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個人間融資掲示板は危険!お金を借りる危険性やトラブルの対処法を解説

辻本 雅嗣
監修記事
個人間融資掲示板は危険!お金を借りる危険性やトラブルの対処法を解説

「個人間融資」とは、文字通り個人同士でお金を融資することです。

近年、インターネットやSNSなどの普及により、不特定多数の人と簡単にマッチングできるようになりました。

このような環境を利用して、個人間でお金を貸したい人と借りたい人をマッチングさせる掲示板である「個人間融資掲示板」が登場しました。

個人間融資掲示板の大きな特徴は「インターネット上のやり取りのみで融資が受けられる」という点で、一般的なカードローンや消費者金融よりも利用しやすいことから、つい手を出してしまう人もいるかもしれません。

しかし、個人間融資自体が法律的に多くの問題を含んでいます。

金融庁でも個人間融資に対して注意喚起・警告をおこなっており、いくら生活に困っていたとしても個人間融資掲示板の利用はおすすめできません。

本記事では、個人間融資掲示板の仕組みや危険性、トラブルの事例や対処法などを解説します。

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個人間融資掲示板とは

まずは、個人間融資掲示板の利用方法や仕組みについて解説します。

個人間融資掲示板の利用方法・仕組み

個人間融資掲示板の利用方法・仕組み

まず、お金を借りたい人(借り手)が掲示板に「お金を貸してください。○○○@□□.jp」などと書き込みます。

次に、その書き込みを見た人(貸し手)が、掲示板に記載されたメールアドレス宛に「お金を貸しますよ」とメールを送ります。

そのメールに対して、借り手が「○○万円貸してください。下記の口座に振り込んでください」などと返信し、このメールを受けて貸し手が口座に入金します。

また、貸し手側が掲示板に「お金貸します。○○○@□□.jp」などと投稿する場合もあります。

このように、個人間融資では直接会ったり話したりせず、インターネット上のやり取りだけで完結します。

XやLINEなどのSNSでも仕組みは同じ

なかには、掲示板ではなくSNSを利用した個人間融資などもおこなわれています。

SNSでも基本的な流れは同じで、お金を借りたい人が「お金貸してください」などと投稿します。

そうすると、その投稿を見た人が「お金貸しますよ」とDMを送ったりしてやり取りをおこない、融資がおこなわれます。

ただし、個人間融資は法律に触れることもあり、金融庁では個人間融資を利用しないように注意喚起・警告をおこなっています。

SNS等を利用した「個人間融資」にご注意ください!:金融庁

引用元:金融庁|SNS等を利用した「個人間融資」にご注意ください!

個人間融資掲示板を利用するのは危険

個人間融資掲示板を利用すると、個人情報の流出や詐欺などの被害に遭うこともあるため、安易に利用するのは避けましょう。

ここでは、個人間融資掲示板の危険性について解説します。

トラブルが起きても運営元は対応してくれない

個人間融資掲示板を利用し、借り手と貸し手との間でトラブルが起きたとしても、基本的に運営元は対応してくれません。

一例として、以下の個人間融資掲示板では、サイト上に「個人間で生じたトラブルには一切関与・介入しない」という旨を明示していたり、責任の所在を運営元に置かない体制をとっていたりします。

個人間融資掲示板

サイト上の注意書き

レンタルキャッシュ

当サイトでは希望する方のメールアドレス(またはLINE ID)を表示して直接融資を募る形式を取っていて、個人間融資の交渉には一切介入していません。
引用元:個人間融資掲示板レンタルキャッシュ|個人間融資 よくある質問

パトロンエルスバンク

万が一、詐欺の被害にあってしまった場合は警察に相談の上、速やかに下記連絡先に連絡してください。
口座の凍結や返金される可能性があります。
金融庁 / 預金保険機構 財務部・振込詐欺被害回復業務課
TEL:03-3212-6076
引用元:PATRON ELSE BANK|詐欺にあってしまった場合

マロンツリー

個人同士のメールや電話などのやり取りは「サイト外部での直接交渉」のため個人間融資掲示板マロンツリーでは如何なるトラブルにも一切責任を負えません。
引用元:個人間融資掲示板マロンツリー|個人間融資の使い方

※各サイトの掲載内容は2025年2月時点のものです

法律的に見ても、運営元は場所を提供しているだけであるため、貸し手と借り手のトラブルについて運営元に責任を問うのは困難です。

個人間融資で成立する可能性がある犯罪

現在の貸金業法では、事業としてお金の貸付をおこなうには国や都道府県に登録することが義務付けられています。

この「事業としてお金の貸付をおこなう」とは、反復継続してお金の貸付をおこなうことを指します。

貸金業法は貸し手が個人でも適用されるため、反復継続してお金の貸付をおこなっていて貸金業の登録をしていない場合には貸金業法違反となります。

その場合の刑事罰は「10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金、またはこれらの併科」です(貸金業法47条2号)。

また、個人間融資で年利が109.5%を超える場合には出資法違反にも該当します。

一方、借り手側についても「最初から返す意思や返済の見込みがないのにお金を借りた」というようなケースでは、詐欺罪が成立する可能性があります。

個人間融資掲示板を利用するリスク

個人間融資掲示板を利用するリスクとしては、主に以下があります。

1.融資詐欺やフィッシング詐欺に遭う

「融資詐欺」とは、お金を貸すように装って、借り手側からお金をだまし取る詐欺のことです。

詐欺業者が「お金を貸しますよ」と言って近づいてきて、「貸すためには保証金や手数料が必要だ」などと言って先にお金を振り込ませたのち、そのまま連絡が取れなくなってお金をだまし取られるというものです。

ほかにも、貸付の際にクレジットカード番号や利用しているサイトのアカウント情報などを聞かれ、その情報を貸し手に悪用されてしまう「フィッシング詐欺」に遭う可能性もあります。

このように、個人間融資掲示板では「お金に困って借りたいと思っていたのに、さらにお金をだまし取られてしまった」というような被害に遭うケースもあります。

2.個人情報が流出してしまう

お金を借りる際、貸し手は住所・氏名・生年月日・口座番号などを聞いてきます。

また、借り手の家族・友人・知人などの情報を尋ねてくることもあります。

こうした個人情報は、貸し手から悪質な業者にわたることもあり、突然知らないアカウントからDMが来たりして詐欺などの被害に遭うケースもあります。

個人間融資の利用者はお金に困っている人が多く、悪質な業者はそうした人の情報を欲しがっており、いわゆる「カモ」のリストに載ってしまうおそれもあるのです。

3.闇金業者から高金利の利息を請求される

貸金業の登録をしている消費者金融などの正当な業者は、利息制限法を遵守しています。

しかし、個人間融資では貸金業の登録をせずに貸付をおこなっていることも多く、貸し手によっては高金利で貸付をおこなっている場合もあります。

こうした貸金業登録をおこなわずに違法な金利で貸付をおこなう者を「ヤミ金融」「闇金」と言い、個人でおこなっている者もいます。

たとえば、「トイチ(10日で1割)」という言葉がありますが、これは年利に換算すれば360%で明らかに利息制限法に違反しており、個人間融資ではこのような高い金利で貸付がおこなわれることもあります。

闇金業者は返済が遅れると職場に連絡したり、深夜に電話してきたり、暴行や脅迫してきたりなどの違法な取り立てをおこなってくる可能性があるため、絶対に闇金からお金を借りてはいけません。

4.性犯罪の被害に遭う

特に借り手が女性の場合は、性被害に遭う可能性もあります。

たとえば「個人間融資でお金を借りたものの返せなくなった」というようなケースでは、お金を返せないという弱みにつけこまれて、性的行為やわいせつ行為を強要されたりすることもあります。

5.自分の口座が犯罪に利用される

お金が返せなくなった場合、貸し手から「返済できないなら借り手名義の預金口座を買い取る」などと言われることもあります。

こうして買い取られた口座は、振り込め詐欺での受け取り先などの犯罪行為に利用されかねません。

そもそも口座の譲渡自体が法律で禁止されており、渡した側も刑事罰が科される可能性があるため、貸し手から話を持ちかけられても応じてはいけません。

個人間融資掲示板でのトラブル事例

個人間融資掲示板では、個人と謳いながら実態はヤミ金業者であったり、見返りに性行為を求めてきたりするケースも少なくありません。

ここでは、個人間融資掲示板で起こった実際の被害例を紹介します。

女性がひととき融資で性被害に遭ったケース

北海道在住の20代女性が、個人間融資を求める人が集まるインターネット掲示板を利用して、「ひととき融資(見返りに性行為を要求される融資)」の被害に遭ったという事例です。

女性は任意整理の経験があったためお金を借りるのに苦労しており、個人間融資で生活をしのいでいたそうです。

個人間融資では、担保として裸の画像などを要求されることもあります。

金融庁でも「見知らぬ人から現金を借りないように」と注意を促しており、安易に利用するのは避けたほうが安全です。

超高金利の利息を請求されて貸し手が逮捕されたケース

埼玉県で30人以上の女性が超高金利の融資による被害に遭ったという事例です。

貸し手は貸金業法違反・出資法違反で逮捕されています。

超高金利の個人間融資では桁違いの金額を要求されることもあります。

貸し手によっては、借り手が逃げられないように顔写真や身分証の写真を送らせて、「支払えないならネット上に晒すぞ」などと脅してきたりして、非常に悪質な手口を使ってくることもあります。

保証金の支払いを要求されて騙し取られたケース

融資をする前に保証金などをだまし取る詐欺も横行しています。

この事例では、X上で個人間融資の約束を取り付けたのち、貸し手から「保証金として5万円を振り込めば40万円の融資をする」と提示されていました。

借り手は指示に従って5万円を支払ったものの、その後は金銭が振り込まれることはなく、貸し手とは音信不通になってしまいました。

このような被害に遭わないためにも、個人間融資は絶対に利用しないようにしましょう。

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個人間融資掲示板を利用する前にやるべきこと

個人間融資掲示板の利用にはさまざまなリスクがあるため、まずお金に困っている場合は以下のような対応を検討しましょう。

消費者金融や公的融資の利用を検討する

大手の消費者金融であれば、法外な利息を請求されることもありませんし、激しい取り立てを受けることもなく、安心してお金を借りることができます。

「審査に落ちたことがある」「一度任意整理をしたことがある」などと自分の信用情報が不安な方は、信用情報機関(CICJICCKSC)に開示請求することで確認できます。

消費者金融の審査に落ちてしまったとしても、生活福祉資金貸付制度求職者支援制度母子父子寡婦福祉資金貸付制度生活保護制度などの公的融資もあるので、まずはこれらの利用を検討しましょう。

債務整理を検討する

債務整理とは借金問題を解決する手続きの総称で、具体的には任意整理・個人再生・自己破産などがあります。

  1. 任意整理:債権者と交渉して、利息のカットや返済スケジュールの変更などを求める手続き
  2. 個人再生:借金を最大10分の1まで削減してもらう裁判手続き
  3. 自己破産:借金の返済を免除してもらう裁判手続き

上記のような債務整理をおこなうことで、借金生活から抜け出せる可能性があります。

ただし、どの方法がよいかは状況によって異なりますし、スムーズに手続きを済ませるには一定の知識なども必要になるため、債務整理を検討する際は弁護士や司法書士に一度相談することをおすすめします。

個人間融資掲示板でトラブルに巻き込まれた場合の対処法

すでに個人間融資掲示板を利用してトラブルになっている場合、対処法としては以下があります。

警察に相談して被害届を提出する

警察には民事不介入という原則があり、個人間の金銭トラブルでは基本的に動いてくれません。

ただし、違法な高金利での貸付がおこなわれていたり、脅迫や暴力などの被害を受けていたりする場合には、刑事事件として捜査してくれる可能性があります。

警察に相談する際は、掲示板・SNS・メールでのやり取りや、被害状況を示す写真や動画などの証拠を準備しておくことで、より動いてくれる可能性が高まります。

弁護士や司法書士に依頼する

弁護士や司法書士なら、借金トラブルに関するアドバイスや解決に向けたサポートなどが望めます。

たとえば、弁護士や司法書士に依頼し、代理人になったことを知らせる「受任通知」を相手に送付してもらうことで取り立てをストップすることができます。

また、不当に高い金利を請求されて支払ってしまった場合は、返還請求を依頼することで取り戻せる可能性もあります。

弁護士や司法書士のサポートを受けることで、任意整理・個人再生・自己破産などの手続きもスムーズに済ませることができ、平穏な生活を取り戻せるでしょう。

当サイト「ベンナビ債務整理」では、借金問題や債務整理が得意な全国の弁護士事務所・司法書士事務所を掲載しているので、まずは一度話を聞いてみることをおすすめします。

まとめ

個人間融資掲示板については、貸金業法・利息制限法・出資法などの法律に抵触する危険性があるほか、以下のようなリスクも伴います。

  1. 融資詐欺やフィッシング詐欺の被害
  2. 個人情報の流出
  3. 闇金業者による高金利の利息の請求
  4. 性犯罪の被害
  5. 口座買取による犯罪被害 など

個人間融資掲示板を利用せざるを得ないほど生活に苦しんでいる方は、まずは弁護士や司法書士に相談しましょう。

ベンナビ債務整理では「何度でも相談無料」「電話相談可能」などの事務所も多数掲載しており、依頼はせずに相談だけの利用も可能ですので、気軽にご利用ください。

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この記事の監修者
SAO司法書士法人
辻本 雅嗣 (東京司法書士会)
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編集部

本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。