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会社(法人)を破産する時の手続きを具体的に解説!

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
会社(法人)を破産する時の手続きを具体的に解説!

会社も生き物のように、生まれて年老いて消えていきます。会社を消滅させる手続きのことを「会社(法人)破産」といいます。

破産は決して「良いこと」ではありませんが、経済が発展するには新陳代謝が必要です。経営が成り立たなくなった会社はいずれ終わりを迎えます。

したがって破産は、経営が成り立たなくなった会社を畳んで、新しいビジネスを始めるスタート地点にもなり得ます。実際にトランプ大統領なども、幾度となく破産した後に成功しています。

そして会社の破産手続は「傷口が広がらない」うちに、早めに着手したほうがよいとされています。自力での再建を断念したら、速やかに破産手続に入ることは、経営者の最後の勤めといえます。

この記事では、会社(法人)の破産に関する基礎知識から破産手続の流れ、会社の経営者の責任の範囲などを解説します。

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会社(法人)破産とは

会社などの法人の経営が立ち行かなくなった場合に破産という手続きが取られることがあります。

破産することで、資産と債務は全て清算され、会社は消滅することになります。

まずは、そもそも破産とはどのようなものなのかを見ていきます。

財産を整理する法的手続きである

破産という言葉は、破綻や倒産と似ており、同じ意味で用いられることもあります。

しかし、厳密にはいずれの用語も意味が異なります。

「破綻」とは、会社が経営難により運営を維持できなくなる事実状態をいいます。

「倒産」とは、破産を含む法的整理手続(破産、会社更生、民事再生等)全般を意味します。

「破産」は、倒産手続の一つであり、会社の資産・債務を整理して、法人格を消滅させる終局的な手続です。

ヒト・モノ・カネの効率的活用に資する

会社の破産は「経済の新陳代謝」に寄与します。

経済は、新しいビジネスモデルが古いビジネスモデルに取って代わることで活性化するとされています。

つまり、古いビジネスモデルにより経営破綻した法人の破産は、見方を変えれば当該モデルに投入されていたヒト・モノ・カネといった経営資源が、新しいビジネスモデルに向かうことを意味します。

したがって、一部法人の破産は、社会全体から見れば、経営資源の効率的活用に資する側面もあるということです。

このように、法人の破産は負の側面ばかりではないということが言えます。

会社は消滅する

破産手続では、会社の資産・負債の全てが精算され、会社は法人格を失って消滅します。

したがって、会社債権者は破産手続で配当を受ける以外に債権回収の方法を失います。未回収の債権については貸倒れ処理をすることで損失計上できます。

会社(法人)破産の具体的な手続

会社の破産の具体的な手続きを紹介します。ここでは、会社に再建の道がないことを前提としています。

まずは弁護士に相談する

破産の手続きは弁護士を通さなくても可能ですが、弁護士に相談して行う場合が通常でしょう。

なお、社内の混乱を回避するため、破産手続を企図していることは社内でおおっぴらにするべきではないでしょう。

社内の手続き

破産手続きを進めることとする場合、まずは必要な社内手続を履践する必要があります。

会社が破産手続を履践する場合、取締役会がある場合は取締役会決議が、ない場合は取締役の過半数の同意が必要です(株主の同意までは不要です。)。

また、会社が当該決議等を行う場合、従業員に対しても適宜のタイミングで破産処理を行うことを通知し、必要な説明を行うべきでしょう。

破産処理を進めるに当たり、一定の日をもって事業を停止することになります。また、従業員も当該日をもって大半を解雇する必要があるでしょう。

もっとも、破産手続を開始しても会社がすぐに消滅するわけではなく、精算のための残務処理は必要です。そのため、最低限の人員は確保する必要はありますし、会社の財務書類等手続に必要となる書類も確保する必要があります。

裁判所に破産を申し立てる

裁判所に破産を申し立てる手続きを紹介します。破産申立てまでの準備行為は上記社内手続と並行して行うことになります。

破産申立を弁護士に依頼した場合、弁護士は取引先等に対し「受任通知」を行う供に支払停止の通知をします。この時点で債権者から会社に対する催告等はできなくなり、弁護士が対応窓口となります。申立代理人の弁護士は、会社財産が散逸しないよう必要な保全措置を講じますので、会社側はこれに協力しましょう。弁護士は当該保全措置を講じつつ、裁判所に提出する破産申立書を作成します。

会社は必要な社内手続を履践した後、裁判所に対して破産申立書を提出します。これを受けた裁判所は、破産手続を開始できるのかどうか審査します。

審査の結果問題がなければ、裁判所は破産手続の開始を決定します。

破産手続がスタート、破産管財人の選定

破産手続が始まると、裁判所は会社財産を管理する破産管財人を選任します。

破産管財人は、破産会社の財産行為の全てを管理する権限があります。

破産管財人の具体的な仕事は、破産会社の財産を換価し、これを債権者に配当することです。

会社は破産管財人の職務に協力する必要があります。

債権者集会の開催と配当

破産管財人は配当に当たって破産手続の状況や配当の見通し等について債権者集会で説明します。

債権者集会とは破産債権者が集まって、破産手続きについて説明を受けたり、意見を述べる場です。

債権者集会は複数回開かれることもありますが、多くの場合一回で終わります。

破産手続の終了、会社の廃止

配当を終えることで破産手続は終了し、会社は消滅します。

会社が消滅しますので、会社債権者は配当外で債権を回収することはできません。

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会社(法人)破産の費用と期間

破産手続を行う場合、負債額にも寄りますが100~200万円程度の費用はかかると考えるべきです。

また、破産手続の期間も、負債の状況にも寄りますが少なくとも半年程度はかかると考えるべきでしょう

会社(法人)破産の相談方法

会社を破産させる場合は、できる限り弁護士に相談して進めるべきです。

また、破産するかどうか不確定な状況で、会社内で破産についておおっぴらにするのは控えるべきでしょう。

社内の混乱を招き、破産するつもりがなかったのに破産を余儀なくされることもあるかもしれません。

会社(法人)破産により経営者が負う責任とは

破産について経営者が一定の責任を負うことがあります。

他方、株主の責任は投資の範囲に限定されていますので、保有株式の価値が0となる以外に株主が責任を負うことはありません。

連帯保証人としての責任

会社の代表取締役が会社の連帯保証人になっている場合は少なくないでしょう。会社が破産しても、連帯保証人としての責任は当然には消えません。

したがって会社が破産した場合、連帯保証人となっている代表取締役も破産を余儀なくされることはよくあります。

会社(法人)を破産する時の手続きに関するまとめ

破産は、社会・経済活動全体から見れば避けられないものです。

破産手続について知りたいという方に本記事が参考となれば幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。