過払い金請求に必要な手数料の相場と安く抑える3つの方法
過払い金請求をするにあたって、いったい過払い金が返ってくるまでにどれくらいの手数料がかかるのでしょうか。正直なところ状況によりけりなので、断定はできません。
しかしながら過払い金発生している人は、自分が不当に払ったお金を取り戻したいがために、過払い金請求を行うのであって、できるだけ手数料を安く抑えたいと思うのは当然です。
今回の記事では、過払い金請求をするにあたり、各々の手数料が必要になる場合と、料金の相場や手数料を安く抑えるための方法を紹介していきます。
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過払い金請求を専門家へ依頼した場合の手数料
過払い金請求をする人の多くが、真っ先に気になるのが法律の専門家にかかる手数料です。専門家の手数料は大きく分けて、相談料、着手金、報酬金の3つに分けることができます。
相談料:過払い金請求の場合は無料
一般的に専門家への相談料は、1時間あたり5000円~10000円が相場であり、初回のみ無料で相談を引き受ける事務所が多いです。しかしながら過払い金請求にあたってはほとんどの事務所が相談料を無料にしています。初回だけならまだしも、相談料を無料としているのは何故でしょうか。
過払い金請求の相談料が無料の理由
当然ですが、相談料を無料にするということは、専門家にとって時間的コストを犠牲にしていることとイコールです。その内幕には、過払い金請求は他の案件と比べて、報酬金などから得られる利回りが大きいのだと考えられます。
しかしながら過払い金発生者は年々減少していることから、過払い金請求ブームも長くは続かないでしょう。
それに伴い相談料が無料の事務所の数も減少していくかも知れませんので、これから過払い金請求をする方は、相談料が無料の内に済ませた方が賢明かもしれません。また相談料を無料にしていない事務所もありますので、手数料に関しては各事務所にご確認ください。
着手金
相談料が無料ということは、専門家への手数料が発生するのは、過払い金請求の案件を専門家が受任したタイミングです。専門家が案件を引き受けた段階で支払う(前払い)お金を着手金といいます。
着手金は、過払い金請求の結果が依頼者の納得のいかない結果だったとしても返ってくることはありません。
着手金に関してもめるケースも多いと聞きますが、過払い金請求は長期戦になることも珍しくなく、案件が失敗に終わった場合、依頼主だけでなく専門家への成功報酬の少なくなります。
専門家も時間的コストを対価に案件を仕事として引き受けている以上、案件が失敗に終わった時の担保として着手金が発生するのも仕方ありません。
分割払いの事務所の増加
しかしながら基本的には前払いの、着手金ですが近頃、案件が完了した段階で、後払いの分割支払いを可能とする法律事務所が増えてきているのも事実です。
着手金の相場
着手金の料金は、請求する賃金業者の数に応じて高額になります。料金の相場としては、請求する賃金業者1件あたり1万~2万円です。しかしながら着手金に関しては、各事務所ごとにばらつきがありますので、実際にいくら発生するかは相談時に確認してみましょう。
報酬金
報酬金とは過払い金請求が成功した場合に支払う手数料です。報酬金には、解決報酬金、減額報酬金、過払い報酬金の3つがありますが、案件が成功した度合に応じて高額になります。
日弁連・日司連による料金規制
各報酬金の説明に入る前に、事前に抑えて欲しい知識として、各報酬金には上限がつけられています。この背景には、過払い金ブームにのっかり不当な報酬金の料金設定をした事務所が量産したことがあります。
利益だけを追及する法律事務所に制約をかける目的で、日弁連(日本弁護士会連合会)、日司連(日本弁護士会連合会)によって、報酬金に対する上限がつけられました。
参照:「日本弁護士会連合会」「日本司法書士会連合会」
解決報酬金
解決報酬金とは、賃金業者への過払い金請求が完了した段階で支払う報酬金です。相場としては、2万円だといわれています。日弁連が設けた上限金額(弁護士費用)は、賃金1件あたり2万円(税別)以下、日司連が設けた上限金額(司法書士費用)は5万円(税別)以下です。
減額報酬金
減額報酬金とは、請求する賃金業者に対して借金が残っていた場合に発生する報酬金です。借入残高と過払い金を差額分から減額した借金の割合に応じて報酬金が算出され、相場としては減額分の10%前後だといわれています。日弁連、日司連が定めた上限は減額分の10%(税別)以下です。
過払い金報酬金
過払い金報酬金は実際に、請求先の業者に借金がなかった場合、過払い金が債務額を上回る場合に発生する報酬金であり、返還できた過払い金の割合に応じて報酬金が算出されます。
日弁連、日司連が定めた過払い金報酬金額の上限金額は、任意の交渉で和解が成立した場合だと返還できた過払い金の20%(税別)以下、訴訟まで発展した場合、25%(税別)以下です。
過払い金報酬金額の相場は、任意の和解で解決した場合、訴訟まで発展した場合を合わせて20%だといわれています。一般的に、訴訟に発展した場合、専門家の手続きが多くなることや、規定された上限金額も高額なこともあり、過払い金報酬金が高額な場合が多いです。
日弁連・日司連の定める報酬金の上限(税別) | |||
弁護士 | 司法書士 | ||
・解決報酬金 | 20000円(1件あたり) | 50000円(1件あたり) | |
・減額報酬金 | 10% | 10% | |
・過払い金報酬金 | 和解交渉 | 20% | 20% |
訴訟 | 25% | 25% |
過払い金請求に必要な手数料(実費)
過払い金請求は専門家への手数料とは別に請求の手続きための手数料が別途でかかります。手数料は過払い金請求が訴訟まで発展するか否かで変動しますので、まずは過払い金請求の流れから簡単に確認していきましょう。
過払い金請求の流れ
1:取引履歴の開示請求
過払い金請求をするにあたり、賃金業者へ取引履歴を開示してもらう必要があります。取引履歴とは、賃金業者との間の取引期間中における、返済金額や金利、利息を時期別ごとに記録した書類であり、過払い金を算出(引き直し計算)するにあたり必要です。
取引履歴の開示請求にあたり、業者に問い合わせを行い、開示請求書が送られてくるので、請求書に必要事項を記載して返送するまでが、一般的な流れですが、専門家へ依頼した方が、開示請求はスムーズに行えます。
2:引き直し計算
開示された取引履歴を元に、過払い金の算出(引き直し計算)をします。
正当な金利を元に、本来支払うべきであろう返済総額を算出し、今までの返済総額の差額分から算出することが可能です。計算は月別ごとに利息の計算をしなければならないため面倒くさい作業ですが、専門家へ依頼した場合、引き直し計算は専門家が行ってくれます。
引き直し計算について以下の記事も参考にしてください。
過払い金計算方法|過払額がすぐに分かる引き直し計算の手順 |
過払い金の請求を行うためには、まずは自分にどの程度の過払い金があるのかを正しく計算(引き直し計算)して把握する必要があります。そこで、過払い金の計算を正しく行うため、そして少しでも多くの過払い金を取り戻すための計算方法をご紹介します。 |
3:過払い金請求書の郵送
引き直し計算が完了次第、業者へ過払い金の請求書を郵送します。請求書の内容は、「引き直し計算した結果」、「過払い金の請求金額」、「支払い方法(振り込み先や支払い期日)」などを含めますが、訴訟を嫌がる業者も多いことから、請求に応じなかった場合の対処として、訴訟の意思表明も文面に加えることが一般的です。
参照:「過払い金請求書の作成」
4:和解交渉
業者側が請求書を受け取った後に、実際に返還される過払い金の金額の交渉が行われます。この段階で、相手側が提示してくる金額は請求金額に対し低額なことが一般的です。返還される過払い金に納得できれば過払い金請求は完了ですが、納得できない場合は訴訟の準備を始めます。
5:訴訟の申し立て
訴訟の申し立てをするためには裁判所へ指定の書類を提出しなければなりません。提出する書類は、取引履歴書、引き直し計算書、過払い金返還請求書、訴状、商業登記簿本です。訴状の作成方法に関しては、「名古屋消費者信用問題研究会」からフォーマットを参考にしていただけたらと思えます。
6:裁判
訴訟前の交渉が成立しなければ法廷にて、過払い金請求の決着をつけます。一般的には過払い金請求において、請求者側は法的に有利な立場にあるため、訴訟まで行った場合、満額に近い過払い金が返還される場合が多いです。
過払い金請求とは|メリットや請求方法・専門家選びの全知識 |
過払い金が発生するようになった原因、過払い金請求を行う際に気になる過払い金の計算方法や請求手順、そして司法書士や弁護士などの専門家に依頼した時の費用に加え、それぞれのメリットなど、過払い金請求に関する全ての知識をご紹介していきます。 |
内容証明郵便の際の手数料
過払い金請求を郵送する際、または取引履歴の開示請求書を返送する際など、業者側へ書類を郵送する時は内容証明郵便を使用するのが一般的ですが、この際に専門家の手数料とは別途でお金がかかります。
内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、法的に郵送した事実、相手側が書類を受け取った事実を証明するための郵便であり、訴訟まで発展した場合、裁判を有利に持っていくために、内容証明郵便は効果的です。
料金の内訳
また郵送する際にかかる手数料は、内容証明料の430円、書き留め料の430円、配達証明料の430円です。また郵送する書類が2枚以上になる場合は、1枚につき260円の手数料が別途でかかります。
訴訟の際にかかる裁判所への手数料
また訴訟の申し立てを行う場合に、申し立てに伴う手数料が発生します。手数料の内訳とましては、収入印紙代、郵便切手代、登記簿謄本の取得代金です。
収入印紙代
収入印紙代に関しては、過払い金の請求金額に比例して高額になります。請求金額が100万未満の場合だと1,000円~10,000円、100万以上の場合で11,000円~30,000円の費用がかかります。
参照:「過払い金請求を自分で行った場合の費用」
郵券切手代:約6000円
また裁判所側から、請求先(賃金業者)へ訴訟の提起をした通知を送るために、郵券切手が必要になります。そのため手数料として郵券切手代の費用がかかり、1業者あたり約6000円が相場です。裁判所によって値段は異なりますので、正確な金額は訴訟を行う際の管轄の裁判所にて確認してください。
商業・法人登記簿謄本の取得代金:600円
裁判所へ提出する書類に商業・法人登記簿謄本とありますが、裁判所に訴訟相手(賃金業者)の登記上の情報を知らせる必要があり、そのため訴訟相手の登記簿謄本を取得しなければなりません。
取得は訴訟相手(法人)の管轄である法務局にて取得できますが、取得の際の印紙代として600円かかります。
専門家への手数料を抑える3つの方法
専門家へ依頼する手数料を安くする方法として以下の3つにまとめました。
法テラスの民事法律扶助制度の利用
専門家費用を抑える方法として、法テラスが所得水準の低い人を対象に設けた民事法律扶助制度があります。
専門家費用の立て替え
民事法律扶助制度を利用することで、過払い金請求を行う上で必要な専門家への費用の立て替えを法テラスが行ってくれます。立て替えた費用は、案件が解決後、法テラスに分割で月々5000円の支払うことができ、専門家の費用の工面に苦しんでいる人の負担を軽減してくれます。
専門家への手数料の減額と免除
さらに民事法律扶助制度を通して、着手金の減額、成功報酬の免除を受けることが可能です。留意点としては、民事法律扶助制度を利用するためには、条件があり低所得者でないと利用できません。
参照:「法テラスの民事法律扶助制度」
裁判所への手数料は対象外
また民事法律扶助制度が対象にしているのは、専門家への費用であり、裁判所に訴訟する際の手数料は制度の対象外です。しかしながら生活保護受給者に限り、裁判所への手数料の立て替えをしてもらうことができます。
着手金無料の事務所を選ぶ
着手金は事務所によってばらつきがあると申しましたが、最近では着手金を無料にしている事務所が増えてきました。過払い金請求をする人の多くが、借金問題を抱えている傾向にあるため、お金のない利用者のニーズに合わせた結果だと思われます。
無料料金の落とし穴
しかしながら、無料料金な事務所ほど報酬金額が高額な場合が多いです。報酬金は、料金設定がパーセント表示なことや案件が解決した後に金額が決まるため、総額でいくら必要なのか依頼した段階でわかりません。
そのため着手金無料の事務所を選ぶ際は、概算でもいいので見積書をだしてくれる事務所を選びましょう。
参照:「減額報酬・成功報酬の割合に気を付ける」
手数料の後払い・分割支払いの事務所を選ぶ
また最近の法律事務所では専門家費用を後払い・分割支払いが可能な事務所も増えてきました。専門家の費用は、過払い金が返還できた金額に応じて高額になりますが、業者か過払い金が返還されるまでに時間がかかるケースも珍しくありません。
そのため報酬金をすぐに用意できない場合、分割で支払うことで利用者の負担を大きく減らすことができます。
過払い金の発生金額が高額な方などは特に、手数料の分割支払いが可能な事務所を選択することをオススメします。
まとめ
過払い金請求にかかる手数料は人によってまちまちですが、大切なことは過払い金請求するにあたり、ご自分の場合、いくらの費用がかかるかを事前に把握することだと思います。今回の記事が、これから過払い金請求を検討されている方のお役にたてたら幸いです。
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