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奨学金の踏み倒しは可能?奨学金返済の際に押さえておく知識
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奨学金の踏み倒しは可能?奨学金返済の際に押さえておく知識

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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奨学金とは、大学進学などが経済的な理由で難しい場合に、日本学生支援機構などからの学費貸与を行い一時的にお金を借りることのできる制度です。

この奨学金制度は、現在大学生の2.6人に1人(平成28年3月時点)の学生が、大学などに進学する際利用している便利な制度ですが、最近は返済が必要な「借金」という考え方が薄いのか、奨学金が返せないケースが増えています。

下の図は、日本学生支援機構が平成28年3月に発表した、奨学金の返済率の推移を示した図ですが、この「要返還債権」の項目、つまり返済すべき奨学金の額は年々増加傾向になるのがわかります。
 




この要返還債権額をベースとしますと、平成26年度末における延滞3ヶ月以上の延滞債権額は、2,491億円(要返還債権額に対して4.1%)となっており、このうち6ヶ月以上の延滞債権額は、2,000億円(3.3%)となっています。なお、平成26年度末における民間金融機関の基準に準じたリスク管理債権額は、5,391億円(第一種奨学金1,563億円、第二種奨学金3,828億円)です。
引用元:日本学生支援機構について|返還金の回収状況・取り組み


当然、返せないのであれば踏み倒せるのではないかと思う学生も多いのですが、奨学金を安易に踏み倒すことは基本的にはできません。今回は、奨学金の返済が難しい場合も考慮して、奨学金を借りる際に知っておきたい知識をまとめてみました。
 

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 【目次】
奨学金の踏み倒しはかなり危険|踏み倒しのリスクとは?
自己破産をしても保証人の支払い義務は残る
ブラックリストに載る
裁判や差し押さえもありうる
延滞金が発生してしまう

奨学金制度における3つの仕組み
①貸与型
②給付型
③新聞奨学生

奨学金の返済が難しい場合に利用できる制度
繰り上げ返済を利用する
返還の猶予を申し出る
減額返済制度を利用する

奨学金を借りる際におすすめなのは所得連動返還型無利子奨学金制
①返還が猶予される所得
②被扶養者になった場合の返済猶予の条件
③猶予期間が終了したら
④利用には家族の所得制限もある

まとめ

 

 

奨学金の踏み倒しはかなり危険|踏み倒しのリスクとは?

奨学金が借金ならばこれを踏み倒すことはできないのか?と思われたことはないでしょうか。
 

自己破産をしても保証人の支払い義務は残る

まず、結論からいえば奨学金を踏み倒すことはできません。もちろん、自己破産などをすれば本人の支払い義務は消えることになりますが、大抵の場合は親族の支払いの義務は残ってしまいます。

奨学金の延滞が発生すると、本人や連帯保証人となっている親族に対して催促状や電話で返済の遅延が発生している旨が通知され、放っておくと債権回収会社などから督促状などが送られてくることになります。

もし本人の勤務先が特定できているのであれば、職場へ連絡がいく場合もあるようです。

①第三者の保証人に支払義務が移る!

現在の奨学金は、ほとんどの場合必ず第三者の連帯保証人を付ける形をとっています。そのため、本来支払義務のある奨学生が自己破産をしても、保証人になっている第三者の方に支払義務が移転します。つまり、その第三者が自己破産をしない限り、完全な踏み倒しはできません。

なので、自己破産をすると自分の返済義務はなくなりますが、保証人が代わりに支払うことになります。また、奨学金を借りていた人が死亡した場合でも返済義務は消えません。この場合も保証人に返済の督促が行くことになり、支払義務が移ります。
参考:奨学金の保証人になるリスクと返済に困った場合の対処法
 

ブラックリストに載る

奨学金の返済が3ヶ月以上滞ると、信用情報機関の金融事故情報(いわゆるブラックリスト)に載ってしまいます。その結果、クレジットカードやローンといった金融商品の審査に落ちることになり、借り入れなどをすることができなくなります。登録された情報は、延滞を解消しても完了後5年間は抹消されません。

20代の若者がブラックリスト入りする大きな原因が、この奨学金滞納と携帯分割購入利用時の延滞となっています。

奨学金の督促電話は毎日かかってくるような強行な姿勢を取ってくるわけではありませんので、ついつい軽く考えてしまいがちですが、「3ヶ月以上の延滞が続いた場合」に事故情報として信用情報機関にしっかり登録されてしまうことには注意しないといけませんね。

【関連記事】
▶︎ブラックリストに載る理由と消し方|ブラックリストの全知識
▶︎自分の信用情報を確認する信用情報開示請求の手順
 

裁判や差し押さえもありうる

奨学金でも延滞が続くと、債権回収代行会社に債権が譲渡され、そこから督促がかかり、それでも応じない場合は裁判所から差し押さえをされてしまう可能性があります。

債権回収会社が取り立てをはじめると、一括返済を求められたり、返済しなければ給料や財産の差し押さえという強硬手段に出てきます。公共料金滞納と同じ感覚で奨学金返済を滞納するのは非常に危険なことなのです。
参考:差し押さえにより起こりうるリスクとその対処方法

 

延滞金が発生してしまう

奨学金の返済が滞ると、当然延滞金が発生します。これは無利子型でも有利子型でも変わりません。2014年4月1日以降の発生分については年5%、それ以前の発生分については年10%もの延滞金が賦課されていました。
 

第一種奨学金
(無利息)

延滞している割賦金の額に対して、各返還期日から6月を経過した日(以下「延滞金賦課日」という。)ごとに、その6月について延滞金賦課日が平成26年3月31日までに該当するときは5%、平成26年4月1日以降に該当するときは2.5%の割合を乗じて計算した額の合計額が賦課されます。

第二種奨学金
(利息付き)

延滞している割賦金(利息を除く)の額に対して、返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて、平成26年3月27日までは年(365日当たり)10%、平成26年3月28日以降は年(365日当たり)5%の割合を乗じて計算した額の合計額が賦課されます。

引用元:日本学生支援機構|延滞金


このように、奨学金の返済義務は決して消えるわけではありません。つまり、
 

奨学金を踏み倒すことは、実質的に不可能なのです。

 

 

奨学金制度における3つの仕組み

奨学金制度は、大きく3つに分類できます。

①貸与型

名前のとおり「学費を借りる」奨学金制度です。貸付利子がつくもの(有利息型)と利子のつかないもの(無利息型)があります。日本学生支援機構の奨学金、地方自治体の奨学金、民間団体による奨学金のほか、教育ローンもこのタイプに分類されます。

日本学生支援機構の場合、無利息型が第一種奨学金、有利息型が第二種奨学金となっており、利息に関しても利率固定方式であれば利率が変わらない、低い金利となっています。
詳細:平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率

教育ローンは、銀行や信販会社、日本政策金融公庫などの金融機関で借りるローンです。他の奨学金と比べて借入利息が高いのが特徴となります。日本政策金融公庫の場合は年2.15%ほど、銀行や信販会社の場合は平均年3.0%~5.0%という設定になっています。

②給付型

名前のとおり「もらう」奨学金制度です。地方自治体の奨学金・民間団体の奨学金・各学校の奨学金と大きく3つに分類されますこのタイプの奨学金は、返還の義務がない制度です。このため、学業に専念でき、卒業後も返済の負担を抱える心配がありません。

③新聞奨学生

昔の大学生のアルバイトと言ったら新聞配達というイメージを持つ方も多いと思いますが、大手新聞社の多くが設けている奨学金制度をつかった「稼ぐ」奨学金制度を利用していたということなのでしょう。

新聞奨学生は進学後に新聞配達の仕事に就くことで奨学金制度が利用できます。各新聞社の制度によって支給額は異なりますが、1ヶ月10万円~15万円の給与のほか、住居や食事の支給がある場合もあります。

毎月新聞配達を通して安定した収入が得られるほか、卒業後に返還の義務はなく(在学中に利用を止めた場合は一部返済の可能性あり)、制度を利用したからといって卒業後各社に就職する必要もありません。

 

 

奨学金の返済が難しい場合に利用できる制度

奨学金を安易に滞納すると危険だということはお分かりいただけたと思いますが、返済が難しい場合はどうしたらいいのでしょうか。そんな場合に利用できる制度をまとめてみました。

繰り上げ返済を利用する

繰り上げ返済を行うと返済期間が短くなり、有利息型の場合は利息の節約につながることになります。この場合は全体の返済総額が少なくなるというメリットがあり、返済の義務という心理的負担がなくなり、以後の生活が安心して送れることになるでしょう。

返還の猶予を申し出る

貸与型の奨学金の場合は、その多くが返還の猶予を認めています。奨学金の返済が難しい場合は、早めに各奨学金窓口に相談をしましょう。経済的な理由、病気や事故、進学などの理由であれば、返還の猶予や一部免除が認められることがあります。
 

返還の猶予が認められると、承認された期間については返還がストップします。適用期間後に返還が再開され、それに応じて返還終了年月日も延期されることになります。

したがって、返還すべき元金や利息が免除されるわけではありませんが、延滞金が加算されることもありません。慌てて返還を行わずに済むので、生活の基盤を整えることができるでしょう。

日本学生支援機構の場合、以下の制度が利用できます。

一般猶予

猶予が適用される期間は通算で10年(120か月)がマックスになります。ただ、災害や傷病、もしくは生活保護受給中など、一定の条件に当てはまる場合にはこの制限はありません。しかし、災害原因が同じ場合は原則5年が限度になるようです。
参考:一般猶予

所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予

「所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予」とは、所得連動返還型無利子貸与奨学金を貸与終了後、一定の収入・所得を得るまでの間、願い出によって、一定期間返還期限を先延ばしする制度です。
引用元:所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予

簡単にいうと、お金が支払えるだけの余裕ができるまでは待ってほしいというお願いになります。

  • ・経済困難の場合:在学期間終了後の翌年7月以降
  • ・新卒の場合  :在学期間終了後の翌年6月まで

この期間中に願い出る必要がありますが、一度申請してしまえば基本的に適応期間に制限はないとされています。
 

経済困難な場合

理由として返還猶予制度を受ける場合の収入基準額は、給与所得で年収300万円、自営業などは年所得200万円でしたが、2014年4月以降はこの基準額が緩めになりました。具体的には、下記の控除を差し引いて収入基準額を下回る場合にも、猶予制度の利用が可能となりました。

  • ・本人の被扶養者…1人につき38万円(親等へ生活費補助の控除も同額)
  • ・減額返還適用者は一律25万円を控除

 

新卒後収入が少ない場合

卒業後1年で収入が少ない場合や未就職の場合は、「新卒等」という項目で返還猶予の申請ができます。その際、申請書のほかに求職中であることを証明する書類(無職であることの証明書類や直近3ヶ月分の給与明細書類、所得が証明できる書類など)を提出する必要があります。

留学する場合

  • ・外国の学校に留学する場合、在学猶予手続きを利用することができます。
  • ・海外の大学に在籍中も返還の猶予が認められます。
  • ・国内の大学に学籍を残す場合は、その大学を通じて猶予手続を行うことになります。

国内の大学や大学院、その他の学校に進学する場合

国内の大学や大学院などに進学を希望する場合は、一般猶予として返還猶予の申請を行うことができます。卒業後1年以内であれば「入学準備中」として返還猶予の申請も可能です。また、防衛大学校や気象大学校、国立看護大学校などに在籍している場合、大学在学中として返還猶予が認められます。

国内外で研究員として勤務する場合

国内外で研究員として勤務し、かつ収入が少ない場合は、「外国で研究中」もしくは「特別研究員」として返還の猶予が認められます。

その他の場合

災害や事故に遭った場合や産休中・育児中の場合は、罹患証明書や休業証明書のほか、経済困難の証明書(前年度の所得証明書など)を提出することで一般猶予の申請ができます。

減額返済制度を利用する

日本学生支援機構の場合、返済額を半分にできる「減額返済制度」が利用できます。これは、一定期間「1回あたりの当初返済額を2分の1に減額」して、減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長する制度です。

例えば2年間1回あたりの返済額を半分にした場合、その分2年間は返済期間が延びることになります。したがって、全体の返済額が半分に減るわけではありません。一度の申請に対して適用は1年ですが、最長で10年まで申請することができます。

 

減額返還制度は、災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な方の中で、当初約束した割賦金を減額すれば返還可能である方を対象としています。一定期間1回当たりの当初割賦金を2分の1に減額して、減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長します。毎月の返還額を減額するため、無理なく返還を続けることができます。
引用元:日本学生支援機構|減額返還

 

 

奨学金を借りる際におすすめなのは所得連動返還型無利子奨学金制

日本学生支援機構には、平成24年から開始された所得連動返還型無利子奨学金制度という面白い制度があります。これは、無利子の第一種奨学金の一部に対して適用される制度となっています。

所得連動返還型無利子奨学金は、一般的な奨学金と同様、貸与型であり元本の返済義務があります。しかしその返還開始時期に違いがあり、卒業後収入が一定額以上を超えるまでの間は猶予されるという仕組みになっているのです。

一般猶予の期間は通常だと最長5年ですが、所得連動返還型無利子奨学金の場合は最長期間に制限がないのも特徴です。ただし、1年ごとに日本学生支援機構に申請をして承認を得る必要があります。

①返還が猶予される所得

  • ・会社員等…給与所得300万円以下
  • ・自営業等…所得から必要経費(控除分)を差し引いた金額が200万円以下


ただし、奨学金利用者が結婚などで被扶養者になった場合には、以下のいずれかに該当しないと返済の猶予を受けることはできません。

②被扶養者になった場合の返済猶予の条件

  • ・乳幼児がいる世帯で当該被扶養者以外に保育する者がいない
  • ・介護等を要する障害者、療養者または要介護者がいる世帯で当該被扶養者以外に介護等を行う者がいない
  • ・当該被扶養者が妊娠中
  • ・当該被扶養者が身体の障害ややむを得ない事情で仕事ができない

③猶予期間が終了したら

猶予期間が終了した後は、返済残額や1回あたりの返済額、返済回数等は全く変わりません。第一種奨学金は無利子なので、猶予を受けても金利がつくことはありません。

④利用には家族の所得制限もある

所得連動返還型無利子奨学金を利用できるのは、第一種奨学金に採用された者であるうえ、家計を支える者の所得金額(父母が共働きの場合は合計額)が以下の場合に限られます。

  • ・会社員等…給与所得300万円以下
  • ・自営業等…収入から必要経費(控除分)を差し引いた金額が200万円以下

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

奨学金だからと軽く考えて延滞をすると、最終的に本人・保証人への強制執行もあり得ることになります。奨学金の返済が苦しくなったら、延滞するより相談しましょう。

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は債務整理ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※債務整理ナビに掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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