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過払い金請求を司法書士に依頼するデメリットや弁護士との違いを解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
過払い金請求を司法書士に依頼するデメリットや弁護士との違いを解説
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過払い金を取り戻そうとした場合に、独力で行うのか、司法書士に頼むのか、それとも弁護士に頼むのかといったケースが考えられます。

今回は、過払い金の請求を司法書士に頼んだ場合のメリットとデメリットをご紹介しようと思います。過払い金請求を行う場合、より最適な方法を選んで解決いただくための参考となれば幸いです。

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過払い金の請求を司法書士に依頼するメリット

まずは、過払い金請求を自分で行った場合と司法書士に依頼した場合を比較して、司法書士に依頼するメリットについてお伝えいたします。

業者からの取立てが止まる

司法書士に依頼をすると、司法書士はまず業者へ「受任通知」を送付してくれ、この受任通知を受け取った業者は債務者に対して取り立てが出来なくなります。つまり、毎日掛かってきていた業者からの催促が止まるというわけです。

【関連記事】借金の取り立てに対して債務者が取るべき3つの解決方法

個人の時と違い業者の対応に違いが出る

業者も多くの過払い金請求の対応をしてきているので、個人で過払い金請求してくる場合の対応にも慣れており、自分で引き直し計算をして業者へ過払い金返還請求したとしても、業者は支払いを渋る傾向にあります。

手続きが迅速に進む

業者の中には過払い金の支払いが負担となり、経営破綻するケースも少なくありません。あの武富士がいい例ですね。過払い金のことがCMなどで世間へ知られるようになってからは、過払い請求の件数も増えてきたため、経営が厳しくなった業者も増えているのは確かです。

払い渋りをする業者も増えてきていますので、自分で勉強してからと思っていると、取り戻せるお金も取り戻せない状況となっている可能性も大いにあるでしょう。

自力では面倒なことも全て任せられる

社会人が通常通り仕事をしながら裁判所へ足を運んだり、業者と交渉したり、法的書類を作成したりするのはなかなか大変です。

場合によっては、有給を取ってまで裁判所へ出廷したり業者と交渉しに行かなければならないため、日常生活に影響が出る程に負担が大きくなってしまう恐れがあります。

借金の返済中でも取り立てがストップする

司法書士などの専門家に依頼した段階で、司法書士などが貸金業者とのやりとりをする窓口となりますので、債務者本人の元には請求や取立てが来なくなりますし、途中でも返済をストップすることも可能です。

項目 債権者本人 専門家
費用
不要
×
必要
時間・手間 ×
自分で

一任できる
交渉 ×
不利になるかも

有利に進む
取引・返済 ×
止まらない

止まる
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過払い金の請求を司法書士に依頼するデメリット

それでは反対に、過払い金請求を司法書士に依頼した場合のデメリットもお伝えしておきます。

司法書士費用がかかる

専門家に依頼するので、当然と言えば当然ですが、司法書士に依頼することで費用が発生します。成果報酬で費用を請求する司法書士が多いので、過払い金額が少なくて費用倒れする可能性は低いとはいえ、借金の末、過払い金請求をする人も多いので、費用には非常にシビアになる方も多いでしょう。

気になる司法書士の費用については、下記でもう少し詳しく解説します。

140万円以上の過払い金返還請求には対応できない

司法書士の場合、1社あたり140万円を超える債務がある場合の依頼を受けることができません。つまり、借金額が多い方に関しましては、司法書士に依頼したくても依頼ができなくなります。

このことは、司法書士会と弁護士会で議論がなされていましたが、平成28年6月の裁判で「司法書士は個別の債権額140万円を超える場合は和解を代理できない」と、判断がされました。高額な借り入れがあった方は、弁護士に依頼することを考えましょう。

参考:「債務整理、最高裁が初判断

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過払い金請求での司法書士と弁護士の違い

それでは上記に関連して、過払い金の返還請求における、司法書士と弁護士の違いについてご説明いたします。

一般的な両者の違い

弁護士は起きたトラブルについて法的なアドバイスをし、場合によっては代理人として相手方と交渉を行うことができます。これに対して、司法書士は本来、不動産や会社などの登記などを行うことを専門とする人です。

過払い金請求における違い

弁護士の場合、代理人として貸金業者との交渉が可能です。一方、司法書士は交渉も法律相談もできませんでしたが、2003年の法改正で総債権額が140万円以下であれば司法書士(正しくは「認定司法書士」のみ)でも交渉が可能になりました。

ただ、140万円以上の借金があると弁護士しか交渉はできませんので、始めから弁護士に依頼しておいた方が、2度手間にはならずにすむ可能性は高いと言えます。

  司法書士 弁護士
総債券額140万円以上の
法律相談・交渉・訴訟
×不可能 ◯可能
総債券額140万円以下の
法律相談・交渉・訴訟
△認定司法書士のみ可能 ◯可能

【関連記事】過払い金請求を弁護士に依頼する費用とメリットとデメリット

費用の違い

司法書士費用、弁護士費用はそれぞれ事務所によって違いますので一概には言えませんが、一般的な相場を比較してみると、司法書士のほうが費用を抑えられる傾向があります。

もちろん、依頼前には費用をきちんと確認すべきですが、借金額も少なく、あまり費用をかけたくないような方は、司法書士を重点的に探してみるのも良いでしょう。

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過払い金請求を司法書士に依頼した場合の費用

では、気になる方も多いでしょうが、実際に過払い金請求を司法書士に依頼した場合、どれほどの費用が発生してくるのでしょうか。結論から申し上げますと、司法書士事務所によって料金体系も様々ですので、より具体的には各事務所に問い合わせてみることをおすすめします。

ここでは、過払い金請求を司法書士に依頼し、100万円の過払い金が返還できた場合の一般的な費用相場について解説していきます。

合計の費用相場【25万円前後】

過払い金請求を司法書士に依頼した場合、100万円の返還でおおよそ25万円前後の費用がかかります。繰り返しますが、これはあくまで相場で、以下の細かい料金が組み合わさって合計として算出されます。

相談料【1時間10,000円】

相談料の相場としては、1時間当たり10,000円です。ただ、最近は相談料無料にしている事務所も多くあり、相談だけなら費用がかからないため、積極的に相談してみることをおすすめします。

着手金【1社当たり4万円】

着手金とは、実際に司法書士に過払い金請求を依頼する場合に発生する費用です。通常、1社当たりの着手金を設けている事務所が多く、相場として1社当たり2~4万円です。

ここで気を付けて欲しいことは、着手金は依頼した時点で発生する費用です。仮に過払い金請求を行う貸金業者が倒産などにより、過払い金を回収できなかったとしても支払うことになり、多少のリスクを背負います。

そこで、極力依頼者のリスクを減らす為に、着手金を0円にしている事務所も見受けられます。その場合、後述する成功報酬のパーセンテージを上げて対応しているようです。どちらに魅力を感じるかは依頼者次第でしょう。

成功報酬【20%前後】

成功報酬とは、実際に過払い金請求が成功した場合に発生する費用です。返還額の○%で設定している事務所がほとんどで、司法書士の場合、一般的に20%前後です。

上記で述べた、着手金を取っていない事務所に関しては、この成功報酬のパーセンテージが高くなっているケースが多いです。

また、気を付けて欲しいことが、何をもって成功とするのかということです。「各業者に請求した時点で成功なのか」「返還された時点で成功なのか」をきちんと司法書士に確認することで、事前にトラブルを防げます。

実費

実費とは、過払い金請求をするにあたって必要になった、郵便代や通信費、中には司法書士などの人件費が加算された費用です。基本的に実費を取っていない事務所が多いのですが、中には、後から実費が上乗せされ、思わぬトラブルに発展するケースもゼロとは言えません。ですので、事前にしっかり確認しておきましょう。

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過払い金請求を司法書士に依頼する場合に知っておくべきこと

基本的に、司法書士はその名の通り、「司法(裁判や権利義務に関わる国家作用)に関わる書類」を作成するのが仕事です。もし、「債務者に変わって債権者と交渉をする」「借金の減額を行う」「繰り延べを行う」といった行為が必要になった場合は司法書士では対応できないため、弁護士への依頼が必要となります。

ただ、一定の要件を満たせば140万円以下の事件に限って同等の行為を行えるようにはなりましたが、それでも「認定司法書士」とよばれる方でないと対応はできないのです。もし弁護士の資格を持たない者が行うと、弁護士法72条違反の行為に該当し、刑罰の対象になります。

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
引用元:弁護士法第72条

司法書士でも対応できるケース

では司法書士を選択すべきケースはいつなのかという話ですが、司法書士に依頼できるのは、「自分である程度の債権者との交渉を済ませたが、債権者との間で和解契約書などの専門的な書類に不足はないかを確認したい」場合が良いでしょう。

過払い金請求を依頼する司法書士の選び方

それでは、今後司法書士へ過払い金請求を依頼しようとしている方に向けて、司法書士の選び方のコツをお伝えします。

債務整理の案件を得意としていること

上記でお伝えしましたが、司法書士の本来の業務は司法に関する書類を作成することです。

司法書士の中でも、債務整理を得意とする司法書士を選ぶようにしましょう。各司法書士のサイトを見てみると、過去の実績などを載せている事務所もあります。過払い金請求の実績がある司法書士を選択してみましょう。

スピード感があること

しかし、いくら実績があっても、人気があるゆえに依頼を処理できずスピード感が劣ってしまう司法書士がいることも事実です。例えば、問い合わせをしてみてもなかなか返答が来ないようであれば、切り替えて次の司法書士を探してみるのも方法の一つです。

可能であれば直接会うこと

過払い金請求は、司法書士と貸金業者とのやり取りが主になりますので、依頼者が直接合わなくても解決できることもあります。ただ、実際に合うことができる司法書士なら、その司法書士の人となりも判断することもできるでしょう。可能であれば、司法書士に直接会ってみるのもおすすめです。

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過払い金請求を独力で行う場合に知っておくべきこと

まずは過払い金の請求を独力で行う場合に知っておくべきことをご紹介していきます。

司法書士などの専門家に頼まない分費用が浮く

過払い金がいくらあるのかを計算するには、以前の取引履歴の開示を貸金業者に請求する必要がありますが、借りたあなた(債務者)自身が消費者金融会社に直接電話なりメールなりをして入手することができます。

その後の貸金業者との交渉や裁判所に訴えを起こす場合も、制度上はすべて本人だけでできますので、その分、専門家を雇う費用がかからないことは大きなメリットといえますね。

全て自分でやらないといけないため手間がかかる

恐らく債務者は過払い金の返還請求などやったことがない素人でしょうから、何かわからないことがあるたびに調べながら、手探りで手続きを進めていくことになり、大変な労力となります。

さらに、訴訟が長引いた場合は裁判所への出廷も増えますので、自身の仕事を休む日が多くなり、負担は大きくなるでしょう。

交渉を有利に進めづらい

ふたつ目は、貸金業者相手の交渉を有利に進めづらくなることでしょう。消費者金融会社はこれまで何万人という過払い金返還請求に対処してきたプロフェッショナルです。

手続きに詳しくない債務者本人が交渉したところで軽く見られ、取引履歴開示や返還を拒絶されるケースもありますし、逆に丸め込まれて低めの金額で合意させられてしまったなどという場合もあります。

まとめ

過払い金の返還請求を司法書士に依頼するメリットをご紹介してきましたが、利用シーンさえ間違えなければ、最小限の費用で過払い金の請求ができますので、今回の内容を参考にスムーズな過払い金請求を行っていただければ幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。