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債務超過とは|赤字で倒産の危機にある場合の対処法
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債務超過とは|赤字で倒産の危機にある場合の対処法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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債務超過(さいむちょうか)とは、会社経営において負債が資産より大きくなり、資産をすべて売却しても負債を返済しきれない状態のことです(※貸借対照表では純資産がマイナスになります)。

 

『債務超過=倒産』ではありませんが、経営状態が悪いことには変わりなく、企業にとって経営上のさまざまなリスクがあります。

 

こちらのコラムでは、

 

  1. 債務超過の基礎知識
  2. 債務超過の事例
  3. 債務超過から抜け出す方法

 

について、ご紹介します。

 

 

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債務超過とは

では、実際にどのような基準で債務超過を判断すればよいのでしょうか?

 

経営状態別の貸借対照表を順に見ていくことで、債務超過に対する理解を深めていきましょう。

 

①正常時の貸借対照表(※)

②赤字時の貸借対照表

③債務超過時の貸借対照表

 

※貸借対照表

負債、純資産、資産を元に会社の経営状態を表す財務諸表

  • 純資産=社内の自己資本
  • 借入金=外部から調達した資本
  • 資産=純資産+借入金

 

賃借対照表から見る債務超過の特徴

以下の図は正常時の貸借対照表になります。右下にある、純資産がプラスになっている点にご注目ください。(債務超過時はここがマイナスに)

 

貸借対照表では、『資産=負債+純資産』となるため、左側と右側の合計額は同額です。経営状態が良いと、利益余剰金はプラスになりますが、経営が上手くいかなくなると、利益余剰金がマイナス(赤字)となります。

 

赤字が発生した場合

では、次に赤字発生時の貸借対照表を確認していきましょう。純資産はマイナスになっていないものの、利益余剰金がマイナスになっています。

 

赤字が続くと純資産が減っていきます。赤字が続き、純資産がマイナスに転じた状態が債務超過です。

 

資産600,000円に対し、負債は800,000円になっています。資産をすべて現金化しても、200,000円分の負債(債務)が残る計算になります。

 

 

債務超過に陥った場合の3つのリスク

続いて企業が債務超過になるリスクをご紹介します。

 

銀行から融資が受けられなくなる

お金を貸しても返ってくる見込みがないと判断されるため、債務超過になると銀行から融資が受けづらくなります。

 

上場廃止になる

上場企業は、上場規則に従う必要があります。上場規則では債務超過の状態が一定期間続くと上場廃止となることが定められています。上場廃止になれば株価は一気に下落することになり財務的ダメージは計り知れません。また株主にも深刻な影響を与えることになります。

 

倒産する可能性がある

赤字が続くと会社の運転資金は減っていく上、債務超過時は『銀行から融資が受けられない』、上場廃止により『増資が難しい』などのリスクがあるため、資金調達が難しくなります。会社の資産が底をつき、倒産に至るリスクが高まります。

 

債務超過から抜け出すためには?

続いて債務超過から抜け出すポイントをご紹介します。債務超過を抜け出すためには、純資産を黒字に戻す必要があるため、

 

  • 資本金を増やす
  • 純利益を増やす
  • 負債を減らす

の3点の方法を以下でご説明します。

 

増資する

増資をすると、資本金が増加することになります。増資には次の2種類があります。

 

増資の種類

違い

実質的増資

純資産が増加する

新株発行

形式的増資

純資産が増加しない

資本準備金の資本組み入れ

 

資本金を増やす手っ取り早い手段ではあるものの、利益余剰金のマイナスが止まらない限り、増資をし続けなければなりません。一時的な債務超過であれば増資で対応できますが、継続的に赤字が続いているのであれば対症療法的な対応にならざるを得ないでしょう。

 

後者の場合は、赤字の原因を特定し改善することが最優先です。

 

社長借入金を債務免除してもらう

社長借入金の残高がある場合に有効な方法です。社長が自らのお金を投じて資金繰りをするケースもあるかもしれませんが、借入金は負債として計上されます。借入金は本来返済しなければならないものですが、社長にこの借入金を諦めてもらえれば(債務免除)負債は利益に変わります。ただ、税務上の問題は残るでしょう。

 

DES(Debt Equity Swap=通称:『DES』)を検討する

DESとは、債務と株式を交換することです。金融機関等が、経営不振に陥った取引先を支援する目的で利用されるケースが多くなっています。金融機関等は貸出金(融資)を一部失うものの、取引先企業の株式を取得できることから、次のようなメリットを得ます。

 

《DESにより債権者が受けるメリット》

  • 株主として企業経営に影響を与えられる
  • 将来、配当や株式の売却益を得られる可能性がある

 

ところで、なぜDESによって債務超過が解消するのでしょうか。その理由は、これまで借入金(負債)として帳簿に計上されていたものが、DES後は株式(純資産)として計上されるためです。DES前とDES後の変化を比較すると、次のようになります。

 

DESをすると、企業は債権者(金融機関等)にメリットを与えつつ債務超過を解消できるものの、経営を再建できる見込みがなければ、問題の先送りに過ぎません。また、そもそもこのような処理が可能であるかも要検討です。

 

民事再生または会社更生を検討する

経営困難に陥っている会社を救済する制度として、民事再生・会社更生があります。両者共に自社の債務を減額する制度のため、負債を減らすことで債務超過の解消を目指せます。両制度の違いについては以下の表をご覧ください。

 

 

民事再生

会社更生

対象

中小企業・個人

大手企業

経営陣

そのまま

退陣

再建業務

経営陣が関与可能

管財人(裁判所が選任)

財産の処分

経営陣が関与可能

管財人

株主の権利

そのまま

喪失(100%原資)

担保権の行使

不可

手続きに要する期間

半年~1年

1年~

弁済期間

最長10年

最長15年

参考:「民事再生法とは|倒産した企業に過払い金請求する為の知識

 

 

債務超過の事例

以下、実際にあった企業の債務超過の事例についてまとめました。

 

1.インデックス

株式会社インデックスは、インターネット・携帯電話向けコンテンツの製作・提供を中心に行っていた企業。赤字経営が続いたため、債務超過となり負債総額は246億200万円まで上りました。最終的に、経営を立て直すために2013年6月27日に民事再生手続きを申し立て、同年7月4日に民事再生手続開始決定を受けました。

 

  • 設立:1995年9月1日
  • 資本金:393億7,900万円
  • 負債総額:246億200万円
  • 従業員:378人

 

2.三菱農機

三菱農機株式会社(三菱農機)は、島根県松江市に本社を置く、トラクターや耕耘機など農業機械全般を開発・製造・販売している企業。三菱の名の付く社名になったのは1980年2月ですが、創業自体は1914年6月であり(前身「サトー」ブランドの創業)、歴史の長いメーカーと言えるでしょう。

 

農業機械需要の縮小傾向が続く中、東日本大震災で東北の販売拠点が被害を受け、同社は11年3月期に38億円の最終赤字と16億円の債務超過に陥った。三菱重工業の完全子会社となったのを契機に合理化を加速する。
引用元:三菱農機、従業員500人削減 子会社含め5年で 

 

東日本大震災の影響で、経営が傾いたため債務超過まで陥りましたが、マヒンドラ&マヒンドラ社が株式の33.3%を取得、社名を三菱マヒンドラ農機株式会社へ変更しています。

 

  • 設立:1945年2月(佐藤造機)
  • 資本金:45億1万円
  • 負債総額:82億円(2012年3月末)
  • 従業員:260名

 

3.エルピーダ

エルピーダメモリ株式会社(エルピーダ)は、NECと日立製作所の折半出資による合弁会社。

 

NECと日立製作所の折半出資による合弁会社としてスタート。15年には三菱電機からDRAM事業を譲り受け、国内唯一、世界では第3位の半導体DRAMのメーカーとなっていた。
引用元:倒産情報|エルピーダメモリ(株)

 

エルピーダは、資金調達の失敗から2012年2月27日に会社更生法手続きの適用を申請、2013年7月31日に米マイクロン・テクノロジーが全株式を取得、そして現在はマイクロンメモリジャパン株式会社へ社名変更されています。

 

エルピーダの倒産は、2012年最大の倒産とも評されており、負債総額は4,480億3,300万円と製造業としては過去最大となっています。

 

  • 設立:1999年12月
  • 資本金:2,361億4,313万円
  • 負債総額:4,480億3,300万円
  • 売上:5,019億5,000万円(2011年3月期)
  • 従業員:3,206名

 

 

まとめ

経営者の方を対象に、債務超過に関する用語の説明や、債務超過から脱する方法についてまとめました。債務超過について知りたい方や、経営を立て直したい方へ、このコラムを参考にしていただけたら幸いです。

 

 

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は債務整理ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※債務整理ナビに掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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