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奨学金を減額したい方必見!その方法や条件・利用できる制度を解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
奨学金を減額したい方必見!その方法や条件・利用できる制度を解説

昔と比べ多くの方が奨学金を利用するようになり、98年が約50万人だったのに対し、現在では140万人の利用者がいます。それに伴い、奨学金の返済に関するトラブルを抱えている人が多いのも事実です。


引用元:日本学生支援機構について

大学を卒業するためには200万円~500万円近くの学費がかかります。学費を奨学金でまかなっている学生にとって、奨学金は卒業後に抱える大きな負債であり、減額するための方法に関心が集まっています。

今回の記事では、奨学金の返還に関する方法と知識を紹介していきます。

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奨学金の減額は難しいのが現実

奨学金は、銀行や消費者金融など一般的な金融機関と比べ圧倒的に利息が安く(上限3%)、その分、返済分の回収は徹底しています。そのため奨学金の減額を行うのは難く、奨学金の減額方法を探すよりも可能な返済方法を見つける方が得策です。

返済が遅れると延滞金が発生する

奨学金の返済を甘くみている人が多く、日本学生支援機構によると、平成26年度に1日以上の延滞をした人は32万人いるのが現実です。しかしながら奨学金の返済が滞ると、その分の延滞金が発生し日本学生支援機構では、無利子、有利子に関わらず年5%の延滞金が割り増しされます。

延滞をする前に、奨学金の返済が困難な人のための制度を利用するなり、自分なりの返済方法をみつけることが大切です。

奨学金の返還が難しい時の対策

日本学生支援機構の場合、奨学金の返還が難しい時の対策として、以下の制度を利用することができます。

  • 減額返還制度
  • 返還期限猶予
  • 返還免除

減額返還制度を利用しよう

減額返還制度は、毎月の返済額を半分にすることで返済者の負担を減らすための制度であり、返済額そのものを減額する制度ではありません。減額返還制度に関して以下の特徴があります。

  • 一度の申請につき1年の適用(最大で10年の利用が可能)
  • 返済期間は長くなる
  • 返済金額の総額は変わらない※制度利用期間中の利息分は国庫が負担

例:20代後半 フリーター

奨学金の返済プラン(制度利用前)
返済金額 2万円/月、24万円/年
返済期間 10年
  • 減額返還制度利用後の毎月の返済金額=返済金額/2=1万円
  • 利用期間中の合計返済金額=1万円×12ヶ月×2年=24万円=制度利用前の1年分の返済金額に該当

つまりは返済金額の総額が変わらないため、返済期間が当初の予定より1年分長くなる(合計11年)の計算になります。

対象条件

減額返還制度を利用するための対象条件は、「災害、傷病、その他経済的理由により返済が困難である」と「延滞金がない」の2つです。経済的困難な理由の指標としては以下の通りです。

  • 会社員等:給与所得が325万円以下
  • 自営業:収入-経費が225万円以下

※被扶養者一人につき38万円が所得基準から控除されます

利用方法

必要書類を日本学生支援機構に提出だけで手続きは完了です。必要な書類は以下3点です。

  • 奨学金減額返還願(日本学生支援機構の「減額返還」にてダウンロード)

  • チェックシート

  • 所得証明書

手続きについて詳細は、日本学生支援機構の減額返還の「手続き方法」にてご確認ください。

返還期限猶予の活用

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返還期限猶予とは奨学金の返済の期限を延ばしてもらうための制度で、一般猶予の場合と所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予の二つに分かれます。

一般猶予

一般猶予に関して、一度の申請につき1年の猶予期間を得ることができ、最大で10年の猶予期間を得る事が可能です。以下の条件に該当する場合に利用することができます。

  • 産休、育児休暇が必要である
  • 入学準備中である
  • 病気やケガ
  • 生活保護を受けている
  • 失業中
  • 経済的に困難である
  • 災害に遭遇した
  • 海外派遣または海外で研究中である

生活保護を受けている方や、産休・育児休暇が必要な方、在学中の方や、海外派遣者、災害に遭った人に関しては、その期間中に限りの返還期限は無制限となります。

また経済的に困難な条件は以下の通りです。

  • 会社員等:給与所得300万円以下
  • 自営業:収入-経費が200万円以下

所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予

所得連動返還無利子奨学金制度は、奨学金を借りた学生がある一定以上の収入が得られるまで返還期限を待ってもらえる制度です。無利子(第1種)の奨学金の制度として2012年からスタートした新しい制度であり、減額返還と併用することもできます。

猶予期間や利用条件に関しては以下の通りです。

所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予

・猶予期間 無制限(年に1度の申請が必要)
・利用条件
  •  2012年以降の第一種奨学金に採用された(必須)
  •  給与所得が300万円以下
・自営業者 収入-経費が200万円以下
・被扶養者 乳幼児がいる家庭で、当人以外に保育する者がいない
要介護者(障害者や療養者など)がいる家庭で、当人以外に介護する者がいない
当人が妊娠中である
当人が身体の障害など、仕事ができない

参考:所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予

返還猶予が認められないケース

以下の条件に該当している場合、返還猶予が認められない場合があります。

  • 現在延滞している
  • 日本学生支援機構へ訴訟をおこした場合

利用の流れ

利用の際の手続きの流れは以下の通りです。

  1. 猶予願、チェックシートのダウンロード
  2. 猶予届けチェックシートの記入
  3. 必要書類を郵送

必要な書類は、猶予願とチェックシートの他に、返還ができない理由を証明する書類が必要になります。

詳しくは、日本学生支援機構の、「返還猶予|手続き方法」をご確認ください。」

返還免除とは

返還免除とは、死亡もしくは精神や身体の障害により奨学金の返還が難しいと認定されたときに、奨学金の一部もしくは全額の免除が認められる制度です。

利用条件

返還免除の利用条件は以下の通りになります。

  • 借り入れをした本人が死亡した場合
  • 精神や身体の障害による労働困難な状況である場合

利用方法

手続きの流れとしましては、以下の通りです。

  1. 問い合わせ
  2. 返還免除願の書類を郵送

債務整理を利用して減額は可能か

債務整理を利用することで奨学金の減額は可能ですが保証人への影響力も考慮しなければなりません。奨学金の債務整理について以下の記事を参考にしてください。

保証人への影響

奨学金を利用する際、保証人(一般的には親族)のサインが必要です。奨学金を借りた人の返済が見込めなくなった時のため、貸与側は最終的に保証人へ返済分の請求をします。仮に債務整理によって返済分の減額に成功しても、減額した返済分は保証人へ請求される仕組みです。

日本学生支援機構など貸与側のスタンスとして、基本的には減額や免除には応じません。

【関連記事】

奨学金の保証人になるリスクと返済に困った場合の対処法

奨学金で破産するときのリスクと検討すべき破産以外の選択肢

債務整理を行うべき人の特徴

保証人への迷惑を考えると債務整理を行わないことが一般的ですが、以下のケースに該当する場合、債務整理を行う方が得策です。

  • 奨学金以外にも負債を抱えている
  • 返済の目途が立たない
  • 減額返還制度や返還期限猶予などの制度が利用できない

奨学金の返済が滞ると、延滞金は膨らみます。膨らんだ結果、保証人への迷惑も大きくなるので、そうなる前に債務整理を行いましょう。また奨学金を債務整理したことで、連帯保証人が債務整理を行うケースも珍しくありません。

任意整理|奨学金以外の借金を減額

任意整理は、裁判所を介さず債権者との話し合いのみで、借金の減額から返済のプランを立てるまでの手続きです。任意整理は減額できる幅は少ないですが、債権者を選ぶことができます。つまりは任意整理の対象から奨学金を外すことも可能です。

奨学金以外にも負債を抱えている方で、保証人へ迷惑をかけたくない人にとって、任意整理は最適かもしれません。

個人再生|奨学金を減額して3~5年で返済

個人再生は、裁判所を介して、借金の減額から返済のプランを立てるまでの手続きです。減額の幅が大きいですが、任意整理と異なり手続きをする債権者を選ぶことはできません。

そのため個人再生後は、機構から保証人へ減額分の請求がきます。

自己破産|奨学金を含む借金返済の免除

自己破産は、裁判所を介して免責の許可をもらうことで借金を免除してもらう手続きです。個人再生同様、手続きをする債権者を選ぶことはできないため、破産後、保証人へ奨学金の請求がいきます。

免責:自己破産の際、裁判所から下される借金の免除の許可

まとめ

奨学金の減額が困難であることはわかっていただけたと思います。当記事を参考に、奨学金の返済に役立てていただけたら幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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