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住民税を滞納することで起こりうるリスクと解決方法

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たかだか住民税と思われがちですが、滞納することにより生じるリスクをご存じですか?税金の支払いをつい後回しにしてしまう方がおられますが、住民税の滞納が続くと、最終的には給与や預金口座を差押えられてしまいます。

しかしながら、自営業やバイトで生計を立てている方は、住民税に加え年金、国民健康保険などの支払いを個人で行う必要がありますが、全ての金額を合算させると毎月、それなりの金額を納めなければなりません。

中には金銭的な負担と感じる方もいると思いますが、同時にうっかり支払いを忘れてしまうこともあると思います。明細書の数が多くなるほど、何をいつ支払ったのかよくわからなくなりがちです。

今回の記事では、住民税を滞納する上で生じるリスクを踏まえた上で、滞納しないために必要な内容についてまとめました

借金が原因で
住民税を滞納していませんか?

住民税は債務整理の対象にはできず、減免されることもないので、必ず支払う必要があります。放置すると延滞金が課されたり、財産が差し押さえられたりするリスクがあります。

 

借金の返済に追われて住民税を滞納してしまっている状況であれば、借金のほうを債務整理して返済の負担を軽くし、住民税を支払える状態にすることを検討してください。

 

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この記事に記載の情報は2023年11月22日時点のものです

住民税とは|二種類ある住民税の支払方法

住民税は、原則としてわが国で暮らす誰もが納税の義務を課せられている税金のひとつです。

とはいえ、日ごろから税金のことについてあまり考える機会もないので、どんな税金なのかを深く理解していない方も多いでしょう。

まずは住民前とはどのような税金なのかを確認します。

住民税とはどのような税金か

実は、わが国の税法において『住民税』という名前の税金は存在しません。

住民税とは『都道府県民税』と『市区町村民税』をあわせた総称です。

自治体によっては『市県民税』といった呼び方をされることもあります。

住民税は、都道府県・市区町村といった地方自治体が徴収する税金で、自治体の行政サービス維持を目的に住民による負担が義務付けられているものです。

地方税法の定めにしたがって、納税者が住んでいる市区町村が一括して徴収することになっています。

税額は前年1月から12月までの所得に応じて決まり、税率はおおむね「課税所得の10%程度」です。

10%の内訳は、従来は「都道府県:4割・市区町村:6割」とされていましたが、平成30年からは全国の政令指定都市を対象に「都道府県:2割・市区町村:8割」に変更されています。

なお、住民税の税率は全国一律ではありません。

全国1,700ほどの自治体のうち、一部では独自の税率を採用していますが、その差はごくわずかです。

たとえば、神奈川県全域では10.025%、愛知県名古屋市では9.7%など、小数点以下の差にとどまっています。

普通徴収と特別徴収

住民税の徴収方法には『普通徴収』と『特別徴収』の2種類があります。

普通徴収

自営業者・個人事業主、会社を退職した人などが対象

特別徴収

サラリーマンなどの給与所得者が対象

普通徴収は、自治体に所得を申告して個人で住民税を納める方法です。

自営業者・個人事業主のほか、会社を退職して再就職していない人などが対象となります。

自治体から送られてくる納税通知書に従って、一括で納付するか、または4期にわけて分割納付するかの選択が可能です。

特別徴収は、サラリーマンなどのように会社から給料を支給されている給与所得者が対象で、給料から控除されたうえで納税する方法です。

「給料から天引きされる」のが特別徴収だと考えればわかりやすいでしょう。

毎月の給料から控除されるので、一括納付はできません。

12か月の分割納付となりますが、実際のところは給料から天引きされているので「住民税を納めている」という感覚さえないという方も多いでしょう。

住民税を滞納した場合に生じるリスク

住民税の滞納に注意をしなければならないのは、自営業者・個人事業主などの『普通徴収』によって納税する人です。

また、これまでは会社が給料から天引きしてくれていた人でも、会社を辞めた、定年退職したといった場合は特別徴収から普通徴収に切り替わっているので、滞納に注意しなくてはなりません。

住民税を滞納してしまうと、どのような不利益を被ることになるのでしょうか?

住民税の滞納リスクについてみていきます。

延滞金が課される

住民税を納期までに納めないと、納期限の翌日から納付の日までに応じた延滞金が加算されます。

ただでさえ納税が苦しいのに、延滞金まで加算されてしまってはますます納税が難しくなってしまうでしょう。

延滞金の計算方法

延滞金は、次の計算式で算出できます。

延滞金=滞納している住民税の額×延滞利率×延滞日数÷365日

延滞利率は、納期限をどれだけ過ぎているのかによって異なります。

納期限から1か月以内の部分

年7.3%、または延滞金特例基準割合+1%のいずれか低い方

納期限から1か月を超えた部分

年14.6%、または延滞金特例基準割合+7.3%のいずれか低い方

延滞金特例基準割合は、年ごとに国内銀行の貸出約定平均金利から割り出されるので、年によって異なります。

平成30年1月から令和2年12月31日までは、1か月以内で2.6%、1か月超で8.9%となっていましたが、令和3年中は1か月以内で2.5%、1か月超は8.8%です。

延滞金の計算例

令和3年中に住民税を延滞した場合の延滞金を計算してみましょう。

【納期限が6月30日の住民税を10月31日に納付した場合の例】

・延滞した住民税額=50,000円

まず、納期限から経過した日数をもとに、延滞金特例基準割合を割り当てていきます。

納期限から1か月以内の部分…7月1日から7月31日までの31日間=延滞金特例基準割合2.5%

納期限から1か月超の部分…8月1日から10月31日までの92日間=延滞金特例基準割合8.8%

これらを計算式に当てはめると、次のようになります。

納期限から1か月以内の部分…50,000円×2.5%×31日=38,750円

納期限から1か月超の部分…50,000円×8.8%×92日=404,800円

(38,750円+404,800円)÷365日=1215.2円

延滞金の計算では100円未満を切り捨てるので、この場合の延滞金は1,200円です。

なお、税額が2,000円未満の場合や計算された延滞金が1,000円未満の場合は延滞金がかかりません。

この例でいえば、9月末ころをめどに納税すれば延滞金はかからないことになります。

行政からの督促状の郵送

住民税の納期限を1日でも遅れてしまうと滞納扱いです。

滞納した場合、納期限から20日以内に督促状が郵送されます。

督促状に従って住民税を納めればとくに問題はありません。

ただし、督促状を無視して10日を経過すると、差押えがいつされてもおかしくない状況になります。

この状況で催告書が送られてきたり、催告の電話等がある場合がありますが、これは自主的な納付を促す警告と考えられます。

督促状が「滞納している住民税を納めてください」と促しているものであるのに対して、催告書は「滞納分を納めないと強制的な手続きに移行する」という強固な姿勢が込められていると考えられることができるでしょう。

差押さえの強制執行

住民税の滞納後、督促状を受けて10日経過すると、最終的には財産の差押さえを受ける事態になります。

まず、住民税の納期限を経過すると督促状が送付されますが、これは差押さえを進めるにあたって重要なステップです。

地方税法の定めによると、納期限が経過する20日以内に督促状を送付したうえで、さらにその10日後までに住民税が納付されない場合は財産の差押さえができます。

つまり、事実上は督促状が郵送されて10日後からは差押さえられてしまう危険性が十分にあるということです。

ただし、行政もただちに強制手続きには移行せず、催告書を何度も送付して納税を促すことが実情です。

それでも滞納を続けると、行政から『差押さえ予告書』が送付されてきます。

これは今一度だけ納税を促すための最後通告だと考えるべきです。

差押え予告書を受領後もさらに滞納を続けると、財産調査が行われ、差押え執行が具体的に準備される段階に進みます。

滞納者の預貯金や不動産といった財産が洗いざらい調べられたうえで、さらに収入状況を調べるために勤務先や取引先などへも聞き取り調査が実施される可能性があります。

それでも財産が見当たらなければ、予告もなしに自宅や勤務先への立ち入り調査が行われることがあります。

さまざまな調査によって財産が見つかれば、ついに差押えの執行です。

預貯金などは口座の残高から滞納分が差し押さえられ、預貯金もなければ給料の一部が差し押さえられるでしょう。

ただし、給料が差し押さえられる場合は全額が差し押さえられるわけではありません。

給料の差し押さえは、原則として1か月あたり支給額の4分の1が上限です。

仕事における信頼喪失

住民税の滞納は個人だけの問題では済まされない可能性があります。

つまり、勤務先や取引先も巻き込む事態に発展する場合があります。

差押えに向けた調査では、収入の状況が調べられるため勤務先への聞き取りがなされる場合、これを回避する手段はありません。

勤務先に住民税の滞納が知られてしまえば、社内での信用は失墜してしまうでしょう。

もっとも、サラリーマンの場合は特別徴収によって住民税が天引きされているので、滞納にいたるケースはまれです。

ただし、給料以外にも副業などで収入を得ている場合は、副業分を別に確定申告する必要があるため、申告漏れによる滞納が発生してしまう危険があります。

また、預貯金が差し押さえられた場合は、金融機関からの信用を失ってしまうので今後の融資継続が難しくなるでしょう。

取引先との契約には「差押さえを受けたときは契約を無効とする」とした条項が含まれることも多いので、取引先を失ってしまう事態にも発展しかねません。

住民税の滞納者が取るべき行動

住民税を滞納している人はどのような行動を取るべきなのでしょうか?

督促状の発送から10日以内に役所へ問い合わせる

まずすべきことは、市区町村の役所への連絡です。

住民税を滞納したからといっても、実際には督促状が送付された10日程度では差押さえが実施されるわけではありません。

役所は、督促状・催告書を送付することによって、滞納者が相談に来ることを促しています。

現時点では納税が難しいことを説明し、いつ、どのくらいの金額なら納税できるのかを相談することで、行政側が強制的な手続きに踏み切る事態は避けられるでしょう。

大切なのは「納税の意思」です。

故意に滞納しているのではなく、税金を納める気持ちはあるが経済的に難しいという事情を説明したうえで、将来的に収入が安定すれば必ず納税するといった意思を示すことを重視しましょう。

もちろん、収入が少ないからといって滞納分が免除されるわけではありません。

「すぐ支払う」「◯日までには支払う」といった無理を押した空返事をするのではなく、現在の収入状況に照らして現実的な提案をすることが大切です。

支払方法として口座振替を利用する

住民税を滞納している人のなかには「お金は十分あるのに納税を忘れていた」というケースも少なくありません。

納税忘れが続くようであれば、納付書や窓口での納付ではなく、口座振替を利用することをおすすめします。

各役所の納税課で受け付けているので、問い合わせてみましょう。

現状の収支を確認

滞納を解決するには、納税するための資金を捻出する必要があります。

かといって、勝手にお金が増えるわけではありません。

滞納分の支払いにあてる資金を確保するために、現在の収入と支出を整理して無駄がないかを確認しましょう。

ムダ使いをしている部分があれば節約して納税にあてることで、滞納状態を解決する手立てが見つかるはずです。

収支の状況がわからなければ、まずは家計簿をつけてみるのもよいでしょう。

スマートフォンの家計簿アプリも豊富なので、積極的に活用してみたいところです。

借金がある場合は返済計画を立てる

住民税を滞納しているなら、経済的には決して余裕のある状態ではないでしょう。

金融機関や消費者金融からの借金、クレジットカードの支払いなどがかさんで苦しんでいる人も多いはずです。

住民税の滞納以外に借金がある場合は、滞納分の納税と並行して借金も返済していかなくてはなりません。

まずは取り立ての厳しい金融機関・消費者金融などを優先させるのが一般的ですが、かといって住民税の滞納分を放置するわけにもいかないでしょう。

どちらを放置しても、いずれは差押さえなどの強制的な回収を受けることになります。

シビアな返済計画を立てる必要がありますが、借金問題には必ず解決策があるものです。

借金返済に苦しんでいる方は、参考記事もご覧ください。

新型コロナウイルス対策としての猶予制度

令和3年2月現在、全国的に新型コロナウイルスの流行によって多くの人が収入減少に苦しんでいます。

このような事態をふまえて、各自治体では住民税の納付が難しい人に対する猶予制度を設けているので、ぜひ積極的に活用したいところです。

  1. 新型コロナウイルスの患者が発生した施設で消毒作業がおこなわれ、備品や棚卸資産を廃棄した
  2. 納税者本人や家族が新型コロナウイルスに罹患した
  3. 新型コロナウイルスの影響で事業を休廃業した
  4. 新型コロナウイルスの影響で利益が大きく減少して著しい損害を受けた

これらのやむを得ない事情がある場合は、納税の猶予として滞納金を課さない措置や、差押さえ予定の物件の換価を猶予する措置が実施されています。

詳しくは各市区町村の窓口やホームページで確認しましょう。

住民税の支払いが困難な人が利用できる国の制度

不景気が続くなかのリストラ、大規模な自然災害、感染症の流行など、何らかのトラブルが原因で住民税を滞納している人への救済として、2つの納税緩和措置が用意されています。

  1. 納税の猶予
  2. 換価の猶予

これらは、滞納によって税負担が重くなってしまったり、生活や事業を継続できなくなってしまったりする事態を回避するための緩和措置です。

決して「住民税を支払わなくてもよい」とする制度ではないので注意しましょう。

納税の猶予(分割納付・延納)

「納税の猶予」とは、1年間に限って納期を延長したり、滞納金の分割納付を認めたりする制度です。

利用できる期間

1年以内

利用のメリット

  • 納税の猶予
  • 滞納金の分割支払の許可
  • 利用期間中の滞納金の一部免除

利用条件

  • 生活の維持が難しい
  • 納税の意思がある
  • 滞納税と同等以上の価値をもつ財産がある

納税の猶予は、病気・失業といったやむを得ない理由で納税できない人の利用を想定しています。

単に「収入が少ない」「採用してくれる会社がない」といった理由では認められないこともあるので注意が必要です。

詳しくは住所地の役所に置かれている税務課に問い合わせましょう。

換価の猶予

「換価の猶予」とは、税金の滞納によって財産の差押さえを受けている人について、滞納分の税金を計画的に分割返納する制度です。

利用のハードルが納税の猶予よりも低いので、通常は納税の猶予が認められない人でも利用できる可能性があります。

利用できる期間

1年以内

利用のメリット

  • 差押さえを受けた財産の売却の猶予
  • 財産の差押さえの免除
  • 利用期間中の滞納金の一部免除

利用条件

  • 生活の維持が難しい
  • 納税の意思がある
  • 滞納税と同等以上の価値をもつ財産がある
  • 納税の猶予を受けてもなお納税が困難である

財産を差し押さえられることで最低限の生活や事業の継続が叶わなくなってしまう場合は、換価の猶予の効果として差し押えの解除が可能です。

また、納税の猶予・換価の猶予を利用したうえでもさらに納税が難しい状況が続く場合は、換価の猶予が1年間に限って延長されることもあります。

住民税が減免されることはあるのか?

住民税の納付が難しい場合は、納期限の延長や延滞金を課さないなどの緩和措置が利用できます。

これらの措置はあくまでも通常どおりの納税が前提であって「住民税を納めなくてもよい」「住民税を減額する」といったものではありません。

滞納した住民税の免除や減額といった軽減措置を受けることはできないのでしょうか?

延滞税が軽減されるケース

住民税の納期限内に納付した場合、あるいは納期限後に納付した場合でも、申告書を提出した日から1年以内に修正申告・更正をした場合は、その期間は延滞金が発生しません。

債務整理と住民税の関係

借金の減額・免除を法的に進める手続きを『債務整理』といいます。

債務整理の種類

おもな特徴

任意整理

  • 裁判所を介さず、債権者と債務者の話し合いによって借金を減額する
  • 利息をカットすることで借金額を圧縮する

個人再生

  • 裁判所に再生計画案を提出することで借金額が5分の1に減額される
  • 減額された債務をおおむね3年で返済すれば完納とみなされる

自己破産

  • 一定の価値がある財産を処分することで債務がゼロになる
  • マイホームの処分や職業制限などの不利益を被ることもある

債務整理は、おもに金融機関や消費者金融、クレジットカード会社などから借金をしている場合に用いる解決法ですが、滞納している住民税も債務のひとつなので、債務整理による解決が可能なのではないかと考える人もいるでしょう。

結論をいうと、住民税をはじめとした税金の滞納は、債務整理の対象にはなりません。

住民税や所得税といった税金は、法律の規定に基づき所得に応じて不公平のない方法で課税されるものなので、延滞税のカットや支払いの免除といった措置は用意されていません。

役所に相談すれば分割納付や納期限の猶予といった措置が受けられることはあっても「納付を免除する」といった特例は認められないのです。

金融機関や消費者金融からの借金は、裁判所の手続きを利用すれば減免されることがありますが、税金は『公租公課』にあたるため債務整理のなかでも『非免責債権』に分類されます。

個人再生・自己破産といった手続きを利用しても、住民税の滞納分が減免されることはないと心得ておきましょう。

税金のほかにも、債務整理によって減免されない債務が存在します。

詳しくは別の記事で解説しているのでご覧ください。

住民税の時効

借金に時効があるように、住民税にも時効があります。徴収権は5年、賦課権については次の通りです。

時効成立までの期間

申告の時期

脱税の意思

3年

期限内に申告した

なし

5年

期限を過ぎて申告した

なし

7年

申告の時期は問わない

あり

正規の手続きに従って申告した場合は3年、期限を過ぎて申告した場合は5年、さらに脱税の意思があった場合でも7年が経過すれば時効が成立し、住民税の全部または一部について納付の必要がなくなる場合があります。

ただし、住民税の滞納分について時効成立での免除が成立することはほとんど考えられません。

なぜなら、時効が成立する前に役所が督促状・催告書を送付したり、差押えを起こしたりすると、時効がリセットされるからです。

従来はこの制度を『中断』と呼んでいましたが、中断では「一旦進行が止まり、そこから再スタートする」という誤解が生じていました。

そこで、民法改正を機会に『更新』と呼ぶように改められています。

時効完成の寸前でも、督促状が送付されれば更新されてその時点からふたたびゼロから時効の進行がスタートするので、住民税をはじめとした税金の滞納分が時効を迎えることは現実的にあり得ないと考えておきましょう。

借金返済によって住民税を支払えない場合

金融機関や消費者金融などへの借金返済が苦しいため、住民税を納付できず滞納している場合は、どのような方法で解決が期待できるのでしょうか?

債務整理で借金問題を解決する

住民税の滞納を解決するには、収支のバランスを整えることが大切です。

借金の返済額が多すぎて住民税の納付にあてる余裕がないなら、債務整理によって借金問題を解決し、生活を安定させましょう。

では、実際にどのくらいの軽減効果があるのかの例をみていきます。

  1. 借入総額:150万円
  2. 金利:18%
  3. 月々の返済額:4万円

この条件で返済していると、最終的には利息を含めて217万円の支払いが必要です。

そこで、任意整理によってこれまでに支払ってきた利息分と将来発生する利息分のカットを交渉すると、次のように支払いが軽減されます。

  1. 返済総額  :150万円
  2. 月々の返済額:2万5,000円

利息をカットすることで月々の負担は1万5,000円も軽減されたうえで、返済総額は67万円も減額されました。

もちろん、これは任意整理をしたうえで毎月決められた返済を守り、追加融資を一切受けなかった場合の例です。

任意整理のあとでは追加融資が認められるケースはまれですが、金融会社が融資を許したり、ほかの消費者金融などから融資を受けたりすれば、せっかく負担を軽減してもムダになってしまうでしょう。

債務整理だけですべてを解決しようとするのではなく、節約を心がけながら収支を整えて、住民税の納付分を確保できる状態にまで生活を持ち上げることが大切です。

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生活保護を受給する

リストラを受けて再就職先がみつからない、病気のため働くことができないといった事情があれば、これまでの滞納分を支払う資力がないのは当然です。

それどころか、住民税を納付しなくても生活さえままならないことでしょう。

収入が安定しないなら、自治体の窓口で生活保護を申請するのもひとつの解決策です。

厚生労働省の調査では、平成31年2月時点の生活保護受給者は全国で約208万9,000人、世帯数は約163万5,000世帯にのぼることが明らかになりました。

多くの人が生活保護の受給によって生活を維持しているので、生活が苦しいときは積極的に活用すべきです。

生活保護受給世帯は、住民税が非課税です。

つまり、新たな住民税は課せられません。

しかも、以前から残っている滞納分の納付も猶予されるほか、生活保護を受給しはじめて3年が経過しても収入状況が改善されない場合は滞納分の納税義務は消滅します。

節約や労働だけでは滞納・借金の問題が解決できないなら、生活保護を受給したうえで自己破産を申し立てるという方法でも解決可能です。

債務整理の可否を含めて、借金問題の解決実績が豊富な弁護士に相談してアドバイスを受けるとよいでしょう。

まとめ

住民税を滞納してしまうと、自治体からの督促・催告を受けたうえで財産を差し押さえられてしまうおそれがあります。

一定の要件を満たせば猶予措置を受けることは可能なので、生活が安定するまでの間は納税の猶予を活用して延滞の負担を軽減させましょう。

住民税の滞納を解決するには、収支のバランスを整える必要があります。

借金返済が苦しく住民税の納付にあてる資力がない場合は、債務整理によって借金返済の負担を軽減したうえで、自治体と相談しながら無理のない納付を目指すことが大切です。

納税に関する悩みは自治体に、借金問題の解決は弁護士に相談して、円満な解決を目指しましょう。

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