個人再生における司法書士と弁護士の違いを比較|業務範囲や費用について解説
個人再生とは、裁判所を通じて借金減額を行う手続きで、再生計画が認可された場合の債務は最大10分の1まで減額ができます。
2019年の自己破産件数が72,307件に対して、個人再生件数は13,601件と5分の1以下でした。
現状は多額な借金を整理するなら自己破産を選択する方は多いですが、家を残したいなど状況によっては個人再生を選択したほうがいい場合もあります。
また、手続きが複雑であるため専門知識のない個人が手続きを行うことは非常に難しいです。
そのため司法書士や弁護士などの専門家へ依頼することが一般的ですが、個人再生と弁護士のどちらに依頼するべきなのか判断できないこともあるでしょう。
そこで今回の記事では、個人再生を専門家に依頼する場合、弁護士と司法書士にどのような違いがあるのか、個人再生に適した司法書士の選び方について解説します。
借金の解決策には、個人再生以外にも任意整理や自己破産があります。
これらの債務整理には、それぞれメリット・デメリットがあり、自身の状況にあった方法を選択することになります。
あなたの状況次第では、個人再生ができない、あるいはベストな選択肢ではない可能性もあるでしょう。
個人再生を検討中の方は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
依頼するメリットは以下の通りです。
- 自分にあった解決策を提示してもらえる
- めんどくさい手続きをすべて任せられる
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自力で個人再生をして失敗すると、準備にかかったお金や時間を無駄にしてしまう恐れがあります。
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個人再生における司法書士と弁護士ができる業務の違い
まず、個人再生をした場合に司法書士と弁護士がきる業務の違いについて解説します。
大まかに分けると、弁護士と司法書士の業務には下表のような違いがあります。
弁護士 | 司法書士 | |
法律相談 | できる | できる |
書類作成 | できる | できる |
裁判所への 同行 |
できる |
基本的にできない |
再生計画案の作成 | できる | できる |
また、前提として司法書士は140万円以下の案件しか受任することができません。
司法書士が行える業務の範囲
弁護士には個人再生における必要な業務のほとんどを委託することが可能ですが、司法書士に委託できる業務は、裁判所に提出する必要のある書類(申立書類、再生計画案など)の作成がメインになります。
続いて、個人再生において弁護士に委託できて司法書士に委託できない業務である「裁判所関連業務」について解説します。
裁判所・裁判官とのやり取り
個人再生手続きでは、申立人は書類提出や裁判官との面接のために裁判所へ出頭します。
しかし、弁護士に依頼した場合、弁護士は法廷代理人になることができるため、依頼者であるあなたが出頭する必要がなくなります。
実務的には依頼人は弁護士と書類作成の打ち合わせをするために弁護士事務所に出向く必要がありますが、司法書士に依頼した場合は、裁判所へ出頭しなければなりません。
司法書士は地方裁判所(個人再生の申立先)における法廷代理人になる権限を持っていないため、裁判所におけるやりとりの全てを依頼人個人が行います。
弁護士と違い、裁判所からの連絡の受け取りや送達も全て自分で行う必要があり、司法書士はそれに対して相談という形で依頼人のサポートするのが実情です。
個人再生を司法書士・弁護士に依頼した場合の費用の違い
個人再生手続きには主に専門家費用と裁判所費用がかかります。ここでは、司法書士・弁護士に依頼した場合の費用の違いについて解説します。
専門家費用の違い
弁護士に個人再生を依頼した場合の弁護士費用の相場は、40〜60万円程度です。
それに対して司法書士に依頼した場合の費用の相場は、30〜40万円程度と言われており、弁護士と比べて10〜20万円ぐらい費用に開きがあります。
司法書士は、裁判所への同行などができない分、弁護士より費用が安く設定されていることがほとんどです。
ただし、この情報だけ見て司法書士の方が安いと判断するのは少し早いです。裁判所費用も含めた総額で比較するようにしてください。
裁判所費用における違い
専門家費用とは別に、裁判所へ裁判所費用を納めなければなりません。
-
収入印紙代:1万円
-
官報掲載費:1万2,000円
-
郵便切手代:1,600円
-
再生委員への予納金:15万〜25万円
再生委員の予納金
上記の通り個人再生委員への予納金が高額な事がわかります。個人再生委員とは、債務者の個人再生の手続きをサポートするために裁判所から選定された弁護士です。
弁護士に依頼した場合、依頼した弁護士が代わりに再生委員の業務を担うことが可能であるため、再生委員への予納金が低額になります。
東京地方裁判所の場合、全ての案件で必ず個人再生委員が選任されます。弁護士に個人再生を依頼した場合の再生委員への予納金は15万円ですが、弁護士に依頼しなかった場合は25万円です。
それに対しては東京地裁以外の地方裁判所では、弁護士を代理人に立てていれば個人再生委員は選任されません。
東京地裁以外の地方裁判所における再生委員の予納金は20万円になりますが、弁護士に依頼した場合、10万〜20万円の裁判所費用が安く抑えられることがわかります。
専門家費用は弁護士の方が10万〜20万円程高いですが、裁判所費用は弁護士の方が10万〜20万円程安いです。
どちらに依頼すべきかは状況によりますので、専門家に相談してから判断することをおすすめします。
個人再生を依頼する司法書士の選び方
実際には、司法書士の専門性や相性にもよるので一概には言えませんが、個人再生を司法書士に依頼する基本的な選定基準を解説します。
個人再生の手続きに関して親身な対応
司法書士に個人再生を依頼する場合、書類作成以外の業務では、司法書士からは相談というかたちでしかサポートを受けることができません。
そのため個人再生手続き中に、次はどの手続きを行うべきなのか、裁判官からの尋問、裁判所からの連絡に対してどのように対応するべきか、などをその都度気軽に相談ができる司法書士がよいでしょう。
この点を判断するために、依頼前のメールや電話などのやりとりを通して、マメに連絡が取れる司法書士かどうかを確認してください。
相談料が低額である
相談無料の事務所も中にはありますが、基本的に相談は無料ではありません。
手続きにおいて不安・不明点をその都度質問するためには、相談料が高くない司法書士に依頼することをオススメします。
債務整理の分野に精通している
そして何より、個人再生など債務整理に特化した司法書士に依頼するべきです。事務所によっては離婚、相続など専門分野が異なるため、事務所のホームページなどからその事務所の専門分野を確認しましょう。
また、債務整理に特化した司法書士を選ぶ際は、ホームページにおいて過去の実績や、サイトの更新頻度も確認しておきましょう。
まとめ
司法書士と弁護士では対応できる業務がことなり、司法書士は基本的に書類作成やサポートまでしか行うことができません。
そのため、手続きの全てを専門家に任せたい場合には弁護士に依頼することをおすすめします。
ただし、どちらに依頼すべきかは状況によって異なりますので、まずはお近くの司法書士・弁護士事務所へ相談してみましょう。
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