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奨学金の平均返済額はいくら?相場と計算方法・返済がきつい時の減らし方

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奨学金の返済額をあらかじめ把握しておくことで、卒業後も効率よく返済していくことができます。また、奨学金の返済をサポートする制度がいくつかありますので、利用前に頭にいれておくと、いざ返済するのが厳しくなったときにも安心して返済することができるでしょう。

今回の記事では、これから奨学金を利用しようとしている人、返済をしなければならない人に向け、返済額の相場や抑え方について解説していきます。

返済できない奨学金にお困りのあなたへ

奨学金は、消費者金融など貸金業者からの借金に比べて金利が低く、良心的な制度ですので「借金地獄に陥るのではないか…」などといった過度な心配はいりません。

 

しかし、返済できずに他の金融機関から借入を起こして多重債務してしまうと、問題が複雑化してしまうので、まずは日本学生支援機構による救済措置をご確認の上、奨学金返済の問題を解決していくことを推奨します。

 

その対処法でも解決が出来ず、

 

「収入がなくて奨学金の返済が現実的に難しい」

「奨学金を滞納してどうにもならない」

 

といった場合は、お早めに借金問題の専門家である弁護士や司法書士に相談・依頼した上で債務整理することをご検討ください。

専門家への依頼には、以下のようなメリットがあります。

  • 督促がストップする
  • 借金を減額/整理するための適切な方法を提示してくれる
  • 正確な支払い計画が立てられる
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この記事に記載の情報は2023年11月16日時点のものです

奨学金返済の期間

奨学金の種類が『貸与型』であれば、在学中に受けた奨学金は「将来の自分が働いて返済する借金」です。

貸与型の奨学金として代表的なのが、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度ですが、返済開始は「貸与期間終了の翌月から数えて7か月目の27日」となります。

大学・短期大学の多くが3月に卒業となるため、貸与期間終了は3月です。

その翌月から数えて7か月なので、実際の返済は卒業後の10月27日から始まります。

大学で留年・留学した、大学院に進んだといったケースでは9月卒業になることもありますが、この場合も同じ計算で卒業の翌年4月27日が返済開始日です。

返済回数は、貸与された総額と返還方式によって異なります。

  1. 所得連動返還方式
  2. 定額返還方式

所得連動返還方式では、毎年の所得額に応じて返還月額が変動します。

つまり、返還期間は一定ではありません。

定額返還方式では、貸与総額によって回数が異なります。

月賦返還

貸与総額÷割賦金の基礎額=返還年数

返還年数×12か月=返還回数

月賦・半年賦併用返還

貸与総額(借用金額)

割賦金の基礎額

貸与総額(借用金額)

割賦金の基礎額

200,000円以下

30,000

1,300,001円~1,500,000円

110,000

200,001円~ 400,000円

40,000

1,500,001円~1,700,000円

120,000

400,001円~ 500,000円

50,000

1,700,001円~1,900,000円

130,000

500,001円~ 600,000円

60,000

1,900,001円~2,100,000円

140,000

600,001円~ 700,000円

70,000

2,100,001円~2,300,000円

150,000

700,001円~ 900,000円

80,000

2,300,001円~2,500,000円

160,000

900,001円~1,100,000円

90,000

2,500,001円~3,400,000円

170,000

1,100,001円~1,300,000円

100,000

3,400,001円以上

総額の20分の1

【引用】奨学金返還年数算出表|日本学生支援機構

たとえば、毎月3万円の奨学金を4年間にわたって貸与された場合、貸与の総額は3万円×48か月=144万円になります。

これを奨学金返還年数算出表にあてはめると割賦金の基礎額は11万円なので、144万円÷11万円=13年(小数点以下切り捨て)が返済期間です。

月賦返還でも月賦・半年賦併用返還でも返還年数は同じなので、1年につき2回の半年賦を加算したほうが月々の返還額が軽くなります。

ローンの「ボーナス払い」と同じ仕組みだと考えればよいでしょう。

奨学金返済額の相場

大学進学から卒業までにかかる学費は、決して安いものではありません。

国公立大学でも年間50万円、私立大学では年間80万円以上の授業料が必要なので、学費だけでも入学から卒業までに安くても200万円、学部・学科によっては300~400万円もの大金がかかります。

しかも、多くの学生は希望する大学へと進学するために実家を離れて単身生活を送るため、生活費の仕送りを捻出するのも並々ならぬ苦労を伴うでしょう。

ただでさえ不景気が極まっている現代では、これらの大金を捻出できない家庭も少なくありません。

そこで、多くの学生が奨学金制度を利用して大学へと進学しています。

日本学生支援機構が実施していた平成30年度学生生活調査によると、大学生の47.5%、短期大学性の55.2%が何らかの奨学金を受給している状況が明らかになりました。

テーブル自動的に生成された説明

【引用】平成30年度学生生活調査|日本学生支援機構

多くの学生が奨学金によって経済的困難を乗り越えながら進学を実現していますが、大学を卒業するや多額の借金返済に追われてしまうという現実も大きな社会問題になっています。

さらに、労働者福祉中央協議会が実施した「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」によると、奨学金の平均借入総額は324.3万円、借入総額が500万円を超える人は12.4%にものぼることが明らかになりました。

2年間借りた人の場合

短期大学などに進学して、日本学生支援機構から2年にわたって第二種奨学金を貸与された場合の貸与額をみてみましょう。

1か月あたりの貸与額

計算式

2年間の貸与総額

3万円

3万円×12か月×2年

72万円

5万円

5万円×12か月×2年

120万円

10万円

10万円×12か月×2年

240万円

短期大学は短い時間で資格取得に向けた集中的なカリキュラムが組まれていることが多いので、アルバイトに時間を費やすことができません。

月々3~10万円の貸与を受ければ、学生の生活は大幅に楽になるでしょう。

ただし、月々3万円の貸与で72万円、10万円の貸与で240万円の借金を抱えた状態で卒業するという事実を忘れてはいけません。

4年間借りた人の場合

進学先が4年制の大学であれば、入学金の調達を含めて4年間の生活を奨学金で補助する人も多いでしょう。

1か月あたりの貸与額

計算式

2年間の貸与総額

3万円

3万円×12か月×4年

144万円

5万円

5万円×12か月×4年

240万円

10万円

10万円×12か月×4年

480万円

貸与の最低額である3万円でも卒業後は144万円の借金を抱えることになります。

学業を優先するために貸与額を大きくすれば、卒業後には就職1年目の低い給与から500万円弱の借金返済をスタートしなければならないのです。

借入総額によって月々の返済額も変わる

月々の返済額は、在学中に貸与を受けた借入総額によって上下します。

借入総額と月々の返済額の関係は次のとおりです。

借入総額

月間返済額

借入総額

月間返済額

200,000円以下

2500

1,300,001円~

1,500,000

9166

200,001円~

400,000

3333

1,500,001円~

1,700,000

10000

400,001円~

500,000

4166

1,700,001円~

1,900,000

10833

500,001円~

600,000

5000

1,900,001円~

2,100,000

11666

600,001円~

700,000

5833

2,100,001円~

2,300,000

12500

700,001円~

900,000

6666

2,300,001円~

2,500,000

13333

900,001円~

1,100,000

7500

2,500,001円~

3,400,000

14166

1,100,001円~

1,300,000

8333

3,400,001円~

総額/140

借入総額に加算される利息(第2種限定)

貸与型の奨学金には『第1種』と『第2種』があります。

第1種はとくに優れた学生・生徒で、かつ経済的理由によって著しく就学が困難な人に適用される、無利子での貸与です。

第2種は、第1種よりも緩やかな基準で適用される代わりに利息がかかります。

利率は0.1~0.5%です(上限3%)。

奨学金にかかる利息には、利率固定方式と利率見直し方式があります。

利率固定方式

利率固定方式は、返済完了まで一定の利率がかかる方式です。

利率は奨学金の貸与が終了した時点で固定されるため、市場金利が上昇した場合でも低い利率のままで返済を続けられます。

一方で、市場金利が下降したとしても、返還利率が下がることはありません。

なお、奨学金利用者の約8割が利率固定方式を選択しています。

利率見直し方式

利率見直し方式では、市場の金利の変動によって金利も変動します。

おおむね5年ごとに利率が見直され、景気の変動によって貸与終了時よりも金利が高くなったり低くなったりする方式です。

なお、どんなに市場金利が高騰しても、奨学金の金利は3%を超えることはありません。

各年度の利率については、日本学生支援機構のホームページに掲載されている「平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率」で確認できます。

なお、平成19年3月以前に奨学金の貸与を受けた人は利率の制度が異なるので注意が必要です。

各年度の利率は「平成19年3月以前に奨学生に採用された方の利率」から確認してください。

奨学金の返済額を抑える3つの方法

進学のためだったとはいえ、奨学金の利用によって多額の借金を抱えた状態になってしまうと、就職して社会人になったあとで毎月の返還に苦しむことになります。

できれば少しでも負担を抑えたいと考えるのは当然でしょう。

奨学金の返済額を抑える方法を見ていきます。

他の機関の奨学金制度を比較する

現在、大学などへの進学を希望しており、奨学金の利用を考えているなら、日本学生支援機構ではない奨学金制度の利用も検討してみましょう。

市町村などの自治体が運営する奨学金制度のほかにも、大学が独自に運営する奨学金制度もあるので、できる限り有利な条件で利用できるものを選択することで負担を軽減できるはずです。

なかには返還を要しない『給付型』の奨学金制度を設けている場合もあるので、条件を満たす場合は給付型奨学金を積極的に利用することをおすすめします。

一括返済

ある程度のまとまったお金が用意できるようなら、借入金を一括返済することで利息分の軽減が可能です。

親類などからお金を借りられるなら、利息分が軽減できるだけでなく、緩やかな条件のもとでの返済できるので精神的な負担も大幅に軽減できるでしょう。

繰り上げ返済

ローン返済の負担を軽減する方法として多くの人が活用しているのが『繰り上げ返済』です。

住宅ローンなどでも活用される方法で、毎月の返済に加えてまとまったお金を返済し元本を減らすことで、利息分を軽減する効果が得られます。

日本学生支援機構の奨学金の場合、繰り上げ返済の受付期間が決まっているので注意が必要です。

詳しくは日本学生支援機構の「繰上返還の申込方法」で確認しましょう。

繰り上げ返済をした場合のシミュレーション

第2種の貸与型奨学金を利用し、繰り上げ返済をした場合にどのくらいの軽減効果があるのかをシミュレーションしてみましょう。

【想定例】

貸与総額:400万円

固定金利:0.5%

毎月の返済額:1万6,666円

返済方法:3年目に100万円を繰り上げ返済

 

通常通り返済した場合

繰り上げ返済した場合

繰り上げ返済による軽減効果

返済総額

420万8,225円

413万6,697円

7万1,528円の軽減

返済期間

21年1か月

15年9か月

5年4か月の短縮

100万円の繰り上げ返済をすることで、回数分の短縮に加えて元本が減少した分だけ利息も安くなります。

このシミュレーションでは、繰り上げ返済によって7万1,528円の利息軽減が実現しました。

利息の軽減分だけでも、4か月以上も返済期間が短縮できます。

奨学金の繰り上げ返済については、別の記事でも詳しく解説しています。

【注意】他の金融機関の併用

一括返済や繰り上げ返済を利用すれば利息の軽減と返済期間の短縮が期待できます。

ただし、銀行などほかの金融機関から新たにお金を借り入れてまでこれらの方法をとることは賢い選択だとはいえません。

奨学金制度は、貸付によって得られる利息で収益を得る目的の事業ではないので、通常の金融機関が用意しているローンよりも低い利率が設定されています。

一括返済できるだけの融資を受けてもさらに高い利率が適用されて返済に苦しむことになり、繰り上げ返済のために融資を受けると奨学金と新たなローンの二重の返済に苦しめられるでしょう。

奨学金の返済を続けながらまとまった金額を貯蓄できる場合や、豊かなサポートを得られる場合などを除いては、無理な一括返済・繰り上げ返済は禁物です。

奨学金は借金と同じなので、収入に応じた適切な返済を考えていく必要があります。

重い負担を避けながら返済を続けていくために必要な知識は、別の記事でもさらに詳しく解説しているのでご覧ください。

奨学金返済の準備・スケジュール確認

卒業を控えて奨学金の貸与終了が迫っている方は、これから返済に向けた準備を進めていかなくてはなりません。

返済開始にあたって確認しておくべき事項を解説します。

返済額の確認(スカラネットパーソナル)

日本学生支援機構が運営しているサイト『スカラネット・パーソナル』に登録し、奨学金の返済額を確認しましょう。

スカラネット・パーソナルにアクセスは、日本学生支援機構の奨学金利用者のみが利用できるサイトです。

スカラネット・パーソナルでできること

閲覧・確認できる情報

【貸与・給付中の人】

  • 奨学金情報…奨学生番号、貸与・給付期間、月額、予定総額
  • 貸与・給付明細…貸与・給付終了までの予定や振込履歴
  • 金融機関情報…金融機関名、名義人氏名
  • 保証情報…保障制度の種別

【返還中の人】

  • 変換情報…奨学生番号、返還総額の元金、返還残回数、返還残額、現在請求額
  • 金融機関情報…金融機関名、名義人氏名
  • 保証情報…保障制度の種別
  • 申請用紙のダウンロード…減額返還願・、返還期限猶予願

各種の届出・願出・申込

  • 転居などの届出…転居、改正、勤務先の変更
  • 繰上返還の申込み…全額繰上返済、一部繰上返済
  • 在学猶予願、在学猶予期間短縮願
  • 各種証明書の発行…奨学金返還証明書、奨学金貸与証明書、保証人変更証明書
  • 最低返還月額申請

※所得連動返還方式の場合、初年度に限って申請により最低返還月額2,000円による返還が可能

返済日を確認する

日本学生支援機構の奨学金制度では、毎月27日が返済日となっています。

3月卒業の場合は卒業後の10月から返済が始まるので、返済開始までに『リレー口座』の手続きを済ませておきましょう。

リレー口座とは、奨学金返還のための振替口座のことです。

「あなたの返還金が後輩の奨学金としてリレーされる」という意味で名付けられています。

強制ではありませんが、返還忘れを防ぐためにもリレー口座の利用をおすすめします。

奨学金返済額のシミュレーションをする

返済金額と返済日が確認できたら、返済のビジョンを明確にするために奨学金返済に向けてシミュレーションをしてみましょう。

ここでは第1種と第2種に分けてシミュレーションします。

例:第1種

借入総額を160万円とした場合、毎月の返済金額は1万円です。

160万円÷1万円=160か月となるため、13年4か月で返済が完了します。

第1種では利息は加算されないため、返済総額は貸与額と同じ160万円です。

例:第2種

借入総額が400万円、金利を利率固定方式で0.5%とした場合、毎月の返済金額は、1万6,666円です。

完済までの期間は21年1か月となります

完済までに発生する利息は20万8,225円なので、返済総額は420万8,225円です。

奨学金返済推移

返済に困っている人が受けられる制度

奨学金制度は、金融機関や金融会社のローンのように利息によって利益を得る事業ではありません。

離職・退職・転職などによって一時的に収入が減少したなど、返済が困難になってしまった場合でも、一定の条件を満たしていれば軽減措置が利用できます。

減額返還制度

『減額返還制度』は、毎月の返済額を半分にすることで返済の負担を軽減できる制度です。

一度の利用につき1年間の軽減が認められ、最大で10年まで利用できます。

返済が苦しいときは積極的に利用するべきですが、減額されても返済総額は変わらないので、返済期間が長くなってしまうことには注意が必要です。

利用条件

減額返還制度の利用が認められるのは、次の2つの条件を満たす場合です。

  1. 災害・病気・経済的理由などによって返済が困難であること
  2. 延滞金がないこと

経済的に返済が難しいと主張する場合は、会社員などの給与所得者では年間所得が325万円以下、自営業者では年間所得が225万円以下という所得条件が設けられています。

返還期限猶予

『返還期限猶予』は、返済の期限を延長してもらう制度です。

猶予を受けた分だけ完済までの時間は長引きますが、猶予を受けている期間は無利息なので、返済総額は変わりません。

返還期限猶予には『一般猶予』と『所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予』の2つがあります。

一般猶予

一般猶予は、災害・病気・経済的理由で返済が困難な場合に加えて、学業・育児・産休などの理由がある場合に返還が猶予されるものです。

経済的理由の場合、会社員などの場合は300万円以下、自営業者では200万円以下の所得制限があります。

一度の申請で1年の猶予が適用され、最大10年までの猶予を受けることが可能です。

所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予

2012年以降の第1種奨学金の利用者のみに認められる猶予制度です。

年間所得が会社員などで200万円、自営業者で300万円の水準に達するまで、無期限で返済が猶予されます。

奨学金返済額の新制度が導入

奨学金の返済が卒業後の生活を圧迫しており、返済不能に陥ってしまう人が増加しています。

このような現状を受けて、文部科学省は奨学金利用者の負担を軽減するための新制度を検討しているそうです。

現在検討中の新制度では、平成29年度以降に貸与を受けた利用者を対象に返済額が抑えられる予定になっています。

返済額の上限を年収の9%とし、年収144万円までで月額2,000円、年収400万円まででは月額1万3,500円、年収600万円までの場合は月額2万5,000万円とする制度です。

なお、新制度を利用しないという選択も可能なので、従来の制度に従って早急に完済を目指すこともできます。

奨学金を返済できなくなるとどうなる?

卒業後に安定した収入を得られていれば奨学金の返済も可能でしょう。

しかし、不足の事態で奨学金を返済できなくなってしまうことも十分に考えられます。

もし、奨学金を返済できない事態になってしまうとどうなってしまうのでしょうか?

延滞金が請求される

支払期日を過ぎてしまうと、日本学生支援機構から督促の通知を受けます。

督促を無視して返済を滞納すると、遅延利息として延滞金を含めた支払いを請求されることになるでしょう。

なお、日本学生支援機構は、支払いの督促を外部の債権回収業者に委託しています。

債権回収業者やサービサーといった会社から連絡が入ることもあるので「知らない会社から電話がかかった」と無視することのないよう注意が必要です。

期限の利益を喪失する

奨学金返済のように、月々の支払いを履行することで期日まで全額返済を猶予されることを『期限の利益』といいます。

期限の利益は、債務者=貸付を受けた人がもつ権利です。

ところが、債務者が契約に違反した場合は期限の利益を喪失してしまいます。

期限の利益を喪失してしまうと、債権者から一括返済を求められることになるので、ますます苦しい立場になってしまう事態は避けられません。

保証人・連帯保証人に請求される

奨学金の貸与を受けるには、保証制度を選択することになります。

日本学生支援機構の奨学金では、保証制度として『機関保証』と『人的保証』のいずれかの選択が必要です。

人的保証を選択した場合は、原則として父母が連帯保証人となります。

奨学金の利用者本人が支払い不能に陥ってしまった場合は、連帯保証人が支払いを履行しなくてはなりません。

機関保証を選択した場合は、公益財団法人日本国際教育支援協会が保証機関となり、連帯保証人は不要です。

ただし、日本学生支援機構が本人と連絡を取れない場合に備えて父母などの連絡先を届け出ることになるため、支払いを肩代わりする事態にはならなくても心配をかけてしまう事態になることは変わりないでしょう。

信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリスト入り)

督促を無視して滞納し続けると、信用情報機関に事故情報が登録されることがあります。

いわゆる「ブラックリストに載った」という状態です。

信用情報機関に事故情報が登録されると、新たなローンやクレジットカード発行の与信判断に利用されるため、審査に通りにくくなります。

訴訟を起こされる

督促を無視し続けても、返済の義務がなくなるわけではありません。

最終的には裁判を起こされてしまい、遅延利息を含めて一括で返済するよう求められることになります。

和解できず裁判所が一括での支払いを命じる判決を下した場合、預貯金や給与の差し押さえを含めた強制的な回収を受けてしまうでしょう。

奨学金を返済できない場合は債務整理を検討

奨学金は「将来の自分が支払うべき借金」を学生時代に借り入れていたのと同じです。

返済できなければ、銀行ローンや消費者金融からの貸付と同じように督促・取り立てを受けることになり、最終的には訴訟を起こされて強制的な回収を受けてしまいます。

どうしても返済が難しいという方は、債務整理による解決を検討してみましょう。

任意整理

『任意整理』とは、債務者と債権者が個別に話し合い、返済の条件や利率などの軽減によって返済の負担を軽くしてもらう方法です。

裁判所への申し立てを要さない手続きなので、どの債権者と交渉するか、どれくらい軽減するのかといった内容はすべて当事者間の判断に委ねられています。

たとえば、奨学金の返済に加えてほかの消費者金融などへの返済にも苦慮しているなら、奨学金の返済はそのまま履行しながら、金融会社との任意整理を進めて返済の負担を軽くするのも有効です。

ただし、任意整理で約束した返済条件は必ず守る必要があるので、安定した収入がない方には不向きです。

自己破産

『自己破産』は、整理可能な財産を返済にあてることで、借金額をゼロにする手続きです。

免責が許可された債権については、以後の返済義務がなくなります。

奨学金の返済も自己破産による解消は可能ですが、任意整理のように「サラ金返済だけ自己破産して、奨学金は返済を続ける」といった選択はできません。

また、自己破産をすれば債務者本人には返済の義務がなくなりますが、連帯保証人にまで効果が及ぶわけではないので注意が必要です。

独断で自己破産をしてしまうと、連帯保証人になってくれた父母や親族などに迷惑をかけてしまうでしょう。

個人再生

『個人再生』とは、金利の引き直し計算などによって借金額を圧縮し、返済額を軽減する手続きです。

裁判所に再生計画案を提出して認められた場合は、借金額が5分の1~10分の1程度に減額され、原則3年、最長5年で完済を目指します。

奨学金の返済分も含めてすべての借金返済が大幅に減額されるうえに、住宅ローン返済中のマイホームも手放さなくて済むというメリットがあるので、収入が安定しているなら自己破産よりも個人再生がおすすめです。

ただし、個人再生をした場合でも自己破産と同じく連帯保証人が請求を受けることになります。

自分が減額された分は連帯保証人に支払いの責任が及ぶので、やはり独断で個人再生に踏み切るのは危険です。

まとめ

経済的な理由で進学が難しい人にとって、奨学金制度は強力な援助になります。

ただし、日本学生支援機構の奨学金に代表されるように多くの奨学金制度は貸与型であり、卒業後には働きながら借金を返済しなければなりません。

就職後の給料が少なく返済に苦しむようなら、減額や猶予といった軽減措置も用意されているので無理のない範囲で返済できるようにスケジュールを立てていきましょう。

ほかの借金返済も重なって奨学金の返済に苦しむようなら、任意整理・自己破産・個人再生といった債務整理も検討したほうがよいケースがあります。

奨学金を含めて借金返済に苦しむ状況があれば、債務整理による解決が可能かどうかを弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。

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補償対象となる家族が5人の場合、1人あたりの保険料は月590円(2,950円÷5人)。労働問題、ネット誹謗中傷、近隣トラブルなど様々な法的トラブルに対応しています。

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この記事の監修者
弁護士法人本江法律事務所
本江 嘉将 (福岡県弁護士会)
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