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闇金問題は警察に相談すべき?警察が動いてくれるケースや警察以外の相談先も解説

辻本 雅嗣
監修記事
闇金問題は警察に相談すべき?警察が動いてくれるケースや警察以外の相談先も解説

闇金問題で悩んでいる方の中には「警察に相談すれば取り立てを止めてもらえるのか」「『警察は動いてくれない』という声もあるけど本当なのか」など、警察の対応に不安を感じている方もいるでしょう。

たしかに警察に相談したからといって必ず動いてくれるわけではなく、なかには「何もしてくれずに無駄に終わってしまった」というようなケースもあります。

闇金問題に関して警察が動いてくれるケースは限られており、警察の対応が望めない場合は弁護士や司法書士などへの相談を検討しましょう。

本記事では、警察に闇金問題を相談しても動いてくれないケース・動いてくれるケース、相談時の注意点や警察以外の相談窓口などを解説します。

闇金問題で警察は動かない?「民事不介入」のよくある誤解

まず、警察には「民事不介入」という原則があります。

民事不介入とは「借金問題や離婚トラブルなどの個人間での揉め事には基本的に介入しない」というもので、「闇金問題で警察は動かない」とよく言われるのもこれが主な理由です。

ただし、これはあくまでも民事事件に限った話であるため「闇金業者とのあらゆるトラブルに関して警察は動いてくれない」というのは誤解です。

闇金業者とのトラブルで刑事事件に該当しそうなケースであれば捜査してくれることもあり、状況によっては警察への相談が効果的な場合もあります。

警察に闇金問題を相談しても動かないケース

警察に闇金問題を相談しても、以下のようなケースでは動いてくれない可能性があります。

事件性がない場合

警察には民事不介入の原則があるため、基本的に事件性がない場合は動いてくれません。

たとえば「高い金利でお金を借りてしまった」「返済期日を過ぎていて催促を受けているが、特にけがや物損などの被害はない」というようなケースでは、警察に相談しても「事件性がない」と判断されてしまうおそれがあります。

被害に関する証拠が不十分の場合

警察に相談する際は、どのような被害に遭っているのかを示す証拠が必要です。

たとえ闇金業者から激しい取り立てなどを受けていても、十分な証拠がないと警察が適切に捜査を進められない可能性があります。

具体的にどのようなものが証拠になるのかは「警察に闇金問題を相談する際の注意点」で後述します。

 

警察に闇金問題を相談したほうがよいケース

一方、以下のようなケースに当てはまる場合は警察による対応が望めます。

違法な取り立てを受けた場合

借金の取り立てにはルールがあり、違法な取り立てを受けた場合は警察に相談することで動いてくれる可能性があります。

違法な取り立ての例としては以下のとおりで、行為者には刑事罰として「2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科」が科される可能性があります(貸金業法第47条の3第1項3号)。

  • 正当な理由なく、午後9時~午前8時の時間帯に電話・FAX・訪問などをすること
  • 債務者が支払いや連絡をすることを申し出ているにもかかわらず、午後9時~午前8時の時間帯に電話・FAX・訪問などをすること
  • 正当な理由なく、自宅以外の場所に電話・訪問・FAXなどをして取り立てること
  • 債務者が「退去してほしい」と言っているにもかかわらず、自宅や勤務先などに居座ること
  • 張り紙や看板などをして、借り入れや債務者の私生活に関する内容を周囲に知らせること
  • 債務者に対して「ほかのところからお金を借りて返済してください」と要求すること
  • 債務者以外の人に返済を要求すること
  • 取り立てへの協力を拒否した人に対して、さらに協力するように要求すること
  • 債務者が弁護士や司法書士に債務整理を依頼したあと、正当な理由なく債務者本人に対して電話・FAX・訪問などをおこなうこと

違法な取り立てについては以下の記事でも解説しているので、詳しく知りたい方はご確認ください。

脅迫や嫌がらせを受けた場合

闇金業者から以下のような脅しを受けた場合、犯罪行為として警察が取り締まってくれる可能性があります。

  • 「臓器を売るぞ」
  • 「返済しないと殺す」
  • 「家に火をつけるぞ」
  • 「家族がどうなってもいいのか」 など

また、なかにはクレジットカードの現金化・携帯電話の契約・銀行口座の買取などを要求してきて、違法行為に加担させようとしてくるケースもあります。

言われるがまま応じてしまうと自分が犯罪者になってしまうおそれがあるため、そのような要求をされても絶対に応じずに警察に相談しましょう。

暴力を振るわれた・物を壊された場合

闇金業者から暴力行為や器物損壊などの被害を受けた場合も、警察に110番通報しましょう。

「取り立てに来た闇金業者に殴られた」「家の窓やスマートフォンを壊された」なども刑法に違反する行為であり、すぐに通報することで現行犯逮捕となる可能性もあります。

 

警察に闇金問題を相談する場合の流れ

警察に闇金問題を相談する場合、基本的な流れとしては以下のとおりです。

  1. 110番通報する(緊急性が高い場合)
  2. 被害に関する証拠を準備する
  3. 近くの警察署に相談する
  4. 被害届を提出する
  5. 警察が闇金業者を捜査する

なお、警察に相談した場合、闇金業者に対して警告電話をかけてくれることもあります。

警告電話をかけてくれるかどうかは担当者によっても異なりますが、かけてくれた場合は闇金業者による嫌がらせなどがストップする可能性があります。

警察に闇金問題を相談する際の注意点

警察に闇金問題を相談する際は、相談の仕方にも注意しなければいけません。

警察にしっかり動いてもらうためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。

闇金業者の情報や被害の証拠を準備しておく

警察に動いてもらうには、以下のような闇金業者に関する情報や証拠などを提出する必要があります。

情報が多ければ多いほど警察も動きやすくなるため、できるだけ多く集めましょう。

  • 闇金業者の情報(名称・連絡先・振込先銀行口座・ホームページなど)
  • 闇金業者とのやり取りの記録(取引明細や契約書、メール・LINE・SNSのスクリーンショット、通話記録など)
  • 取り立てに来た際の動画・暴行を受けた箇所の写真 など

警察署の「生活安全課」に相談する

警察署にはさまざまな部署がありますが、基本的に闇金問題は「生活安全課」が担当します。

ただし、地域によっては担当が異なる場合もあるため、不安な方は電話などで事前に確認しておきましょう。

被害届を提出する

被害届とは「犯罪被害について捜査機関に申告する書類」のことで、闇金トラブルについて刑事事件として捜査してもらうためには被害届を提出する必要があります。

なかには被害届が受理されてもすぐには捜査を始めてくれないケースもありますが、警察に相談する際は必ず提出しましょう。

警察署では対応してもらえない場合は「#9110」に電話する

「#9110」とは警察相談専用電話のことで、発信地を管轄する警察本部などの窓口に直接つながって相談することができます。

「警察署に行ったが対応してくれなかった」「被害届を受理してもらえなかった」というような場合、そのことを#9110で伝えることで対応してもらえる可能性があります。

闇金には警察に相談したことを伝えない

警察への相談後の注意点として、闇金業者に「警察へ相談しました」などと伝えるのは避けましょう。

むやみに知らせてしまうと、報復としてますます取り立てが激しくなって被害が大きくなったり、被害届を取り下げるように脅しを受けたりするおそれがあります。

闇金問題はすぐに弁護士・司法書士に相談

闇金問題については、警察だけでなく弁護士や司法書士などにも相談できます。

弁護士や司法書士に依頼した場合、最短即日で取り立てをストップできるほか、元本や利息の支払いが必要なくなったり、これまで支払ったお金を回収できたりする可能性もあります。

警察の場合はすぐに動いてくれないおそれがありますが、弁護士や司法書士なら問題解決に向けてすぐに動いてくれます。

「闇金業者との関係を断ち切りたい」「今すぐ取り立てや嫌がらせを止めてほしい」という方は、すぐに弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

 

ベンナビ債務整理なら自分にあった弁護士・司法書士が見つかる

弁護士や司法書士への相談を検討している方の中には、相談が初めてでどのように探せばよいか不安な方も多いでしょう。

そのような方には「ベンナビ債務整理」がおすすめです。

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「何度でも相談無料」「夜間休日の相談可能」などの事務所も多数掲載しており、まずは一度気軽に話を聞いてみましょう。

脅しや嫌がらせ・取り立てが怖いなら、警察にも連絡をしておこう

闇金業者による脅し・嫌がらせ・取り立てなどが怖い方は、弁護士や司法書士だけでなく警察にも連絡しておくことをおすすめします。

大きな被害もなく緊急性が高くない場合でも、#9110に連絡すれば「今後の対応はどうすればよいか」「どのように証拠を集めるのがよいか」などのアドバイスが望めます。

もし大きなトラブルに巻き込まれた場合でも、事前のアドバイスをもとに対応を進めることで被害届の提出などもスムーズに済ませられるでしょう。

闇金問題を弁護士・警察以外に相談できる窓口

闇金問題については、弁護士や警察以外にも以下のような相談窓口があります。

国民生活センター

国民生活センターとは「消費者問題の解決などに取り組んでいる独立行政法人」のことです。

国民生活センターでは消費者ホットラインを設置しており、闇金問題などについて電話で相談することができます。

注意点として、弁護士などのように問題解決に向けて具体的にサポートしてくれるわけではありませんが、被害に遭った辛い気持ちを吐き出したい場合は利用してみるのもよいでしょう。

貸金業相談・紛争解決センター

貸金業相談・紛争解決センターとは「貸金業者との紛争解決窓口・相談窓口として、日本貸金業協会が設置しているセンター」のことです。

貸金業相談・紛争解決センターでは、闇金や悪質業者の実例検索・借り入れなどに関する相談・貸金業者への苦情相談などのサポートをおこなっています。

ホームページ内の「クイック検索」で業者名・電話番号・住所などを記入すれば過去の違反歴などがわかるため、特に「相手が闇金なのかどうかわからない」という場合は一度利用してみることをおすすめします。

法テラス

法テラスとは「経済的に余裕がない方を対象に、法律問題の解決のサポートをおこなっている公的機関」のことで、正式名称は日本司法支援センターです。

各都道府県に法テラス事務所が設置されており、法テラスに登録されている弁護士や司法書士が相談に乗ってくれます。

法テラスでは、民事法律扶助業務の一環として「弁護士・司法書士との無料法律相談」や「弁護士費用・司法書士費用の一時立て替え」などのサポートをおこなっています。

ただし、民事法律扶助制度を利用するには、法テラスが定める資力要件などを満たしている必要があり、詳しくは「無料法律相談・弁護士等費用の立替|法テラス」をご確認ください。

 

まとめ

闇金業者の情報や被害の証拠などが揃っていて事件性がある場合は、警察署の生活安全課に相談することで動いてくれる可能性があります。

ただし、被害届が受理されてもすぐに動いてくれるとはかぎらず、警察の対応を待っているだけではなかなか解決しないおそれもあります。

「今すぐ取り立てを止めてほしい」「闇金業者との関係を断ち切りたい」というような場合は、弁護士や司法書士への相談がおすすめです。

弁護士や司法書士に依頼すれば取り立てをストップできるほか、元本や利息の支払いが必要なくなったり、これまで支払ったお金を回収できたりする可能性もあります。

ベンナビ債務整理では、闇金問題が得意な全国の弁護士事務所・司法書士事務所を掲載しているので、まずは以下のリンクからお住まいの地域を選んでみましょう。

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この記事の監修者
SAO司法書士法人
辻本 雅嗣 (東京司法書士会)
月間400件以上の解決実績をもつ。即日対応・24時間受付が可能。一人ひとりの状況に合わせた最適な解決策を提案し、借金問題からの解放をサポートしている。
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編集部

本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。