マイナンバー制度によって借金がばれる可能性とその対象方法
マイナンバーとは、国民一人あたりに設けられた番号ですが、複数の機関が取り扱っている情報を、いっぺんに管理するために設けられた制度がマイナンバー制度です。
今までであれば行政の管轄が分かれていたために、行政の手続きの申請を行う度に、市役所や税務署などその都度、別々の行政機関へ出向く必要がありました。
マイナンバー制度は、社会保障、税金、年金など別々の行政区間で管理されていたサービス番号を一つの番号に統一することで、行政機関にとっても、また国民にとっても手続きの手間を減らす目的で導入された制度です。
しかしながら、効率的な行政の手続きを行える反面、自身の個人情報をまとめて管理されるために、マイナンバーを介して借金の実態が会社や家族に知られてしまうのではないか、または申告していなかった税金が明らかになってしまうのではないかという懸念の声があります。
そこで今回の記事では、マイナンバー制度を介して、借金の事実が周りに知られるリスクがあるのか、またマイナンバーにおいて管理される個人情報についてまとめてみました。
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マイナンバー制度と借金の関係とは?
ではマイナンバー制度を介して、借金の存在が周りに知られるのかどうか、マイナンバー制度と借金の関係性について紹介しておきます。
マイナンバーにおいて個人の借入状況の取り扱いはない
そのためには、まずマイナンバー制度における個人の借金の取り扱いについて知る必要がありますが、現在のところマイナンバー制度においては借金の状況に関する情報の取り扱いはありません。
マイナンバーを通して会社に借金の存在はばれないのか
そのため、マイナンバー制度を介して家族や会社側が個々の借金の情報を調べることは不可能です。
民間企業が個人情報(借入状況)を調べることができない
また、会社勤めの従業員の方は、会社側へマイナンバーを知らせる義務がありますが、その目的は行政が個々の所得を確認するために、会社側が行政へ従業員の給料の支払い額を知らせるためにあります。
そのため、もし近未来的にマイナンバー制度が個々の借金の情報を取り扱うことができても、会社側が従業員の借金の情報を調べることはできません。
給料の差し押さえにより会社に借金の存在がばれる可能性
しかしながら、返済の滞りが原因で、債権者側(金融機関)から差し押さえを受けた場合、会社側に借金の事実がばれる可能性があります。差し押さえと聞くと不動産や車を連想される方も多いかと思われますが、実務的には債務者の貯金、給料を差し押さえた方が効率的です。
給料債権を差押さえられた場合、債権者は会社側から直接弁済を受けるため、会社側の人事に借金の情報が知れ渡ることは防ぎようがありません。
【参照】
▶「給料差し押さえの実態と給料差し押さえの正しい回避・対処法」
同じ部署の人間にはばれないかもしれない
実際のところは、上司や同じ部署の人間にまで差し押さえの事実が行き渡ることはないと言われているので、担当の人事の方が口を滑らせなければばれないと思います。
通常、差し押さえの申立をする前に、金融機関は支払督促、訴訟などの手続きが行われるため、裁判所から支払督促、訴訟の通知が来た段階で早めに手を打ちましょう。
【参照】
▶「支払督促とは|申立方法と手順や弁護士選びに必要な知識まとめ」
税金・年金滞納の注意点
しかしながら税金や年金、国民健康保険の滞納には注意してください。民間の差し押さえと異なり、行政の場合、訴訟、支払督促の手続きを行わずに、いきなり差し押さえの手続きに踏み込めるからです。税金、年金、国民健康保険の滞納については以下の記事を参考にしてください。
【参照】
▶「住民税を滞納することで起こりうるリスクと解決方法」
マイナンバーにおける借金以外の情報の取り扱いはどうなるの?
マイナンバー制度について借金以外の個々の情報の取り扱いはどうなっているのでしょうか。
マイナンバーによって管理される情報の一覧
まず、マイナンバー制度において管理される個々の情報は以下の通りとなっております。
<管理される情報>
-
マイナンバー
-
氏名/住所/生年月日/性別
-
収入所得
-
雇用保険
-
健康保険・年金(2017年から)
-
預金情報(口座・残高)(2018年から)
再三申し上げますが、従来の行政の個人情報の管理システムと異なり、上記の情報をまとめて管理できるのがマイナンバー制度です。
効率的に管理ができるようになった反面、今までごまかすことができた情報がをごまかすことができなくなったのではないのか、皆さんが懸念されるポイントについて確認してまいります。
会社に副業をやっていることがばれないのか
マイナンバー制度の導入によって多くの方が気にされることは、会社に副業をやっている事実がばれるのではないかという点です。
副業を禁止にしている会社は多いと思いますが、当然ながらマイナンバー制度において、個々の会社員としての所得と副業によって得た所得の情報は取り扱っております。
しかしながら、先ほど申した通り、会社側がマイナンバーに記載された個々の情報へアクセスできないため、直接的に副業をやっている事実を知ることはできません。
住民税の差額でばれる可能性がある
その一方で、会社が従業員の住民税を行政へ申告する際に、副業の事実が知られる可能性が高いです。
会社員の多くが住民税の支払いを会社に任せていると思いますが、会社側は社員に支払っている給料分に応じた住民税を支払うため、申告する際に住民税の額が違うと、会社以外で収入を得ていることに気づかれてしまいます。
副業で得た収入の住民税は別途で納付する
もし会社側に副業を行っている事実を知られたくないのであれば、確定申告をする際に、申告書に「住民税を自分で納付」するの欄にチェックをいれてください。そうすれば、副業で稼いだ収入の住民税は、別途で納めることになるので会社側に知られる心配がありません。
扶養に入る目的でごまかした給料が行政側にばれる
所得税の扶養条件は年間103万円以内になりますが、扶養から外れないために会社側に申告する収入の額を改ざんしてもらっている方は多くいます。
架空の人間に給料を支払っていることにすれば、ごまかすことは容易ですが、マイナンバー制度が導入されることでより精密に個々の給料の管理が行われるため、今後このようなごまかしは利かなくなるでしょう。
将来的にマイナンバーにより借金の存在がばれる可能性
現段階においてマイナンバー制度を介して借金情報が第三者に知れ渡ることはありません。しかしながら、年々、マイナンバー制度が取り扱う情報の量が増えているため、この先、マイナンバー制度を介して借金の存在が第三者に知られる可能性は否定できないでしょう。
給料・預金の把握が正確になる
2018年以降、個々の貯金の情報がマイナンバーで取り扱われるようになります。ご家庭によっては家族とマイナンバーの情報を共有されているかと思います。借金の情報を直接知られることはありませんが、給料と預金残高の差額から借金の存在が明るみになるかもしれません。
また、今後クレジットカードの情報が掲載される可能性もあるので、キャッシングローンを利用する方は要注意です。
マイナンバーと債務整理の関係性
借金問題を解決するために自己破産・個人再生などの債務整理を検討されている方は、債務整理の情報をマイナンバーに掲載されるのではないか不安に感じると思います。
※債務整理:法的に債務者の借金の減額・免除から減額後の返済計画を立てるための手続き。
マイナンバー制度において債務整理の情報を取り扱う予定はありませんが、行政が管轄する官報を介して自己破産、個人再生の情報を掲載することは可能です。
今後、法制度の変更により近未来的に債務整理の情報をマイナンバー制度で取り扱う可能性も否定できないので、借金問題で悩まれている方は早めに債務整理を行いましょう。
参照:「マイナンバー法改正部分|内閣府⼤⾂官房番号制度担当室」
債務整理によって借金を整理する
債務整理には大きくわけて任意整理、個人再生、自己破産の3つの手続きがありますが、それぞれの特徴について確認していきます。
任意整理
任意整理は、法律の専門家に間に入ってもらうことで賃金業者と借金の返済方法について交渉するための手続きです。
主に交渉を通じて「過払い金発生による借金の減額」、「利息・遅延損害金の免除」の効果が得られますが、交渉が成立後は、3年~5年の期間で残りの借金の返済を行います。
【参照】
個人再生
個人再生は、裁判所を介して債務者の借金の減額、減額後の残りの借金を返済するための計画書(再生計画案)を作成するための手続きです。減額される借金の割合は、借金の額に応じて高額になる上、裁判所から認可を得れば確実に強制的に借金は減額されます。
個人再生が適用されるまでには面倒な手続きを踏まなければなりませんが、裁判所から認可を得るためには法律の専門家に依頼した方が確実です。
【参照】
▶「個人再生で借金を大幅に減らす手順と失敗しない為の注意点」
自己破産
自己破産は個人再生においても借金問題を解決できない、高額な借金を抱えている上に、低所得な方が借金の全額免除するための手続きになります。借金が免除されるためには最終的に裁判所からの免責を貰う必要がありますが、自己破産が適用されるためには法律の専門家へ依頼するべきです。
【参照】
▶「自己破産とは|自己破産の方法と破産後の生活の完全ガイド」
まとめ
マイナンバー制度と借金の関係性は、今のところは薄いですが将来的にはどうなるのかわからないため、早い段階から債務整理など借金の対策を取っておくべきでしょう。マイナンバー制度について不安を感じていた方にとって、今回の記事が有益なものになれば幸いです。
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