特定調停の手続き方法と流れ|メリット・デメリットもわかりやすく解説
特定調停(とくていちょうてい)とは、借金返済に困った人のための債務整理の1つです。
支払い不能に陥るおそれのある債務者(借金をしている人)について、債権者との話合いを通じて経済的に立ち直らせることを目的とする、民事調停法の特例として定められた制度で、メリットもあればデメリットもあります。
この記事では、特定調停に関する基礎知識と、特定調停を利用する際のメリット・デメリットについてまとめました。
借金問題を弁護士や司法書士に依頼するメリット
- 「生活が苦しく借金を減らしたい」
- 「業者からの取り立てで精神的に追い込まれている」
そんな時は、弁護士や司法書士など借金問題の専門家に依頼することをオススメします。また専門家への依頼には、以下のようなメリットがあります。
- 貸金業者からの督促・取り立てを最短即日で止められるので不安な日々から脱却できる
- 借金を減額・整理するための適切な方法を提示してくれるので借金問題を効果的に解決できる
- 手続き上の書類作成などを代行してもらえてラク
- 過払い金の調査をしてもらえて、うまくいけば借金が貯金になる
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特定調停とは?
特定調停は、民事調停法の特例で定められている制度で、裁判所の調停委員を交えながら当事者の話し合いで問題解決を目指します。あくまで裁判所の関与を受ける法的手続きであることから、利用するためには一定の条件や手続きが必要となります。
ここでは、特定調停の対象者、特定調停が借金へ与える効果、特定調停と任意整理の違いについて説明します。
特定調停を利用できる人
特定調停法(特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律)2条によれば、特定調停を利用することができる債務者とは以下の通りに定められています。
第二条 この法律において「特定債務者」とは、金銭債務を負っている者であって、支払不能に陥るおそれのあるもの若しくは事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの又は債務超過に陥るおそれのある法人をいう。
引用:特定調停法2条
簡単に言えば、現時点で債務超過の状態であるか、その状態に陥るおそれのある債務者が利用できるということです。
特定調停が借金へ与える効果
では、特定調停を利用することで、借金返済の負担がどのように減るのでしょうか。
将来利息のカット
特定調停の場合、債権者との話合いで借金負担の軽減を図りますので、債権者の同意が必要です。そのため、大幅な借金減額は期待できませんが、将来的に発生する利息や遅延損害金を免除することは同意されるケースが多いです。このような将来利息等がカットされることは、わずかですが借金負担の軽減に繋がります。
過払金の処理が期待できる
もし債務者の返済額が大きく、過払い金が発生しているような場合には、特定調停を通じて過払い金を考慮して支払義務が減額されたり、消滅したりということがあるかもしれません。場合によっては過払金が返ってくることも期待できます。
なお、裁判所の調停委員が過払金を計算してくれることは有りませんので、これは債務者側で計算・主張する必要があります。過払金が発生しているかどうかの計算は本人には難しいので専門家に依頼する方が確実でしょう。
特定調停と任意整理との違い
任意整理とは、債務者と債権者が直接協議・交渉することで、返済負担を減らす行為です。
任意整理と特定調停は債権者との話合いにより進める点では同じですが、任意整理は法的手続外の交渉であって裁判所の関与は有りません。他方、特定調停はあくまで裁判所の手続きとして調停委員が関与します。
取り立てが止まる時期
任意整理を弁護士に依頼した場合と同様、特定調停を申し立てた場合も貸金業者からの直接の取立ては停止されます。ただ、このタイミングは両者で若干異なります。
任意整理を弁護士に依頼した場合、弁護士が受任通知を送った時点で直接の取立てがなくなります。他方、特定調停を本人限りで行う場合には、裁判所からの手続開始の通知が債権者に送られた時点で直接の取立てが止まります。
このように、任意整理を弁護士に依頼した場合と、独自に特定調停を行う場合では、後者の方が前者との比較で取立てが止まる時期が若干後ろ倒しになる可能性があります。
債務名義の有無
特定調停は裁判所の関与の有無という点で任意整理と異なります。そのため、特定調停で債権者との話し合いがまとまると裁判所から合意内容を明記した調停調書が発行されます。
この調停調書は、裁判所の判決と同じ効力を持つ書面 (債務名義)であり、債務者が調書の通りに返済をしなかった場合、債権者は債務者の財産を一方的に差し押さえるなどが可能となります。
以下、特定調停と、任意整理との細々した比較です。
特定調停 |
任意整理 |
|
手続き方法 |
裁判所に申し立てる |
裁判所を通さず、相手方との任意の話し合いを行う |
手続き難易度 |
本人でも可能 |
専門家に依頼しなければ難しい場合もある |
利用条件 |
一応条件あり |
条件なし |
返済方法 |
3年~5年程度の分割払いが基本 |
|
相手方の選択 |
債権者の選別が可能 |
|
信用情報機関の登録 |
あり・信用機関に5~10年程度登録される可能性あり |
|
借金の使途 |
問われない |
|
保証人への影響 |
あり |
|
周囲への影響 |
本人のみで対応すれば周囲に発覚する可能性がある。専門家に依頼すればその可能性は限りなく低い。 |
|
資格制限・官報記載 |
なし |
|
財産に及ぼす影響 |
なし |
特定調停のメリットとデメリット
では、特定調停を利用する上でのメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
メリット
①債権者からの取り立てが止まる
貸金業者は、特定調停の手続き開始が通知されて以降、債務者への取立て行為を行うことが貸金業法で禁止されます。そのため、弁護士に任意整理を依頼した場合と同様、債務者が特定調停を申し立てると貸金業者である債権者からの取り立てはストップします。
②費用が安い・個人での手続きが比較的簡単である
特定調停は、それほど費用をかけずに申立をすることができます。地域ごとに若干の差はありますが、東京簡易裁判所では、申立費用が、相手方1人(1社)につき、以下の料金だけで済みます。
- 500円分の収入印紙
- 420円分(82円切手×5枚、10円切手×1枚)の郵便切手
専門家に依頼せず、本人のみで手続きを行えば1社あたり1,000円掛からない金額で申立て自体は可能です。
また、特定調停は、調停委員が債権者と債務者の間を仲介して話合いを進めてくれますので、手続き自体はそれほど難しくありません。申立てについても分からないことは裁判所に聞けば親切に教えてくれますので、本人のみでやってみる価値はあると思います。
③手続きに時間を要さない
特定調停は話合いによる簡易・迅速な処理を目指す手続きですので、それほど時間を要しません。概ね申立てから1~3ヶ月程度で解決に至るケースが多いようです。
④調停委員が間に入るため相手方と直接交渉しなくて済む
上記の通り、特定調停では調停委員という裁判所の職員が間に入って話合いを進めます。相手の貸金業者と顔を合わせることは基本的にありませんし、分からないことは調停委員に聞けますので、安心して協議を進めることができます。
⑤一部の業者のみを相手に申立てをすることができる
債権者の中には、関係をこじらせたくないので、交渉対象から除外したいというニーズもあるかもしれません。
特定調停では、どの債権者を交渉対象とするかを債務者が決められます。そのため、交渉対象としたくない債権者を除外して特定調停を申し立てることができます。
なお、貸金業者が複数いる場合でも、一つの簡易裁判所で調停手続きを行うことができる場合もありますので、複数業者を相手とする場合は裁判所に相談してみてください。
デメリット
①任意整理と比べると手続きが重たい
任意整理と特定調停は基本的には同じものであり、期待できる効果もあまり変わりません。しかし、特定調停は裁判所の手続きであるため、スケジュールも裁判所の都合で決まります。そのため、任意整理よりは、迅速性や柔軟性に欠ける側面は否めません。
なお、特定調停手続きについては「特定調停の手続きの流れ」にて紹介します。
②取立行為が止まるまでに少し時間がかかる
特定調停が申し立てられた場合に貸金業者による直接の取立てが禁止されるのは、裁判所から手続きが開始された旨の通知が送付された時点です。
本人限りで特定調停を申し立てた場合、裁判所からこの通知がされるのは概ね申し立てから1ヶ月~程度が経過した時点です。そのため、特定調停のみで取立てを止めようと思った場合、実現に若干時間がかかってしまうかもしれません。
なお、特定調停を弁護士に依頼して行う場合、弁護士から債権者に介入した旨の通知がされますので、その時点で直接の取立てが止まります。そのため、弁護士に依頼する場合、このデメリットはありません。
③いわゆるブラックリストに載ってしまう
特定調停による債務整理を行った場合、個人信用情報機関に事故情報として登録されてしまう(いわゆるブラックリスト入り)ので、一定期間ローン利用やクレジットカードの新規発行ができなくなります。
ただし、5年~7年経過すれば情報は削除されるので、その後はローン利用やクレジットカードの新規発行もできる場合がほとんどです(もっとも特定調停の相手方となった業者からは永続的に取引を断られることは十分考えられます)。
このデメリットは債務整理全般にいえますので、特定調停に限った話では有りません。
なお、債務整理をする方の中には、官報へ掲載されることを懸念される方も多いと思いますが、特定調停をすることで官報に掲載されることはありません。
④保証人に迷惑がかかる
債務整理はあくまで債権者と債務者間の話合いであり、保証人の権利義務には全く影響しません。そのため、債権者との間で債務を軽減する合意をしても、保証人はその恩恵を当然に受けられるものでは有りません。そのため、特定調停の結果、債権者が債務者から回収できなかった部分を保証人に対して請求していくということはあり得ます。結果、保証人に迷惑をかけてしまうということがあると思われます。
⑤調停不成立の場合もある
特定調停は、あくまで話し合いによる手続きなので、債権者が承諾しない限り解決することは有りません。そのため、特定調停を申し立てても、債権者が提案を受諾しない結果、何も解決しないまま手続きが終了することもあります。
⑥調停後の約束を守らないと強制執行となる可能性がある
特定調停で話し合いがまとまると、裁判所において調停調書が作成されます。この調停調書には確定判決と同じ効力があり、合意内容が履行されない場合は強制執行が可能となります。
そのため、特定調停での合意内容を破った場合、給与差押等の強制失効手続きが申し立てられてしまう可能性が高いです。
⑦家族に知られる可能性がある
本人限りで特定調停を申し立てた場合、調停関係の書類は本人が指定した自宅に届きます。この場合、同居の家族に特定調停を申し立てたことを知られてしまう可能性があります。
⑧調停委員は味方ではない
調停委員は裁判所の職員であって、あくまで中立公正は立場です。そのため、調停委員が債権者や債務者のどちらかの味方となってくれるわけではありません。
そのため、債務者が希望する返済計画があっても調停委員が希望どおりの提案をサポートしてくれるとは限りませんし、調停委員があなたに有利となるよう働きかけをしてくれるわけでもありません。もちろん分からないことは質問すれば答えてくれますし、手続き的なサポートはしてくれますが、調停委員はあなたの味方として交渉・協議を進めてくれることはありませんので、注意しましょう。
特定調停の手続きの流れ
特定調停を利用するためには、裁判所に書類を提出して申立てをしなければなりません。ここでは、申立てに必要な書類や費用、裁判所での実際の手続きの流れについて整理しましょう。
1.申立ての方法・添付書類
特定調停は、各簡易裁判所によって必要な書類が若干、異なる場合があります。基本的には下記のものを準備することになりますが、詳細については申立先の簡易裁判所に事前に問い合わせると良いでしょう。
特定調停申立書・財産状況等明細書・権利関係者一覧表
裁判所のホームページでダウンロードできます。(裁判所の窓口に用意している場合もあります。)
▶ダウンロード
特定調停申立書の記入方法は下記の通りです。相手方が複数ある場合には相手方ごとに作成し、それぞれ正本・副本の合計2部ずつがセットで必要となります。ペン又はボールペン(鉛筆不可)で記入します。パソコン等で作成したものでもOKな裁判所もあります。
【申立人】
「申立人」欄には、あなたの住所・氏名・電話番号(携帯電話番号があればそちら)を記入し、氏名右横に認印を押します。借りたときの住所・氏名が現在と異なる場合は、それらも併記しなければなりません。
【相手方】
「相手方」欄には、借金を整理したい相手方の氏名(業者の場合は法人名)と、所在地を書きます。
借入先の業者によっては、借金の管理が別の支店に移っていることもありますが、この場合は、現在管理している所を書いてください。また、会社名は正式な名称で書かなければなりません。(例:A金融→株式会社A金融)
【債務の種類】
「債務の種類」欄には、該当する欄にレ点をします。
【借受金額等】
「借受金額等」欄には、1番最初の借受年月日を書きます。借り増しや切り替えをして新たに契約書を作っている場合でも、それ以前の借受年月日を書かなければなりません。はっきり分からなければ空欄のままにする必要があります。
【返済状況】
「返済状況」欄には、返済年月日ごとに返済金額を具体的に書きます。 はっきり分からない場合は、現在の残額を記載してください。
財産状況等明細書・権利関係者一覧表についても、裁判所のホームページで記入方法が細かく解説されているので、そちらを参考に必要事項を埋めていくといいでしょう。
②戸籍謄本・住民票
申立人が自営業など事業者である場合は、資格証明書(現在事項全部証明書または代表者事項証明書)も必要になることがあります。
資格証明書は、法人の本店の所在地を管轄する法務局にて取得してください。
提出を省略できる場合もあるので、申立先の簡易裁判所に問い合わせる必要があります。
③所得が確認できる資料
給与明細書、通帳のコピーなどが必要です。
④借入状況が分かる資料
これまでの返済状況が分かる資料として、契約書や領収書などを用意してください。
2.かかる費用
先述のとおり、1社あたり1,000円掛からない金額で手続きをすることができます。東京簡易裁判所の場合は、相手方1人(1社)について500円分の収入印紙と420円分(82円切手×5枚、10円切手×1枚)の郵便切手が必要です。これらはどちらも郵便局で購入できます。
ただし、相手方1人(1社)に対する債務額元本が1,666,666円を超える場合は、追納の必要が生じることがあるので、このような場合はあらかじめ申立先簡易裁判所に問い合わせた方が無難です。
3.裁判所での手続き内容
①調停委員会の構成
申立を受けた裁判所は、調停を進めるために調停委員を指定します。そして調停主任となる裁判官1名と調停委員(一般的には2名)による調停委員会を構成します。調停委員は弁護士のほか、高い専門知識を有する有識者から選任されます。
②調停期日の通知
申立後、1~2週間後に裁判所から呼び出し日を通知する書類が郵送されます。
そして、おおよそ申立後1~2ヶ月後に調停期日が指定されます。指定された日に裁判所へ出頭します。
③第1回調停期日
第1回の調停期日では、申立人と調停委員による面接が行われますが、相手方は呼び出されません。
面接では、申立人の収入・返済状況の確認から、今後の生活や返済予定などについて、調停委員から事細かに尋ねられます。
しっかりとした返済計画を示し、返済する意思があることを調停委員に伝えることができれば充分ですが、不安な方は、事前にメモなどを作っておくと良いでしょう。
④第2回調停期日以降
前回の調停期日から1ヶ月後程度に、2回目の調停期日の呼び出しが掛かります。1回目の話し合いで整理した内容をもとに、申立人・調停委員と相手方を交えた3者間で話し合いが行われます。
基本的には相手方と直接交渉することは滅多にありませんし、相手方は欠席することが多いので、電話でのやり取りが中心となるケースも珍しくありません。3回程度の調停期日で折り合いがつかなければ、不成立となる可能性が高いです。
⑤調停調書の作成
調停委員を交えて返済計画が無事にまとまった上で、申立人と相手方での合意が得られると、合意した内容が記載された調停調書が作成されます。
繰り返しますが、調停調書は判決と同じ効力が認められているため、返済が滞った場合には相手方は訴訟などをしなくても給料等の財産を差し押さえられることが可能です。
調整調書の作成までには、通常、申立てからおおよそ2ヶ月~3ヶ月程度の期間を目安に考えてください。
⑥返済開始
合意した内容に従って、借金の返済を開始します。
4.申立て後にやるべきこと
①相手方への連絡
これは、裁判所から相手方に対しても特定調停申立受理通知等が郵送されるので、必須のことではありません。ただし、現在も取り立てが行われていて返済が苦しい場合は、まずは相手方に電話などで「特定調停を申し立てた」という連絡をしましょう。
申立書類を提出すると、引き替えに受付票がもらえます。この受付票に書いてある事件番号と特定調停を申し立てた旨を相手方に伝えれば、すぐに取り立てがストップします。調停が始まるまでの間はお金を返す必要がないので、普段通りの生活をして問題ありません。
②調停期日のスケジュール調整
現在、就労中の場合は、調停期日(平日になります)には裁判所に行く必要があるので、スケジュールの調整を忘れずに行いましょう。調停時間は双方呼び出しがされる場合は、双方から交互に話を聞きますので、2~3時間はかかると思った方が良いでしょう。
特定調停を成功させるポイント
上記のことから、任意整理と比べると特定調停は債権者に寄るところが大きいことが分かりました。
そのため、特定調停を成功させる上で、債権者が納得するための入念な準備が必要です。そこで特定調停を成功させたい人が取るべき行動についてまとめました。
1.特定調停の話し合いの肝を知る
まず特定調停における話し合い自体はさほど難しいものではありませんが、冷静沈着に、きちんと数字を明確化して返済計画を練ることが必要です。
返済計画の内容は、特定調停の話し合いの肝になるので、絶対に、無理な返済計画を言ってはなりません。
収入や月々の最低生活費を元に、無理のない返済額を算出してください。
話し合いがまとまらない場合は、2回目期日、3回目期日まで持ち越されることもありますが、まとまる見込みがない場合は早期に打ち切られることもあります。
2.調停成立のためのコツを知る
次に特定調停を成立させるためには、債権者を納得させる返済金額を提示する必要があります。
①現実的な返済額を提示する
例えば、月5,000円×80回払いなど、あまりにも非現実的な返済額を提示し続けるのはやめましょう。調停が不成立に終わってしまう可能性が非常に高くなります。ギリギリの線で交渉することを心掛けるのが大切です。
②返済金額をステップアップ方式にしてもらう
特定調停は、3年~5年で返済をすることが目安になります。そのため、最大60回までの分割払いが利用できると考えて良いのですが、これを5,000円×12回、10,000円×12回、15,000円×12回など、ステップアップで返済していくという方法を提示するのも有効です。
特に、自分の要求と相手方の要求がどうしても折り合わない場合などは、このような方法を検討してみても良いでしょう。
3.法テラスを利用して任意整理を行う
再三お伝えしていますが、特定調停も任意整理も見込める結果は概ね同じです。そのため、代理人弁護士に依頼して進めるのであれば、特定調停よりも任意整理で進めるほうが負担は軽いです。
法テラスの民事法律扶助制度を利用することができれば、専門家の費用負担はかなり抑えられますので、これを利用しながら専門家を通じて任意整理を行うのも一つの手段です。
民事法律扶助制度とは
民事法律扶助制度とは、専門家費用を用意するのが難しい方を対象に、専門家費用を立て替えるための、法テラスの制度です。
立て替えた専門家費用は月額5,000円で、法テラスへ返済しなければなりませんが、報酬金や着手金などの専門家費用を安く抑えることができます。
しかし、民事法律扶助制度は、ある一定の所得水準を下回っている方が対象の制度です。
詳しくは「債務整理の弁護士費用相場と費用を安く抑えるには」を参考にしてください。
特定調停をすべき人の特徴と他の債務整理との比較
では、どのような方が特定調停を利用するべきなのでしょうか。他の債務整理(任意整理、個人再生、自己破産)との比較を兼ねて説明します。
特定調停が推奨される人の特徴
借金負担が相対的に軽い
元金の返済能力はあるものの、利息までは手が回らないというケースであれば、特定調停を検討するべきでしょう。特定調停手続きで将来利息がカットされれば、無理なく返済を続けていくことができます。
他方、元金の返済能力すらない場合は、自己破産や民事再生といったより強力な法的債務整理手続きを検討するべきかもしれません。
専門家への依頼が難しい
特定調停は任意整理と比較して、弁護士などの専門家に依頼しなくても債務整理手続きを進めることができます。そのため、専門家への依頼が難しいという場合には、本人の独力で特定調停を行うことを検討しても良いかもしれません。
他の債務整理との比較
では、他の債務整理と比べてみた時の特定調停の特徴について確認していきましょう。
任意整理
再三、任意整理について記述してきましたが、任意整理と特定調停との違いは、前者は完全に当事者間のみでの交渉であるのに対し、後者は裁判所の調停委員を媒介して行う交渉であるということです。
調停委員は必ずしも債務者の味方となり、これをサポートしてくれるものではありませんが、裁判所が介入することで債権者・債務者間の話合いがスムーズとなることもあります。
個人再生
個人再生は、特定調停と同様に裁判所の法的手続きですが、これは話合いによる手続きではなく、法律に従って債務を強制的に圧縮する手続きです。そのため、債務負担が軽減される度合いは任意整理や特定調停とは比較になりません。もっとも、このような強力な手続きである反面、より厳格となります。申立てから手続き終了まで、かなり複雑な処理が必要となりますので、個人が独自に行うことは基本的に無理でしょう。
専門家へ依頼した場合、最低でも30万円~50万円程度の費用がかかりますし、負債状況によってはもっと費用がかかることもあります。
自己破産
自己破産も個人再生と同じく裁判所による強力な法的手続きですが、民事再生よりも更に強力です。
自己破産の場合、原則として非免責債権(税金等)以外の債権は裁判所の免責許可決定によって免責され、借金の返済義務が一切なくなります。その代わり、債務者の資産は基本的に換価処分の対象となりますので、不動産や自動車などの一定の資産価値のある財産は権利を全て失うことになります。
申立費用は負債額に応じて決まりますので、負債が高額であれば申立費用も高額となる可能性があります。
まとめ
特定調停は、法律の知識が少ない人でも比較的簡単に利用できる制度です。専門家を頼らずとも充分に手続きをすることができるので、任意整理を考える前に是非とも利用を検討してみてください。
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弁護士・司法書士があなたの借金返済をサポート
債務整理では、債権者と交渉する任意整理や法的に借金を減額する、個人再生や自己破産などがあります。また、過去の過払い金がある方は、過払い請求を行うことも可能です。
ただ、どれもある程度の法的な知識や交渉力が必要になってきます。債務整理をしたくてもなかなか踏み切れないあなたをベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)の弁護士・司法書士がサポートいたします。