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自己破産したら生命保険の解約は絶対?解約返戻金はどうなる?

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
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自己破産をした場合、生命保険も財産に該当するため、解約しなければならないケースがあります。また、解約返戻金も金額によっては没収されてしまいます

ただし、すべての保険を解約しなくてはいけないわけではありませんし、返戻金も手元に残る可能性があります。

この記事では、自己破産時の生命保険をめぐる問題について解説していきます。

自己破産と生命保険をめぐる問題

Q1:生命保険は必ず解約が必要?

Q2:解約返戻金はどのくらい手元に戻る?

Q3:自己破産申し立て直前に生命保険を解約するのは違法?

Q4:生命保険を親が支払っている場合どうなる?

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この記事に記載の情報は2023年11月20日時点のものです

自己破産時の生命保険は解約が必要?

ここでは、生命保険の解約が必要なケースや、解約しなくてよいケースをご紹介します。

生命保険の解約が必要なケース

自己破産の際に、生命保険の解約が必要になるのは「積立型(貯蓄型)」に加入してる場合です。

これは、生命保険を解約すると返ってくる「解約返戻金」というお金が、資産として処分の対象に含められるからです。

生命保険の解約が不要なケース

生命保険を解約しなくてよいケースもあります。その一つが、「掛け捨て型」の生命保険に契約している場合です。

生命保険には大きく分けて「積立型(貯蓄型)」と「掛け捨て型」がありますが、このうち解約返戻金が返還されるのは「積立型」の場合だけです。

そのため、「掛け捨て型」の生命保険に契約している場合は、自己破産した場合でもそのまま契約を続けて問題ありません

また「積立型」の場合でも、解約返戻金に相当する財産を別途調達して破産管財人に納付することで、解約せずに済む場合もあります。

他にも生命保険を解約しなくてよいケースとして、ほかには「自由財産拡張制度」や「契約者貸付制度」、保険法の「介入権制度」を利用する場合が考えられます。

あなたが加入している保険が、これら3つに当たる場合、扱いがどのようになるのかは弁護士などの法律専門家に、具体的な制度内容を聞くことをおすすめします。

複数の保険に加入している場合

複数の生命保険に加入している場合は注意が必要です。後述するように、解約返戻金が返還される場合でも、返戻金額が20万円未満のときは解約の対象にはなりませんが、複数の保険に加入している場合、各返戻金を合算した額が20万円以上になれば、解約しなければなりません

例えば、A保険の返戻金が5万円、B保険の返戻金が10万円、C保険の返戻金が15万円だったとすると、それぞれの金額が20万円未満なので各保険契約は解約しなくてもよいようにも見えますが、複数の保険に加入している場合は各返戻金を合算して判断するため、各保険契約を解約しなければなりません。

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生命保険の解約返戻金はどうなる?

解約時に戻ってくる返戻金はどうなるのでしょうか?

20万円未満の解約返戻金は自由財産

解約返戻金が返還されても、返戻金額が20万円未満である場合は「自由財産」となります。

破産手続きにおいては、手続き開始時に破産者が所有している差し押さえ可能な財産(土地や建物など)は「破産財団」に組み入れられ(破産法34条1項)、これらの財産を処分して金銭に換え(換価処分)、貸金業者などに分配します。

しかし、差し押さえ可能だからといって、破産者のあらゆる財産を換価処分にしてしまうと、破産者は無一文となり、生活していくことが非常に困難になります。

そこで、破産者が所有している財産のうち一定のものについては「破産財団」に組み入れず、破産者がその財産を自由に処分できることになっています(破産法34条3項各号)。このような財産を「自由財産」と言います。

そして、東京地方裁判所の場合、生命保険の解約返戻金の額が20万円未満であれば、一律に「自由財産」として破産者が自由に処分することを認めています(破産法34条4項参照)。そのため、解約返戻金が20万円未満であれば、生命保険を解約しなくて済みます。

20万円以上の解約返戻金は破産財団に含まれる

しかし、20万円以上の場合、解約返戻金は「破産財団」に含まれることになります。特に「積立型」の保険契約に長期間契約していると、解約返戻金が20万円を超えることがほとんどでしょう。

解約すればどれほどの返戻金が戻ってくるかは、契約している保険会社に問い合わせれば確認できます。20万円を超えていない可能性がある場合は、解約する前にまず問い合わせてみるとよいでしょう。

自己破産申し立て直前に解約するのは違法?

ここまで記事を読んで、「それなら破産申し立てをする前に解約した場合はどうなるのか」という疑問を抱いた方もいらっしゃるかもしれません。このようなケースについて、以下で解説します。

「解約」するだけなら違法行為にならない

生命保険契約を解約すること自体は、何ら問題ありません

そして解約したことで返戻金が戻ってきますが、このお金を弁護士などへの相談料・依頼料や、生活費、入院代、学費など、生活を送る上で必要な費用に充てることも認められています。

違法になるケース

ただし、次のようなケースでは問題となります。

  1. 特定の借り入れ先にのみ借金を返済するケース
  2. 返戻金を隠す意図で現金化や契約者の変更を行うケース

①のケース

①のケースは、支払い不能となった後に生命保険を解約し、返還された解約返戻金で特定の貸金業者のみに返済するような場合です。

このような「偏頗弁済(へんぱべんさい)」を行うと、この弁済が否認される可能性がありあります。また、場合によってはこの偏頗弁済行為を理由に、免責を不許可とされる可能性もあります(破産法252条1項3号)。

債権者は、債務者が破産した場合、破産手続きを通じて公平な取り扱いがされます(これを「債権者平等の原則」といいます)。

しかし、上記のような偏頗弁済があれば特定の債権者は多くのお金を返してもらえる一方、ほかの債権者は少額しかお金を返してもらえないという状況が生まれてしまいます。

このような不公平を回避するために、偏頗弁済は管財人によって否認の対象となりますし、悪質な場合は免責不許可の理由とされるのです。

②のケース

②のケースは明らかに悪質といえるでしょう。このような行為を行うと、①と同様に免責不許可決定がなされる可能性があります(破産法252条1項1号)。

また典型的な詐害行為(破産者が自ら意図的に責任財産を減らす行為)として、契約者の変更を行っても否認されることになります(破産法161条1項)。

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破産者の生命保険を親が支払っている場合

また、破産者本人ではなく、親などが生命保険料を支払っている場合はどうなるのでしょうか。

破産者の名義で契約していた場合

仮に破産者の親が保険料を支払っている場合でも、契約者名義が破産者の場合、保険契約上の地位は破産者の資産であり、その解約返戻金は「破産財団」に組み込まれます。

つまり、破産者の名義であれば、たとえ保険料を親族が負担していたとしても、契約は解約され、返戻金は換価処分の対象となります。

ただし、親が破産者の名義を便宜的に用いているだけで、実質的な契約主体が親であると評価できる場合は、例外的に「破産財団」に組み込まれないという考え方もあり得ます。しかしこのようなケースは限定的でしょう。

親名義の生命保険でも解約する必要がある?

親名義の生命保険は、親の財産であり破産者とは関係がないので解約は不要です。

破産手続きでは、あくまで破産者自身の財産が問題となるため、名義が親であるならば解約の対象とはなりません。これは破産者の配偶者の場合でも同様です。

しかし、破産前に保険の名義を破産者から親に変更すると、詐害行為として「免責不許可」の理由とされる恐れがありますし、名義変更自体も否認されてしまうことでしょう。

少しでも財産を残そうとして取った行動が、のちのち自分の首を絞めることになるので、破産前の行動には慎重になりましょう。

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まとめ|自己破産後に生命保険に加入できる

ご説明してきたように、自己破産した場合は生命保険を解約しなければならないことがあります。

しかし、破産手続き終了後は、高齢や病気などの事情がない限り、新たに生命保険に加入することができます。新規の借り入れについては、個人の信用情報が見られるため、破産後しばらくの間はできませんが、生命保険の場合はすぐにでも加入することができます。

保険を解約しなければならないことで、悲観的になることはありません。もし、この他にも、自己破産に関して不安がある場合は、弁護士などに相談することをおすすめします。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。