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自己破産したら養育費はどうなる?減額・免除される?支払えない場合の対処法も解説

自己破産したら養育費はどうなる?減額・免除される?支払えない場合の対処法も解説

養育費を支払っている方の中には、日々のやり繰りに悩んでいて自己破産を考えている方もいるでしょう。

しかし、自己破産しても養育費の支払い義務は原則免除されません

自己破産すれば借金生活から解放されて人生を再スタートできるものの、養育費などの一部の債務は自己破産後も支払い義務が残ります。

養育費が支払えなければ調停や差し押さえなどに発展するおそれがあり、もし支払いが厳しい場合は元配偶者との減額交渉や弁護士への相談などを検討しましょう。

本記事では、自己破産する場合の養育費の扱いや、養育費が支払えない場合に起こること、養育費が支払えない場合の対処法や弁護士に依頼するメリットなどを解説します。

自己破産を検討している方へ

「借金返済の見通しが立たない」「収入が少なくて自己破産するしかない」という方は、なるべく速やかに弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットが望めます。

  1. 最適な解決方法や手続きの進め方をアドバイスしてくれる
  2. 借金の催促・取り立てを最短即日でストップできる
  3. 自己破産などの債務整理の手続きを代行してくれる など

当サイト「ベンナビ債務整理」では、自己破産などの債務整理が得意な全国の弁護士を掲載しています。

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【結論】自己破産しても養育費の支払い義務はなくならない

結論として、自己破産後も養育費の支払い義務は原則免除されません

自己破産は借金の減額効果が大きいものの、全ての支払い義務のあるものが帳消しになるわけではありません。

ここでは、自己破産の手続き内容や効果、養育費への影響などを解説します。

自己破産とは

自己破産とは債務整理のひとつで、裁判所を介して借金などの支払い義務の免除を求める手続きのことです。

ほかの債務整理としては任意整理や個人再生などがあり、自己破産は債務整理の中でも減額効果が大きいのが特徴です。

債務整理

自己破産の大きなメリットは、ほとんどの借金などの返済義務がなくなるという点です。

たとえ何億円もの借金を抱えていても、自己破産すれば返済義務が原則免除されて人生を再スタートできます。

ただし、自動車や持ち家といった財産が没収されたり、ブラックリストに登録されてクレジットカードやローンが一定期間利用できなくなったりするなどのデメリットもあります

養育費は非免責債権に該当する

養育費は、自己破産しても支払い義務が免除されない「非免責債権」に該当します。

養育費は子どもの養育や生活の保持のための重要な費用であり、破産者側の都合によって免責を認めるべきではないと考えられています。

したがって、自己破産しても破産者は養育費を支払い続ける必要があります。

なお、養育費以外には、以下のようなものが非免責債権に該当します。

  • 税金
  • 公共料金
  • 婚姻費用
  • 交通違反時の反則金
  • 刑事事件の罰金・科料
  • 健康保険料・介護保険料 など

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【ケース別】自己破産する場合の養育費の取り扱い

ここでは、自己破産前・自己破産中・自己破産後の養育費の扱いについて解説します。

1.自己破産前から滞納していた養育費の場合

自己破産前の段階で養育費の支払いを滞納していた場合、滞納分は破産債権という扱いになります。

ほかの借金と同様に自己破産手続きの対象となり、破産者の財産が換価・処分される際に元配偶者は債権者として配当を受けることになります。

なお、自己破産では「債権者平等の原則」というルールがあり、配当は各債権者に対して公平におこなわれます。

配当がおこなわれても元配偶者は全額回収できないことも多く、自己破産後も残った未払い分については再度請求することが可能です。

自己破産の手続き中に滞納分を支払うと偏頗弁済となる

自己破産の準備段階や手続き中に養育費の滞納分を支払ってしまうと、偏頗弁済とみなされて自己破産が認められなくなるおそれがあります。

偏頗弁済とは、債権者が特定の債権者にだけ借金を返済する行為を指します。

偏頗弁済は債権者平等の原則に反する行為であり、破産法にて免責不許可事由のひとつとして定められています(破産法第252条1項3号)。

「やむを得ず自己破産することになったものの、できるかぎり支払える分は支払っておきたい」「元配偶者から支払いを迫られている」というようなケースでも、優先的に返済するのは避けましょう

2.自己破産中に発生する養育費の場合

養育費は、毎月決まった日に一定額を支払うのが一般的です。

自己破産の手続き開始決定が出されてから毎月発生する養育費については、自己破産手続きの対象外となります。

自己破産とは関係なく、これまでの取り決めどおりに支払いを続ける必要があります。

3.自己破産後に発生する養育費の場合

自己破産の免責許可決定が出されてから毎月発生する養育費についても、これまでの取り決めどおりに支払いを続ける必要があります。

なお、養育費を滞納していて配当後も未払い分が残っている場合は、元配偶者から引き続き請求を受けることになります。

請求どおりに養育費が支払えないと、調停や差し押さえなどに発展するおそれがあります。

自己破産して養育費が支払えない場合はどうなる?

自己破産して養育費の支払いが滞った場合、元配偶者から何度も支払いの催促を受けたり、裁判手続きに移行したりすることになります。

主な裁判手続としては、養育費請求調停・履行勧告・履行命令・強制執行などがあります。

  1. 養育費請求調停:家庭裁判所にて、調停委員の仲介のもとで話し合って解決を図る手続き
  2. 履行勧告:家庭裁判所が債務者に対し、養育費を支払うように促す手続き
  3. 履行命令:家庭裁判所が債務者に対し、養育費の支払いを命じる手続き
  4. 強制執行(差し押さえ):債務者の財産を強制的に回収する手続き

養育費請求調停や履行命令などでも支払いに応じない場合、最終的には強制執行に移行して財産を強制的に回収されるおそれがあります。

また、養育費の支払い期限を過ぎると遅延損害金も発生するため、本来よりも金銭的負担が重くなります。

自己破産して養育費が支払えない場合の4つの対処法

自己破産して養育費が支払えない場合は、以下のような対応を検討しましょう。

  1. 元配偶者と減額交渉をおこなう
  2. 裁判所に養育費減額調停を申し立てる
  3. 養育費の時効が成立していないか確認する
  4. 弁護士に相談する

ここでは、それぞれの対処法について解説します。

1.元配偶者と減額交渉をおこなう

養育費の支払いが厳しい場合は、元配偶者と直接話し合って減額を求めましょう

養育費の取り決めを済ませて離婚したあとでも、当事者同士が合意すれば金額の変更は可能です。

元配偶者に給与明細や源泉徴収票を提示して現在の家計状況を示し、希望額の根拠や今後の支払い計画などを具体的に説明することで応じてもらえる可能性があります。

交渉が成立した際は、「言った言わない」のトラブルを避けるためにも、合意内容をまとめた合意書を作成しておきましょう。

2.裁判所に養育費減額調停を申し立てる

交渉による対処が困難な場合は、養育費減額調停を申し立てるのが有効です。

養育費減額調停とは、調停委員による仲介のもと、養育費の減額について家庭裁判所で話し合いをおこなって解決を図る手続きのことです。

調停委員は、当事者双方から主張を聞き取って争点を整理し、アドバイスや意見調整などもおこないながら解決に向けてサポートしてくれます。

基本的には当事者同士で顔を合わせることなく手続きが進行し、お互いが合意して調停成立となった場合は、合意内容をまとめた調停調書が作成されて終了となります。

3.養育費の時効が成立していないか確認する

養育費の取り決めをしてから時間が経っている場合は、時効が成立していないか確認しましょう。

養育費の時効期間は、取り決め方法によって以下のように異なります。

  • 当事者間の話し合いで取り決めた場合:支払い期日の翌日から5年、もしくは最後に支払った日の翌日から5年
  • 裁判手続きで取り決めた場合(調停・審判・訴訟など):手続き確定日の翌日から10年

なお、ただ時効期間を過ぎただけでは養育費の請求権は消滅しません

時効期間が経過したのち、元配偶者に対して「時効なので養育費は支払いません」という旨を書面などで伝える「時効の援用」をおこなうことで、時効の効力が発生します(民法第145条)。

4.弁護士に相談する

養育費の支払いで悩んでいるなら、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士なら、相談状況をヒアリングしたのち「養育費の減額が見込めるか」「いくらまで減額できそうか」などのアドバイスが望めます。

さらに、元配偶者との減額交渉や減額調停などの代行も依頼でき、法律知識や交渉ノウハウのある弁護士が対応することで減額できる可能性が高まります。

何度でも相談無料・後払い対応・分割払い対応などの法律事務所も多くあるので、弁護士費用が不安な方もまずは一度相談してみましょう

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自己破産後の養育費トラブルで弁護士に依頼する3つのメリット

自己破産後の養育費トラブルを弁護士に相談・依頼した場合、以下のようなメリットが望めます。

  1. 養育費の支払いについて法的視点からアドバイスしてくれる
  2. 元配偶者との減額交渉や減額調停を一任できる
  3. 養育費の回収手続きも代行してくれる

ここでは、弁護士にサポートしてもらうメリットについて解説します。

1.養育費の支払いについて法的視点からアドバイスしてくれる

弁護士なら、養育費の減額に向けた手続きの進め方や、減額を求める際の妥当額などについて法的視点からのアドバイスが望めます。

弁護士の助言を受けて交渉に臨むことで、十分な根拠に基づいて話し合いを進めることができ、お互いに納得のいく形での交渉成立が期待できます。

また、自己破産前の段階で相談すれば、借金問題の解決方法もアドバイスしてくれます。

任意整理・個人再生・自己破産のどれが適しているかは借金額や収入状況によって異なり、自分では「自己破産しかない」と思っていても別の方法で解決できる場合もあります。

弁護士なら、相談者の事情を総合的に考慮したうえで最適な方法を判断してくれて、スムーズな生活の再建が期待できます。

2.元配偶者との減額交渉や減額調停を一任できる

弁護士なら、代理人として元配偶者との減額交渉や減額調停にも対応してくれます。

これまで培ってきた知識やノウハウを最大限に活かして、できるだけ養育費の負担が軽くなるように尽力してくれるため、自分で対応するよりも減額できる可能性が高まります。

依頼後は弁護士が対応窓口となるため、元配偶者と直接やり取りせずに済むというメリットもあります。

また、自己破産前の段階で依頼すれば、債務整理の手続きを一任することも可能です。

任意整理の場合は債権者との交渉、個人再生や自己破産では裁判所とのやり取りが必要となりますが、弁護士なら大部分の手続きを代行してくれます。

3.養育費の回収手続きも代行してくれる

養育費を受け取る側も弁護士に依頼でき、養育費の回収手続きを代行してくれます。

いくら催促しても養育費を支払わない元配偶者に対しては、養育費請求調停・履行勧告・履行命令・強制執行などの裁判手続で回収を図ることになります。

弁護士なら、各手続きをサポートしてくれてスムーズな養育費の回収が望めますし、元配偶者が養育費の減額を求めてきた際も代理人として対応してくれます。

さいごに|自己破産や養育費の支払いで悩んでいるなら、ベンナビ債務整理で相談を

養育費は自己破産手続きの対象外であり、自己破産後も支払い続ける必要があります

離婚後でも養育費の金額は変更可能ですので、このまま支払いを続けるのが厳しい場合は減額に向けて弁護士にサポートしてもらうことをおすすめします。

弁護士なら、養育費の減額方法や妥当額についてアドバイスしてくれたり、元配偶者との減額交渉や減額調停を代行してくれたりなど、心強い味方になってくれます

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相談内容や地域から対応可能な弁護士を一括検索できますので、自己破産や養育費の支払いで悩んでいる方はぜひご利用ください。

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この記事の監修者
弁護士法人オーガスタ
樫塚 紘之 (第二東京弁護士会)
弁護士4名体制で全国のご相談に対応可能です。債権者との交渉に自信があり、豊富な対応実績を基に毅然とした態度で交渉に臨みます。
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編集部

本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。