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任意整理の流れを徹底解説!弁護士への相談から和解・返済再開までの全ステップ

代表弁護士 野条 健人
監修記事
任意整理の流れを徹底解説!弁護士への相談から和解・返済再開までの全ステップ

借金の返済が難しくなったとき、有効な解決手段のひとつが「任意整理」です。任意整理では、弁護士などの専門家を通じて債権者と直接交渉をおこない、利息のカットや返済期間の延長などを目指します。

しかし、任意整理を検討していても、「具体的にどのような流れで進むのか」「どの段階で何をすればいいのか」など、不安や疑問を抱えている人も多いはずです。

本記事では、任意整理のスタートである弁護士への相談から、和解交渉・返済再開に至るまでの一連の流れを詳しく解説します。

各ステップでの注意点やスムーズに進めるためのポイントについても触れていくので、任意整理を検討中の人やすでに依頼している人はぜひ参考にしてください。

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任意整理の流れ|法律相談から和解までの8ステップ

任意整理とは、弁護士や司法書士などの専門家を通じて債権者と直接交渉することで、利息のカットや返済期間の延長などを目指す手続きです。

任意整理は、以下のような流れで進んでいきます。

  1. 法律相談
  2. 委任契約の締結
  3. 受任通知の発送
  4. 引き直し計算
  5. 和解案の作成
  6. 和解交渉
  7. 和解成立
  8. 返済再開

ここからは、それぞれのステップについて、注意点やスムーズに手続きを進めるためのポイントなどを交えながら、わかりやすく解説していきます。

なお、弁護士と司法書士のいずれに相談した際も手続きの流れは同じですが、弁護士のほうが対応できる範囲が広いため、今回は弁護士に任意整理を依頼した際の流れとして紹介します。

1.法律相談|弁護士に借金問題の相談をする

任意整理はまず、弁護士への相談から始まります。

相談の際は、自分の借入状況や家計状況、返済が困難になった経緯などをできるだけ詳細に伝えることが重要です。

借入先の数や借入金額、取引開始日、毎月の収入と支出、資産状況などを正確に伝えられるよう、借金に関する資料や家計簿などを用意しておきましょう。

最近では、借金に関する相談を無料で受け付けている法律事務所も多いので、早めに相談することが大切です。

なお、相談時に任意整理以外の解決方法を提案される場合もあるので、その場合もわからないことや懸念点などをしっかり聞いておくようにしましょう。

2.委任契約の締結|弁護士に正式に依頼をする

相談の結果、任意整理での対応が可能と判断された場合には、弁護士との間で正式に委任契約を結びます。

委任契約の契約書には、依頼内容や報酬体系、今後の手続きの流れなどが詳細に記載されています。

具体的には、着手金や成功報酬、事務手数料、実費などが明記され、弁護士費用の振込先口座や振込時期についても取り決めます。

契約内容を十分に理解し、不明点はその場で確認しておくことが重要です。

委任契約が締結されることで、弁護士は法的代理人として活動を開始し、債権者との交渉を正式におこなうことが可能になります。

3.受任通知の発送|弁護士が債権者に連絡する

委任契約の締結後、弁護士は各債権者宛に「受任通知」を送付します。

受任通知とは弁護士が依頼者の代理人になってことを通知する書類のことです。受任通知を受け取った債権者は、債務者本人に対して直接督促や連絡をおこなうことが貸金業法により禁止されています。

つまり、電話や郵便、訪問による取り立てが止まるということです。

以後のやりとりは全て弁護士を通じておこなわれるため、交渉のストレスを抱える必要がありません。

また、受任通知の送付と同時に、弁護士は債権者に対して取引履歴の開示を請求し、借入状況の正確な把握に向けた作業に入ります。

この時点で、任意整理の手続きが正式にスタートしたといえるでしょう。

4.引き直し計算|弁護士が借金の額を確認する

受任通知によって取引履歴が開示されたら、次におこなうのが「引き直し計算」です。

引き直し計算とは、利息制限法に基づいて法定金利以上の利息をカットしたうえで、正しい借金残高を計算し直す作業です。

利息制限法や出資法の改正があった2010年以前に借入していた場合、現行の法律では違法となる高金利での返済をしており、その結果過払い金が発生している可能性があります。

引き直し計算の結果、過払い金が発生していることが判明すれば、その分の返還を請求できます。

任意整理がうまくいくかどうかは引き直し計算の精度に大きく左右されるため、高度な知識を持つ専門家による丁寧かつ正確な作業が求められます。

5.和解案の作成|依頼者側で和解内容を決める

引き直し計算により正確な借入残高が確定したら、次におこなうのが和解案の作成です。

これは、今後の返済条件についての希望を整理する段階であり、たとえば「3年間で無理なく返済したい」「利息はカットして元本のみ返済したい」といった条件を具体的に決めていきます。

弁護士は、依頼者の家計状況や収入、支出を踏まえて、実現可能な返済条件を整理・提案し、和解案に盛り込んでいきます。

ここで無理な返済計画を立ててしまうと、再度の返済不能に陥るリスクがあるため、慎重な検討が必要です。

6.和解交渉|弁護士が債権者と交渉をおこなう

和解案がまとまったら、弁護士が各債権者と直接交渉をおこないます。

この交渉により、将来利息のカットや返済期間延長の合意が得られるかどうかが決まります。

債権者によっては交渉に応じないケースもありますが、多くの場合、弁護士が介入することで合意に至ることが可能です。

交渉期間は1ヵ月〜2ヵ月程度が一般的であり、交渉結果によっては和解案の調整がおこなわれることもあります。

依頼者はこの段階では特にすることはなく、弁護士から交渉の進捗報告を受けるのみです。

交渉成立後には、返済計画に基づいて家計管理をする必要があるため、弁護士の助言を受けながら、この段階から返済準備を意識しておくとよいでしょう。

7.和解成立|依頼者と債権者で和解書を作成する

弁護士の交渉によって返済条件について債権者と合意できれば、正式に「和解成立」となり、債権者との間で和解契約書が作成されます

契約書には、返済金額や返済期間、利息の有無、返済開始日などが明記されます。和解内容を書面に残すことで、万一の紛争時に証拠として機能するほか、任意整理が完了したことを証明することが可能です。

弁護士は契約書の内容が法的に問題ないか、依頼者にとって不利な条項がないかを確認し、丁寧に説明してくれます。

8.返済再開|和解契約に基づいて返済をおこなう

債権者との和解内容に基づき、いよいよ返済が再開されます。

返済は通常、毎月一定額を振り込む方法がとられ、債権者が指定した口座への振り込みとなることが多いです。

任意整理の対象にした債権者が複数いる場合は、まとめて担当弁護士の口座に振り込み、債権者への直接の振込は弁護士が代行してくれる「返済代行」という形をとれる場合もあります。

任意整理の返済では、約束通りの金額・期日で返済を続けることが重要です。

返済が滞ると、一度債権者とのあいだで取れた和解が無効となったり、債権者側から裁判を起こされたりといったリスクがあります。

返済中に予期せぬ支出や収入減が生じた際には、すぐに弁護士に相談しましょう。

また、家計簿をつけたり、無駄な支出を見直したりすることで、再び返済不能に陥らないようにするのも大切です。

全ての返済が完了すれば、任意整理の手続きは終了し、借金から解放されることになります。

任意整理をスムーズに進めるための3つのポイント

任意整理は、弁護士や司法書士を通じて債権者と和解交渉をおこない、借金の返済条件を見直す手続きです。

ただし、依頼さえすれば自動的に進行するわけではなく、依頼者自身の対応も重要となります。

任意整理をスムーズに進めるには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 債務整理が得意な弁護士に相談・依頼する
  2. 必要な資料の提出などを積極的におこなう
  3. 任意整理の対象にする債権者を適切に見極める

それぞれについて、具体的に解説します。

1.債務整理が得意な弁護士に相談・依頼する

任意整理をスムーズに進めるための重要なポイントのひとつは、債務整理を得意とする弁護士に相談・依頼することです。

一口に弁護士といっても、離婚・相続・借金トラブルなど専門分野はさまざまです。債務整理に不慣れな弁護士に依頼すると、債権者との交渉がうまくいかず、結果的に時間がかかってしまったり、思ったような成果が得られなかったりするケースもあります。

債務整理に強く、任意整理の実績が豊富な弁護士であれば、これまでの経験や債権者ごとの対応傾向を踏まえて、より有利かつ現実的な和解案を提案してくれる可能性が高まります。

また、依頼者にとってのメリット・デメリットを具体的に説明してくれるため、納得感をもって手続きを進められる点も大きな利点です。

弁護士を選ぶ際は、実績・口コミなども含めて比較検討しましょう。

2.必要な資料の提出などを積極的におこなう

任意整理をスムーズに進めるには、弁護士が必要とする資料を迅速かつ正確に提出する姿勢が大切です。

任意整理では、現実的に可能な返済計画を立てるために、依頼者の経済状況を正確に把握する必要があるからです。

具体的には、以下のような資料を用意しておくとよいでしょう。

  • 借入金の契約内容
  • 通帳のコピー
  • 給与明細
  • 家計簿など

これらの資料がそろわないと、引き直し計算や和解案の作成が滞るため、結果的に手続きの開始や進行が遅れることになります。

また、転職、収入減、家族構成の変更などがあった場合は速やかに報告しましょう。

弁護士との信頼関係を築き、協力的な姿勢を保つことで、よりスムーズな任意整理が可能になるはずです。

3.任意整理の対象にする債権者を適切に見極める

任意整理では、全ての債権者を対象にする必要はなく、一部の債権者のみを整理対象とすることが可能です。

ただし、どの債権者を対象とするかの判断は慎重におこなう必要があります。

なぜなら、任意整理への対応は債権者によって異なるからです。

たとえば、なかには以下のように任意整理の対象とするのかよく検討すべき業者も存在します。

  • 早期の和解を迫ってくる傾向がある
  • 経営状態が芳しくなく、将来利息の減額は5%までなど厳しい和解条件を提案してくる
  • これまでの取引履歴が少なく、交渉に応じてくれる可能性が低い
  • 自動車や住宅などを担保にとっている など

任意整理の実績が豊富な弁護士であれば、どの業者であれば交渉に応じてくれやすいか、より良い和解条件を引き出しやすいかといった点を適切に判断できます。

弁護士と相談しながら、目的に応じて適切に整理対象の債権者を選ぶことが重要です。

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任意整理の流れ・手続きに関するよくある質問

ここでは、任意整理の流れや手続きに関してよくある質問をまとめました。任意整理の進め方に不安を感じている人はぜひ参考にしてください。

Q.督促がストップするのはどのタイミングか?

任意整理において、債権者からの督促が止まるのは「受任通知」が発送されたあとです。

受任通知とは、弁護士や司法書士が債権者に対して「この人の任意整理を受任しました」と正式に通知する書類のことです。

受任通知を受け取った債権者は、直接の取り立てや連絡を停止する義務があります。

通常、任意整理を依頼された弁護士は数日のうちに受任通知を送付してくれるため、依頼後すぐに督促がストップします。

Q.弁護士に着手金を支払うのはどのタイミングか?

弁護士に任意整理を依頼する際、着手金は通常「委任契約を結んだタイミング」で支払うことになります。

依頼者の経済状況に配慮して分割払いに対応している事務所も多く、相談時にその点を確認しておくと安心です。

Q.弁護士に依頼したあとに何かやることはあるか?

弁護士に任意整理を依頼したあとは、基本的に弁護士が債権者との交渉などは進めてくれますが、依頼者自身が対応すべきこともいくつかあります。

代表的なのは、借入先の情報や収支状況を確認するための資料提出です。

通帳のコピーや給与明細、契約書、債権者からの通知書など、弁護士から求められたものについては速やかに準備して提出しましょう。

また、和解案の方針などについて弁護士との打ち合わせが必要となるケースもあります。手続きをスムーズに進めるには、弁護士の連絡にはしっかり対応しましょう。

Q.任意整理をしたあとの返済はどのようにするのか?

原則として、和解案で定められた毎月の返済額を、債権者から指定された口座に依頼者が直接振り込みます。

債権者が複数いる場合などは、担当弁護士の口座にまとめて振り込み、弁護士が債権者へ支払ってくれるケースもあります。

返済が始まったあとに滞納が発生すると和解が無効になる可能性があるため、毎月の返済スケジュールは厳守しましょう。

Q.任意整理の手続きにはどれくらいの期間がかかる?

任意整理の手続き全体にかかる期間は、通常3ヵ月〜6ヵ月程度が目安です。

借金減額までの期間は、交渉相手の対応や資料提出のスピードによって前後し、手続きがスムーズに進むかどうかは依頼者側の協力も大きく影響します。

早めの資料提出や連絡のやりとりを丁寧におこなうことで、手続き期間を短縮し、速やかに返済再開へと移行できる可能性が高まるでしょう。

さいごに|任意整理の流れと全体像を知って円滑に手続きを進めよう!

本記事では、任意整理の流れや、任意整理をスムーズに進めるためのポイントなどについて詳しく解説しました。

任意整理を成功させるには、事前に流れを正しく理解しておくことが重要です。

また、任意整理を円滑に進めつつ、希望の条件を債権者から引き出すためには、弁護士から求められた資料の提出などを速やかに対応する必要があるほか、整理対象の債権者選びも重要です。

任意整理を依頼する弁護士を選ぶ際は、口コミや実績などを確認し、任意整理の経験が豊富な法律事務所に相談しましょう。

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この記事の監修者
かがりび綜合法律事務所
代表弁護士 野条 健人 (大阪弁護士会)
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。