弁護士と司法書士の違い|借金問題を依頼する専門家の選び方


借金問題の解決を依頼できる専門家は主に弁護士と司法書士です。しかし、弁護士と司法書士のどちらに依頼すべきか迷う人は多いでしょう。依頼人の借金や経済状況によって、依頼すべき専門家は異なります。
今回の記事ではどのような状況だとどちらに依頼すべきなのか、また弁護士と司法書士の違いについて解説します。
司法書士と弁護士 どちらに相談しようか お悩みのあなたへ |
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司法書士に依頼できるのは、1社からの借金額が140万円以下の人です。 個々の借金額はいくらですか?140万円以下であれば、司法書士への依頼が可能です。 |


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借金問題を司法書士に依頼するべき案件とは?
まず最初に、司法書士に借金の整理を依頼するべき状況はどのようなケースなのか確認していきましょう。
貸金業社1社につき140万円以下の案件
一般的に借金が高額でない場合には任意整理を行います。また、過払い金が発生している場合は過払い金請求も行います。
任意整理とは、貸金業社と直接交渉することで「利息・遅延損害金のカット」、「3〜5年の分割返済」、「過払い金発生による借金の減額」など、返済の負担軽減や返済方法の変更を求める手続きです。
一方、過払い金請求とは、貸金業者との交渉や訴訟を通して過払い金を返還するための手続きです。なお、2010年6月頃より以前に借入していた方が対象です。
※過払い金とは、本来支払う必要がなかったのに支払った法定金利を超える利息
そして司法書士が民事間(債務者と貸金業者間)の紛争手続きで扱える金額は140万円以下です。
つまり、任意整理を依頼できる借金の金額は1社あたり140万円以下、過払い金請求に関しては1社あたりの140万円以下の過払い金を対象にすることができます。
140万円を超える場合には弁護士に依頼する必要があります。
認定司法書士に限り交渉・訴訟の代理人が可能
司法書士が扱える業務は書類作成のみとなっているため貸金業社への交渉、訴訟の代理人を務めることはできませんが、認定司法書士に限り140万円以下の案件であれば代理人を務めることができます。
第二審まで進んだ場合は対応できない
しかしながら、貸金業社との訴訟が第一審で判決が確定すれば問題ありませんが、第二審まで進んだ場合、認定司法書士であれど代理人を務めることはできません。
それは認定司法書士が法廷代理人を務めることができるのは簡易裁判所までだからであり、第二審以降の裁判は地方裁判所以上の上級裁判所で裁判が行われるためです。
一般的には、過払い金請求第一審で勝訴判決が出て裁判が終わる場合がほとんどですが、経営状態の悪い貸金業者が相手の場合、控訴してくるため裁判が第二審まで進むことがあります。
個人再生・自己破産における書類作成
借金が高額な場合は、個人再生や自己破産によって借金を整理することが多いです。個人再生や自己破産は地方裁判所を介して手続きが行われるため、司法書士は代理人になることはできません。
司法書士が代理人を務めることができる業務は、裁判所へ提出する書類の作成代行のみであるため、裁判所との連絡、裁判官の尋問は依頼者が行うことになります。
そのため書類作成だけ司法書士に任せて、裁判所とのやりとりは司法書士と相談しながら手続きを進めていきます。
借金問題における司法書士と弁護士の違い
借金問題を司法書士と弁護士に依頼した場合、どのような違いがあるのでしょうか。
弁護士には依頼する案件の借金の額に上限がない
弁護士の場合、民事間の紛争において扱える金額に上限がありません。そのため、司法書士と違い1社あたり140万円を超える案件でも対応可能ということです。
上級裁判所における代理人手続きの業務内容
また、司法書士は認定司法書士に限り簡易裁判所においてのみ法定代理人になることができましたが、弁護士は地方裁判所〜最高裁判所まで法廷代理人を務めることができます。
弁護士は過払い金請求において控訴されても対応可能
つまりは、過払い金請求の裁判が第二審以降まで進んだ場合でも、弁護士は法廷代理人を務めることができるということです。
個人再生・自己破産における代理人手続き
また、個人再生、自己破産など地方裁判所にて行う法廷手続きにおいて司法書士は書類作成の代行しか行うことができませんが、弁護士に依頼した場合、裁判所とのやり取りから裁判官との審尋まで代行してもらえます。
そのため弁護士に借金問題を依頼した場合は、裁判所へ出頭する必要がありません。また、自己破産は申立人の所有する財産によって手続きが異なりますが、換金する価値のある財産(住宅や車など)がない場合(同時廃止事件)は、手続きに期間を要しません(3〜6ヶ月)。
しかしながら、換金する価値のある財産がある場合(管財事件)、財産を処分する関係で手続きに6ヶ月〜1年間の期間を要します。弁護士に依頼した場合、弁護士が申立人の財産の調査を行うため、手続きに要する期間を短くすることが可能です(2〜5ヶ月)。


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専門家費用と裁判所費用の違い
借金問題は司法書士か弁護士に依頼するかで依頼費用は異なりますが、同時に裁判所費用も異なります。
過払い金請求
過払い金請求における司法書士、弁護士それぞれにかかる専門家費用の相場は以下の通りです。
|
司法書士 |
弁護士 |
着手金(1社につき) |
0〜2万円 |
2万円 |
基本報酬金 |
2万円 |
2万円 |
返還報酬金 |
回収額の20%前後 |
回収額の20%〜25% |
任意整理
任意整理は裁判所を介さないため、専門家費用のみになります。
|
司法書士 |
弁護士 |
着手金(1社につき) |
0〜2万円 |
2万円 |
基本報酬金 |
2万円 |
2万円 |
減額報酬金 |
借金減額分の約10% |
借金減額分の約10% |
個人再生
個人再生における専門家費用は、司法書士の場合で約30万〜40万円、弁護士の場合で40万〜60万円です。そして裁判所における実費は、
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収入印紙代:1万円
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官報掲載費:1万2,000円
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郵便切手代:1,600円
-
再生委員への予納金:15〜25万円
程度ですが、弁護士に依頼した場合、弁護士が再生委員の業務を代わりに担ってくれるため再生委員への予納金が安くなります。
※個人再生委員とは:裁判所から選任された個人再生手続きの手伝いをする弁護士。
東京地方裁判所においては、一般の予納金が25万円なのに対して弁護士に依頼した場合ですと15万円に抑えることができます。
それ以外の地方裁判所においては一般の予納金が20万円、弁護士に依頼した場合は予納金がかかりません。
司法書士の方が弁護士より専門家費用が10〜20万円低額ですが、予納金に関しては弁護士依頼で10〜20万円低額になるため、個人再生における費用総額はそこまで開きがないと言っていいでしょう。
自己破産
自己破産における専門家費用は、司法書士に依頼した場合、15〜30万円程度、弁護士の場合ですと20~50万円程度です。
裁判所における実費は、換金価値のある財産がない人が行う同時廃止事件で総額が約1万5,000~4万5,000円なのに対して、換金価値のある財産を持っている人が行う管財事件の場合は総額が約50~150万円になります。
管財事件は、裁判所が財産調査から財産の換金までの手続きを行うため、裁判所における実費が高額なのです。
しかしながら、弁護士に依頼した場合においてのみ、弁護士側がある程度、財産の調査を裁判所に代わり行う(少額管財事件)ため、裁判所費用の実費が20万円程度より少し高い金額になります。
司法書士費用と弁護士費用には10万円近くの費用の差がありますが、弁護士に依頼することで管財事件に進む人は高額な費用を抑えることができるため、弁護士に依頼した方がいいかもしれません。
借金問題に適した司法書士を選ぶ基準とは?
借金問題に最適な司法書士を選ぶ基準を解説します。
債務整理に特化している
まず、司法書士に限った話ではありませんが、借金問題を依頼するなら債務整理に特化している専門家に依頼することは必須です。
離婚や相続など司法書士によって専門とする分野が異なるので、司法書士事務所のホームページなどで司法書士の専門分野を確認してください。
依頼者に対して親身な対応
司法書士の業務は書類作成の代行がメインに思われがちだと思いますが、裁判所における手続き、裁判官とのやり取りを行う際、その都度どのように行動すればいいのか、依頼人を導くのも司法書士の仕事です。
そのため、依頼人に対して親身な対応を行ってくれる司法書士に依頼することをオススメします。メールや電話の対応をマメに行ってくれるかどうかで判断しましょう。
相談料が低額である
初回に限り無料に設定している司法書士事務所もありますが、30分あたり5,000〜1万円程度の相談料がかかります。
手持ちがない方は、相談料無料の事務所に相談してみましょう。
まとめ
借金問題を司法書士と弁護士のどちらに依頼するべきかは、1社あたり140万円以上なら弁護士、140万円より低額なら司法書士・弁護士どちらも検討と覚えておきましょう。140万円以下であっても、状況に応じてどちらに依頼すべきかは異なりますので、まずは専門家に相談することから始めましょう。
ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)では借金問題の解決が得意な弁護士・司法書士のみを掲載していますので、是非ご活用ください。


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