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時効の援用のやり方マニュアル|消滅時効援用通知書を作成するポイントなどを解説

代表弁護士 野条 健人
監修記事
時効の援用のやり方マニュアル|消滅時効援用通知書を作成するポイントなどを解説

時効の援用とは、法律で定められた期間が経過した借金について、返済しない旨を伝えて時効を成立させる手続きのことです。

しかし、時効の援用はほとんどの方が初めて経験するため「具体的にどうやってやればいいの?」と悩む方が多いでしょう。

そこで本記事では、時効の援用のやり方について、3つのステップでわかりやすく解説します。

時効援用通知書の書き方や注意点、よくある質問なども詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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時効の援用のやり方|債権者に対して援用の意思表示をすればよい!

借金における時効の援用とは、時効の成立期間が経過した借金について、債務者が債権者に対して「時効が成立したので、もう返済しません」と伝えることで、時効を正式に成立させる手続きです。

時効の援用がなされると、債務者が債権者に対して借金を返済する義務がなくなります

時効の援用の方法は、口頭でも書面のどちらでも問題ありません。

電話や手紙、メールなどでも可能です。

しかし、後々トラブルにならないように、時効の援用は書面で伝えるのが一般的です。

時効の援用手続きのやり方|自力でおこなう際の3ステップ

時効の援用を自分自身でおこなう場合、以下の3つのステップを踏む必要があります。

1.時効が成立していることを確認する

時効援用をおこなうには、まず時効が成立していることを確認する必要があります

そもそも時効が成立していなければ、時効援用をしても借金の返済義務はなくなりません。

借金の消滅時効期間は、一般的には最後の返済から5年です。

ただし、時効期間が経過していても、時効の完成猶予(停止)や更新(中断)があると、時効援用は認められません。

時効の完成猶予とは、法律上定められた時効の進行を一時的にストップさせる事由のことです。

たとえば、債権者から裁判を起こされた場合や支払督促をされた場合、時効の進行は一時的にストップします。

また、時効が完成したあとに債務を承認してしまうと、時効期間が更新されるため、時効援用ができなくなります。

債務の承認とは、債務者が債権者に対して、借金の存在や返済義務を認めることです。

たとえ少額でも、時効期間経過後に借金の一部を返済してしまうと、時効期間がリセットされてしまうため、注意してください。

なお、時効が成立しているか確認する方法には、以下3つがあります。

  1. 銀行や消費者金融からの通知書を確認する
  2. 信用情報機関から信用情報を取り寄せる
  3. 弁護士などの専門家に確認してもらう

手元の通知書で内容を確認できれば、いつが最終返済日でいつから返済していないのかを確認できるでしょう。

記載されている返済期日から5年以上経過していれば、時効が成立している可能性があります。

通知書がない場合は、信用情報機関から信用情報を取り寄せることでも借金の最終返済日などのおおよその情報を知ることができます。

信用情報機関とは、クレジットカードやローンなど金銭にかかわる取引情報を収集・管理し、個人の金融に関する信用情報を取り扱っている機関です。

借金の滞納などがあると、借入業者は信用情報機関に滞納歴などの事故情報を登録します。

そのため、信用情報を取り寄せることでいつから返済していないのかなどの情報を得られるでしょう。

ただし、最終返済日から5年が経過しているからといって、必ず時効が成立しているわけではありません

時効の計算や成立しているかどうかの判断に不安がある場合は、弁護士や司法書士などに相談しましょう。

2.時効援用通知書を作成する

時効が成立していることを確認したら、時効援用通知書を作成します。

時効援用通知書には、以下の内容を記載します。

  • 時効援用通知書の作成日
  • 債権者の住所と氏名(法人の場合は会社名)
  • 債務者の住所と氏名
  • 「時効の援用をおこなう」という意思表示
  • 借金を特定できる情報(債務者の生年月日や借入契約年月日、借入額、契約番号など)
  • 信用情報機関からの事故情報削除依頼

時効の援用は口頭でも可能ですが、「言った、言わない」のトラブルを防ぐためにも、時効援用通知書を作成して送付しましょう

3.時効援用通知書を送付する

時効援用通知書を作成したら、債権者に送付します。

時効援用通知書は、内容証明郵便で送付することが重要です。

内容証明郵便とは、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛に送付したかを郵便局が証明してくれるサービスです。

「時効援用通知書を受け取っていない」と主張されることを防ぐために、必ず内容証明郵便を利用してください

消滅時効通知書を不備なく正確に作成するための3つのポイント

消滅時効通知書を不備なく正確に作成するためには、以下の3つのポイントをおさえなければなりません。

1.借金額や債権者名などを正しく記載する

時効援用通知書には、借金の金額や債権者名など、重要な情報を正確に記載する必要があります。

これらの情報に誤りがあると、時効援用が無効になってしまうおそれがあるので注意しましょう

時効援用通知書に不備があった場合、債権者側が不備を指摘し、訂正させてくれるとは考えにくいです。

とくに、債権者を特定するための情報(住所や氏名、会社名など)は、必ず正確に記載しましょう。

相手先の記載に不備があれば、裁判で時効を主張したとしても、不備を理由に時効が有効に成立していないと判断される可能性があります。

また、不備のある時効援用通知書をきっかけに取り立てが再開されたり、裁判を起こされたりして、時効が更新されるリスクもゼロではありません。

書類の不備によって時効の援用に失敗しないためにも、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします

2.内容証明郵便の書式を守るようにする

時効援用通知書は、内容証明郵便で送付する必要があります

内容証明郵便には、決められた書式があります。

郵便局の窓口で内容証明郵便の書式を確認するか、郵便局のホームページで書式をダウンロードして、書式に従って作成しましょう。

3.弁護士などの専門家に作成を依頼する

時効援用通知書の作成に不安がある場合は、弁護士などの専門家に依頼してください

弁護士に依頼すれば、時効援用通知書の作成だけでなく、時効援用に関するアドバイスや債権者との交渉なども代行してもらえます。

なお、ベンナビ債務整理では、時効援用に強い弁護士を多数掲載しています

お住まいの地域の法律事務所や相談料無料の事務所を簡単に探せるので、ぜひご活用ください。

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時効の援用に要する費用|自力で作成する場合と弁護士に依頼する場合

時効の援用には、手続き費用や専門家への依頼費用がかかります。

ここでは、自力で時効援用をおこなう場合と弁護士に依頼する場合の2つの費用を紹介します。

自分で手続きをする場合|内容証明郵便代1,252円~

時効援用を自分でおこなう場合は、内容証明郵便の料金がかかります。

内容証明郵便の料金は、文字数や枚数によって異なりますが、1,252円~です。

内容証明郵便は「基本料金+一般書留料金+内容証明料金+配達証明」で金額を計算できます。

それぞれの金額は、以下のとおりです。

基本料金(50g以内)

110円

一般書留料金

480円(基本料金に加算)

内容証明料金

480円(2枚目以降は290円増)

配達証明料金

350円

弁護士に依頼をする場合|3万円~10万円程度

弁護士に時効援用を依頼する場合は、弁護士費用がかかります。

弁護士費用は、弁護士事務所や事案の複雑さによって異なりますが、3万円~10万円程度が相場です。

弁護士費用には、時効援用通知書の作成代や債権者との交渉料金が含まれています。

ただし、上記金額は、債権者1社あたりの金額です。

借入先が複数ある場合には、その分費用も加算されます。

時効の援用に関するよくある質問

時効の援用には、さまざまな法律が関わるため疑問をお持ちの方も多いでしょう

そこで、以下ではよくある質問をまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。

Q.時効の援用に失敗するとどのようなデメリットがある?

時効の援用に失敗すると、仮に時効期間を経過していたとしても債務は免除されません

さらに、債権者から借金の返済を一括請求される可能性があります。

債権者は、なんとしてでも借金を回収しようと動きます。

そのため、今まで音沙汰のない借金だったとしても一括請求されるリスクがあるのです。

また、時効の援用に失敗することで時効がストップしたり、時効期間がリセットされたりする可能性もあります。

時効のストップ(完成猶予)やリセット(更新)されるかは、それぞれの事情ごとに異なるため、弁護士に相談しましょう

Q.時効の援用ができたかを確認するにはどうしたらよい?

時効援用ができたかどうかを確認するには、債権者からの請求が止まったかどうかで確認します。

時効援用通知書を送付後、債権者から請求が来なくなれば、時効援用が成功した可能性が高いです。

ただし、債権者から請求が来なかったとしても安心するにはまだ早いです。

貸金業者などは時効が成立していれば、時効援用通知書に対して、債務不存在証明書を送ってきます。

そのため、債務不存在証明書が届くまでは時効が完成しているか確認できません

いつまでも債務不存在証明書が届かなければ、債権者に直接確認しましょう。

なお、債権者に直接確認した際に債務の存在を認めたり、返済する意思を示したりすると「債務の承認」として、時効期間がリセットされる可能性があります。

債権者に直接確認するのが不安であれば、信用情報機関に開示請求をし、事故情報が削除されているか確認しましょう。

情報が削除されていれば、時効が有効に成立した可能性が高いです。

なお、債権者によっては、時効援用後も請求を続けてくる場合があります。

その場合は、弁護士に相談してください。

さいごに|ベンナビ債務整理で弁護士を探して時効援用について相談しよう

時効援用は、借金問題を解決するための有効な手段の一つですが、複雑な手続きを伴う場合があり、失敗するリスクもあります。

そのため、時効援用を検討している場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

また、法律事務所に相談すれば、時効の援用ができない場合の対処法についてもアドバイスをもらえます。

たとえば、任意整理や個人再生、自己破産などのほかの債務整理の方法についても提案してくれるでしょう。

時効援用を検討している方は、「ベンナビ債務整理」でお近くの弁護士を探して相談してみましょう

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この記事の監修者
かがりび綜合法律事務所
代表弁護士 野条 健人 (大阪弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。