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家賃滞納(未払い)の時効は5年|成立の条件と踏み倒しに伴うリスク

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
家賃滞納(未払い)の時効は5年|成立の条件と踏み倒しに伴うリスク
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家賃も「借金」に含まれる為、借金の時効の制度が適用されます。

これは意外と知られていないのですが、事実この時効によって数年分の家賃を一切払わなくてもよくなったという人もいれば、一方ではそれによって困り果ててしまった貸主が大勢いるのです。

今回はこの家賃と時効の関係について、深く掘り下げていきたいと思います。

また、半年程度の家賃滞納が続けば、時効成立以前に強制的に立ち退きを求められることがほとんどです。

よって、家賃滞納が続いている方は「家賃滞納から立ち退きまでの流れと立ち退き要請への対処法」も併せてご覧いただくことをおすすめします。

借金を抱えて家賃を支払えない方へ

家賃滞納が続くと、遅延損害金が発生する・連帯保証人に支払督促・給料や家財の差し押さえなどのリスクがあります。

借金を抱えて家賃を支払えない方は、弁護士に依頼するのがおすすめです。

弁護士に依頼することで、以下のようなメリットが望めます。

  • あなたの状況に適した借金の解決策をアドバイスしてくれる
  • 債務整理の手続きを代わりにおこなってくれる
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家賃を滞納し続けていても状況の改善は見込めません。

初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずは今後どのような対応を取るべきかアドバイスをもらいましょう。

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家賃滞納分が時効になるための条件

借金には時効があり、家賃滞納分においても時効の適用対象となります。

これは、一定の状態が長期に渡り継続した場合、社会の法律安全の安定を図るために、その状態をそのまま権利関係として認めるという考えや、長年権利を主張しなければ保護する必要がない、という考えに基づくものです。

それでは家賃の時効を成立させる場合は、一体どのような条件があるのかを以下にまとめていきましょう。

家賃滞納から5年以上過ぎている

家賃のように毎月定期的に発生するものについては民法169条が適用され、5年で時効によって消滅します。

一般的に債権の時効期間は民法第167条で10年とされていますが、短い期間に生じた金銭の給付に関しては5年とされています。

(債権等の消滅時効)
第百六十七条 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2 債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。
引用元:民法第167条

(定期給付債権の短期消滅時効)
第百六十九条 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。
引用元:民法第169条

5年を超えた分は時効だが全ての債権がなくなるわけではない

もしあなたが家賃の滞納をして5年の時効期間が過ぎていた場合でも、全ての債権が無くなるわけではありません。

家賃滞納の時効が適応されるのは、「5年を超えた分だけ」となります。

つまり、5年を超えていない分の家賃は請求が可能になるということです。

訴えられていないこと

もし裁判を起こされていたりすると「時効まで残り何年何日」というカウントダウンが止まってしまうことになります。

時効までの5年間、家賃を払っていない

時効までの5年間は一切滞納した家賃を支払ってはいない、ということも時効成立のための条件になります。なぜかというと、「支払った=滞納を認めた」とみなされてしまうからです。この件については次項でも詳しく解説していきます。

時効の起算点はいつなのか?

貸主が権利を行使できるときからカウントされますので、通常は支払い期限の翌日からとなります。

不動産の貸主は時効の阻止が可能

家賃を滞納した側は時効で支払い義務から解放されるのは喜ばしいことですが、貸主にとってはとても困ることです。そこで、法的には貸主には時効を食い止める手段も与えられています。

それが時効の中断という、時効の進行を止め、今までの時効期間の進行をすべてなかったことにする制度です。

つまり時効の中断を貸主側から受けると、家賃を滞納し続けても支払い義務はなくならないということです。時効の中断をするには大きく分けて3つの方法があります。

請求

貸主(債権者)から滞納者(債務者)へは様々な請求を行うことが出来ます。以下が行える請求の一覧になります。

訴状の提出

時間と費用をかけて訴訟を行うこと。

② 支払催促

債権者が契約書や債務確認書などの証拠品持参し、簡易裁判所に申し立てること。

③ 調停申し立て

調停(裁判所)で行う話し合いのこと。

④ 即決和解申し立て

訴状提出前の和解のこと。

債務の承認

債務者が1円でも借金を返済した場合、債務の承認にあたり時効は中断します。

さらに、債務の承認は時効期間が満了した場合でも時効を中断する効果があり、時間期間が満了したあとに債務の承認を行ってしまうと、再び一から時効をやり直すことになります。

差し押さえ

訴訟や支払催促などにより裁判所が債権者に強制執行の許可を出すと、債権者が債務者の財産を差し押さえることが出来、これにより時効は中断します。

時効の援用|だたしデメリットもある

滞納している債務者側が時効成立の為のアクションを起こして初めて時効が成立します。このアクションのことを「時効の援用」と言います。

内容証明郵便で「消滅時効を援用する」という意思を債権者に明確に示し、それを債権者が受け取れば時効の援用が行えたことになります。

ただし、時効援用するということは、「踏み倒す」「逃げ続ける」ということですから、相応のデメリットもあります。

住民票を新しく出来ない

住民票を移すことにより債権側に新しい住所が特定され、催促書類等の連絡が来続けることになります。住民票は何かと必要になる書類なので、用意できないとなると日常生活に支障をきたします。

時効が成立するまでは借金が増えていく

時効が成立するまでの間は、家賃滞納分の借金が増額されていくことになります。

精神的につらい

本来支払うべきものを支払わずにいるという行為は、申し訳なさやうしろめたさに苦しめられたり、怯えたり不安になったりと精神に負担がかかります。時効までの長期間このストレスと戦うのはかなり苦しいことです。

借金により家賃が払えない場合の債務整理の方法

現在借金を抱えており、家賃を支払うことが困難であるという人は、時効で踏み倒そうと考えるよりも、債務整理を行うことの方が先決です。

債務整理とは、法的に借金を減額したり、チャラにしたり出来るものになります。以下に記述していきましょう。

過払い金請求

過去(2010年の改正貸金業法施行前)に払い過ぎていた利息の返還請求を行うことが出来る制度です。

ただし、誰でも過払い金の請求ができるわけではありません。当時高い金利でお金を貸していた消費者金融、カード会社から借り入れを行っていた人が対象となります。

任意整理

任意整理とは、裁判所を通さずに債務者(借金をしている人)と債権者(お金を貸した人)が法律に基づいて話し合いをして、和解を進めていく方法です。

この任意整理を専門家に依頼することで、本人の代わりに交渉、借金の減額手続きを全て行ってもらえます。裁判所を通さないので、借金の原因は結果には影響しません。

手続きをする債権者を選べる反面、借金を減額した債権者を一件ずつ交渉しなければいけないため手続きが面倒な場合もありますが、専門家に依頼することで、代行してもらうことが可能です。

個人再生

除く借金の総額が5,000万円以下の債務者が、借金の10%(最低100万円)を3年で分割返済をすると、残りの90%は免除される、という制度です。

借金に悩まされている人の再生を図るという観点から、個人再生と呼ばれています。

裁判所を介して、借金の減額を行い残りの返済額を返済する計画を立てるための手続きです。(返済期間は3年)任意整理と比べ、借金を大幅に減額することができます。

自己破産

自己破産とは、所有している財産(車等)を処分しても返済のメドが立たないことを裁判所に認めてもらい、借金をゼロにしてもらう制度です。

つまり、借金返済がどうしても困難なときに利用する最終手段と言えるでしょう。

自己破産をした場合には、官報(国が発行している新聞)に氏名が掲載され、数年間は自動融資カードローンを含むローン全般やクレジットカード、及びカードによるキャッシングが利用できなくなります。

自己破産のデメリットに関してはしっかりと把握した上で決断されるのが望ましいです。

借金を大幅に減額できる可能性があります。

もしあなたに借金があって、返済で大変な思いをしているようでしたら、『債務整理』という方法で借金を大幅に減額できる可能性があります。

債務整理とは、借金返済を続けるのが難しい方のための、法律で認められた救済制度です。

弁護士・司法書士に借金減額を依頼

消費者金融や銀行のカードローン、クレジットカードのリボ払いなどの借金を大幅に減額することができます。

実際に借金はいくらぐらい減る?

実際に支払いがどのぐらい減るのかというと
例えば、金利18%で150万円を借りていて、毎月4万円を返済している場合

【減額前】
月々の返済額:4万円
利息を含む総返済額:217万円
※小額でも追加で借入した場合、総返済額はもっと増えます。

【減額後】
月々の返済額:2.5万円
利息を含む総返済額:150万円

月々の返済額は1.5万円、総返済額は67万円も減らすことができます。

ちなみに、上で紹介した【減額前】の利息を含む総返済額217万円は、毎月きっちり返済して、追加での借入を一切行わない場合の金額です。

毎月返済しながらも、ついついお金が足りなくなって、少ない金額でも追加で借りてしまうことがありませんか?

その場合は、完済までもっとお金がかかりますし、そもそも完済できずに利息を払い続けるなんてことになりかねないので、減額できる金額(利息分)はもっと増えます。

債務整理にもいくつか種類がある

債務整理にもいくつか方法があって、上の減額例は『任意整理』という方法を利用した場合の例です。

『任意整理』は、あなたの代わりに弁護士や司法書士が金融期間と交渉して、今後支払う利息をカットして、元本の金額だけを返済できるようにする手続きです。交渉によっては利息だけでなく、元本の金額の一部を減額してもらえることもあります。

『任意整理』の他にも、収入が大きく減ったり、働けなくなった方には、借金の総額を8割ほど減らせる『個人再生』借金をゼロにする『自己破産』等の方法もあります。

どの方法でも弁護士や司法書士があなたの代わりに手続きをしてくれるので、面倒な手間や複雑な手続きはありません。

あなたの状況に応じて、ベストな方法を選ぶ必要があります。自分で判断するのは難しいと思いますので、債務整理・借金問題が得意な弁護士・司法書士に相談して、あなたに最も合う方法を見つけましょう。

費用はかかるが、損することはない

債務整理の手続きは弁護士・司法書士に依頼することになりますが、依頼費用がかかります。

費用がかかると戸惑ってしまうと思いますが、借金が減った金額以上に依頼費用がかかることはありませんので、あなたが損することはありません。

また依頼する前に費用がいくらかかるか提示されるので、その金額を確認した上で依頼するかどうか決めることができます。

今手持ちのお金がなくて費用が払えなくても、分割払いや後払いに対応している事務所がほとんどですので、その点も安心してください。

まずはお近くの事務所に無料相談しよう

まずは、お近くの事務所に以下3点を無料相談して、債務整理すべきか確認してみましょう。

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まとめ

経賃滞納分の返済義務から解放される時効という制度があったとしても、意図的に踏み倒そうとするのは推奨できません。

冒頭でもお伝えしたように、そもそも家賃滞納をしたまま5年も住み続けることはまずありません。

部屋を借りたのであれば、支払うべきものは支払うのは当然のことであり、貸した側に負担をかけてしまうのはよくありません。

家賃の支払いが困難になりそうな時は、支払いをしないままにしておくのではなく、貸主側にその旨を伝えるようにしましょう。

家賃の滞納のリスクに関しては、以下の記事も参考にして下さい。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。