任意整理後に払えないときは?対処法や延滞するリスクを解説
- 「任意整理後に支払いができなくなるとどうなるのか」
- 「お金の工面が難しい場合はどうすればよいのか」
任意整理によって借金返済の負担は大幅に抑えられますが、さまざまな事情によって金銭的な余裕がなくなり、支払えなくなることは決して珍しくありません。
実際、収入が下がったり、想定外の支出が生じたりして任意整理後の支払いが難しくなり、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、任意整理後に払えないときの対処法や延滞するリスクを解説します。
困ったときの相談先も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
任意整理後に払えなくなったときの対処法
任意整理後に払えなくなった場合は、段階に応じた対処法を講じることが大切です。
自分自身が置かれている状況を踏まえつつ、以下で紹介する4つの対処法を試してみてください。
1. 1ヵ月分の支払いができない場合:翌月に2ヵ月分を支払う
とりあえず1ヵ月分の支払いができない場合には、翌月に2ヵ月分を支払うようにしましょう。
滞納は好ましくないことですが、1回分であれば基本的に大きな問題にはなりません。
翌月までにまとまったお金を用意できない場合は、1回分の滞納状態を維持しながら、ボーナスで支払うといった方法もあります。
ただし、入金が確認できないと債権者から催促される可能性もあるので、事前に連絡しておくことも大切です。
2. 2ヵ月続けて支払いができない場合:再和解
2ヵ月続けて支払いができない場合は、再和解をおこなわなければなりません。
一般的に、任意整理後に2回分以上の滞納が生じると一括請求を受けてしまいます。
そのため、一括返済できるだけの余裕がない場合には、再度任意整理をおこなう「再和解」が必要になるのです。
とはいえ、一度滞納したことがある相手に対して、債権者が同様の条件で和解してくれるとは限りません。
ある程度、条件が厳しくなることを想定したうえで、交渉に臨むようにしてください。
3. 再和解でも支払えない場合:追加介入
再和解でも支払えない場合は、追加介入ができないかどうかを検討してみてください。
追加介入とは、任意整理する債権者を増やすことです。
まだ任意整理をしていない債権者がいる場合にのみ実行できる方法ですが、返済総額を減らし、家計の大幅な改善が期待できます。
しかし、任意整理は保証人に返済義務が移るといったリスクもあるため、追加介入するかどうかは慎重に検討しなければなりません。
4. 再和解・追加介入でも支払えない場合:個人再生・自己破産
再和解や追加介入も難しい場合には、個人再生・自己破産に踏み切るのもひとつの方法です。
個人再生・自己破産はどちらも裁判所を解する手続きであり、任意整理よりも強力な債務整理の方法なので、現状を打破できる可能性があります。
個人再生 |
自己破産 |
|
借金の減額幅 |
5分の1程度まで減額される |
全額免除される |
職業制限 |
なし |
手続き中は士業・警備員・貸金業などの職業に就けなくなる |
借金の理由 |
問われない |
免責不許可事由に該当する場合は自己破産できない |
財産処分の有無 |
なし |
一定額以上の財産は処分される |
財産を残したまま借金を整理したい場合は個人再生、返済不能状態にある人は自己破産を選択するケースが一般的です。
しかし、どちらを選択すべきかは個々の状況によって異なるため、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
任意整理後に滞納するリスク
任意整理後に滞納すると、金銭的余裕がない中で、さらに負担を大きくしてしまうことにもなりかねません。
ここからは、滞納によって想定される3つのリスクを解説するので、参考にしてみてください。
1. 残額の一括返済を求められる
任意整理後に2回分以上の滞納をしてしまうと、残金の一括払いを請求されることがあります。
任意整理の和解書には、「2回分以上遅延した場合は期限の利益を喪失する」などと記載されているケースが一般的です。
期限の利益とは、「個々の支払期限がくるまでは支払わなくてよい」という約束を指します。
つまり、滞納によって期限の利益が喪失されると、直ちに残金を全額支払わなければならなくなるのです。
一括請求に応じられない場合には、強制執行を受けるおそれもあるので十分注意しておきましょう。
2. 遅延損害金が加算される
任意整理後に滞納した場合、遅延損害金が発生するケースもあります。
滞納時の遅延損害金については、和解する際に取り決めをおこなっているはずです。
滞納すると和解で取り決めた利率が適用され、残額を完済するまでは返済の負担がさらに増えることになります。
3. 弁護士が辞任することもある
任意整理の手続きを弁護士に任せている場合は、滞納によって辞任される可能性があります。
身勝手な理由による滞納は、依頼者のために尽力している弁護士を裏切る行為です。
ケースバイケースではありますが、信頼関係が損なわれたことを理由に、契約を解除される可能性も否定できません。
弁護士が辞任すると、債権者とのやりとりや入金手続きなどの事務作業の負担も生じてきます。
返済が難しくなった場合なども、事前に相談していれば弁護士が助けてくれるので、こまめに連絡を取り合うようにしておきましょう。
任意整理後に払えなくなった場合の相談先
任意整理後の支払いが難しくなった場合の相談先は主に2つあります。
自己解決しようとせず、問題が大きくなる前に相談することを心掛けましょう。
1. 自分自身で返済しているケース:債権者に相談
自分自身で返済している場合は、まず債権者に相談してください。
滞納してしまう理由や支払いのめどを丁寧に説明すれば、柔軟に対応してもらえる場合もあります。
また、1回分の滞納であれば基本的にペナルティはないものの、必ず債権者に連絡し、返済する意思があることを示しておくことが大切です。
再和解をする場合などには、債権者との関係性が大きく影響してくることを念頭においておきましょう。
2. 支払いの代行がおこなわれているケース:依頼先の事務所に相談
弁護士や司法書士に支払いの代行を任せている場合は、依頼先の事務所に相談しましょう。
早い段階で相談しておけば、支払いの猶予などについて債権者と交渉してもらえることがあります。
また、返済がどうしても難しい場合には、個人再生や自己破産などの適切な選択肢を示してくれるはずです。
相談がなければ弁護士や司法書士も動けないので、できるだけ早く事情を説明するようにしてください。
任意整理後のトラブルは弁護士に相談を
一度任意整理を選択し、和解を成立させたのであれば、和解内容はしっかり守りましょう。
もし和解内容どおりの弁済が難しくなった場合には、できるだけ早く弁護士に相談してください。
再和解や追加介入、個人再生・自己破産など複数の対処法のなかから、依頼者によって最適なものを提案してもらえます。
支払えないまま放置していると問題が大きくなるだけなので、まずは専門家のアドバイスを受けることが大切です。
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