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自己破産すると年金は差し押さえられる?受給中の注意点や支払いについても解説

杉本法律事務所
杉本 真樹
監修記事
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自己破産を検討している方の中には、「自己破産をすると、年金も差し押さえられてしまうのではないか?」と、不安を覚える方も多いのではないでしょうか?

結論からいうと、国民年金や厚生年金などの公的年金は、自由財産の「差押禁止財産」のため、自己破産をしても年金を受給することができます。

しかし、 個人年金は差押禁止債権とされていないことから、差し押さえ処分の対象になる可能性が高いため注意が必要です。

なお、本記事では、破産の手続きをしたときに財産が処分されるかどうか、ということについて、差押え処分されるかどうか、と表現します(正確には、自由財産として手元に残せるかどうか、という表現になります)。

今回は、自己破産によって差し押さえられない年金の種類と、差し押さえられるケースについて解説していきます。

自己破産によって年金がどのような影響を受けるのか知っておきましょう。

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自己破産すると年金はどうなる?差し押さえられる?

自己破産すると、原則として破産手続き開始時点で破産者が保有する自宅や土地などの不動産や自動車などの20万円以上の財産は差し押さえ処分されます。

しかし、将来年金を受け取るための権利は差し押さえ対象外の財産ですので、自己破産しても公的年金は受け取れます。

国民年金法第24条には、以下のように明記されています。

第二十四条 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。

引用元:国民年金法|e-Gov法令検索

年金の給付を受ける権利の差し押さえは国民年金法第24条によって禁止されています。

ただし、差し押さえの対象にならないのは、将来年金を受け取る権利に限られ、これまで受け取っていた年金が銀行口座に残って貯蓄されていた場合には、差し押さえの対象となります。

自己破産してももらえる公的年金の種類

自己破産しても受け取れる公的年金は、主に以下に挙げた3つです。

  • 老齢年金
  • 遺族年金
  • 障害年金

それぞれの年金がどのようなものなのか、具体的に解説していきます。

老齢年金 | 原則として65歳になると受け取れる年金

老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つがあります。

  • 老齢基礎年金
    老齢基礎年金とは、主に65歳から受け取る年金で「国民年金」とも呼ばれます。
    保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した受給資格期間が10年以上ある場合に受け取れます。
  • 老齢厚生年金
    老齢厚生年金も、主に65歳から受け取る年金で「厚生年金」とも呼ばれます。
    老齢基礎年金の受給資格がある人に厚生年金の加入期間がある、老齢基礎年金に上乗せして受け取れます。

遺族年金 | 年金加入者の遺族が受け取れる年金

遺族年金とは、老齢基礎年金または老齢厚生年金の被保険者が死亡したときに、受給要件を満たした被保険者によって生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。

遺族年金も遺族基礎年金と遺族老齢年金の2つがあり、死亡した被保険者の年金の加入状況に応じていずれか、または両方の年金を受け取れます。

障害年金 | 病気やけがで障害認定を受けた場合に受け取れる年金

障害年金とは、病気やけがによって生活や仕事などに支障をきたした場合に受け取れる年金です。

初めて病気やけがの診断を受けたときに国民年金に加入していた場合は障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金を受け取れます。

障害等級表1・2級の障害があるときに障害基礎年金が受け取れ、厚生年金に加入していた場合は障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金を受け取れます。

なお、厚生年金加入者が障害等級2級に該当しない軽度の障害の状態の場合には、3級の障害厚生年金を受け取れます。

私的年金は個人年金のみ差し押さえられる可能性がある

自己破産すると、公的年金は差し押さえの対象になりませんが、私的年金は差し押さえの対象になる可能性があります。

私的年金には、個人年金と企業年金の2種類があります。

  • 個人年金:個人が保険会社などと契約して加入する年金
  • 企業年金:従業員の老後の生活費や退職金のため会社または従業員の共同で掛金を拠出する年金

このうち、差し押さえの対象になるのは個人年金のみです。

個人年金は差押禁止財産には該当しない個人の財産と見なされ、具体的には解約返戻金相当額が資産と判断されます。

そのため、差し押さえの対象となり、解約返戻金を超える金額を破産財団に入れる必要が発生したり、解約しなければならなくなったりする可能性があります。

自己破産しても私的年金のうち企業年金はもらえる

自己破産をしても、私的年金のうち企業年金は受け取ることができます。

これは、個人年金は個人が任意で保険会社と契約して加入している年金で貯蓄と同じような意味合いですが、企業年金は会社が従業員の老後の生活費や収入源のためにかけている保険であるためです。

そのため、自己破産をしてもこれまでの積立分や、将来年金を受け取る権利は差し押さえられませんし、個人年金のように強制的に解約させられることもありません。

企業年金に加入している場合は、たとえ自己破産をしても、企業年金を将来受け取ることができます。

自己破産してももらえる企業年金の種類

自己破産をしても受け取れる企業年金は、以下の5つです。

  • 確定給付企業年金(DB)
  • 確定拠出年金(DC)
  • 厚生年金基金
  • 退職年金
  • 中小企業退職金共済制度

それぞれの年金がどのようなものなのか、詳しく解説していきます。

確定給付企業年金(DB) | 給付額があらかじめ約束された企業年金

確定給付企業年金(DB)は従業員が受け取れる年金額があらかじめ決められている年金です。

運用に対しては会社が責任を負い、運用結果が悪かった場合の不足分は会社が穴埋めをおこないます。

確定拠出年金(DC) | 拠出額があらかじめ決定された年金

確定拠出年金(DC)とは、会社の保険料の拠出額があらかじめ決められている年金です。

確定給付企業年金(DB)とは異なり、運用は加入者である個人が自己責任でおこない、運用結果がよければ運用益を加入者が享受できますし、(確定給付企業年金とは異なり)運用成果が悪かった場合には損失のリスクも加入者が負わなければなりません。

そのため、どのような商品で運用するのかを加入者が選択できます。

厚生年金基金 | 厚生年金の老齢給付にプラスして支給される年金

厚生年金基金とは、厚生年金の給付に加算して支給される年金です。

具体的には、国にかわって企業が厚生年金の給付の一部を代行し、厚生年金に企業独自の上乗せ給付をおこなう制度です。

この点、公的年金に近い性格をもっているといえます。

なお、厚生年金基金は2014年4月以降に実質廃止となっています。

退職年金 | 企業を退職した従業員・遺族が受け取れる年金

退職年金とは、企業を退職した従業員が退職金を分割で受け取る際の年金です。

退職金は一括で受け取る「退職一時金」と、退職後に数年間かけて受け取る「退職年金」のいずれかを選べる場合があります。

退職年金は受給期間中に原資を運用するため、一時金で受け取るよりも受取総額がアップする可能性があります。

中小企業退職金共済制度 | 中小企業のための退職金制度

中小企業退職金共済制度とは、中小企業の従業員の退職金を支給するための制度です。

掛金は全額会社が支払い退職金を積み立てていき、従業員が退職した際には共済が従業員に対して、一括または分割で退職金を支払います。

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自己破産すると受給中の年金はどうなる?

年金受給者の方が自己破産した場合、現在受給している年金は差し押さえの対象になるのでしょうか?

受け取っている年金の種類によっては、差し押さえの対象になる場合とならない場合があります。

ここでは、差し押さえになるものとならないものはどのような年金なのか、詳しく解説していきます。

受給中の公的年金・企業年金は変わらずもらえる

現在、公的年金や企業年金を受給している方は自己破産後も年金を受け取れます。

公的年金や企業年金は差押禁止財産に該当するため、自己破産をしても将来年金を受け取れる権利やこれまでの積立分は差し押さえにならないためです。

自己破産をした翌月以降も、これまで受け取っていた公的年金や企業年金は同じように受け取れます。

受給中の個人年金は差し押さえられる可能性がある

一方、受給中の個人年金は差し押さえられる可能性があります。

個人年金は個人が任意で保険会社と契約して受給している年金ですので、解約返戻金相当額が個人資産として差押財産の対象になります。

差し押さえの対象になる財産は20万円以上と決められているため、個人年金の解約返戻金が20万円を超える場合は、個人年金が強制的に解約となり、解約返戻金が差し押さえられます。

受給口座が差し押さえ対象の場合は一時的に凍結される

自己破産をすると、クレジットカードを利用している会社の系列銀行の口座や、借り入れをしている銀行の口座はほとんどの場合凍結されてしまいます。

年金受取口座として凍結対象の口座を指定していると、凍結されている間は年金の受け取りができなくなってしまいます。

お金を借りている銀行や、負債を抱えているクレジットカード会社などの系列銀行以外の口座は凍結されないため、自己破産をする前に年金受け取り口座を変更しておきましょう。

受給した年金を貯蓄していた場合は処分対象となる可能性がある

預金は差し押さえの対象であるため、これまで受給した年金を貯蓄していた場合には、貯蓄の原資が年金であったとしても処分される可能性があります。

たとえ預金の原資が年金だったとしても、ほかの財産と同じように差し押さえられてしまうことがあるため注意してください。

自己破産しても年金保険料は免除されない

自己破産をしても、これまで支払っていた年金保険料は免除されません。

これは、年金保険料は自己破産をおこなっても免責が認められない「非免責債権」だからです。

そのため、年金に加入している方は、自己破産後もこれまでと同様に年金保険料を支払っていく必要があります。

滞納している分の年金保険料も支払う必要がある

年金保険料を滞納している場合、自己破産をしても滞納している保険料は免責されません。

そのため、自己破産をしても、滞納している保険料がゼロになることはないので、支払いの義務は残ります。

また、保険料の支払いを滞納し続けると財産の差し押さえがおこなわれる可能性があります。

自己破産以外で年金が差し押さえられる可能性のある場合

自己破産をしても、公的年金が差し押さえられることはありません。

しかし、自己破産以外で年金が差し押さえられることはあるため理解しておきましょう。

税金を滞納すると年金が差し押さえられる

国民健康保険税などの税金を滞納した場合、年金が差し押さえられることがあります。

年金の差し押さえ禁止額は法律による規定があります。

年金・恩給・休業手当などは給料と見なし、徴収法76条1項の給料の計算式に基づいて算出します。

  • 差し押さえられる年金額=年金支給額-年金差し押さえ禁止額
  • 差し押さえ禁止額=給料から天引きされる所得税・住民税・社会保険料+最低生活費相当額+生活費の加算額

なお、最低生活費相当額および生活費の加算額は、以下の計算式で求められます。

  • 最低生活費相当額:10万円+4万5,000円×生計を共にする家族人数×日割り(必要な場合)
  • 生活費の加算額:(総支給額-給料から天引きされる所得税・住民税・社会保険料-最低生活費相当額)×20%

自己破産するとほかの社会保障はどうなる?

社会保障制度は、公的年金以外にもさまざまな制度があります。

自己破産をすると、ほかの社会保障制度にどのような影響があるのか解説していきます。

健康保険制度は利用できるが保険料は免除されない

健康保険制度は、自己破産後も利用できますが、保険料は免除されません。

また、これまで保険料を滞納していた場合、滞納していた保険料の支払い義務は免除されないため、自己破産後も滞納分の支払いが必要です。

生活保護は自己破産をしても変わらず受給できる

生活保護費は、最低限の生活を保証するために行政機関から支給される給付金のため、自己破産をしても受給できます

借金が残っている方は、自己破産をしないと生活保護を受給できないため、一般的には自己破産をしてから生活保護をするという流れになります。

そのため、自己破産をしても生活保護の受給要件を満たしている方であれば、問題なく生活保護を受給することができます。

自己破産しても手元に残せる年金以外の財産

年金以外にも、自己破産後に残せる財産としては以下のようなものがあります。

財産の種類

概要

自由財産

・99万円以下の現金など

・自由財産拡張が認められた財産

・破産管財人が破産財団から放棄した財産

破産手続き開始決定後に手に入れた財産

裁判所から破産手続き開始決定の通知が届いたあとに取得した財産

差押禁止財産

・生活に最低限必要な衣服、寝具、家具、台所用具、畳および建具

・実印、職業または生活するうえで必要な印鑑

・1ヵ月分の食料や燃料等

破産をしても自由財産や差し押さえ禁止財産は手元に残せますし、破産手続き開始決定がおりたあとに手に入れた財産は処分の対象外ですので、手元に残すことができます。

さいごに|自己破産について不安なことは弁護士に相談

自己破産をしても、年金が差し押さえられることはありません。

そのため、年金を受け取っている方は、自己破産後にこれまでどおり年金を受け取れるため安心です。

しかし、年金振込口座を年金受取口座としている場合は年金が差し押さえられてしまうなど注意しなければならない点も少なくありません。

自己破産について不明点がある場合には、まずは一度弁護士へ相談することをおすすめします。

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この記事の監修者
杉本法律事務所
杉本 真樹 (群馬弁護士会)
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。