任意整理中でも借入れしていい?新たな借入れのリスクやお金がないときの対処法を解説
- 「任意整理中に新たな借入れをおこなうことは問題ないのか」
- 「任意整理中にお金に困ったときはどうすればよいのか」
借金の返済が難しくなった場合は、任意整理によって負担を軽減できることがあります。
しかし、任意整理中に金銭的余裕がなくなってしまい、新たな借入れを検討している方も多いのではないでしょうか。
本記事では、任意整理中に新たな借入れをおこなうことの是非について解説します。
任意整理中にお金にお困ったときの対処法なども紹介するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
任意整理中の借入れはNG!5つのリスクを解説
任意整理中の借入れは、基本的におすすめしません。
ここでは、5つのリスクを紹介するので参考にしてみてください。
- 債権者との交渉に支障が生じる
- 返済の負担を余計に増やしてしまう
- 自己破産に移行できないことがある
- 契約している弁護士に辞任される
- 詐欺罪になる可能性がある
以下で詳しく解説します。
1. 債権者との交渉に支障が生じる
任意整理中に借入れをおこなうと、債権者との交渉に支障が生じることがあります。
任意整理を進めるには、返済が難しいことを債権者に説明し、事情を理解してもらわなければなりません。
そのなかで、新たな借入れをしていることが発覚すれば、「ほかの債権者に返済できる余裕があるなら、任意整理に応じる必要はない」と判断されるおそれがあります。
実際には返済の余裕がないなかで借入れをおこなっていたとしても、債権者の心象は悪くなってしまうでしょう。
債権者との信頼関係を損なうような行動は、和解を遠ざけるだけなので慎むようにしてください。
2. 返済の負担を余計に増やしてしまう
任意整理中に借入れをおこなうリスクのひとつとして、返済の負担を余計に増やしてしまう点が挙げられます。
任意整理によって返済の負担が短期的に軽減されても、新たな借入れによって返済総額を増やしてしまってはあまり意味がありません。
仮に債権者との交渉も失敗に終わった場合には、経済的負担が大幅に増加してしまいます。
返済の負担を減らすことが任意整理の目的であるため、それに反するような行為は控えるようにしましょう。
3. 自己破産に移行できないことがある
任意整理中に借入れをおこなうと、自己破産に移行できないことがあります。
自己破産によって借金の支払い義務が免除されるのは、裁判所から免責許可決定が出たときだけです。
返済が難しいと自覚したうえで新たに借り入れることは、「免責不許可事由」に該当するため、自己破産を認めてもらえなくなります。
自己破産はリスクの大きい債務整理の方法ですが、最終手段として選択できるようにしておくことが重要です。
4. 契約している弁護士に辞任される
任意整理の手続きを弁護士や司法書士に依頼している場合は、任意整理中の借入れによって辞任される可能性がある点にも注意しておきましょう。
新たな借入れは任意整理の目的に反する行為であり、依頼者のために尽力している弁護士や司法書士を裏切る行為でもあります。
そのため、新たな借入れが発覚した場合には、信頼関係が失われ、継続的な支援が難しくなったことを理由に辞任されてしまうおそれがあるのです。
また、新たな借入れによって債権者の心象を悪くした結果、交渉の難航が予想される場合は、自身の信用を守るためにも弁護士や司法書士が辞任を選択することがあります。
専門家に途中で辞任されると、任意整理の手続きに大きな支障が生じるため、何事も相談したうえで行動に移すことが大切です。
5. 詐欺罪になる可能性がある
任意整理中であることを隠して新たな借入れをおこなうと、詐欺罪に問われる可能性があります。
基本的に任意整理中の人は金銭的に余裕がなく、返済能力に欠けているため、金融機関が融資することは基本的にありません。
そのなかで任意整理中であることを隠し、返済能力があるかのように装って借入れをおこなうと「人を欺く・錯誤させる・財産を交付させる・財産が移転する」といった詐欺罪の構成要件を満たすおそれがあります。
仮に詐欺罪で有罪になると「10年以下の懲役」に処されるので、債務整理中の借入れは絶対にやめましょう。
そもそも任意整理中・任意整理後の借入れは難しい
先述のとおり、任意整理中の借入れはおすすめしません。
そもそも、任意整理中・任意整理後の借入れはハードルが高いので、希望しても実現しないケースがほとんどです。
ここでは、任意整理中・任意整理後の借入れが難しい理由や再び借入れができるようになるまでの期間について紹介します。
信用情報に傷がついているため審査に通過できない
任意整理をおこなうと信用情報に傷がついてしまい、借入れの審査に通過しにくくなります。
信用情報とは、任意整理の有無などを含めた、借入れに関する取引記録のことです。
金融機関は借入れの申入れを受けたときに、信用情報機関へ申請者の信用情報を照会するため、任意整理をしていることがバレてしまいます。
当然、金融機関の立場からすると、任意整理をしている人物への融資はリスクが高いため、審査に通過させることは基本的にありません。
債務整理をすると一定期間はお金を借りられなくなるだけでなく、クレジットカードを作れなくなる点にも十分注意してください。
任意整理から5年経過すると信用情報が回復する
任意整理したからといって、永久的に借入れができなくなるわけではありません。
通常は完済から5年経過すると信用情報から事故情報が削除されるため、審査に通過できる可能性が出てきます。
しかし、その時点で安定した収入を確保できていない場合などは、返済能力に乏しいと判断され、審査に落ちることもあります。
任意整理中に融資してくれる中小の貸金業者に注意!
任意整理中に融資してくれる中小の貸金業者には注意が必要です。
融資のハードルが低い代わりに、高金利をはじめとした厳しい返済条件を設定されることがあります。
一時的にはまとまったお金を手にできますが、結局は返済の負担を増大させることになりかねません。
また、相手が闇金業者だった場合、返済を滞納すると違法な取り立てを受ける可能性もあります。
中小の消費者金融などをやむを得ず利用する場合でも、貸金業登録番号の確認や契約内容は十分に確認しておくようにしましょう。
任意整理中にお金に困ったときの対処法4つ
次に、任意整理中にお金に困ったときの対処法を紹介します。
怪しい貸金業者を利用する前に、まずは安全性の高い方法で問題解決を目指しましょう。
- 公的な支援制度を利用する
- 個人再生・自己破産に切り替える
- 家族・親族・友人に相談する
- 生活保護の受給を検討する
1. 公的な支援制度を利用する
任意整理中にお金に困った場合は、公的な支援制度を利用できないか調べてみましょう。
国や地方自治体では、経済的困窮者に対してさまざまな金銭的支援をおこなっています。
たとえば、以下のような支援制度があるので有効に活用してみてください。
生活福祉資金貸付制度 |
生活資金・住宅資金・医療費などを無利子または低利子で借入できる制度 |
母子父子寡婦福祉資金貸付制度 |
ひとり親家庭が生活資金や就学資金などを無利子または低利子で借入できる制度 |
生活困窮者自立支援制度 |
家賃相当額の支給や宿泊場所・衣食の提供などを受けられる制度 |
公的支援制度は返済条件が比較的緩いため、後々の返済負担も最小限に抑えられます。
利用できる制度は人それぞれ異なるので、まずは弁護士や市区町村の窓口に相談してみるとよいでしょう。
2. 個人再生・自己破産に切り替える
任意整理中にお金に困った場合は、個人再生や自己破産に切り替えることも考えなければなりません。
個人再生・自己破産は任意整理よりも強力な債務整理の方法であり、それぞれ以下のような特徴があります。
個人再生 |
自己破産 |
|
借金の減額幅 |
5分の1程度まで減額 |
全額 |
職業制限 |
無 |
手続き中は士業や警備員などの職業につけない |
借金の理由 |
問われない |
免責不許可事由に該当する場合は借金が免除されない |
財産処分の有無 |
無 |
一定額以上の財産は処分 |
どちらも返済の負担を一気に減らすことができる方法ですが、厳格な要件があり、手続きも複雑です。
また、保証人に請求がおこなわれるといったデメリットもあるため、個人再生・自己破産に踏み切るかどうかは弁護士とも相談しながら、慎重に検討するようにしましょう。
3. 家族・親族・友人に相談する
任意整理中にお金に困ったときは、家族・親族・友人に相談してみるのもよいでしょう。
信頼関係のある人物からであれば、柔軟な条件でお金を貸してもらえる可能性があります。
また、家計の見直しや浪費の抑制などにも協力してもらえるかもしれません。
ただし、お金のやり取りが原因で家族・友人関係に悪影響が生じるケースも多いので、事情を丁寧に説明し、無理のない範囲で援助してもらうことが大切です。
4. 生活保護の受給を検討する
生活保護の受給を検討することも、生活に困ったときの対処法といえるでしょう。
生活保護は、生活困窮者に最低限度の生活を保障するための公的支援制度です。
生活保護を受給すれば、生活に困らない程度の生活費を受け取りながら、安定した生活を送ることができます。
たとえば、任意整理中にどうしても働けない事情が生じた場合などは、生活保護を申請するのもひとつの方法です。
ただし、生活保護によって受給したお金で借金を返済することは禁止されているので注意してください。
まとめ
任意整理中の借入れは、基本的に回避すべきものといえるでしょう。
安易に借入れをおこなうと、債権者との交渉に支障が生じる、返済の負担を増やしてしまうといったさまざまなデメリットがあります。
そのため、まずは弁護士などの専門家に相談し、できるだけ安全で低リスクな方法を選択することが大切です。
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