任意整理後の支払い開始はいつから?返済の不安を解消するための基礎知識

任意整理を検討している方や、すでに手続きを始めた方にとって「支払いはいつから始まるの?」という疑問はつきものです。
任意整理は債権者との交渉によって借金を減額し、返済計画を立て直す手段ですが、具体的な流れや支払い開始のタイミングについては、わかりにくい部分も多いでしょう。
そこで本記事では、任意整理後の支払い開始時期や返済スケジュールの基本をわかりやすく解説します。
また、任意整理後にやむを得ない事情によって計画通りに返済ができなくなった場合の対処法についても紹介します。
任意整理を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
任意整理の手続きを弁護士に依頼後、支払い開始までは3~6ヵ月程度が目安
任意整理は、弁護士などの専門家を通じて債権者と直接交渉し、借金の減額や返済期間の見直しを認めてもらう手続きです。
任意整理では、利息の減額や返済期間について債権者との交渉が成立するまでに、3ヵ月〜6ヵ月程度かかるのが一般的です。
そして、債権者と和解が成立後に、和解の内容に沿って支払いを開始します。
ただし、3〜6ヵ月という期間はあくまで目安であり、3ヵ月よりも早く和解できるケースや、6ヵ月以上に長引くケースもあります。
任意整理手続き中、和解までの期間は支払いが不要
任意整理を弁護士に依頼した場合、弁護士は遅くとも数日のうちに債権者に対して受任通知を送付します。
貸金業法第21条によって、受任通知を受け取った債権者は借金に関する連絡や督促などを債務者に対しておこなってはいけないと決められているため、任意整理を依頼すれば取り立ても止まります。
また、任意整理で債権者と和解するまでは、取り立てが止まるだけでなく、支払い義務も留保されるため、和解までの期間は支払いが不要です。
ただし、和解までの期間に弁護士費用を用意する必要もあるため、返済が止まったからといって油断して無駄遣いをしたりすることは避けましょう。
弁護士の指示に従って、計画的な資金繰りを心がけてください。
任意整理手続きに着手してから支払い開始までの流れ
任意整理の手続きを弁護士に依頼した場合、依頼から支払いが開始するまでの流れは以下のとおりです。
- 受任通知の送付
- 債務額や過払い金有無の調査
- 和解案の作成・債権者との交渉
- 和解成立・返済開始
基本的に、任意整理の手続きは弁護士が全て進めてくれるため、依頼者は和解後の返済開始まで待っているだけで問題ありません。
ここからは、具体的にどのような手続きが進められているのか気になる方のために、それぞれのステップについて簡単に解説します。
受任通知の送付|督促がストップ
任意整理の手続きが始まると、まずは弁護士が各債権者に受任通知を送付します。
受任通知が送付されると、貸金業法に基づき、債権者からの督促や取り立ては即座に停止されます。
債務額や過払い金有無の調査
受任通知の送付後、弁護士は各債権者から取引履歴を取り寄せ、債務額や過払い金の有無を調査します。
なお、取引履歴の開示および債務額などに関する調査は1ヵ月〜2ヵ月ほどかかるのが一般的です。
取引履歴を取り寄せたあとは、弁護士によって利息制限法に基づいた実際の債務額を計算する「引き直し計算」がおこなわれます。
2010年の法改正以前の借金については、現行の利息制限法だと違法になる「グレーゾーン金利」での貸付がおこなわれていた可能性があります。
グレーゾーン金利での貸付に対して返済していた利息は「過払い金」として返還を請求できるため、任意整理の手続きでは過払い金の有無も合わせて調査されるのが一般的です。
和解案の作成・債権者との交渉
債務額が確定したあと、弁護士は債務者の収入や生活状況を考慮して和解案を作成します。
和解案は、任意整理の対象とした債権者ごとに作成し、毎月の返済額や返済期間なども含まれます。
作成した和解案を元に各債権者と交渉を開始し、利息のカットや返済スケジュールの変更などを提案するのです。
なお、債権者との交渉は1ヵ月〜3ヵ月程度かかるのが一般的です。
作成した和解案通りに交渉が進むとは限りませんが、任意整理の実績が豊富な弁護士であれば有利な条件を引き出してくれるでしょう。
和解成立・返済開始
債権者との交渉が終了し和解が成立すると、正式な返済スケジュールが確定します。
返済は通常、和解成立から1ヵ月~2ヵ月後に開始され、毎月決められた金額を無理のない範囲で支払うことになります。
以上をまとめると、任意整理を弁護士に依頼してから和解が成立し返済が開始するまでは3ヵ月〜6ヵ月程度かかるケースが多いといえるでしょう。
任意整理後の支払い期間と支払い方法
任意整理後の支払い期間や支払い方法は、以下のとおりです。
3年〜5年かけて完済する
任意整理の和解後は、利息をカットしたあとに残った元本を分割払いで返済することになります。
分割払いの回数は債権者ごとに異なりますが、多くの消費者金融やカード会社では36回〜60回の分割払いに応じてくれるのが一般的です。
つまり、毎月支払いをしていけば返済期間は3年~5年となります。
銀行振込によって返済する
債権者への返済は、債権者が指定した口座に1ヵ月に1回直接振り込むのが一般的です。
債権者が複数いて返済の管理が大変な場合は、まとめて弁護士の口座に振り込み、弁護士が代わりに債権者に返済をおこなう「返済代行」を依頼できる場合もあります。
任意整理後に途中で支払えなくなったら?
任意整理後に、失職や病気などのやむを得ない事情により、予定通りの返済ができなくなる可能性もあります。
ここでは、任意整理後に途中で支払えなくなった場合に起こることや、支払えなくなった場合の対処法を紹介します。
支払えなくなった場合に起こること
任意整理の和解後に、期日通りに返済ができなかった場合は以下のようなリスクが生じます。
- 和解が取り消しになり、残債を一括請求される
- 遅延損害金も加えて請求される
- 請求に応じられない場合は訴訟により財産の差し押さえを受ける
任意整理後は、利息の減額や返済期間などについて債権者に譲歩してもらっている状態です。
そのため、和解後に返済が遅れた場合は、一括請求などの厳しい措置を取られる可能性が高いでしょう。
支払えなくなった場合の対処法
万が一、任意整理後に返済が難しくなった場合は、以下の2つの対処を検討しましょう。
すぐに弁護士に相談する
任意整理の和解後に支払えなくなった場合は、早急に担当の弁護士に相談しましょう。
事情を正直に伝えれば、1回程度の滞納であれば弁護士が代わりに立て替えるなどで対応してくれる可能性があります。
ほかの方法による債務整理を検討する
任意整理後の支払いが難しくなった場合は、弁護士に相談のうえ、個人再生や自己破産といったほかの債務整理を検討しましょう。
個人再生や自己破産は、借金の元本ごと減額・免除してもらえるため、任意整理後の借金が返せなくなった場合でもさらに返済負担を軽減できます。
ただし、個人再生や自己破産は、借金の減額効果が任意整理よりも強い分、財産を失うなどのリスクも伴います。
借金問題の最適な解決策は一人ひとりの状況によって異なるため、弁護士に相談して適切な対処法を選択しましょう。
さいごに|任意整理後の支払いが不安な場合は弁護士に相談を
本記事では、任意整理後の支払いスケジュールや、支払いができなくなった場合の対処法などについて解説しました。
任意整理の手続きを開始してから返済開始までは3ヵ月〜6ヵ月程度と猶予がありますが、その期間も弁護士費用の積み立てなどが必要となるケースも多いです。
そのため、浪費や散財は控えるようにしましょう。
また、任意整理後に返済が難しくなった場合は、残債の一括請求などを受ける可能性があります。
任意整理後は担当の弁護士の指示に従い、計画的に返済を進めましょう。
任意整理を効果的に進めるためには、借金問題の解決実績が豊富な弁護士に相談するのが一番の近道です。
ベンナビ債務整理では、任意整理をはじめとした債務整理の経験が豊富な弁護士を多数紹介しています。
初回相談は無料で引き受けてくれる弁護士も多いので、まずは気軽に相談してみましょう。

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