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過払い金請求を弁護士に依頼するメリット・デメリット|計算例と対象期間も解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
過払い金請求を弁護士に依頼するメリット・デメリット|計算例と対象期間も解説
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過払い金請求は、自分で行うよりも弁護士に依頼するのが得策です。

費用がかかるなどのデメリットもありますが、過払い金請求の仕組みや期限(時効)、リスクを踏まえると、自分で手続きをするより弁護士に過払い金請求をしてもらうほうが、最終的にメリットが大きくなる可能性があります。

まずは、ご自分が過払い金請求ができる対象者かどうかを確かめ、次に過払い金請求の仕組みやリスクを理解し、最後に弁護士に依頼する場合のメリット・デメリットを天秤にかけ、費用も明確になったら、ご自身にとって最善の選択をしましょう。

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過払い金の返還請求を弁護士に依頼するメリット

まずは、過払い金請求を弁護士に依頼するメリットを確認してみましょう。たいていの場合、過払い金請求は弁護士に依頼したほうが、最終的にメリットが大きくなる可能性が高いです。

ご自身で請求するより過払い金が早く戻ってくる

一般的に、過払い金は個人で請求するよりも、弁護士に請求を依頼したほうが早く返還してもらえます。

具体的な期間の目安は、専門家が代行した場合で3~10ヶ月、個人請求した場合で6~12ヶ月です。つまり、数ヶ月の差が出てきます。

なぜなら、弁護士が過払い金請求を行うと、貸金業者にプレッシャーがかかるからです。ただし、貸金業者の種類や取引期間も関係してきますので、一概には言えません。あくまでも目安として考えてください。

過払い金の返還額が増額する可能性が高い

弁護士に依頼すると、返還額も増額する傾向にあります。というのも、貸金業者は専門家を相手にするとなると、いい加減な対応ができないからです。逆に言うと、個人請求の場合は返還額を減らされる可能性があります。

返還率の目安は、専門家が代行した場合で60~100%+利息、個人請求した場合で40~80%と考えておくとよいでしょう。もちろん、専門家に依頼する場合は費用が発生します。

しかし、個人で過払い金請求を行うと過払い金額が減額する、というリスクを考慮すると、依頼したほうが無難です。

手間と時間も短縮できる

素人が過払い金請求を行おうとすると、手続きに慣れていないため、時間がかかります。必要な書類の作成や過払い金額の計算、貸金業者との交渉などを、すべてご自身で行わなくてはなりません。

一方で、弁護士に依頼すれば、過払い金請求の手続きをすべて代行してもらえます。

過払い金請求の事実が周囲に知られにくい

ご自身で過払い金請求を行うと、貸金業者からの連絡や郵送物が会社や自宅宛にいきます。そのため、周囲に過払い金請求を行っていることが知られやすいです。

一方で、弁護士に依頼した場合は、貸金業者からの連絡や郵送物はすべて弁護士にいくので、過払い金請求をしていることを周囲に知られるリスクが減ります。

精神的に疲れることもなくなる

貸金業者は、あの手この手で返還額を減額しようとしてきます。場合によっては、強引だったり粗暴だったりする業者もいるかもしれません。交渉が苦手な人は怯んでしまったり、疲れてしまったりする恐れがあります。

しかし、弁護士に依頼すれば、貸金業者との交渉も行ってくれるので、交渉で疲れることはありません。

デメリットやリスクはあるのか

過払い金請求をすると払い過ぎた利子が戻ってくるので、メリットが大きいと感じるかもしれませんが、リスクもあります。ここでは2つのリスクをご紹介します。

同じ業者から再び借り入れができなくなる

過払い金請求をした貸金業者から、再び借り入れをすることができなくなります。ただし、ほかの貸金業者を利用することはできます。

クレジットカードやローンの利用ができなくなる

クレジットカード作成や利用、ローンの組み立てができなくなります。

貸金業者から借り入れをしている状態で過払い金請求を行っても、債務が完済できない場合は、信用情報機関に個人情報が登録される可能性があります。すると、クレジットカードの作成や利用、ローンの組み立てが不可能になります。

 司法書士に依頼する場合との比較

ご自身の借金額が1社あたり140万円以下であり、過払い金請求をするにあたって裁判に発展する可能性が低いなら、司法書士に依頼するという手もあります。

そこで、司法書士に依頼するメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

司法書士に依頼する最大のメリットは、弁護士に依頼する場合と比べて、費用を安く抑えられることです。

具体的には、司法書士は着手金や報酬金を無料にしていたり、そのほかの費用を弁護士より安く設定していたりします。

デメリット

司法書士は、弁護士と比べると過払い金請求の経験が少なく、貸金業者との交渉に慣れていない傾向があります。これは、多くの人が過払い金請求を弁護士に依頼するからです。

そのため、交渉に不慣れな司法書士に過払い金請求を依頼すると、適切な過払い金の返還を受けられない可能性があります。どうしても費用を抑えたい場合や、交渉力にも期待ができる場合は、司法書士に依頼するという選択をしてもよいかもしれません。

司法書士よりも弁護士に依頼したほうがいいケース

現在、過払い金請求を弁護士と司法書士のどちらに依頼するか検討中の方は、下記3つの基準で判断してみてください。

もし、3つのうちのどれか1つにでも該当するなら、弁護士に相談しましょう。

1つの取り引きにつき、借金額が140万円を超えている

原則として、1つの取り引きの借金額が140万円を超えるの場合、司法書士や行政書士では対応できません。したがって、弁護士に依頼する必要があります。

まずはご自身の借金額をお確かめください。

 貸金業者と裁判になりそうな場合

法律上、司法書士や行政書士は、裁判で代行できる業務が限られています。具体的には、民事事件(140万円以下の事件)を扱う場合しか、訴訟の代行ができません。

さらに、控訴審(被告が1回目の判決に不服だった場合に起こる2回目の裁判)、や上告審(被告が控訴審の判決にも不服だった場合に起こる裁判)は、司法書士や行政書士は担当できません。

裁判になる可能性が高いのであれば、弁護士に依頼しましょう。

弁護士に依頼する場合にかかる費用は?

弁護士に依頼するとなると、心配なのは費用でしょう。

過払い金が無事に返還されても、弁護士費用が膨らむと、ご自身の手元に残る金額が少なくなってしまします。以下で、弁護士に払う費用の相場を確認しましょう。

費用の相場と内訳

相談料

相談料に関しては無料としている弁護士事務所が多いです。

有料の場合は、5,000円/30分~1万円/1時間です。

着手金

着手金に関しては、請求する事務所が多く、相場は、1~2万円/1社です。

基本報酬

一般的に、着手金がかかる場合、基本報酬は無料としている弁護士事務所がほとんどです。

ただし、例外もあります。

解決報酬

2~3万円/1社です。

成功報酬

和解が成立すれば、過払い金額の20%、裁判になり勝訴した場合は、過払い金額の25%分の金額を請求する事務所が多いです。

ただし、和解と裁判で成功報酬に差がない事務所もあります。

減額報酬金※

減額後の債務の総額の10%以下です。

そのほかの費用

貸金業者との通信費や事務手数料、振込代行手数料、出張面談料など、諸費用を請求する事務所もあります。

※減額報酬とは、過払い金請求を行いながら借金を返済していて、返還された過払い金を債務の返済に充当しても借金が完済できない場合に発生します

弁護士費用は事務所によって異なるため、一概には言えません。ただ、取り引きした業者の数と、借金額に比例して変動するのは確かです。複数の弁護士に相談し、費用を提示してもらうとよいでしょう。

弁護士費用を抑えるコツ

弁護士費用を抑えたいなら、着手金が無料の法律事務所を探すのがおすすめです。

仮に3社へ過払い金請求をすると、着手金だけで3~6万円ほどかかります(弁護士費用の詳細については、上記「弁護士に依頼する場合にかかる費用は?」をご覧ください)。 

少しでも費用を抑えたいなら、弁護士事務所のHPを事前にチェックしたり、電話で問い合わせたりして、料金を事前に把握するのがおすすめです。

弁護士を選ぶ際のポイントは?

インターネット検索で弁護士を探そうとすると、膨大な数の弁護士事務所が表示されます。しかし、だからといって無作為に弁護士を選ぶのは危険です。

自分に合った弁護士を選ぶために、下記を基準にしてみるとよいでしょう。

過払い金返還請求の知識が豊富なこと

弁護士の多くが過払い返還請求の知識を持ち合わせています。しかし、貸金業者のなかには、取引の分断(※1)、訴外和解(※2)、第三者弁済(※3)といったさまざまな争点を主張してくるところもあります。 

そのため、貸金業者との交渉は、過払い金請求の経験が豊富な弁護士に依頼するのが安心です。

弁護士を選ぶ際は、必ず実績や経験があるかを確認してください。また、実績を見るときは、件数だけでなく、貸金業者から返還された過払い金額や返還率も参考にしましょう。

  • (※1)取引の分断
    お金を借りて一度完済してから、もう一度借り入れをすること。
  • (※2)訴外和解
    訴訟手続外での和解(示談)のこと。訴外和解をした際に、貸金業者からスムーズな支払いがない場合は、別途、訴訟を提起する必要があります。
  • (※3)第三者弁済
    貸金業者と契約していない第三者が、借金の返済をしていた場合のこと。契約者以外の人がお金の返済をしていたことを理由に、契約者は過払い金請求ができないと主張する貸金業者もいるようです。

HPに過払い金についての記事があるか

 過払い金請求を得意とする法律事務所は、HPで過払い金についての記事を公開していることが多いです。弁護士へ直接相談しに行く前に、一度HPをチェックしてみましょう。

過去に問題を起こした事務所ではないこと

大前提ではありますが、問題のある事務所に依頼をしてはいけません。過払い金請求の分野は、「簡単に儲かる」として、悪質な法律事務所も参入しています。

悪質な法律事務所の特徴としては、費用が異常に高かったり、弁護士との相談時間が極端に短かったり、ということが挙げられます。実際に事務所を訪れたら、費用や弁護士との相談時間を確かめてみるとよいでしょう。

過払い金請求を弁護士に依頼する際の流れ(事例)

無料相談(依頼者が行う)

まずは、依頼者(あなた)が専門家に相談するところから始まります。

多くの弁護士は相談を無料で受けつけています。複数の弁護士を比較し、慎重に依頼先を決めましょう。決めるポイントに関しては、上記「弁護士を選ぶポイント」で示した通りです。

受任(弁護士が行う)

依頼する弁護士を決めたら、過払い金請求の代行が始まります。これ以後の手続きは、基本的に弁護士が代行してくれるため、依頼主のあなたは手続き終了まで、通常通りの生活を送ることができます。

弁護士は、過払い金の返還請求手続きを弁護士が受任したことを知らせる「受任通知(介入通知)」を各貸金業者に送付します。この通知によって、業者は取り立てをすることができなくなります。

引き直し計算(弁護士が行う)

貸金業者から開示された取引履歴をもとに、法定金利(15~20%)で引き直し計算をすることで、過払い金の請求金額が算出されます。貸金業者が取引履歴を開示するまでには、弁護士に依頼してから1~3ヶ月ほどかかることもあります。

少々長丁場だと感じるかもしれませんが、返還額と期間の長さは比例する傾向にあるので、辛抱強く待ちましょう。

返還請求(専門家が行う)

引き直し計算で算出された返還額をもとに、弁護士が過払い金返還請求書を作成し、貸金業者に発送します。

発送が終わったら、弁護士と業者の交渉が始まります。万が一、業者が返還に応じない場合は、弁護士が裁判所へ訴訟を提起します。

解決

貸金業者が返還に応じた場合、弁護士と貸金業者の双方で合意書を取り交わします。

後は、返還日に過払い金が依頼者の口座に振り込まれるのを待つのみです。これで過払い金請求の手続きは完了です。

 過払い金請求を行う際によくある疑問

下記は、過払い金請求を希望される方からよく寄せられる質問です。

過払い金請求ができる借り入れ期間は?

まずは、ご自身の取り引きが過払い金請求の対象であるかどうか確かめる必要があります。そのために、取引履歴を見るなどして、いつ借り入れをしたか調べてみてください。

取引履歴がわからない場合は、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】過払い金請求に必要な取引明細書の請求・発行方法

請求期間はいつまで?

過払金の請求が可能となる期間は最後の弁済から10年以内です。理由は、過払い金請求の時効消滅が10年だからです。

また、基本的には2006年頃より前に行った借り入れが過払い金請求の対象となります。なぜなら、この時期以降、貸金業者は利息制限法に適合するように金利の見直しを行ったからです。

例えば、2000年頃に貸金業者の借り入れを行い、これを2010年頃に完済した場合、2006年より前に借り入れをしていて、かつ完済から10年以上経過していないため、過払い金請求ができる可能性がある、ということです。

もし、ご自身の取り引きが過払い金請求の対象になるかどうかわからない場合は、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

借金を返済中でも過払い金請求ができる?

結論から言えば、借金を返済中であっても過払い金請求は可能です。ただし、返還された過払い金で現在の借金が返済できない場合は、個人再生か自己破産をする必要があります。

個人再生や自己破産をすると、クレジットカードの作成・利用や、ローンの組み立てが5~10年間できなくなったり、個人情報が官報に載ったりします。しかし、現在借金を抱えているならば、借金の返済を優先したほうがよい場面もあるでしょう。

個人再生と自己破産に関しては、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】

個人再生とは|手続きの流れや効果をわかりやすく解説

自己破産とは|借金をゼロにする方法と破産後の生活ガイド

まとめ

過払い金請求をするにあたっては、まず、ご自身の取り引きが過払い金請求の対象であるかを確認する必要があります。もし対象なら、借金が140万円を超えているかどうかや、メリット・デメリットを考慮した上で、弁護士への依頼を検討します。

自分で過払い金請求をすると、過払い金が適切に返還されない、というリスクがあるので注意しましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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編集部

本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。