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自己破産から任意整理に変更できる?変更できるタイミングとポイントなどを解説

代表弁護士 野条 健人
監修記事
自己破産から任意整理に変更できる?変更できるタイミングとポイントなどを解説

借金問題の解決策として「自己破産」を選んだものの、「やはり任意整理に切り替えたい」と考える方も少なくありません。

自己破産は借金を原則ゼロにできる強力な手段ですが、一定以上の財産が没収されてしまったり、手続き中は資格制限を受けたりといったデメリットもあります。

家族や仕事への影響を考えると、できるだけ穏便に債務整理を進めたいという気持ちは当然です。

この記事では、自己破産から任意整理に変更することは可能なのか、変更できるタイミングや注意点について詳しく解説します。

手続きを進めるうえで後悔しないためにも、選択肢を見直したいと感じている方は、ぜひ参考にしてください。

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原則として自己破産から任意整理に変更することはできる!

一度自己破産をしようと決意したものの、改めてデメリットやリスクを検討した結果任意整理に変更したいと考える方も多いはずです。

結論からお伝えすると、自己破産から任意整理への変更は、原則として可能です。

任意整理へ変更を希望する理由としては、資金援助や収入見込みが立った、家や車を手放したくない、職業制限や官報掲載といった自己破産のデメリットを避けたいなどが挙げられます。

これらの事情を踏まえて債務整理の方法を再検討することは決して珍しくありません。

実際、専門家に相談するなかで方向転換をする方も一定数います。

自己破産から任意整理に変更できるタイミングとできないタイミング

自己破産手続き中に「やはり任意整理で進めたい」と考え直すことは珍しくありません。

ただし、いつでも自由に変更できるわけではなく、手続きの進行状況によって可否がわかれます

ここでは、自己破産から任意整理に変更できるタイミングについて、破産法の条文を引用しながらわかりやすく解説します。

1.自己破産の申立て前ならいつでも変更ができる

自己破産を検討していても、申立て前であれば任意整理に切り替えることが可能です。

そもそも、自己破産の手続きは基本的に以下のように進んでいきます。

  1. 弁護士や司法書士などの専門家に自己破産を相談
  2. 債権者に受任通知を送付
  3. 自己破産の申立て準備
  4. 裁判所に自己破産を申し立てる
  5. 裁判所が破産手続開始決定を出す
  6. 管財事件の場合は破産管財人による調査・手続きがおこなわれる
  7. 裁判所が免責許可決定が出す(借金の返済義務が免除される)

専門家に自己破産について相談したあと、実際に裁判所に自己破産を申し立てるまでは2〜3ヵ月程度の期間を要することが一般的ですが、この間であれば任意整理など自己破産以外の手続きに切り替えられます。

たとえば、借金返済が困難で一度は自己破産を決意したものの、その後、親族からの資金援助が見込めたり、収入が増えたりした場合、債権者との交渉によって分割返済できる見込みが立てば、任意整理という選択肢が現実的になるでしょう。

なお、債務整理実績が豊富な専門家に依頼していれば、相談者の状況を逐一確認しながら、適切な債務整理手段への変更も提案してもらえるはずです。

破産手続開始決定前までは取下げが認められている

裁判所に自己破産の申し立てをしたあとであっても、裁判所が破産手続開始決定を出す前であれば、申し立てを取り下げが認められます。

(破産手続開始の申立ての取下げの制限)

第二十九条 破産手続開始の申し立てをした者は、破産手続開始の決定前に限り、当該申し立てを取り下げることができる。

この場合において、第二十四条第一項の規定による中止の命令、包括的禁止命令、前条第一項の規定による保全処分、第九十一条第二項に規定する保全管理命令又は第百七十一条第一項の規定による保全処分がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。

引用元:破産法 | e-Gov 法令検索

ただし、申立てが受理されてから破産手続開始決定までの期間はケースによって異なり、1ヵ月ほど猶予がある場合もあれば、申立て当日に開始決定が出る場合もあります。

そのため、自己破産を進めるかどうか迷いがある場合は、破産申立書を提出する前に弁護士に相談するのがベストです。

申立て後に経済状況が変わり、「やっぱり任意整理のほうがよいかも」と感じた場合も、すぐに担当の弁護士に相談しましょう。

2.破産手続開始決定後は変更することができない

裁判所によって破産手続開始決定が出されると、自己破産手続は法的に確定し、原則として任意整理への変更はできません

この時点からは、破産管財人による資産調査や債権者への配当準備が進むため、債務整理方法を変更する余地はほとんどなくなります。

どうしても自己破産から任意整理に変更したい場合の3つのポイント

弁護士に自己破産を依頼したあとに、任意整理に変更したい場合は、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 依頼中の弁護士や司法書士にすぐ相談する
  2. 任意整理に変更する理由や事情を説明する
  3. 任意整理のデメリットなども十分理解しておく

それぞれについて、詳しく解説します。

1.依頼中の弁護士や司法書士にすぐ相談する

自己破産から任意整理への変更を考えたとき、まずは依頼している専門家へすぐに相談しましょう。

すでに依頼した専門家が自己破産の準備を進めている場合、手続きの進行具合によっては変更できないこともあります。

そのため、気持ちが変わった段階でできるだけ早く、依頼している弁護士や司法書士にその旨を伝えることが必要です。

専門家に相談すれば、変更できるかどうかがわかるだけでなく、現状の手続きがどの段階にあるのか、変更にあたってどのような準備や書面が必要かといった情報も得られます。

さらに、自分では「任意整理のほうが良いのでは?」と思っていても、専門家の見地からすれば任意整理による解決は見込めないケースもあるため、最終的な判断には専門家の意見が欠かせません。

ひとりで判断せず、専門家とのコミュニケーションを密にとることが、後悔しない選択につながるはずです。

2.任意整理に変更する理由や事情を説明する

専門家に変更を申し出る際は、「なぜ自己破産ではなく任意整理にしたいのか」という理由や事情をきちんと伝えることが重要です。

たとえば「急な相続により資産に余裕ができた」「家族に知られたくない」「破産によって資産を手放すのが困る」など、正直な思いを丁寧に説明しましょう。

これにより、弁護士や司法書士も依頼者の意思を最大限尊重した提案がしやすくなります。

また、任意整理で実際に返済が可能かどうかの見極めも重要です。

返済の見込みがなければ、変更が現実的でないと判断される場合もあります。

説得力のある理由と、今後の返済計画を合わせて示すことで、専門家からの協力も得やすくなるはずです。

3.任意整理のデメリットなども十分理解しておく

任意整理は自己破産に比べると柔軟な面もありますが、全ての人にとってメリットのある方法とは限りません

そのため、自己破産からの変更を希望する前に、任意整理のデメリットをしっかり理解しておくことが必要です。

そもそも、任意整理で減額対象となるのは借金の利息部分だけであり、元本の返済義務が残るため、収入が安定していないと返済が行き詰まる可能性があります。

また、全ての債権者と交渉が成立するわけではなく、希望通り減額できるとは限りません。

さらに、任意整理をした場合でも信用情報には事故情報として登録されるため、一定期間は新たな借入れやクレジットカードの利用ができなくなります。

安易に任意整理を選ぶと、かえって負担が大きくなることもあるため、メリットとデメリットを冷静に比較し、納得したうえで判断することが重要です。

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自己破産から任意整理に変更する際の2つの注意点

自己破産から任意整理に変更することは原則可能ですが、実際に手続きを進めるとなると、いくつか注意すべき点があります。

ここでは、変更手続にあたってトラブルを避けるために知っておきたい2つの注意点について詳しく解説します。

1.まれに弁護士から了承を得られないことがある

自己破産を取り下げて任意整理に変更したいと希望しても、必ずしも弁護士がその意向を受け入れてくれるとは限りません

たとえば、収入状況が不安定だったり、任意整理による分割返済の金額が現実的でなかったりすると、弁護士側は変更に応じてくれないことがあります。

すでに破産手続の準備が進んでいる段階であれば、時間や労力から手続きの中断に否定的な意見を持つ場合もあるでしょう。

また、一般的に任意整理よりも自己破産のほうが弁報酬が高額となるため、自分の利益を確保するために自己破産を勧めてくる弁護士が一定数いるのも事実です。

2.任意整理の着手金が改めて必要になることがある

自己破産から任意整理に変更する場合、すでに支払っている費用とは別に、新たに任意整理用の着手金を求められるケースがあります。

これは、自己破産と任意整理では法律上の手続きが異なるためで、それぞれに応じた業務として新たに報酬が発生するからです。

特に任意整理では、債権者ごとに個別交渉が必要となるため、債権者1社あたりで費用が計算されることもあります。

費用の相場は1社あたり2万~5万円前後が一般的で、債権者が複数いる場合はまとまった金額になることもあります。

すでに自己破産の費用で予算を組んでいた人にとっては大きな負担となるため、事前に任意整理に変更する場合の費用をしっかり確認しておくことが重要です。

変更にともなう経済的負担を軽減するためにも、分割払いや減額交渉に対応してくれるかなど、費用面でもしっかり弁護士・司法書士と話し合っておきましょう。

さいごに|自己破産から任意整理に変更したいなら早めに対応しよう!

本記事では、自己破産から任意整理に変更できるタイミングや、変更する際の注意点などについて詳しく解説しました。

自己破産から任意整理への変更は、破産手続開始前であれば原則として可能です。

ただし、すでに自己破産の準備が進んでいたり、収入や返済計画に現実性がなかったりする場合、変更が認められないこともあります

また、任意整理に変更するには新たに着手金が発生する可能性もあるため、費用面でも注意が必要です。

いずれにしても、自己破産を避けたい場合は、早い段階で弁護士や司法書士に相談することが大切です

自分にとって最適な債務整理の方法を選ぶためにも、慎重に判断し、速やかに行動しましょう。

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この記事の監修者
かがりび綜合法律事務所
代表弁護士 野条 健人 (大阪弁護士会)
かがりび綜合法律事務所は、お一人おひとりの悩みに最後まで寄り添いながら問題解決に取り組んでおります。お気軽にご相談ください。
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編集部

本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。