場合は1円単位で、相場が上下するとどの程度の損益が発生するのかを覚えておくのも重要なポイントです。
借金を負うリスクと高い利益との兼ね合いで、FXの経験が浅いうちはレバレッジを2~5倍程度にとどめておくことをおすすめします。
3:引き際を理解する|ビギナーズラックは続かない
FXなどの信用取引では、損切りのタイミングも重要です。少し損が出たくらいで売ってしまうのはもったいないと感じるかもしれませんが、小さな損失が大きな借金へつながるリスクがあることは十分理解しましょう。
「もしかしたら値が戻るかも。」という幻想は捨てて、潔く損切りを行うことも大切です。
また、ビギナーズラックは長く続きません。最初の数ヶ月は利益が出ていても、一転して大赤字というケースも珍しくありません。ビギナーズラックと自己の能力とを客観的に分析することが重要です。
FXの借金を自己破産で借金ゼロにできるのか?
FXで借金を作ってしまった場合、少額であればなんとか支払っていつもどおりの生活を送ることができるでしょうが、払いきれないほどの借金を背負ってしまったらどうしたらよいのでしょうか。
ここでは、FXで借金を作ってしまった場合の対処法をご紹介します。
自己破産の仕組みと方法
自己破産は、裁判所から『破産宣告』と『免責許可』の2つを得ることで、背負った借金を免除してもらうための手続きです。
▶参考:自己破産のメリット・デメリットとすべきかどうかの判断基準
自己破産でも免責許可が下りないと借金は消えない
免責とは借金の支払義務を裁判所に免除してもらうことで、破産法第252条に列挙された事情に該当しない場合に許可されるようになっています。
具体的には、次のような条件を満たしている必要があります。
- 浪費やギャンブルが原因の借金ではないこと
- すでに返済不能であるにもかかわらず、そうではないようにふるまって債権者から金銭を借り入れていないこと
- 自己破産や免責の申立中に新たな借金をしていないこと
- 裁判所に対して、財産状態の嘘の陳述をしていないこと
(破産法第252条参照)
自己破産の方法
自己破産は、裁判所に『自己破産の申立』を行い、2回ほど裁判官と面談を行ってから可否が判断されます。
申立ての際には『申立書』のほか、所定の添付書類や手数料を準備する必要があり、破産手続きが開始されると申立人には生活する上で一定の制限が課されることになります。
詳しくは「自己破産とは|自己破産の方法と破産後の生活の完全ガイド」をご覧ください。
ギャンブルで自己破産が免責されないのは1%以下
破産法252条に該当してしまうと、免責不許可となることがあります。このため、ギャンブルや浪費による借金は免責されないと考えている方もいらっしゃいますが、首相官邸が公表している「多重債務者対策本部」によれば、免責申立をして不許可になるのは全体の0.08%にすぎないとされています。
免責申立の結果は以下のとおりであり、96.67%が免責許可を受け、不許可はわずか0.08%にすぎない。97年調査以降、「取下げ」が若干増加傾向にある。
つまり、株やFXなどで借金を作ったとしても、適正な申立を行っていれば免責許可が下りる可能性が十分あるのです。
万が一免責不許可になった場合の対処法
万が一裁判所の免責許可が下りなかった場合は、個人再生も検討しましょう。個人再生なら借金を作った経緯と理由は一切問われませんので安心です。自己破産とは違い、借金が全額免除になるわけではありませんが、最大10分の1に借金が減額できる法的手続きです。
参考:「個人再生を利用する手順と借金を大幅に減らす完全ガイド」
【最悪の展開】自己破産や個人再生も利用できなかった場合
こういったケースは滅多に起きるものではありませんが、もしそうなった場合は真面目に借金を返すために働くしかありません。
しかし、借金をそのままにしておくことは当然リスクもあり、『強制執行』や『差し押さえ』などが次々に起こっていきます。また、税金は自己破産しても消えない上、滞納すると遅延した分の利息が発生しますし、年金などを滞納すると将来もらえる額が減ってしまったり、受給資格がなくなったりするおそれもあります。
自己破産や個人再生が利用できないと、限られた収入の中から返済しつつ生活していかなければならず、非常に厳しい状況が予想できますので、もしも自己破産が利用できなかった場合には、取り急ぎ弁護士等の専門家の意見を聞くことをおすすめします。
FXで借金ができたら弁護士に相談するのがオススメ
最後に、FXで借金を作ってしまった場合に弁護士ができることと、弁護士費用の相場をお伝えします。
弁護士ができること
弁護士はあなたの代理人としてさまざまな活動ができるので、裁判所に提出する書類を作ることはもちろん、裁判官との面談でもあなたの代わりに受け答えをしてくれます。
弁護士に相談すると、自己破産で免責許可を得るための効果的な陳述や、法に基づいた理路整然とした主張が期待できるほか、裁判官とも対等に渡り合えるというメリットがあります。裁判官に対して何だか怖いような印象を持つ方もいるかもしれませんが、弁護士であれば裁判官を説得できるだけの主張が可能ですし、手続きを任せることで安心感も得られます。
なお、やや費用が安い司法書士へ相談するのも間違いではありませんが、司法書士は代理人にはなれませんので、裁判所での手続きはご自身で行う必要があります。
参考:自己破産において司法書士へ委託できる業務と弁護士との違い
弁護士費用相場
自己破産にかかる弁護士費用はおおむね次のような相場になっています。
相談料 |
30分あたり5,000円+税 (※無料相談を実施している事務所も多数) |
|
着手金 |
20万円~30万円程度(※事務所によって異なる) |
※これらの合計で20万円~50万円程度が相場 |
報酬金 |
20万円~40万円程度(※事務所によって異なる) |
|
実費 |
裁判所での手続き費用(手数料や予納金など) 書類郵送費や交通費など |
相談料はともかく、着手金や報酬金が高額のように見えますが、逆に言えばこの金額で莫大な借金とお別れできる可能性が大きくなります。
自分で自己破産手続きを行って失敗してしまった後で弁護士等に相談すると、本来なら簡単に免責まで認められたような事案であっても、再度免責許可を求めることが難しくなる場合があるので、手続きを依頼するかどうかはさておき、専門家の意見を聞いた上で自己破産手続きを進めた方がよいでしょう。
▶参考:自己破産の弁護士費用相場と弁護士費用を安く済ませる方法
まとめ
FXはレバレッジを掛けた信用取引でなければ資産がマイナスとなるリスクはありません。
しかし、すぐに利益を出そうとしたり、ビギナーズラックを過信して高いレバレッジを掛けたりしてしまうと、最悪の場合破産するリスクがありますので、取引の際には充分な注意が必要です。
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