カードローンの借金で自己破産はできる?自己破産の手続き方法や注意点を解説
カードローンの借金がかさんでしまい、返済の目途が立たない状況になってしまったら、自己破産の検討をはじめたほうがよいでしょう。
借金を苦にして自暴自棄になる必要はありません。
自己破産することで借金がなくなれば、生活を立て直し、人生の再スタートを切ることができるからです。
ただし、自己破産にはデメリットもあるので、安易に選択する手段ではないことも事実です。
目安として「3年かけても返済できない」状態が、自己破産するかどうかの基準になるでしょう。
本記事では、カードローンによる借金が原因で自己破産を検討されている方に向けて、自己破産の手続き方法や注意点について解説します。
自己破産でより確実に 借金をゼロにしたい人へ |
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法的な知識がない人が、個人で自己破産を行っても、借金がゼロになる条件である「免責」を受けられない可能性があります。 できるだけ確実に借金をゼロにしたいのであれば、できるだけ早い段階で自己破産に詳しい弁護士や司法書士といった借金問題の解決が得意な専門家に依頼することが解決への近道です。 専門家への依頼では、以下のようなことが望めます。
※司法書士では裁判所への同行などできない、少額管財事件を受けられないなどの制限があります。 借金原因は問われませんので、ひとりで悩まず、まずは専門家に相談してみましょう。 |
カードローンの借金による自己破産が増えている理由
カードローンの借金による自己破産が増えている背景には何があるのでしょうか。
はじめに、カードローンによる借金が原因で、自己破産が増えている理由について、見ていきましょう。
銀行は総量規制の対象外である
総量規制とは、借りられるお金の上限金額を定める規制です。
この規制によって、最大で年収の3分の1までの借り入れしかできないことが、定められています。
カードローンの種類には、銀行系や消費者金融系のものなどがありますが、このうちの銀行系のカードローンについては、総量規制の対象外となっています。
したがって、借入金が年収の3分の1を超えていたとしても、借りることができるのです。
総量規制の対象外である銀行のカードローンで多額の借入をおこなった結果、返済不能に陥るケースがあり、自己破産が増える一因となっています。
カードローンを積極的に貸し出している
カードローンに関するCMや広告を見かけるように、銀行や消費者金融はカードローンを積極的に貸し出しています。
特に銀行系のカードローンは、利用可能額が高く金利が低いことに加えて、簡単な審査で迅速な融資ができるなど、借りやすいシステムが整えられています。
このため、より多くの方が銀行のカードローンを利用するようになっています。
このような気軽に借入できる仕組みは、利便性が高い一方で、過剰な借り入れによって返済できないリスクを高めます。
結果として、破産者の増加に加担している側面があります。
カードローンの借金は自己破産できる
カードローンによる借金は、自己破産できるのでしょうか。
結論から申し上げると、自己破産をおこなうことはできます。
ただし、自己破産するためにはいくつかの条件を満たす必要があります。
ここでは、自己破産の基礎知識とカードローンによる借金が自己破産できない理由について見ていきましょう。
そもそも自己破産とは
そもそも自己破産とは、カードローンなどによる借金を返済できなくなったときに、裁判所に申し立てることで、借金の支払い義務が免除される手続きです。
基本的には、以下のような段階を踏んで手続きが進んでいきます。
- 多額の借金
- 支払不能
- 裁判所への申立て
- 破産手続を開始する決定
- 支払い義務免除する決定
なお、借金の支払い義務が免除されるためには、裁判所が免責を許可する必要があります。
このため、カードローンの借金については、裁判所からの免責許可が下りるかどうかが、自己破産するための焦点となります。
カードローンによる自己破産ができないといわれる理由
カードローンの借金による自己破産ができないといわれる主な理由は、カードローンの借金が免責不許可事由に該当する、とされるためです。
免責不許可事由とは、裁判所が免責を許可できないケースを定めた規定であり、破産法第252条で、以下のように列挙されています。
(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
(中略)
四 浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。引用元:破産法 | e-Gov 法令検索
特にカードローンの借金は、浪費やギャンブルに該当する可能性があるため、免責不許可事由に当たるのではないかと考えられるのです。
このような根拠から、カードローンによる借金は自己破産ができないといわれます。
しかし実際には、免責不許可に該当したとしても、カードローンの自己破産は認められる場合があります。
免責不許可事由に該当しても自己破産は認められる
免責不許可事由に該当しても、カードローンの借金による自己破産は認められる場合があります。
それは「裁量免責」によって、裁判所が免責を許可した場合です。
「裁量免責」とは、裁判所が個別の判断で自己破産を認める手続きです。
借金の細かな経緯を元に判断されるため、免責不許可事由に該当する場合でも、個別の判断の結果として、自己破産が認められる場合があるのです。
ただし、免責を認めてもらいやすくするためには、家計収支表や反省文を提出したり、手続きに協力するなど、誠実な態度を示す必要があります。
カードローンの借金による自己破産の手続き方法
カードローンなどによる自己破産の具体的な手続きを紹介します。
自己破産は一般的に弁護士に依頼しておこなうものなので、弁護士を使ったケースを想定します。
また、自己破産の手続きで最も多いのは「同時廃止」による方法であるため、ここでは「同時廃止」の場合で説明します。
- 同時廃止の条件
- 弁護士が受任通知をカードローン会社に発送する
- 取立てと返済が止まる
- 過払い金の調査
- 弁護士が裁判官と面接
- 破産手続きの開始決定
- 免責審尋
- 免責を許可するかを決める
- 免責許可決定が確定する
1.同時廃止の条件
まずは「同時廃止」の条件について確認します。
同時廃止タイプによる自己破産の条件は、以下のとおりです。
- 手持ちの現金が33万円未満
- 保有資産が20万円未満
- 破産管財人による調査が要らない状態
2.弁護士が受任通知をカードローン会社に発送する
弁護士に自己破産の手続きを依頼すると、弁護士は、カードローンなどの貸金業者に「受任通知」を発送します。
受任通知は、カードローン会社などに「本人が支払いできない状態にあり、弁護士が介入することになった」ことを知らせるものです。
3.取立てと返済が止まる
受任通知の効果は絶大です。
なぜなら、カードローン会社などが受任通知を受け取ると、本人に取立てをすることが法律で禁止されているからです。
支払いを請求する電話や通知が止まり、本人は債権者への返済をストップします。
4.過払い金の調査
弁護士が過払い金がないか調査します。
そしてもし、それが見つかればカードローン会社に対して返還請求をします。
さらに、裁判所に申立てをするための書類の準備に入ります。
5.弁護士が裁判官と面接
書類の準備が整ったら、申立書を裁判所に提出します。
東京地方裁判所の場合は、即日面接という運用がなされています。
そのため、申し立てたあとは、弁護士が裁判官と面接するため本人が同行する必要はありません。
なお、裁判所によっては、債務者本人と代理人弁護士双方が裁判所に出頭します。
また、裁判官から事情を聴かれる債務者審尋という手続きが取られることがあります。
6.破産手続の開始決定
申立書類の内容や面接の結果から、支払不能の状態であり、資産や免責が不許可となり得る事由がないのであれば、裁判所は「破産手続きを開始する決定」と「破産手続きを終了する決定」を同時におこないます。
そして、免責審尋期日または債権者の意見申述の期間が決まります。
7.免責審尋
免責審尋とは、裁判官が本人と面談をおこなって「免責すべきかどうか」を判定する手続きです。
したがって免責審尋には、本人が弁護士と一緒に裁判所に行く必要があります。
8.免責を許可するかを決める
免責審尋で問題がなければ、裁判所は免責許可を決定します。
9.免責許可決定が確定する
免責許可決定が出て2週間ほどで官報公告がされます。
官報公告の日の翌日から2週間以内に債権者から不服がなければ、免責許可決定が確定し、債務の支払義務が免除されることになります。
これで自己破産の手続きが完了します。
カードローンの借金で自己破産するときの注意点
カードローンの借金で自己破産するときの注意点を3つ紹介します。
1.自己破産後は一定期間カードローンを利用できない
自己破産後は、一定期間カードローンを利用できなくなります。
これは自己破産したことが信用情報機関に事故情報として登録されるためです。
登録されるとその期間中はクレジットカードの発行や、ローンによる借入など審査に通過することが難しくなります。
なお、国内には複数の信用情報機関が存在します。
そして、登録される期間は各信用情報機関によって、以下のように異なります。
信用情報期間 | 登録される期間 | 保存される金融機関の情報 |
---|---|---|
JICC | 5年 | 消費者金融・銀行 |
CIC | 5年 | 消費者金融・信販会社 |
KSC | 10年 | 銀行 |
たとえば、消費者金融系のローンであれば、新たに5年間の借入やローンを組むことができなくなります。
また、銀行系のカードローンであれば、5年または10年間は新たに利用することが難しくなるでしょう。
2.銀行のカードローンは口座が凍結される
カードローンの借金で自己破産すると、カードローンの借入先である銀行口座が凍結されます。
凍結されるタイミングは、弁護士が受任通知を送付して、銀行に届いた時点です。
この時点で銀行口座に残高がある場合には、借金を回収するために、預けている預金と借金を相殺する処置が取られます。
銀行カードローンの借金で自己破産を検討している場合には、口座が凍結される前に預金を引き出しておくことが大切です。
3.同時廃止による自己破産は条件を満たす必要がある
自分名義の自動車を持っていたり、自分名義の家を所有していたりすると、それらを自分名義で残したまま自己破産をすることはできません。
多額の現金を持っていても、同様です。
上記で紹介した「同時廃止による自己破産」をするには、次の条件をクリアする必要があります。
- 手持ちの現金が33万円未満
- 評価額20万円以上の資産や財産がない
さらに、前述で説明した免責不許可事由に該当しないという条件についてもクリアしなければなりません。
免責不許可事由とは、以下のとおりです。
- 財産を隠していた。
- クレジットカードで商品を購入して、それを現金に換えるといった換金行為を行っていた。
- 特定の人・会社だけに不公平な返済をしていた。
- ギャンブル、株取引、FX取引などで過大な借金を作った。
- 支払不能に陥っていながら、それを隠す嘘をついて財産を取得した。
- 過去7年以内に自己破産をした。
法律では、これらに該当しない場合には、免責許可の決定をすると定められています。
そのため、これらに該当してしまうと、自己破産できない可能性が高まります。
ただし、上記のような行為に該当するものがあっても、すでに説明した裁量免責という制度があります。
この制度を利用することで、裁判所は様々な事情を考慮して免責を許可することができるとされています。
「免責不許可事由に該当するから」と自分で勝手に判断し、自己破産を諦めてしまわないでください。
そのような事情があることをきちんと弁護士に話をして、自己破産の相談をされることをおすすめします。
カードローンの借金による自己破産をおこなうメリット・デメリット
自己破産をおこなうメリットとデメリットを紹介します。
自己破産のメリット
自己破産のメリットは、借金をリセットできることです。
借金がなくなれば、返済に回していたお金を生活に使うことができます。
また、自己破産をするといっても、ベッドなどの家具や一般的な家電など、生活必需品を持つことは許されます。
自己破産をするからといって、何もかも身ぐるみを剥がされるわけではありません。
具体的にいえば、働き続けることもできますし、生活保護費を受け続けることもできます。
生活保護者も自己破産を申し立てることができます。
そして何より、自己破産をするとこれまでの借金苦による精神的な負担が楽になります。
これが最大のメリットでしょう。
自己破産のデメリット
自己破産の最大のデメリットは、豊かな生活を放棄しなければならないことです。
自動車や自宅は手放さなければなりません。
また、自己破産をした事実は本人の氏名とともに、官報という国が発行している印刷物に掲載されてしまいます。
職業のなかには、自己破産の手続きをとることで、その仕事ができなくなるものがあります。
そうした職業に就いている方は、仕事ができなくなります。
さらに、会社の人々に自己破産の手続きをとったことを知られることになるというデメリットもあります。
メリットのほうが圧倒的に大きい
ただし、自己破産を必要としている方にとっては、これらのデメリットは、メリットと比べると小さなものといえるのではないでしょうか。
豊かな生活は送ることが難しいかもしれませんが、身の丈にあった生活は十分送ることができます。
ちなみに、官報によって自己破産をしたことが公にされてしまいますが、官報を「熟読」している方はほとんどいません。
ですので、周囲の人たちに知られないで済む可能性は高いでしょう。
自己破産をおこなう目安は「毎月の給料の3分の1以上」または「3年以上」
自己破産では借金の額の大きさも重要ですが、それよりも重要なのは返済能力です。
たとえば100万円の借金があっても、年収が500万円あれば「返せそうな感じ」がします。
このような場合、自己破産をおこなうか決めるための目安となるのは、以下の3点です。
- 給料などの収入がない。
- 毎月の給料の3分の1以上を返済に回しても、毎月の全ての返済には足りない。
- 返済を3年続けても完済できそうにない。
「給料の3分の1以上」「3年以上」という数字を覚えておいてください。
この目安は本人の収入に着目したものですが、本人の財産についても基準があります。
カードローンの借金は自己破産以外でも解決できる
借金があって余裕のある生活が送れていなくても、「自己破産するほどでもない」場合は、自己破産以外の方法を選択することになります。
自己破産以外に借金を整理する方法としては、主に任意整理と個人再生があります。
任意整理
任意整理とは、お金を借りている先と、利息や遅延損害金のカットなどについて直接交渉する手続きです。
返済金額や返済回数などの条件面で合意することで、その内容に沿って返済していくことになります。
法律に決まりがあるわけではなく、裁判所などの公的な機関は介入しません。
また、現状の生活が維持されますので、家や車を所有している方は、売却しないで済むかもしれません。
自己破産をすると、カードローン会社などは、破産手続のなかで配当がない限り、貸したお金を一切取り戻すことができなくなります。
そのため、カードローン会社が任意整理に応じる可能性は少なくありません。
しかし、任意整理では元金の減額というのは難しく、利息や遅延損害金の一部免除にとどまる場合も決して少なくありません。
したがって、返済額が大幅に減るような借金整理の仕方ではありません。
そのため、任意整理は「余力」がある方向けの手続きとなります。
個人再生
個人再生は、裁判所が介入する手続きなので、自己破産と似ています。
ただ、個人再生では、持ち家の売却までは求められません。
そのような点から、個人再生の内容と一致する部分もあります。
したがって、個人再生は、自己破産と任意整理の中間のような手続きといえるでしょう。
個人再生の手続きをとると、借金が5分の1程度にまで減らすことができます。
そして、その減らされた金額を原則3年で返済していくことになります。
カードローンの借金による破産は弁護士に相談する
- 「カードローンなどの借金の返済がとても苦しい」
- 「自己破産するしかないのか」
- 「借金が多くて生きる気力がない」
このように感じたら、弁護士に相談してください。
日本には、借金苦を和らげる法律がいくつかあります。
それが破産法であり、民事再生法です。
弁護士は、借金苦を和らげる法律の使い方を熟知しています。
借金に困っている方はぜひ、法律事務所の無料相談などを利用して、弁護士に相談してみてください。
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