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水道料金を滞納した時の対処法|給水停止だけではない未払いのリスクとは

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
水道料金を滞納した時の対処法|給水停止だけではない未払いのリスクとは
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払えるものがなければ当然、公共料金も滞納してしまうことになります。

水道料金を滞納してしまった場合、一体どのくらいの期間で給水ストップになってしまうのでしょうか?

また、払えなかったことで自己情報としてブラックリストに載ってしまうのでしょうか?

水道料金に限らず、払うべきものを払わずに滞納を続けるということはそれなりのリスクがあります。

今回の記事では水道料金の滞納について、そのリスクや対処法を詳しく解説していきます。

借金が原因で水道料金を滞納している方へ

借金が原因で水道料金の支払いが出来ない方には、債務整理をすることがおすすめです。

債務整理とは、返済以外の方法で借金を減額したり、借金そのものをなかったことにしたりする手段の総称です。

ただそれそれの方法にはメリット・デメリットが存在し、自分に適した方法を取る必要があります。

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水道料金の滞納から給水停止まで2ヶ月間の猶予がある

厳密には、水道料金は上水道と下水道の二種で構成されており、一般的に水道料金と言われているものは上水道料金になります。

そしてこの水道料金を払うことが出来ないと最終的には給水停止になりますが、下記図の流れで給水停止に至ります。

以下で詳しく解説していきましょう。

督促|約20日以内

水道料金を納付する期限までに料金を支払わなかった場合、水道局から督促状が届きます。

この督促状には再度水道料金を納付する期限が記載されています。口座振り込みで納付する場合は、口座振替請求が督促状の代わりとなります。

催告|督促状発行から約一ヶ月

督促状が届いた際、納付期限までに水道料金の滞納分は支払わないと延滞料金を取られるだけではなく、水道を止められる可能性があります。

給水停止予告|督促状発行から約2週間

催告状を無視して、水道料金を支払わない期間が続くと、水道を止めますよという給水停止予告書が届くことになります。

給水停止|給水停止予告発行から約2週間

「給水停止予告書」が届いたら最終勧告だと思いましょう。

給水停止予告書も無視すると給水停止となり、延滞金も全額支払わなければ開栓は難しいと思います。

給水停止からさらに滞納を続けた場合のリスク

給水が停止したにも関わらず、さらに滞納を続けると、以下のようなリスクがあります。

延滞金が発生する場合がある

延滞金に関しては、各自治体や水道局によって発生する地域と発生しない地域があり、延滞金の額もその地域によって異なります。

小額だが督促手数料が発生する場合がある

督促手数料といい、100円程度と少額ですが、督促状の発送や委託職員の訪問などにかかる費用を請求されることもあります。

訴えられる可能性がある

水道が使えなくってしまっては困るので大半の人は裁判になる前に料金を支払いますが、実は現実的には裁判になることはめったにありません。

水道料金の場合、滞納額がいくら多くてもせいぜい数万円程度なので、裁判を起こすだけの費用でマイナスになるケースのほうが多いのです。

訴えられたら確実に負ける

仮に裁判となったとしたら、争いというよりも支払い方法についての話し合いが主となるでしょう。払わずにいる側に非があるので、当然負けてしまいます。

また、もし裁判を欠席したとしたら無条件で敗訴となり、給料や口座が差し押さえられる場合があります。

ただ口座を調べたり会社を調べたりするのにお金もかかるので、差し押さえの可能性は非常に低いと言えるでしょう。

支払い方法をクレジットカードにしていた場合はブラックリストに載る

各水道局によってクレジットカード払いに対応しているか否か異なりますが、もしクレジットカード払いにしていて滞納してしまった場合、個人信用情報機関に“金融事故”として掲載されてしまいます。

要するに、ブラックリスト入りするということです。

もしブラックリスト入りしてしまうと、クレジットカードを新規で発行することやキャッシングが出来なくなり、車や住宅のローンも組めなくなってしまいます。

【関連記事】
▶︎ブラックリストに載る理由と消し方|ブラックリストの全知識
▶︎事故情報の正しい知識と知っておくべきガイドラインまとめ

水道料金が払えない時の対処法

どうしても、どうしても払えない…そんな時にはどのようにしたらよいのか、以下にまとめました。

支払い優先順位は電気料金のほうが高い

生活に困窮しており、もし全ての公共料金の支払いが困難な場合、支払いをしていく優先順位としては

  1. 電気料金

  2. 水道料金

  3. ガス料金

となります。

生命維持をする上で、真冬や真夏であれば暖房、冷房を動かす電気というライフラインはまず一番に欠かせません。

電気の次の優先したいのが水道です。水道は主に、料理、トイレ、お風呂に利用しますが、一番大きい意味合いを占めるのが飲み水を確保するという点になります。

電気ほど優先順位が高くない理由は、水は外の公共施設で確保できるからです。

ガスの利用価値は調理と湯沸かししかない為に優先順位は低くなっていますが、勿論生命維持のための優先順位というだけで、最終的にすべて支払いを行うということに変わりはありません。

給水停止の延期をお願いする

水道料金納付期限前に水道局に電話をして、期限の延期を希望する旨を伝えましょう。

延期の希望を受け入れてもらえないところが大多数のようですが、何もしないよりかは少ない可能性に欠けてでも行ってみたほうが良いでしょう。

実際に給水停止の延期が出来たという人も少なからずいるようです。

分割払いを希望する

自治体によりけりですが、水道料金を分割での支払いが可能なところもあります。分割支払いを可能にする上で、誓約書及び納入計画書を作成するケースもあります。

ただし、分割の支払いにしたにも関わらず滞納を繰り返す人に対しては、以後一切の分割納付や支払い期限の延長が認められなくなり、滞納分を全額納付しない限り水道を復旧しないといった厳しい措置が取られることが多いようです。

水道料金の滞納には時効がある

借金には時効が存在しますが、水道料金にも時効が存在します。

水道料金(一般的な水道料金)の時効の期間は2年

水道供給契約は私法上の契約であり、水道料金債権は私法上の金銭債権であると考えられるので、民法が適用されます。

そして水道料金債権についての消滅時効期間は、民法173条により2年間と考えられています。

第百七十三条 次に掲げる債権は、二年間行使しないときは、消滅する。
一 生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
二 自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権
三 学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権
引用元:民法第173条

したがって、仮に自治体からの正当な請求であるとしても、過去2年間一切水道料金の支払いを行っていないのであれば、法律上は過去2年分以外の水道料金は支払う必要がありません。

下水道料金の時効の期間は5年

水道料金は民法上の債権、下水道料金は公法上の債権と取扱いが異なる為、時効の期間も異なります。

下水道料金については、地方自治法第236条第1項にて、5年で時効が成立すると定められています。

(金銭債権の消滅時効)
第二百三十六条 金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利は、時効に関し他の法律に定めがあるものを除くほか、五年間これを行なわないときは、時効により消滅する。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
2 金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利の時効による消滅については、法律に特別の定めがある場合を除くほか、時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
引用元:地方自治法第236条

料金を支払わなくなってから5年という期間が経過していれば、消滅時効の効果を発生させるために必要な援用手続きを行う必要がないという特徴があります。

水道料金の滞納分は債務整理の対象となる

公共料金を滞納している理由が「借金があって支払うことができない」という場合は、債務整理を検討しましょう。

債務整理とは法的に借金を整理することで、水道料金の滞納分は貸金業者等からの借金と同様の取扱いになり、債務整理の対象とすることが可能です。

弁護士・司法書士に借金減額を依頼

ただし債務整理をしてしまうと今後同一地域内では利用することができなくなってしまう可能性がありますので要注意です。以下に債務整理の方法を4つまとめました。

また、方法によっては未払い水道料金をそのまま減額できませんので、他の債務を債務整理して、水道料金の支払いに充てる方法もあります。

過払い金の請求|他の債務の債務整理

過去(2010年の改正貸金業法施行前)に払い過ぎていた利息の返還請求を行うことが出来る制度です。

誰でも過払い金の請求ができるわけではなく、当時高い金利でお金を貸していた消費者金融、カード会社から借り入れを行っていた人が対象となります。

参考:過払い金請求で利息を取り戻す7つの知識と実践方法の全手順

任意整理|他の債務の債務整理

裁判所を通さずに、債務者(借金をしている人)と債権者(お金を貸した人)が法律に基づいて話し合いをして、和解を進めていく方法です。

この任意整理を専門家に依頼することで、本人の代わりに交渉、借金の減額手続きを全て行ってもらえます。

裁判所を通さないので、借金の原因は結果には影響しません。
参考:任意整理のデメリットとメリットの正しい知識まとめ

個人再生|水道料金を含めた債務整理

住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円以下の債務者が、借金の10%(最低100万円)を3年で分割返済をすると、残りの最大90%は免除される制度です。

借金に悩まされている人の再生を図るという観点から、個人再生と呼ばれています。

また、個人再生の手続きは借金を減らすだけでなく、住宅を守ることが出来るという特徴があります。

参考:個人再生を利用する手順と借金を大幅に減らす完全ガイド

自己破産|水道料金を含めた債務整理

所有している財産(持ち家や車等)を処分しても返済のメドが立たないことを裁判所に認めてもらい、借金をゼロにしてもらう制度であり、借金返済がどうしても困難なときに利用する最終手段です。

もしも自己破産を行うのであれば、事情があって就業できない、人生をやり直そうとしている等の意思表示をしっかりと示さないといけません。

参考:自己破産とは|自己破産の方法と破産後の生活の完全ガイド

まとめ

公共料金を支払うことは、生きる上で大切なライフラインを確保することです。滞納せずに支払っていけるようにしましょう。

また、借金などが原因で公共料金の支払いが困難な場合は、弁護士・司法書士に相談の上、債務整理を行うことをおすすめします。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。