借金を滞納するとどうなる?リスクと今すぐできる対策を解説

- 「借金滞納が続いたらどうなるの?」
- 「借金の滞納が何ヵ月続いたらやばいの?」
お金がなくて借金の滞納が続くと、今後どうなるか心配になることでしょう。
借金滞納が長期化すれば、一括返済を求められたりブラックリストにのったりするデメリットが考えられます。
そのため、なるべく早く対応しなくてはなりません。
本記事では借金の滞納期間ごとに考えられる7つのリスク、借金を滞納した場合の5つの対策、借金を滞納してもやってはいけない5つのことについて解説します。
本記事を読むことで借金を滞納するリスクを理解し、万が一滞納してしまったらどうすればよいか判断できるのでぜひ参考にしてください。
借金を滞納するとどうなる?|考えられる7つのリスク
借金を滞納すると、滞納した期間に応じて以下のようなリスクが生じます。
- 【翌日~】遅延損害金が発生する
- 【翌日~1ヵ月】債権者から督促を受ける
- 【2ヵ月~】ブラックリストに載る
- 【2ヵ月~】一括返済を求められる
- 【3ヵ月~】裁判を起こされる
- 【3ヵ月~】差し押さえをされる
- 滞納先のサービスを利用できなくなる【サービスにより利用停止の時期は異なる】
順番に解説します。
1.【翌日~】遅延損害金が発生する
返済期日の翌日から、遅延損害金が発生します。
- 遅延損害金
- 約束した日にお金を払わなかったときに発生する損害金のこと。
- 約束通りお金が支払われるまでの期間に対して一定の利率で発生するため、滞納が長期に及ぶと高額になる可能性がある。
注意点は、利率が高めに設定されていることが多い点です。
上限利率は年20%と定められているためそれを超えるなら違法ですが、20%程度に設定している消費者金融は少なくありません。
遅延損害金は、以下の計算式で算出できます。
たとえば借金200万円・毎月返済額20万円として、毎月の返済額20万円を30日間滞納した場合にかかる遅延損害金は以下のとおりです。
20万円×20%÷365日×30日=3,287円
※利率は年20%で計算しています
借入総額が200万円でも、遅延損害金の対象になるのは期日を過ぎてしまった分だけです。
なお、遅延損害金と利息は別ものです。
滞納してしまうと、利息と遅延損害金の両方を支払わなければならなくなる点に注意しましょう。
2.【翌日~1ヵ月】債権者から督促を受ける
借金を返済しないまま返済期日を過ぎると、早ければ返済期日の翌日から督促が始まります。
手段は電話やメールが一般的です。
返済の約束をすれば督促は止まりますが、無視すると今度は督促状が送られてきます。
注意点は、督促を無視し続けると勤務先に連絡される場合がある点です。
はじめは賃金業者名を名乗らず個人名などでかけてくることが多いですが、何度か繰り返されると金融機関の名義でかけてくるようになり「借金を滞納しているのでは」と疑われるおそれがあります。
債権者からの連絡は無視しないようにし、もし電話に出られなかったとしても、自分から折り返すようにしましょう。
3.【2ヵ月~】ブラックリストに載る
2ヵ月以上滞納すると、ブラックリストに掲載されます。
- ブラックリスト
- 借金の長期滞納や債務整理といった事故情報によって、借金の履歴やクレジットカードの利用、返済状況などを指す「信用情報」に傷がつくこと。
ブラックリストに載ると、以下ができなくなるか難しくなる可能性があります。
- 新たな借り入れ
- ローンの契約
- クレジットカードの新規作成・利用・更新
- スマートフォンの分割購入
- 保証人・連帯保証人になること
- アパート・マンションの賃貸借契約
とはいえ、これらが一生できないわけではありません。
ブラックリストに載ることで、日常生活に不便が生じる可能性があります。
ブラックリストに載らないためには、滞納しないようにすることが重要です。
4.【2ヵ月~】一括返済を求められる
滞納期間が2ヵ月以上になると、債権者から催告書が内容証明郵便にて届き、一括返済を求められる可能性があります。
一括返済が求められるのは長期滞納などにより契約が破られ、契約者が「期限の利益」を失うためです。
期限の利益とは、期限がくるまで返済をしなくてもよいという権利(利益)を指します。
借金を分割で返済できるのは、契約に基づき期限の利益が保証されているのが理由です。
長期滞納などにより契約を守らなければ、債務者は期限の利益をうしなうことになります。
また催告書には、法的な措置を検討しているといった文言が記載されているのが一般的です。
このタイミングにて内容証明郵便形式の催告書が届いた場合、相手が法的手続きの準備に入ったと考えられます。
5.【3ヵ月~】裁判を起こされる
一括返済を求められても応じずにいると、債権者から裁判を提起されます。
すると今後は、債権者からではなく裁判所から訴状や支払督促が送られてきます。
これらは放置してはいけません。
それぞれ以下のとおり対応が必要です。
- 訴状が届くということは、訴訟を起こされたことを意味します。
- 訴状には原告の言い分が記載されています。
- 訴状に同梱された「答弁書」に主張を記載して返送します(例:分割払いを前提とした和解をしたい)。
- 裁判所の指示に応じて、裁判所に出頭します。
適切に対応せず放置すれば、原告の主張とおりに判決がだされてしまいます。
- 支払督促とは裁判所が債務者に対し、金銭の支払いを命じる手続きです。
- 支払督促が届いたら、2週間以内に異議申し立てをして、分割払いなどを要求して相手と和解しなくてはなりません。
- 異議申し立てをせず2週間が経過すると、裁判所から「仮執行宣言付支払督促」が送られてきます。
- 仮執行宣言付支払督促を受け取って2週間以内に異議申し立てがおこなわれなければ、財産を差し押さえられてしまう可能性があります。
6.【3ヵ月~】差し押さえをされる
訴状も支払督促も無視し続けると、以下の財産を差し押さえられる可能性があります。
- 預貯金
- 給与
- 不動産
- 現金
- 貴金属
- 小切手
- 有価証券
- 生命保険金 など
給与については、全額が差し押さえられるわけではありません。
差押えの対象になるのは、以下のうち金額が高いほうです。
- 手取り額の4分の1
- 手取り額のうち33万円を超える金額
たとえば、手取り額が40万円のケースで考えてみましょう。
・40万円×4分の1=10万円
・40万円-33万円=7万円
上記の例では、10万円が差押えの対象になります。
注意点は、一度差押えを受けると、全額回収できるまで差押えが続く点です。
たとえば借金の残高が100万円で、ほかに差し押さえるものがなかったとしましょう。
このとき上記例では10万円×10回=100万円まで、差押えが継続することになるのです。
給与を差し押さえられる場合、裁判所から勤務先に送付される債権差押命令によって、借金を滞納していたことや財産を差し押さえられることを勤務先に知られてしまうことになります。
7.滞納先のサービスを利用できなくなる【サービスにより利用停止の時期は異なる】
借金を滞納し続けると、滞納先のさまざまなサービスを利用できなくなるので注意しましょう。
たとえばクレジットカードの返済が滞納し、支払い先に登録していた公共料金やスマートフォンの月額料金の支払いも滞ったとします。
このとき公共料金の支払先サービス(電気・水道・ガス)や、スマートフォンなどが使えなくなる可能性があるのです。
昨今ではクレジットカードで家賃を支払える賃貸物件が増えていますが、家賃の支払いが滞れば強制退去を求められることも考えられます。
なおサービスによって、利用停止となる時期は同じではありません。
滞納を解消することで利用を再開できるケースもありますが、その条件や再開可能な時期もサービスごとに異なります。
借金を滞納した場合に取りうる5つの対策
借金を滞納してしまった場合は放置せず、以下の対策を試みましょう。
- 債権者に相談してみる
- 家計を見直し、返済できないか検討する
- 財産を売却して返済に充てる
- 親や身近な人に相談してみる
- 債務整理を検討する
それぞれ解説します。
1.債権者に相談してみる
滞納してしまう前に相談するのがベストですが、もし滞納してしまったら、すぐ債権者に相談しましょう。
事情を話せば、以下のような対処法を提案してもらえる可能性があります。
- クレジットカード:分割払い・リボ払いなどへの変更
- カードローンやキャッシング:返済期日の調整、利息のみの支払い
クレジットカードの支払い額が予想外に多くなってしまったせいで滞納してしまったなら、分割払いやリボ払いへの変更を提案してもらえる場合があります。
また、カードローンやキャッシングであれば、返済期日を調整してもらえたり、借り入れ先によっては利息のみの支払いが認められたりすることもあります。
利息のみの支払いは元金が減らないためあまりおすすめできませんが、一時的に支払えない状態になっただけで次月からは通常どおり返済できるようなときは、ピンチをしのぐ方法として有効でしょう。
重要なのは、できるだけ早く連絡することです。
滞納後すぐに相談するのと債権者からの電話を無視し続けたあとで相談するのとでは、相手の印象が大きく異なります。
また、返済期日以降は遅延損害金が発生するため、早めの対応をおすすめします。
2.家計を見直し、返済できないか検討する
家計を見直し、返済にまわせるお金を捻出できないか検討することも重要です。
もしかしたら、無意識に無駄遣いをしてしまっているかもしれません。
副業をして収入を増やすのもひとつの手段ですが、収入をすぐに増やすことは難しいため、まずは以下の方法を実践し、無駄な出費を抑えましょう。
- スマートフォンの契約を、格安SIMなどのより安価な種類に乗り換える
- 不要なサブスクリプションを解約する
- 家賃交渉をする
- 生命保険や自動車保険など、各種保険契約を見直す
スマートフォンを大手キャリアで契約している場合、格安SIMなどに乗り換えると月額料金を大きく下げられる可能性があります。
たとえば毎月1万円程度支払っているケースでも、3,000円〜5,000円程度に抑えられることがあります。
不要なサブスクリプションも、解約すれば節約につながるでしょう。
賃貸物件に居住しているなら、大家や管理会社に家賃交渉をするのもひとつの手です。
必ずしも家賃を下げてもらえるとは限りませんが、長くその物件に居住しており、周囲の家賃相場が下がっているときは狙い目です。
あくまでもお願いベースで交渉してみましょう。
そのほか、生命保険や自動車保険などの各種保険契約を見直すのも効果的です。
とくに自動車保険は、他社に乗り換えることで月々の掛金を大幅に下げられる可能性があります。
また、生命保険を長く見直していないなら、現在のライフステージに対して保障が大きくなっていることもあるため、保障を下げるのもよいでしょう。
3.財産を売却して返済に充てる
財産を売却し、得られたお金を返済に充てるのもひとつの方法です。
売却できるような財産がない場合は実践できませんが、以下のような財産があるなら、一度査定してもらうとよいでしょう。
- スマートフォン
- パソコン
- 貴金属
- 宝石類
- ブランド品
- 時計
- 着物
- 楽器
- ゲーム機
- ゴルフグッズ
- カメラ
- 骨董品
- 絵画
ただし、一時的なものではなく今後も返済が難しい場合は、根本的な解決にならないでしょう。
また、滞納している金額によっては財産の売却だけでは返済ができないので、ほかの方法も検討する必要があります。
4.親や身近な人に相談してみる
親や兄弟姉妹、友人など、身近な人に相談してみるのもよいでしょう。
ここまで紹介した1〜3の方法で解決できない場合、自力での対処が難しい状況に陥っている可能性が高いためです。
身近な人にこそ借金を抱えていることを話したくないという気持ちがあるかもしれませんが、このまま放置していても解決は望めません。
家族や友人のように、信頼できる人であれば親身になって聞いてくれるでしょう。
借金を立て替えてもらったら、人間関係を壊さないためにも、きちんと借用書を作成し約束どおりに返済をする必要があります。
5.債務整理を検討する
ほかの方法で解決できなければ、債務整理を検討しましょう。
- 債務整理
- 債権者と交渉したり裁判所に申し立てたりすることによって、合法的に借金を免除・減額できる制度のこと。
- 主に任意整理・個人再生・自己破産の3種類があり、それぞれメリットとデメリットが異なる。
任意整理・個人再生・自己破産の概要は以下のとおりです。
任意整理 |
債権者と交渉し、和解後に発生する利息をカットしてもらう手続き。 残った借金を3年〜5年で完済する。 |
個人再生 |
裁判所に申し立て、借金額に応じて5分の1〜10分の1程度に減額してもらう手続き。 残った借金を原則3年で完済する。 |
自己破産 |
裁判所に許可を得て全ての借金を免除してもらう手続き。 税金や国民健康保険料、養育費など一部を除く借金の返済義務がなくなる。 |
また、それぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。
任意整理 |
【メリット】 ・比較的簡単に手続きできる ・周囲にバレにくい ・整理対象を選べる ・職業・資格制限を受けない ・官報に住所・氏名が掲載されない |
【デメリット】 ・ブラックリストに載る ・返済義務が残る ・元金はほとんど減額されない |
|
個人再生 |
【メリット】 ・持ち家や車を残せる可能性がある ・職業・資格制限を受けない ・差押えを止められる |
【デメリット】 ・ブラックリストに載る ・返済義務が残る ・保証人が一括請求される ・官報に住所・氏名が掲載される |
|
自己破産 |
【メリット】 ・借金がゼロになる ・差押えを止められる |
【デメリット】 ・ブラックリストに載る ・持ち家や車などの財産を失う可能性がある ・職業によっては一時的に制限を受ける ・保証人が一括請求される ・官報に住所・氏名が掲載される |
このように、債務整理方法によって特徴が異なります。
たとえば、保証人への請求を避けたいなら任意整理、借金を大幅に減額したいが持ち家を失いたくないなら個人再生というように、自分の状況に合わせて選択する必要があるでしょう。
また、自己破産をした場合は、一部の職業に就くことが制限されます。
制限を受けるのは、たとえば以下の職業です。
- 士業(弁護士や司法書士、税理士など)
- 警備員
- 生命保険募集人
- 会社役員
- 建設業
- 教育委員会の委員長・委員
- 公正取引委員
- 商工会議所の会員・役員 など
制限を受けるのは破産手続きが完了するまでですが、上記の職業に就いている方は一定期間資格が使えないなどの影響を受けると考えられます。
どの債務整理方法を選択すればよいかわからない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士などの専門家に対応を依頼すれば、債権者からの取り立てを止められるといったメリットもあります。
借金を滞納してもやってはいけない5つのこと
借金を滞納した場合にやってはいけないことは以下の5つです。
- 債権者からの連絡を無視する
- 闇金を利用する
- 借金返済のために新たな借り入れをする
- クレジットカードの現金化をする
- 訴状を無視する
それぞれ解説します。
1.債権者からの連絡を無視する
債権者からの連絡を無視してはいけません。
借金が返せない場合、「電話に出るのが怖い」「怒られたらどうしよう」との思いから債権者からの着信を拒否したくなるかもしれませんが、無視すれば余計に状況が悪くなります。
きちんと事情を話していれば、支払い方法の変更や返済期日の調整などの相談に乗ってくれた可能性がありますが、無視してしまえば一括返済、裁判、財産の差押えと、悪い方向に進んでしまいます。
また、勤務先に電話されたり自宅を訪問されたりして、周囲に借金がバレてしまうおそれもあるため、電話に出たくないからといって債権者からの連絡を無視しないようにしましょう。
2.闇金を利用する
滞納しているときに借り入れをしようとしても、審査に通らない可能性があります。
しかし真っ当なところで借りられないからといって、闇金を利用することは絶対にやめましょう。
たとえ今滞納している借金を返せたとしても、今度は闇金からの借金を背負うことになるためです。
闇金の怖いところは、主に以下の3つです。
- トイチ・トサン・トゴといった法外に高い利息がつく
- 子どもの学校や職場などに押しかけられたり貼り紙をされたりする
- 個人情報を犯罪に利用される
トイチは10日で10%、トサンは10日で30%、トゴは10日で50%の利息がつくことの略称です。
たとえばトゴで100万円借りた場合、10日で150万円まで膨れ上がります。
闇金は、「審査なし」「ブラックでも借りられる」といった甘い言葉で近づいてきます。
借金問題に疲れ、「この際闇金でもいいから借りたい」と思ってしまうかもしれませんが、闇金を利用して状況が良くなることはありません。
決して関わらないようにしましょう。
3.借金返済のために新たな借り入れをする
借金返済のために新たな借り入れをすることはやめましょう。
闇金から借りるのでなければ安全だと思いがちですが、借金を借金で返す「自転車操業」に陥っているならすでに危険な状態です。
目の前の借金は返せても、利息がつく分結果的には借金が増えているため、借り入れと返済を繰り返せばさらに借金は膨れ上がります。
そして借り入れができなくなったとき一気に破綻します。
4.クレジットカードの現金化をする
いくらお金が必要でも、クレジットカードを現金化してはいけません。
- クレジットカードの現金化
- クレジットカードで購入した物品を換金目的で売却したり、クレジットカードでキャッシュバックつきの商品を購入したりして現金を得ること。
たとえば、パソコンやゲーム機などをクレジットカードで購入し、そのまま買取業者に売却する行為が該当します。
たしかに、カードを現金化すれば簡単に現金が手に入ります。
しかし、売却金額は購入金額よりも安くなるのが通常であるのに加え利息もかかるため、自転車操業と変わりません。
何よりカードの現金化は、カード会社の規約に違反する行為です。
カードのショッピング枠は、本来買い物のための枠であり現金を得るための枠としては利用できないためです。
また、カードで購入した物品の所有権は、その分のカード代を支払うまでカード会社にとどまるため、購入してすぐに売却した場合、カード会社が所有しているものを売ってしまったことになります。
カードの現金化が判明すれば、カードを強制解約されるだけでなく、キャッシング枠も含めて残債が一括請求されてしまうため決しておこなわないようにしましょう。
5.訴状を無視する
届いた訴状は無視しないようにしましょう。
訴状を無視して答弁書を送付せず裁判も欠席した場合、債権者の主張だけで判決が下されるためです。
「借金したことは事実なのだから、今さら何をしても同じなのでは」と思うかもしれませんが、答弁書には分割払いを希望する旨を記載することも可能です。
債権者が分割払いに応じてくれるとは限りませんが、答弁書を送付せず裁判も欠席すると、即日判決が下され一括請求されてしまいます。
支払わない場合は財産を差し押さえられるおそれがあるため、無視するべきではないでしょう。
給与を差し押さえられると、借金を滞納して差押えにあったことが勤務先にバレます。
このように、訴状を無視しても何ひとつメリットがありません。
訴状が届いたら内容を確認し、弁護士に相談するようにしてください。
借金の時効成立は期待しないほうがよい理由
借金は最終の支払日から原則として5年(個人からの借金は10年)で時効をむかえます。
時効が成立すれば、借金を支払う必要はなくなります。
そのため借金を放置し時効の成立を待とうと思う方もいるかもしれませんが、借金の時効成立は期待しないほうがよいでしょう。
理由は以下の2つです。
- 時効期日が来ただけでは成立しない
- 時効が中断・更新される可能性が高い
それぞれ解説します。
時効期日が来ただけでは成立しない
時効は、時効期日が来ただけでは成立しません。
時効を成立させ借金の返済義務をなくすには、時効の援用という手続きが必要です。
時効の援用とは、時効によって借金の返済義務がなくなったことを主張する行為をいいます。
一般的には内容証明郵便を用いて、債権者に時効援用通知書を送付します。
ただし法律的な知識が十分でないと、時効の援用手続きに失敗してしまう可能性がある点は注意が必要です。
たとえば時効の期間は条件により中断したり更新されたりすることがあり、それに気付かないと時効期間を誤認する可能性があります。
時効期間を誤認するなどして時効援用に失敗すると、借金の取り立てが再開したり時効がリセットされたりするリスクがあるのです。
時効が停止・中断される可能性が高い
時効が停止(完成猶予)・中断(更新/リセット)される可能性が高いのも、時効成立を期待しないほうがよい理由のひとつです。
債権者が個人であればまだしも、消費者金融などの賃金業者が返済されないままの借金を放っておくとは考えにくいためです。
- 時効の停止(完成猶予)
- 債権者または債務者が一定の行動をしたときに、これまで進行していた時効のカウントが一時的にストップすること。
- 時効を止めた事由が解消されると、カウントが再開される。
- 2020年の民法改正により、時効の停止から完成猶予に名称が変更された。
- 時効の中断(更新/リセット)
- 債権者または債務者が一定の行動をしたときに、これまで進行していた時効がリセットされること。
- 2020年の民法改正により、時効の中断から更新に名称が変更された。
時効の完成猶予・更新に該当するケースは以下のとおりです。
時効の完成猶予につながる行為の例 |
・債権者から催告書が届いた ・債権者が裁判所に申し立てた |
時効の更新につながる行為の例 |
・債務者が債務を承認した(例:「返済するのを待って欲しい」と伝えた/少額でも借金の一部を返済したなど) ・債権者の申立てが確定した |
よくあるのが、債権者から連絡が来た際に、「少し待ってください」「少しなら払える」などと言ってしまうことです。
このような曖昧な発言でも「債務の承認」に該当し、これまで進行していた時効がリセットされてしまいます。
債権者が賃金業者の場合、どうにかして時効の完成を阻止しようとすることが予想されます。
そのため時効によって借金を消滅させることは困難でしょう。
もし時効の援用を検討しているなら弁護士に相談し、対応を任せることをおすすめします。
借金を滞納してしまった場合によくある質問
借金を滞納してしまった場合によくある質問を紹介します。
債権者から一括請求をされたら、もう分割払いはできませんか?
債権者から一括請求をされた場合、原則として分割払いはできません。
借金を滞納して契約違反となった場合、「期限の利益」が失われます。
期限の利益とは、簡単にいうと分割払いを認めてもらう権利のことです。
期限の利益を失うことで、債権者から一括請求を受けることになります。
しかし債権者と交渉することで、分割払いが認められる可能性はあります。
「分割であれば支払える」「月々◯円であれば支払える」などと提案してみましょう。
必ずしも希望どおりにいくとは限りませんが、相手も法的手段を用いずに債権を回収できるのであればそのほうがよいと考え、交渉に応じてくれるかもしれません。
もし、債権者との交渉で分割払いが認められないときは、債務整理を検討する方法があります。
債務整理のうち、任意整理や個人再生であれば借金を分割で返済することが可能です。
債務整理をおこなうなら、債務整理を得意としている弁護士に相談するとよいでしょう。
債権者に住所を調べられることはありますか?
債権者に住所を調べられることはあります。
債権者は利害関係人として定期的に債権者の住民票を取得し、内容をチェックしていると考えられるためです。
しばらく督促が来ていなかったケースでも、住民票のチェックで住所の変更に気づいたら、環境の変化によって支払ってくれることを期待して督促を再開してくる可能性があります。
借金を滞納してから、何ヵ月くらいで財産が差し押さえられますか?
借金の滞納から3ヵ月程度で一括請求の通知が届きます。
そこで支払えば差押えはされません。
しかし一括請求の通知を無視すると債権者が裁判所に申し立て、訴状や支払督促が裁判所から送られてきます。
訴状や支払督促を無視すれば、債権者の主張どおりに申立てが認められ、債権者はいつでも差し押さえが可能になります。
ただし、実際に差し押さえられるかは債権者次第です。
すぐに差押えに踏み切る場合もあれば、少し様子を見るケースもあるでしょう。
とはいえ、いつ差押えを受けてもおかしくありません。
差押えを受けてからでは交渉が難しくなるため、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。
さいごに|借金の滞納が続いているなら弁護士に相談を
借金を滞納するリスクと今すぐできる対策について解説しました。
借金を滞納すると翌日から遅延損害金が発生し、滞納が長引くにつれブラックリストに載ったり一括請求を受けたりします。
そして最終的に財産を差し押さえられるため、滞納してしまった場合はできるだけ早く対策をとる必要があるでしょう。
滞納した場合に取りうる対策としては、債権者への相談や家計の見直し、財産の売却などが考えられます。
そのほか、身近に頼れる人がいるならいったん立て替えてもらうのもよいでしょう。
それでも解決できない場合は、債務整理を検討してみてください。
債務整理をすることで、合法的に借金の免除・減額が可能です。
債務整理には主に3つの種類があるため、それぞれのメリットとデメリットを確認し、自分に合った債務整理方法を選択するようにしましょう。
なお、借金を滞納しても、債権者からの連絡を無視したり闇金を利用したりしてはいけません。
そのほか、新たな借金やクレジットカードの現金化、訴状を無視することもやめましょう。
借金の滞納が続いているなら、弁護士への相談をおすすめします。
借金問題や債務整理を得意とする弁護士なら、適切な方法を提案してくれるはずです。

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「友達から10万円借りている」「クレジットカードの支払いを滞納してしまった」「ローンの返済に追われている」「今日の食費すらない」など、借金の悩みは人...
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闇金業者からの取り立てや執拗な嫌がらせでお困りの方は多いでしょう。闇金業者とトラブルが発生した場合は、弁護士への相談を強くおすすめします。この記事で...
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住宅ローンが残っていても、個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の利用により、家を手放さず債務整理できます。また、競売手続きが開始された場合で...
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ギャンブルが原因で借金を作ってしまう人も少なくありません。「ちょっとだけ」「すぐ返せる」という気持ちはとても危険です。この記事では、ギャンブルで借金...
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本記事では、時効援用で借金問題の解決を目指している方に向けて、時効援用について弁護士と相談できる窓口、弁護士に依頼するメリット、弁護士を選ぶときのポ...
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お金がないと生きてはいけない世の中ですが、働いても働いてもお金が増えない、お金がないときはどうすればよいのかと切実に考えている方も多いでしょう。そこ...
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債務者(さいむしゃ)とは、特定の債権者(さいけんしゃ)に対してお金を借りている、あるいは一定の給付義務を持つ人のことで、ローンの未払いや奨学金の滞納...
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自己破産を検討されている方にとっては、破産後の生活は気になるところでしょう。この記事では、自己破産後に受ける制限や、生活を良くするために考えておきた...
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借金の返済に苦しみ、うつ病になってしまった。生活費、返済費用、社会復帰など日々の生活と将来への不安でいっぱいで切実な問題ですが、ひとつずつ解決してい...
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