個人再生後にクレジットカードを作る方法|新規発行の条件と手順
個人再生後は最長10年間、新規でクレジットカードを発行することができません。しかし、カードの種類や状況によっては発行できる余地があります。
生活様式の変化により金銭的に苦しい状況に陥った方は少なくないでしょう。中には個人再生を検討している方もいるかもしれません。
この記事では個人再生を行った人がクレジットカードを発行する上で必要な知識や作成方法などを解説します。
借金を放置していると、個人再生をしなくてもブラックリスト入りしてしまう可能性が高いです。
借金問題は早い段階での対処法が重要になります。
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個人再生後にクレジットカードを作るのが難しい2つの理由
個人再生後はクレジットカードの審査に通ることが難しくなります。
個人再生は借金を減額する手続きですので、金融機関にとっては、貸したお金が少なくなって返ってくるシステムです。
したがって、個人再生を利用した人は金融機関からクレジットカードを使用するだけの信用を持っているとは判断されません。
個人信用情報機関に事故登録されるため
個人信用情報機関に事故登録されるため、個人再生後にクレジットカードの作成が難しくなるケースがあります。
事故登録:返済の滞納や債務整理など金融機関に不利益をもたらした場合の情報
個人信用情報機関の仕組み
個人信用情報機関とは、信販会社や銀行、カード会社などの金融機関が登録している情報機関であり、利用者の情報(名前、住所、借入状況)を共有するための情報機関です。
登録した金融機関は、個人信用情報機関を通して利用者の情報を確認することができ、事故情報(返済の滞納や、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理)を行った利用者の情報を登録できます。
つまりカード会社は、クレジットカードの作成を申し込んだ人の審査の際に、個人信用情報機関を通じて個人再生を行った事実を確認できます。
各個人信用情報機関の事故情報の掲載期間
個人信用情報機関には、日本信用情報機関JICCと全国銀行個人信用情報センターKSCとCICの3つに分かれますが、それぞれの金融機関によって加入している情報機関は異なります。
クレジットカード会社に限ってはJICCとCICへ加入している割合が高くなっています。加入している情報機関は異なりますが、事故情報に関しては、登録された段階で全ての機関に共有されます。
そのため、あるクレジットカード会社Aが登録している情報機関とは別の情報機関に登録している金融機関Bが個人再生の対象であっても、結果としてクレジットカード会社Aは自分が登録している情報機関を通して、事故登録の有無を確認可能となります。
しかし、事故登録に関する取り扱いは情報機関によって異なります。
個人再生における各個人情報機関の事故登録の掲載期間は、日本信用情報機構JICCとCICにおいて、裁判所に個人再生が認められてから5年間、全国銀行個人信用情報センターKSCのおいては最長10年間です。
各個人情報機関の個人再生における事故登録の掲載期間 | |
日本信用情報機構JICC | 5年間 |
CIC | 5年間 |
全国銀行個人信用情報センターKSC | 10年間 |
返済期間中の返済の延滞は掲載期間が延長する
ただし注意点としては、個人再生は適用後、個人再生によって減額された借金を返済しなければなりません。返済の期日は決められており、返済の滞納は事故登録の掲載期間の延長期間が延びる原因になります。
事故登録から削除された後の掲載状況
では、事故登録の掲載期間が終了したら信用情報機関での取り扱いはどうなるのでしょうか。信用情報機関では、事故登録の原因を作った金融機関との取引履歴が、事故登録の削除と同時に白紙になります。
個人再生は裁判所を介した債務整理であり、全ての債権者(金融機関)が対象となります。したがって、個人再生後に事故登録が消された人の個人信用情報機関における情報は、どこの金融機関との取引も行っていないことになります。
【関連記事】信用情報の事故情報(ブラックリスト)を回復させる為にやるべきこと
クレジットカード会社によって審査基準があるため
クレジットカード会社が、利用者の審査を行う上で基準にしている内容が個人再生後のクレジットカード作成に影響する場合があります。
自社内のデータベースからの確認
個人信用情報機関の事故登録は、金融機関にとって利用者の審査をする上で有力な情報です。しかし金融機関にとって不利益になる行動を起こしたからといって、全ての情報を事故登録として掲載できるわけではありません。
事故登録の掲載にはある程度の条件があるため、他の金融機関で、不利益な行動を起こした人でも、審査の上で確認できないこともあります。
そのため、クレジットカード会社は、自社内で独自の事故登録の情報のリストを作成していて、このリストを元に、利用者の調査を行うことが審査の最初の流れです。
利用者の属性
またクレジットカード会社は、事故情報とは別に各利用者の、年収、職業、勤務年数をベースに審査を行っています。クレジットカードの審査を通過する上で、大切なことは会社側の信頼を勝ち取ることであり、これらの属性は各利用者が自身の信用を担保するための大切な情報です。
住まい:持ち家が有力
クレジットカード会社が審査する際の信用情報として、利用者の住まいも重要視されます。基本的に、アパートや貸家など賃貸物件は不利になり、持ち家があることが審査の上で有力です。万が一支払いが滞った時に持ち家を強制執行の対象とすることもできるからです。
個人再生後10年以内でもクレジットカードが発行できるケース
事故登録期間中だからといって必ずしも審査に通らないとは限りません。事故登録はあくまで審査の上での参考にする情報であり、カードの審査の判断は会社の任意で行われます。
収入や職業など担保できるものがある場合
クレジットカード会社が審査する上で重要視するポイントは返済能力の有無です。そのため個人再生後でも、支払いを怠らないと思わせるだけの担保があれば、カード会社にクレジットカードを発行してもらえる場合があります。
一定以上の収入が安定して入る見込みのある職種や役職についている人であれば、クレジットカードを発行してもらえるかもしれません。
分割・リボ払いなど高金利の返済方法を選択する場合
返済方法が、分割支払い、リボ払いのような高金利で会社側にとって利回りの高いクレジットカードの発行は、そもそも審査の基準が緩い傾向にあります。個人再生後でも、返済方式が分割支払いやリボ払いでのクレジットカードの発行が出来た例は珍しくありません。
しかし、通常の返済方法と比べ、分割支払いやリボ払いのような返済方法は、利便性の高さや高金利であるために、多くの人が借金を抱える要因です。個人再生は、借金問題を解決するための手続きですので、分割支払いやリボ払いでのクレジッットカードの発行はあまりオススメしません。
営業のノルマ達成シーズンである場合
クレジットカードの審査に最も通りやすい時期が、クレジットカードの新規顧客を獲得するための強化シーズンです。3月など年度末に行われることが多いですが、会社内の営業マンが躍起になって、営業成績を上げるために多少、強引な手口でも新規の顧客を増やそうとします。
そのためこの時期は審査の基準が緩くなりがちであり、年度末を狙えば、もしかしたら個人再生後でも、営業マンの裁量によりクレジットカードの発行が可能かもしれません。
個人再生後のクレジットカード作成に必要なことと手順
では、実際に個人再生後にクレジットカードの審査に通るために必要なことを順追って説明します。
その1.審査に通るクレジットカードの洗い出しをする
まず最初に、個人再生後に審査に通るクレジットカードのリストの洗い出しを行いましょう。
①各個人信用情報機関の事故登録状況の確認
そのためには、CIC、JICC、KSCの各情報機関における事故登録の確認を行います。確認は電話、郵送、メールで行うことができますが、詳しくは下記リンクを参考にしてください。
-
参照:「CIC|情報開示とは」
-
参照:「KSC|本人開示の手続き」
②各クレジットカード会社加入の個人信用情報機関の確認
各情報機関における事故登録の確認が完了したら、各クレジットカード会社が加盟している情報機関の確認を行います。
この際、自分が事故登録に掲載されている情報機関に加盟しているクレジットカード会社を、申請するリストから除外しましょう。
各クレジットカード会社が登録している個人信用情報機関の一覧 |
|||
CIC | JICC | KSC | |
三井住友カード | ○ | △(一部運用) | × |
アメリカンエキスプレス | ○ | ○ | ○ |
クレディセゾン | ○ | ○ | × |
三菱UFJ銀行 | ○ | ○ | ◯ |
三菱UFJニコス | ○ | ◯ | × |
三井住友信託銀行 |
○ | × | × |
JCB | ○ | ○ | × |
セブンカード | ○ | ○ | × |
ダイナース | ○ | × | × |
TSBキャピタル | ○ | ○ | ○ |
労金カード | ○ | ◯ | ◯ |
洗い出しを行う上での注意点
洗い出しの際、個人再生の対象になったカード会社はリストから外してください。
すでに自社内のブラックリストに載っている可能性が高いため、ほとんどの場合発行できません。また、個人再生の対象にしたカード会社の系列店が運用するクレジットカードも同じくリストから外しましょう。
その2.個人信用情報機関における実績を作る
クレジットカード会社の審査に通り安くするためには、個人情報機関における実績を作るべきです。というのは、個人再生後、事故登録の掲載期間が完了すると、全ての金融機関との取引履歴が白紙の状態になります。
カード会社側からしたら、どこの金融機関とも取引を行ったことがない人は、かえって過去に自己登録されたのではないかと怪しまれる可能性が高く、そのためきちんと、期日を守りながらカード利用を行った実績を新たに情報機関内で構築するべきです。
ケータイ電話の機種変更の分割支払い
また記録を作る上で、ケータイ電話の機種変更の分割支払いをオススメします。機種変更の分割支払いは、形式上はローンの返済であるため、情報機関内での記録を作ってくれるでしょう。
また現代で、ケータイ電話を持っている人がいないことから、ケータイ電話の機種変更の分割支払いは、カード会社が情報機関の利用者の記録を確認する上でも心象が悪くないでしょう。
その3.クレジットカード会社の審査基準を確認する
また申請するクレジットカード会社のリストが完成したら、各クレジットカード会社の審査基準を確認してください。審査に落とすかどうかは会社側の任意であるため、多少なりとも会社ごとに審査の基準が異なります。
自分の現在の状況(収入、職業)と審査基準にマッチングする会社を絞り出しましょう。
ネットを介した情報収集
各会社の審査基準に関しては、各会社ごとのサイトや、実際に申請を行った経験のある人の記事などをネットを介して情報を集めると情報収集しやすいでしょう。
その4.審査の緩いクレジットカードから作成する
先ほどの審査基準を元に、自分が審査に通りやすい、または審査の基準が緩い会社のクレジットカードを狙いましょう。もし他のクレジットカードの作成を希望されていたとしても焦りは禁物です。
何度もお伝えしましたが、クレジットカードの審査は、個人情報機関における実績を作ることが大切であり、ブランド力の高いクレジットカードほど、過去のクレジットカードの利用実績を重要視する傾向にあります。
また審査に落ちることは今後のクレジットカード審査に大きく影響を与えます。申込実績は情報機関に半年間は記録されることから、審査の緩い会社のクレジットカードを攻めるべきです。
申込の際の注意点:提出書類は綺麗に書く
審査に通りやすくするポイントとして、審査する側の心象を良くするためにも提出書類はなるべく綺麗に書きましょう。また字が汚い人は、ネットでの申し込みをオススメします。
【関連記事】個人再生とは|手続きの流れや効果をわかりやすく解説
クレジットカードが使用できない期間の過ごし方
デビットカードの代用
個人再生後すぐにクレジットカードを使用することはできませんが、デビットカードならば使用可能です。デビットカードとは、クレジットカードと同じくカード支払いが可能なカードであり、かつ事故登録の有無が審査基準に含まれないため、誰でも発行することが可能です。クレジットカードとの違いは、デビットカードは前払い式であり、カードの利用分は支払い後すぐに指定口座から引き落としが行われます。また使用時間の制限が厳しく、夜間や土日の利用ができません。
前払式のETCカードの利用
また前払い式のETCカードならば、事故登録機関に関わらずカードの発行は可能です。デビットカード同様、利用分の支払いはオンタイムで引落しされますが、事故登録の掲載期間中は、クレジットの様な後払い式のカードを発行することができないということを認識してください。
個人再生を行った方は、一度、借金問題を解決するために個人再生を行った方が多いので、お金の管理をきちんとするリハビリ期間だと割り切ってデビットカードやETCカードの利用をオススメします。
個人再生のデメリットはあるか?どう手続きを進めるのか?確認しよう
まずは、お近くの弁護士・司法書士事務所に次の4点を無料相談して、個人再生すべきか確認しましょう。
・具体的にどんなデメリットがあるか?
・どうやって手続きを進めるのか?
・費用はいくらぐらいかかるのか?
・そもそも個人再生できるか?あなたに合っているか?
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まずは、以下からお住まいの都道府県を選んで、無料相談しましょう。今すぐにお話できない方はメールがおすすめです。
もちろんあなたの都合やプライバシーを配慮しますので、安心して相談してください。
【関連記事】個人再生のメリット・デメリットを他の債務整理と徹底比較
まとめ
個人再生後に、クレジットカードを作成することは不可能ではありませんが、審査を通るためにはきちんと手順を踏まなければなりません。
2019年以降からキャッシュレス化が進んでいるため、クレジットカードが必要な場面が出てくるかもしれません。先進的で快適な生活を送るため、不明点があれば弁護士に相談してアドバイスをもらうとよいでしょう。
そのため発行までには、苦労がついて回ると思いますが、この記事が、個人再生後にクレジットカードを作成する上でお役立てたら幸いです。
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