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法テラスの任意整理でかかる費用はいくら?利用条件や大まかな流れについても解説

代表弁護士 野条 健人
監修記事
法テラスの任意整理でかかる費用はいくら?利用条件や大まかな流れについても解説

そんなときに頼りになるのが、国の法律扶助制度を利用できる「法テラス」です。

法テラスを通じて任意整理を依頼すれば、費用を立て替えてもらい、無理のない分割払いで解決を目指すことが可能です。

本記事では、法テラスを利用した任意整理にかかる費用の目安や利用条件、手続きの流れについて、初めての方にもわかりやすく解説します。

「費用が不安で手続きに踏み出せない…」という方は、ぜひ参考にしてください。

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法テラスを使った場合の任意整理の費用目安|最低4万3,000円~

法テラスでは、債務整理を弁護士や司法書士に依頼する際の費用を立て替えてもらうことができます。

もちろん、任意整理を依頼する場合も対象となりますが、実際にどれくらいの費用がかかるのか気になる方も多いのではないでしょうか。

まずは、法テラスを利用した任意整理の費用について、内訳や目安を見てみましょう。

【法テラスを使って任意整理を依頼する場合の費用目安】
債権者数 着手金 実費 合計
1社 33,000円 10,000円 43,000円
2社 49,500円 15,000円 64,500円
3社 66,000円 20,000円 86,000円
4社 88,000円 20,000円 108,000円
5社 110,000円 25,000円 135,000円
6~10社 154,000円 25,000円 179,000円
11~20社 176,000円 30,000円 206,000円
21社以上 198,000円 35,000円 233,000円

法テラス経由で弁護士に任意整理を依頼する費用面のメリット

任意整理を法テラスを通じて弁護士に依頼することで、費用面での負担を大きく軽減できるというメリットがあります。

ここでは、法テラスを利用することで得られる主な3つのメリットを紹介します。

1.最大3回まで無料で弁護士と相談ができる

法テラスを利用すれば、同じ案件について最大3回まで、無料で弁護士に相談することができます。

1回の相談時間はおおよそ30分程度です。

一般的な法律事務所でも初回相談が無料のケースはありますが、無料なのは1回限りというのが一般的です。

何度か相談を重ねてから判断したいという方にとっては、複数回の相談が可能な法テラスの方が、より安心して利用できるでしょう。

2.弁護士費用の立て替えサービスを利用できる

法テラスを利用すれば、弁護士費用の立て替え制度を活用することができます。

任意整理には弁護士費用がかかりますが、法テラスがいったん立て替えてくれるため、手元にまとまったお金がなくても依頼可能です。

立て替えてもらった費用は、原則として3年以内に分割で返済しますが、利息は一切かかりません。

返済は契約締結の約2ヵ月後から始まり、月々の支払額は5,000円〜1万円程度が目安です。

もし返済が困難になった場合でも、法テラスに相談すれば返済を猶予してもらえる可能性があります。

さらに、生活保護を受けている方など一定の条件を満たす場合は、返済が免除されることもあります。

3.一般的な法律事務所に比べて安く依頼できる

法律事務所に直接依頼するよりも、法テラスを利用したほうが、弁護士費用を抑えられる傾向があります。

もちろん費用はケースによって異なりますが、一般的に法律事務所で任意整理を依頼する場合、少なくとも5万円程度はかかるとされています。

任意整理を弁護士に直接依頼した際の費用の内訳は以下のとおりです。

内訳 費用の目安
着手金 1社あたり2万円〜5万円程度
報酬金 ・基本報酬金:1社あたり2万円程度
・減額報酬金:減額分の10%程度
実費 5,000円〜1万円程度

法テラスを経由して任意整理を弁護士に依頼するための3つの条件

弁護士に任意整理を依頼する場合、「法テラスを利用したほうが費用を抑えられてお得なのでは?」と考える方も多いでしょう。

たしかに費用面でのメリットはありますが、法テラスは誰でも自由に使える制度ではありません。

法テラスを通じて任意整理を依頼するには、一定の利用条件を満たす必要があります。

ここでは、法テラスを利用するための主な条件について解説します。

1.収入や財産が一定額以下である

法テラスを利用して任意整理を弁護士に依頼するためには、収入や保有している財産が一定の基準を下回っている必要があります。

なお、収入基準や資力基準は、家族構成に応じて設けられており、申込者本人だけでなく、配偶者の収入も合算して判断されるため、世帯全体の収入が基準を超えていないことが条件となります。

以下に、家族人数ごとの具体的な収入基準を紹介します。

【法テラスを利用するための資力基準】
家族人数 収入基準 資産基準
一人 200,200円以下(182,000円以下) 180万円以下(180万円以下)
二人 276,100円以下(251,000円以下) 250万円以下(250万円以下)
三人 299,200円以下(272,000円以下) 270万円以下(270万円以下)
四人 328,900円以下(299,000以下) 300万円以下(300万円以下)

※()内は東京特別区や大阪市などの地域以外

2.民事法律扶助制度の趣旨に合う

法テラス経由で任意整理を依頼するためには、利用目的が民事法律扶助制度の趣旨に合っていることも求められます。

そもそも民事法律扶助制度とは、経済的に困窮している人が法的なトラブルに直面した際にも、憲法第32条で保障されている「裁判を受ける権利」を実現できるよう設けられた制度です。

そのため、たとえば嫌がらせや「単純に節約したい」といった目的で利用することはできません。

3.債権者と和解できる可能性がある

法テラスの利用条件のひとつには「勝訴の見込みがまったくないとはいえないこと」という要件があります。

任意整理は裁判をともなう手続きではありませんが、この要件は任意整理にも当てはまります。

具体的には、弁護士が債権者と交渉することで、借金の返済条件を見直し、返済しやすい状況に改善できる見込みがある場合に限り、法テラスの支援を受けることができます。

借金の全額免除など現実的でない結果を求める場合は、この条件を満たさないと判断されることもあるため注意が必要です。

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法テラス経由で任意整理を弁護士に依頼する場合の流れ

法テラスを利用して弁護士に任意整理を任せるには、以下2つのパターンがあります。

  • 法テラスで直接依頼する方式
  • 自分で弁護士を見つけて依頼をしたあとに、法テラスの制度を活用する持ち込み方式

ここからは、それぞれの流れと必要書類について解説します。

1.法テラスで直接依頼する場合の流れ

法テラスで直接弁護士に依頼する際の流れは、以下のとおりです。

  1. 法テラスへ連絡して弁護士に相談をする
  2. 法テラス利用のための審査に必要な書類を準備する
  3. 審査に通過したら法テラスと契約をする
  4. 弁護士が債権者との交渉をおこなう
  5. 問題が解決する

まずは法テラスに連絡をし、弁護士に相談をしましょう。

弁護士にそのまま依頼をしたいときは、その旨を直接伝えてください。

法テラスの利用には収入や資産についての審査があるので、審査に必要な書類を揃えて提出しましょう。

審査を通過したあとは、契約書にサインをして返済に関する案内をもらい、法テラスの援助がスタートするという流れです。

任意整理の手続きが開始されると、弁護士は代理人として債権者と交渉をしてくれます。

問題が解決すると、弁護士は法テラスに報告書を提出し、結果が知らされます。

任意整理の内容が確定したら、あとは法テラスに立て替えてもらった弁護士費用などを返済していきましょう。

2.持ち込み方式を利用する場合の流れ

持ち込み方式で法テラスを利用する場合の流れは、以下のとおりです。

  1. 法テラスと提携している弁護士を探す
  2. 弁護士の事務所で相談をする
  3. 弁護士が審査を代行してくれる
  4. 審査に通過する
  5. 弁護士が債権者との交渉をおこなう
  6. 問題が解決する

まずは、自分で事前に依頼したい弁護士を探しましょう。

このときの注意点として、依頼する弁護士は法テラスと提携していることが求められます。

契約弁護士を見つけたら、まずは弁護士に相談をしましょう。

弁護士にそのまま依頼をしたいときは、民事法律扶助制度を利用している旨も伝えてください。

なお、持ち込み方式を活用する場合も、収入や資産についての審査があります。

弁護士が代理をしてくれますが、審査に必要な書類は自分で揃えて提出しなければなりません。

審査を通過すると、弁護士による援助がスタートし、弁護士が代理人として、債権者と交渉をしてくれます。

任意整理の内容が確定したら、あとは法テラスに立て替えてもらった弁護士費用などを返済していきましょう。

法テラスで任意整理をする場合の必要書類

法テラス経由で任意整理をするためには、審査に通過しなければなりません。

審査のために必要な書類は次のとおりです。

  • 本人や同居の家族人数が確認できる資料
  • 収入を証明する資料
  • 資産を証明する資料
  • 事件内容と勝訴の見込みを知らせる資料
  • 返済に使用する銀行口座の資料

本人や同居の家族人数が確認できる資料としては、申し込みから3ヵ月以内に発行された住民票などを準備します。

収入や資産を証明する資料としては、給与明細・源泉徴収票・課税証明書・確定申告書の写し・年金振込通知書・生活保護受給証明書などを用意しましょう。

事件内容と勝訴の見込みを知らせる資料としては、任意整理の場合は債務一覧表の提出を求められるのが一般的です。

必要書類について不安がある場合は、法テラスや担当弁護士に直接確認しましょう。

法テラスを利用できなかった場合に費用を抑えて任意整理をする3つのコツ

審査基準を満たさず、法テラスを利用できなかった場合はどうすればよいのでしょうか。

なるべく費用を抑えて任意整理をするために、次の3つのコツを参考にしてください。

1.無料相談を活用して相談料を安く抑える

法テラス以外にも、無料相談に応じている窓口や法律事務所はたくさんあります。

まずは「法律 無料相談」「弁護士 無料相談」などでインターネット検索をして、相談できる窓口や法律事務所を探してみましょう。

「ベンナビ債務整理」などを利用することもおすすめです。

ベンナビ債務整理は、全国の債務整理を得意とする法律事務所を探せるポータルサイトです。

初回無料相談に応じている法律事務所を指定して検索することができます。

無料相談を活用すれば、初期費用を抑えてアドバイスを受けつつ、自分に合う弁護士に出会うことができるでしょう。

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2.相見積もりをおこなって法律事務所を探す

実際に依頼をする必要がある場合は、いくつかの法律事務所から見積もりを出してもらい、弁護士費用などを比較しましょう。

ただし、費用が安ければよいというわけでも、高ければよいというわけでもありません。

どのようなサポートが受けられるのかをきちんと確認し、弁護士との相性も踏まえたうえで、自分が納得できる費用を提示してくれる法律事務所に依頼するのがよいでしょう。

3.任意整理の対象とする債権者の数を減らす

任意整理を弁護士に依頼する費用は、債権者の数によって変化することがほとんどです。

そのため、交渉をおこなう債権者の数を少なくすることで弁護士費用を少しでも抑えることができます。

借入額が大きい債権者のみと交渉をおこない、借入額が少ない債権者に対しては任意整理をおこなわずに、これまでどおり返済を続けるのもよいでしょう。

ただし、一部の債権者にだけ対応してもらう場合であっても、弁護士には全ての借入額を申告してください。

弁護士が正確な返済額を把握しなければ、適切な分割返済案を立てることができません。

法テラスの利用に関するよくある質問

法テラスの利用にあたってはよくわからないこともあるでしょう。

そこで、法テラスの利用に関するよくある質問とその回答を紹介します。

Q.生活保護受給中でも法テラスは利用できますか?

生活保護を受給していても、法テラスを利用することが可能です。

生活保護を受給している場合、法テラスに相談することで返済が猶予されたり、返済が免除されたりするケースもあります。

ただし、生活保護を受給している方の場合、債権者が任意整理に応じてくれないことも少なくありません。

なぜなら、任意整理は今後の利息やこれまでの遅延損害金をカットすることで、無理のない返済ができるよう交渉する手続きだからです。

つまり、借金が免除されるわけではなく、任意整理をしたあとは債権者に返済をしなければなりません。

債権者からすると、生活保護を受給している方の任意整理に応じたとしても、返済をしてもらえる確証はありません。

そのため、応じてもらえない可能性もあるのです。

Q.外国籍の人であっても法テラスは利用できますか?

外国籍であっても、法テラスを利用することが可能です。

ただし、日本国籍ではない方の場合、日本に住所があることが条件です。

また、法的に認められた在留資格がなければいけません。

さいごに|近くの法テラスに電話して利用できるかどうか確認してみよう!

経済的に余裕がない方は、条件に当てはまれば法テラスを利用して任意整理ができる可能性があります。

まずは自分が対象になるかどうか、近くの法テラスに問い合わせてみましょう。

法テラスを利用できない場合は、無料相談に応じている法律事務所を利用するのもひとつの方法です。

任意整理を得意とする弁護士に出会うなら、法律事務所を検索できるポータルサイト「ベンナビ債務整理」を利用してみてください。

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この記事の監修者
かがりび綜合法律事務所
代表弁護士 野条 健人 (大阪弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。