破産管財人とは?役割や権限について知っておくべき4つの事


2019年、破産総件数は79,318件で、そのうち6,585件は破産手続き終結、25,141件は異時廃止になり、計31,726件に破産管財人が選任されたと言われています。その数は全体の約40%に上ります。
参考:第108表 破産既済事件数―破産者及び終局区分別―全地方裁判所
破産管財人(はさんかんざいにん)とは、破産手続きする際に、申立て人の財産を管理したり、その他諸々の事務を行ったりします。
破産管財について知っておくことで、より免責が受けやすくなります。この記事では、
- 破産管財人とは
- 破産管財人の権限や監督・コントロール
- 破産管財人が必要なケース
- 破産管財人の選ばれ方
- 破産管財人の費用
この5つを中心にご紹介します。
1.破産管財人とは
- 破産管財人(はさんかんざいにん)とは
- 破産管財人とは、裁判所から任命された弁護士のことです。破産手続きにおいて債務者の代わりに債権者に対し弁済や配当を行ってくれます。
破産管財人は、裁判所の代理人的な立場にあると考えるのが良いと思います。
破産者の味方として破産者の経済的更生を図るという公正中立な立場であり(破産法1条)、債権者の味方として破産者の財産を調査・管理・換価処分して各債権者に弁済または配当することが主な仕事になります。
また破産管財人と面談する際、少し緊張するかもしれませんが、正直にすべてを話しましょう。
最後まであなたをサポートしてくれるはずです。
2.破産管財人の権限や監督・コントロール
破産管財人の権限
管財人に許された権限には以下のようなものがあります。
- 不動産や船舶の任意売却(78条2項1号)
- 鉱業権や漁業権、特許権、意匠権や商標権、著作権又は著作隣接権の任意売却(78条2項2号)
- 破産財団の事業譲渡や商品の一括売却(78条2項3号・4号)
- 債権や有価証券の譲渡・動産の売却(78条2項8号)
- 破産者に宛てた郵便物または信書便物の閲覧(81条・82条|嘱託回送)
- 破産財団に属する帳簿や書類、物件の検査(83条) ※()内は破産法の根拠条文
これらは基本的に裁判所の許可や指示が必要になりますが、許可があれば管財人はこのような権限を有することになります。
著作権や特許権なども破産財団(処分可能な財産)となり、破産管財人による任意売却の対象となります。
また、過払い金返還請求の権利も、法律上は債権であり立派な資産なので、破産財団に属し、管財人によって処分・回収される対象になります。
このため、一部の債務について過払い金などが発生している場合は、裁判所の命令によって過払い金請求を破産管財人代わりに行うことがあります。
破産管財人の監督・コントロール
破産管財人が多くの権利を持っていることに不安を感じる人もいるかと思います。破産管財人に対し、裁判所・債権者(お金を貸した人)・債務者(申立て人)ができることについてご紹介します。
裁判所
- 破産管財人は裁判所の監督に服する(破産法75条1項)
- 破産管財人の解任権も裁判所にある(75条2項)
債権者
- 債権者委員会は裁判所に意見の陳述を行うことができる(144条3項・145条2項)
- また、管財人は債権者委員会(債権者の集まり)に対して報告義務を負う(146条)
- ・債権者は破産管財人の計算報告書に異議を述べることができる(破産法88条4項・89条3項)
この計算報告書は、管財業務全般について行われ、管財業務の経過や収支などが記載されるものです。また、裁判所に対して破産管財人の解任を申し立てる権利もあります(75条2項)。
債務者(申立て人)
- 破産者本人も、管財人の計算報告書に異議を述べることができる(破産法88条4項・89条3項)
- 債権者同様、裁判所に対して解任申立権を持っている(75条2項)
破産管財人を監督する立場には裁判所のほか、債権者や破産者も含まれています。決して管財人が好き勝手に職務を遂行するわけではないので、不安に思うことはありません。
3.破産管財人が必要になるケース
自己破産手続きでは『管財事件』と判断されることで、破産管財人が選任されます。ここでは、管財事件になるケースについて個人と法人に分けてご紹介します。
管財事件になる個人のケース
個人の自己破産が管財事件になる大きな判断基準は大きく分けて以下の2つです。
- 換金できる財産が200万円以上ある
- 借金原因を調査する必要がある
少しでも免責不許可事由に該当する可能性がある場合(私的な浪費や元から返済する気がなく借金したなど)は、管財事件となるのが一般的です。
管財事件になる法人のケース
法人が自己破産した場合、ほとんどが管財事件になります。
法人が破産をすると法人・会社が消滅することになるので、財産や資産をすべて処分しておかなければなりません。また、債権者・取引先・従業員など多くの利害関係人が存在するため、これらの利害関係人の利益を調整して適切な配当等の措置を取る必要があるからです。
4.破産管財人の選任
破産管財人には、破産法の知識をもち、実務経験のある人が選任されます。そのため、申立て裁判所の管轄地域に属する弁護士の中から選ばれるのが一般的です。
例えば、東京地方裁判所の破産事件であれば、東京都23区内に所在する法律事務所の所属弁護士が選任されます。
5.破産管財人への報酬
破産管財人への報酬は、破産者が負担することになります。ただ、裁判所に支払った予納金がこの報酬となるので、改めて追加で支払うということはありませんので安心してください。
予納金の形ではなく、依頼している弁護士から直接破産管財人に報酬が支払われる場合もあります(引継予納金と言います)。
1.個人の場合
少額管財の場合は20万円程度です。一般的な管財事件の場合には50万円以上となります。
負債総額 | 予納金 |
~5000万円未満 | 50万円 |
5000万円~1億円未満 | 80万円 |
1億円~5億円未満 | 150万円 |
5億円~10億円未満 | 250万円 |
(※東京地裁の例)
2.法人の場合
法人の一般的な管財事件の場合は、70万円以上となります。
負債総額 | 予納金 |
~5000万円未満 | 70万円 |
5000万円~1億円未満 | 100万円 |
1億円~5億円未満 | 200万円 |
5億円~10億円未満 | 300万円 |
(※東京地裁の例)
まとめ
4つのことについて解説しましたが、破産管財人を簡単に説明すると、あなたの自己破産をサポートする人です。自己破産をスムーズに進めるためにも、破産管財人からの質問は正直に答えましょう。
また、自己破産をした際に管財人が選任されるか、されないかについては、自己破産が得意な専門家に無料相談することをおすすめします。

闇金問題の相談窓口【初回相談無料/分割払い・後払い対応】闇金問題に豊富な経験あり・月間400件以上の解決実績のある司法書士が違法な取り立てからお客様を解放します/任意整理・時効援用にも対応可<即日対応・24時間体制>
事務所詳細を見る
【初回相談30分無料】年間100件以上!の対応実績◎支払いの督促が来た/返済しきれず限界を感じているなど、早めにご相談ください!◆依頼者目線の丁寧かつ的確な対応には自信がございます【詳細は写真をクリック!】
事務所詳細を見る
【借金のご相談は何度でも無料!】【法人破産にも対応】経営が苦しいと感じる経営者の方はご相談を。返済に追われ、生活ができない/督促が来てしまったなど、個人の方からのご相談も歓迎◎【依頼後は最短即日で督促が止まります!】
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡

自己破産に関する新着コラム
-
本記事では、自己破産における持ち家の取り扱いや、持ち家を手元に残しながら借金問題を解決する方法、弁護士に相談・依頼するメリットなどについてわかりやす...
-
生活保護受給中でも自己破産手続きは可能です。法テラスの弁護士費用立替制度を利用すれば、弁護士費用の自己負担なく借金を整理できます。生活保護と自己破産...
-
自己破産は借金の返済義務が免除される強力な手続きです。しかし、基本的には弁護士のサポートがなければ、手続きを進めることはできないので、弁護士費用を負...
-
自己破産後はクレジットカードが使えません。ブラックリストに載ることでもともとあるカードは強制解約になり、新規の作成もできなくなるためです。本記事では...
-
無条件で自己破産できるわけではなく、法律で定められた要件を満たさなくてはなりません。本記事では、自己破産ができないケースの具体例や、自己破産できない...
-
自己破産においては、債務者にとって有利なことばかりが起こるわけではありません。本記事では、自己破産のメリット・デメリット、自己破産をするときに弁護士...
-
自己破産をすると、多くの場合で携帯電話が強制解約となります。ただし、利用料金の滞納や分割払いの残債がなければこれまで通り利用できるほか、自己破産によ...
-
自己破産のデメリットには、ブラックリストに登録されることや職業・資格制限を受けることなどいくつかありますが、誤解されることも少なくありません。本記事...
-
自己破産をすると本人名義の持ち家や車などの財産が没収されるなど家族への影響も大きいです。ただし、家族名義の財産は没収されないうえ、将来の結婚や就職な...
-
自己破産は借金を帳消しにできる強力な手続きです。しかし、数多くのステップを踏む必要があるので、どの程度の期間がかかってしまうのか気になっている方も多...
自己破産に関する人気コラム
-
自己破産を検討されている方にとっては、破産後の生活は気になるところでしょう。この記事では、自己破産後に受ける制限や、生活を良くするために考えておきた...
-
廃課金とは、廃人と課金を合わせたネットスラングで、一般的に収入に見合わない金額を課金する人を指します。本記事では廃課金の定義や課金してしまう人の特徴...
-
自己破産では裁判所に支払う費用のほか、弁護士に依頼する場合は弁護士費用もかかります。状況により費用は異なり、弁護士費用は後払い可能な場合もあります。...
-
自己破産は、全ての借金の支払い義務を逃れ、所持する高価な財産を処分する法的手続きであり、生活をゼロから再建するための最終手段です。本記事では自己破産...
-
ブラックリストに掲載される期間はどの程度なのでしょうか。 よく、「ブラックリストに載るとカードが作れない」などという話を聞きますが、そもそもブラック...
-
破産宣告(はさんせんこく)とは何かを解説!手続きの流れや条件、かかる費用に加えて、自己破産を最短で進める為の方法をご紹介していきます。自己破産にはデ...
-
結論からいいますと、借金がある状態でも生活保護を受けることができます。そこで、生活保護と借金の関係を深堀していきたいと思います。
-
自己破産をする上で、破産管財人(はさんかんざいにん)が何をするのか、どのような人なのかを知っておくことで、免責を受けられる可能性が高まります。この記...
-
自己破産はできる条件があります。これに該当しない場合には自己破産が実現できず借金を免責することができません。この記事では、自己破産ができない4つのケ...
-
奨学金を借りたはいいものの、就職後も返済が厳しく破産に追い込まれる件数は1万件にのぼっています。ただし、破産にはリスクがあり、あなたの借金が免除され...
自己破産の関連コラム
-
本記事では、自己破産を検討している方に向けて、自己破産について弁護士に無料で相談できる窓口、自己破産について弁護士に相談する4つのメリット、弁護士と...
-
相手方が経済的に困窮してしまって自己破産をした場合、相手の養育費支払い義務まで免責でなくなってしまうのでしょうか?養育費の支払い義務と養育費が支払わ...
-
自己破産には借金が免責されるメリットがある反面、大きなデメリットがあると思っている方もいるのではないでしょうか。本記事では、自己破産した後の生活と破...
-
自己破産の手続きにどれだけの費用がかかるのか気になる人も多いのではないでしょうか。また、自分で自己破産の手続きをしようと考えている方もいることでしょ...
-
カード破産の無料相談先をご紹介します。また、カード破産以外の方法で借金問題を解決する方法や弁護士に依頼した場合の流れも併せて解説します。
-
自己破産においては、債務者にとって有利なことばかりが起こるわけではありません。本記事では、自己破産のメリット・デメリット、自己破産をするときに弁護士...
-
自己破産から復権(職業制限からの復職)するためには免責を受けることが一般的ですが、免責できなかった場合に復権する方法、復権を確認する方法を紹介します...
-
株式投資やFX同様に、将来の蓄えを増やす目的で、不動産投資に手を出す人は多くなっております。不動産投資を勧める書物や広告が多い中、不動産投資に失敗す...
-
廃課金とは、廃人と課金を合わせたネットスラングで、一般的に収入に見合わない金額を課金する人を指します。本記事では廃課金の定義や課金してしまう人の特徴...
-
世の中にはやむを得ず借金をしてしまい、立ち行かなくなってしまう人がいます。今回インタビューした方もそうでした。借金が1,200万円までふくれあがり、...
-
奨学金を借りたはいいものの、就職後も返済が厳しく破産に追い込まれる件数は1万件にのぼっています。ただし、破産にはリスクがあり、あなたの借金が免除され...
-
自己破産は条件さえ満たせば2回目も可能です。この記事では、2回目の自己破産ができる条件と2回目の自己破産にかかる費用、さらに2回目の自己破産が認めら...
弁護士・司法書士があなたの借金返済をサポート
債務整理では、債権者と交渉する任意整理や法的に借金を減額する、個人再生や自己破産などがあります。また、過去の過払い金がある方は、過払い請求を行うことも可能です。
ただ、どれもある程度の法的な知識や交渉力が必要になってきます。債務整理をしたくてもなかなか踏み切れないあなたをベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)の弁護士・司法書士がサポートいたします。

自己破産をもっと知りたいあなたに