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自己破産後にクレジットカードは使えない?おすすめの代替手段と再取得のポイント

代表弁護士 野条 健人
監修記事
 自己破産後にクレジットカードは使えない?おすすめの代替手段と再取得のポイント
  • 「自己破産をしたいけど、クレカが使えなくなるのは困る」
  • 「自己破産後にクレジットカードを再取得するにはどうすればいいの?」

このように、自己破産によってカードが使えなくなることに不安を感じている方は多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、自己破産をすると一定期間はクレジットカードの新規契約ができなくなるほか、利用中のクレジットカードも順次使えなくなってしまいます

しかし、クレジットカードが使えなくなっても、代わりに利用できるキャッシュレス決済はいくつか存在しているため、そこまで不安に感じる必要はありません。

本記事では、自己破産後のクレジットカードの扱いやおすすめの代替手段、自己破産後にクレジットカードを再取得する際のポイントを解説します。

記事を最後まで読むことで、クレジットカードが使えなくなっても不便なく生活する方法や、どうすれば早くクレジットカードを手に入れられるかがわかるでしょう。

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自己破産をするとクレジットカードはどうなるの?

自己破産後は、利用中のクレジットカードは強制解約されて使えなくなります。

また、自己破産からしばらくの期間は、新規契約も難しくなると覚えておきましょう。

以下では、自己破産後のクレジットカードの扱いについて、より詳しく解説します。

1.自己破産をすると原則として強制解約させられる

自己破産をすると、クレジットカードは原則として強制解約の対象になります。

クレジットカード会社は、「自己破産をするような顧客にはこれ以上カードを持たせられない」と考えるためです。

クレジットカードの契約者が自己破産をした場合、クレジットカード会社は契約者本人の了承なく強制解約できるため、自己破産=クレジットカードが使えなくなると思っておいたほうがよいでしょう。

クレジットカードが強制解約になると、以下のような影響があります。

クレジットカードが強制解約になったときの影響
  • クレジットカード払いに設定していた支払いが決済できず滞納してしまう
  • 破産者が契約者になっている家族カードも使えなくなる
  • ETCカードやマイルカードも使えなくなる
  • ためていたポイントやマイルが失効する
  • 支払いが完了していない商品の返却を求められる

まず、クレジットカードが強制解約されたことで、これまでカードでおこなっていた支払いができなくなります。

公共料金や家賃、携帯電話料金などをカードで支払っている場合、支払い方法を変更する必要があることを覚えておきましょう。

また、家族カードやETCカード、マイルカードなども利用できなくなります。

貯めていたポイントも全て失効してしまうため、強制解約される前に利用することをおすすめします。

さらに、支払いが完了していない商品があるときは、商品の返還を求められる可能性がある点にも注意が必要です。

クレジットカードで購入したものの所有権は、支払いが終わらない限りは購入者ではなくカード会社にあります。

返還を求められたものを売却してしまった場合、免責が認められなくなる「免責不許可事由」に該当するおそれがあるので注意しましょう。

なお、自己破産をしてからクレジットカードが強制解約されるまでには時間がかかるケースも多く、一時的にクレジットカードが利用できる可能性もあります。

しかし、自己破産をしたあとは、絶対にクレジットカードを使わないでください。

使えるうちに使ってしまいたくなる気持ちもあるかもしれませんが、自己破産後にクレジットカードを利用すると、カードの現金化と同じく免責不許可事由に該当してしまうおそれがあります。

2.自己破産後5~7年程度は新しいカードが作れない

自己破産後はブラックリストに登録されるため、5年〜7年の間はクレジットカードの新規作成ができません

なお、信用情報に事故情報が登録される期間は、信用情報を管理する「信用情報機関」によって以下のように異なります。

【自己破産の事故情報が登録されている期間】
信用情報機関 登録期間
CIC(株式会社シー・アイ・シー) 免責許可が決定したことをクレジットカード会社が報告した日から5年間
JICC(株式会社日本信用情報機構) 免責許可決定の確定日から5年以内
KSC(全国銀行個人信用情報センター) 破産手続きの開始決定日から7年以内

上記の登録期間を過ぎ、事故情報が信用情報機関から消えるとクレジットカードの作成ができるようになります。

ただし、登録期間は前後する場合があり、免責許可決定の確定日や破産手続きの開始決定日から5年または7年経てば、必ずブラック状態が解消されるとは限らない点に注意しましょう。

クレジットカードが使えなくなったとしても自己破産をすべき理由

「クレジットカードが使えなくなるなら、自己破産しないほうがよいのではないか」と思う方もいるかもしれません。

しかし、クレジットカードが使えなくなったとしても、多額の借金に苦しんでいるのであれば自己破産を選択したほうがよい可能性があります

その理由は以下のとおりです。

  1. 多重債務などを解消できるから
  2. 債権者からの取り立てを止められるから
  3. 給料の差し押さえなどを止められるから

それぞれ解説します。

1.多重債務などを解消できるから

自己破産をすべき理由のひとつは、多重債務や自転車操業の状態を解消できることです。

複数の借り入れ先から借金をする多重債務や借金で借金を返す自転車操業の状態に陥っている場合、その状況から自力で抜け出すのは困難です。

また、借金を重ねるたびに利息が膨れ上がっていくため、返済できているつもりでも、かえって借金総額が増えているケースも珍しくありません。

自己破産をすればクレジットカードは使えなくなってしまいますが、すでに多重債務や自転車操業に陥っているなら、クレジットカードが使えなくなるのは時間の問題でしょう。

借金問題を少しでも早く解決するには、自己破産を検討してください。

2.債権者からの取り立てを止められるから

自己破産の手続きを弁護士・司法書士に依頼すると、債権者からの取り立てを止めることができます。

弁護士・司法書士といった専門家は、自己破産の依頼を受けると、債権者に対して受任通知を送付します。

法律では、通知を受け取った債権者は、債務者に直接取り立てをおこなうことが禁止されているため、債務者は催促や督促から解放されることになるのです。

なお、自己破産以外の債務整理の場合、手続き後に返済が再開することになりますが、自己破産で免責が認められると、自己破産でも免除されない非免責債権以外の債務は返済する必要がなくなります。

非免責債権の例
  • 税金・国民健康保険料・年金
  • 婚姻費用・養育費
  • 一部の損害賠償請求権
  • わざと債権者一覧に記載しなかった借金
  • 罰金 など

3.給料の差し押さえなどを止められるから

給料や預貯金などの差し押さえを止められるのも、自己破産の手続きをすべき理由のひとつです。

自己破産には、差し押さえを回避したり、中止・失効させたりする効果があります。

たとえば、滞納が続き、金融機関や賃金業者が差し押さえの準備をしている場合、自己破産の手続きを開始すれば差し押さえはできなくなります。

また、すでに差し押さえが始まっているケースでは、自己破産の手続きを開始することで差し押さえの中止・失効が可能です。

いくら「クレジットカードが使えなくなるなら自己破産したくない」と思っていても、財産が差し押さえられるところまで借金の滞納が続いているとなると、どのみちクレジットカードは利用できなくなります。

また、給料が差し押さえられると、裁判所から勤務先に「債権差押命令」という通知が行くため、勤務先に借金の滞納で差し押さえにあっていることが知られてしまいます

借金の滞納が長期間続き、財産を差し押さえられる可能性があるときは、差し押さえが始まる前に自己破産を検討すべきでしょう。

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自己破産からクレジットカードを作れるようになるまでの決済手段

自己破産後、クレジットカードが使えなくなることを不便に感じる方は少なくないでしょう。

クレジットカードを作れるようになるまでは、以下の決済手段の利用をおすすめします。

  1. デビットカード
  2. プリペイドカード
  3. 家族名義の.家族カード

それぞれの代替手段について、詳しく解説します。

1.デビットカード

クレジットカードが使えなくても、デビットカードなら利用できます。

デビットカードとは、利用の際に預金口座から支払い代金が引き落とされるカードのことです。

作成時に審査がおこなわれないため、ブラックリストに登録されている方でも問題なく作成できます。

また、預金の範囲内でしか利用できないため、自分の収入を超えて利用してしまう心配がありません。

クレジットカードと同じように利用できるので、スマートフォンや電気代など、生活費の支払い方法として利用するとよいでしょう。

ただし、デビットカードには以下のような注意点があります。

  • 一括払いしかできない
  • キャッシングができない
  • 支払いに利用できないケースもある

まず、デビットカードは分割払いやリボ払いができません。

また、キャッシング機能がついていないため、デビットカードでお金を借りることも不可能です。

さらに、一部の支払いではデビットカードを利用できないこともあります。

たとえば、ガソリンスタンドや高速道路料金などはデビットカードでは支払えないと覚えておきましょう。

なお、デビットカードには以下の種類があり、国際ブランドつきデビットカードでないとネットショッピングでは利用できません。

J-Debit 銀行のキャッシュカードをそのまま利用できるタイプ
国際ブランドつきデビットカード クレジットカード会社が発行しており、国際ブランド加盟店で利用できるタイプ

2.プリペイドカード

プリペイドカードも、クレジットカードが使えない間の代替手段としておすすめです。

プリペイドカードとは、あらかじめカードに現金をチャージし、チャージした金額の範囲内で利用するカードをいいます。

作成時に審査がないため、信用情報に不安がある方も問題なく作成できます。

ただし、プリペイドカードの利用には以下のような注意点があります。

  • 一括払いしかできない
  • キャッシングができない
  • カードの更新を忘れるとチャージした現金が消滅する
  • 一度チャージすると払い戻しができない
  • 利用できないケースもある

とくに注意したいのは、有効期限が切れる際にカードを更新し忘れると、チャージした現金が消滅してしまう点です。

また、一度現金をチャージすると払い戻しができなくなることにも注意しましょう。

3家族名義の家族カード

家族が契約しているクレジットカードの家族カードであれば、自己破産後も利用可能です。

家族カードとは、クレジットカードを所有している人の家族に発行されるクレジットカードのことです。

家族カードを発行する際に照会されるのは契約者の信用情報であり、契約者の家族がブラックリスト状態でも問題はありません

ただし、家族カードを使いすぎてしまうと、主契約者である家族に迷惑がかかるおそれがあります。

家族間でルールを決め、使いすぎない工夫をしましょう。

自己破産後にできる限り早くクレジットカードを作るための4つのポイント

自己破産後、できる限り早くクレジットカードを作りたいなら、以下の4つのポイントを押さえましょう。

  1. 事故情報が消えていることを確認する
  2. 安定した仕事に就いて収入を得るようにする
  3. キャッシング枠はできる限り低くして申し込む
  4. 「審査に通りやすい」と評判のカードを選ぶ

それぞれ解説します。

なお、クレジットカードが作れるようになるまでの期間を直接的に短縮する方法はありません

あくまでも、ブラックリストが解除されるまでは待つ必要があることを覚えておきましょう。

1.事故情報が消えていることを確認する

まずは、自己破産後5年〜7年が経過するのを待ち、事故情報が消えているかどうかを確認しましょう。

事故情報は、各信用情報機関に開示請求をして確認します。

信用情報機関 主な加盟業態 >請求方法 >手数料
CIC ・クレジットカード会社
・リース会社
・保証会社
・消費者金融
・携帯電話会社
・インターネット
・郵送
・インターネット:500円
・郵送:1,500円
(速達は+300円)
JICC ・消費者金融
・クレジットカード会社
・携帯電話会社
・スマートフォンアプリ
・郵送
・データ:1,000円
・郵送:1,300円
(速達は+300円)
KSC ・銀行
・信用組合
・信用金庫
・農協
・インターネット
・郵送
・インターネット:1,000円
・郵送:1,679円〜1,800円
(速達は+300円)

開示請求をすると、開示報告書を取得できます。

開示報告書を取得したら、「返済状況」の記載を確認しましょう。

「異動」と記載してあればブラック状態はまだ解消されていないため、期間を置いて再チャレンジしてください。

返済状況の欄に何も書かれていなければ、すでに事故情報は消えています。

2.安定した仕事に就いて収入を得るようにする

自己破産後は安定した仕事に就き、収入を得られるようにしましょう。

クレジットカードを作成する際の審査では、仕事や収入について以下の点が重視されるためです。

  • 勤務先
  • 勤続年数
  • 勤務先の企業規模
  • 雇用形態

たとえば、自己破産後すぐに転職したとしても、ブラック状態が解消されるまで同じ勤務先で働けばそれだけで勤続年数は5年から7年ほどになっているはずです。

長く同じ職場で働き、しっかり収入を得ていれば、審査に通りやすくなるでしょう。

3.「審査に通りやすい」と評判のカードを選ぶ

自己破産後にクレジットカードを作る際は、審査に通りやすいクレジットカードを選ぶのも大切です。

具体的には、以下のカードは審査に通りやすいといわれており、自己破産した場合でも審査に通る可能性があります。

クレジットカード名 特徴
エポスカード ・入会費・年会費無料
・最短即日発行
・国内在住の満18歳以上(高校生以外)なら申込み可能
・入会特典として2,000円分のエポスポイントプレゼント
・アプリで支払い額やポイントの管理が可能
・ためたポイントをプリペイドカードにチャージできる
Oiveフレキシブルペイ
(一般)
・年会費無料(ゴールドランクは初年度のみ無料)
・最短3営業日発行
・国内在住の満18歳以上(高校生以外)なら申込み可能
・対象店舗でのタッチ決済で最大20%ポイント還元
・キャッシュカードやデビットカードとしても利用可能でポイント払いもできる
楽天カード ・年会費無料
・カードはメール到着後1週間〜10日前後で到着
・国内在住18歳以上であれば誰でも申込み可能
・新規入会+利用で5,000ポイント進呈

※令和7年2月12日時点での情報です。

これらのカードは収入に関する規定がないため、収入に自信がない場合でも申し込んでみる価値はあるでしょう。

なお、審査に通りやすいといわれているカードでも、自己破産によって免責されたクレジットカード会社や同系列の会社の場合は、審査に通らない可能性が高いです。

信用情報機関の事故情報が消えても、クレジットカード会社が問題を起こした顧客を独自に管理する「社内ブラック」の状態になっていると、厳しく審査がされるからです。

4.キャッシング枠はできる限り低くして申し込む

自己破産後にクレジットカードを契約する場合、キャッシング枠はできる限り低く設定して申し込むことをおすすめします。

キャッシング枠を高く設定してしまうと、低い金額で設定したときよりも審査が厳しくなってしまうためです。

とくに事情がなければ、キャッシング枠はゼロで申し込んでください。

また、利用限度額も低く抑えておくのがおすすめです。

「できるだけ高く設定しておきたい」と思うかもしれませんが、キャッシング枠はあとから変更でき、クレジットカード会社によって自動的に増枠されるケースもあります。

まずは審査の通過率を上げることを優先し、審査に通りにくくなるようなことはしないようにしましょう。

さいごに|自己破産による日常生活への影響が知りたいなら弁護士に相談を

本記事では、自己破産後にクレジットカードが使えなくなることや、使えない間の代替手段、再取得のポイントについて解説しました。

自己破産後はブラックリストに登録されるため、クレジットカードが使えなくなります。

ブラックリストへの登録期間は5年〜7年程度と長いものの、新しくクレジットカードを作るためには事故情報が抹消されるのを待つしかありません。

「クレジットカードが使えなくなるなら、自己破産するのはやめておこう」と思うかもしれませんが、多重債務で首が回らない・債権者からの取り立てで精神的に疲れてしまった・給料を差し押さえられているなど、ケースによっては自己破産を選択したほうがよい可能性があります

自己破産すべきか判断できないときや、自己破産によって日常生活にどのような影響があるか知りたい場合は、弁護士への相談をおすすめします

最近では、法律事務所の多くで無料相談をおこなっているため、一度無料相談を受けてみるとよいでしょう。

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この記事の監修者
かがりび綜合法律事務所
代表弁護士 野条 健人 (大阪弁護士会)
かがりび綜合法律事務所は、お一人おひとりの悩みに最後まで寄り添いながら問題解決に取り組んでおります。お気軽にご相談ください。
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編集部

本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。