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債務整理と任意整理の違いとは?個人再生や自己破産との違いなどについても解説

代表弁護士 野条 健人
監修記事
債務整理と任意整理の違いとは?個人再生や自己破産との違いなどについても解説

借金の返済が難しくなったとき、多くの人が検討するのが「債務整理」です。なかでも「任意整理」という言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれません。

しかし、「債務整理」と「任意整理」の違いを正確に説明できる方は少ないのではないでしょうか。実は、任意整理とは債務整理の一種であり、ほかにも「個人再生」や「自己破産」といった手続きが存在します。

本記事では、任意整理と債務整理全体との違いをはじめ、それぞれの手続きの特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

借金問題を抱えている方にとって、最適な解決方法を見つけるための助けとなるはずです。ぜひ最後まで参考にしてください。

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債務整理と任意整理の違い|最初に理解しておくべきポイント

債務整理と任意整理は、言葉の響きはよく似ていますが、厳密には異なるものを指します。

債務整理とは、借金の返済が難しくなった人が、法律の力を使って、返済負担を軽減・解消するための制度全体を指します。

一方で、任意整理は債務整理のなかに含まれる手続きのひとつで、裁判所を通さず、債権者との交渉によって返済条件の緩和を図る方法です。

最適な解決手段を選ぶために、まずは債務整理と任意整理の違いをしっかりと理解しておきましょう。

債務整理とは|借金問題を解決するための手続きの総称のこと

債務整理とは、借金問題を抱えた人が、生活の立て直しを図るために活用できる手続きの総称です。

債務整理には主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」の4種類が含まれ、それぞれに以下のような特徴があります。

名称

特徴

任意整理

弁護士などの専門家を通じて債権者と直接交渉し、借金の利息カットや返済期間の猶予に応じてもらう

個人再生

裁判所に申し立てて借金を最大で10分の1まで減額してもらい、原則3年間で完済する

自己破産

裁判所に申し立ててほぼ全ての借金の返済義務を帳消しにしてもらう

特定調停

裁判所を通して債権者と交渉し、借金の減額や返済期間の延長を試みる

どの手続きも、借金を整理し将来の生活再建を目指すものですが、状況に応じて適切な手続きは異なるので、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

任意整理とは|債権者と交渉して返済期間などを調整する手続きのこと

任意整理は、債務整理の一種で、裁判所を介さずに債権者と直接交渉し、借金の返済条件を見直す手続きです。

具体的には、将来利息や遅延損害金のカット、返済期間の延長、月々の返済額の軽減などを債権者に求め、無理のない範囲で返済を続けていけるよう調整します。

任意整理の最大の特徴は、手続きが比較的簡易で早く進められる点です。

裁判所を通さず手続きをできるので、自己破産や個人再生といった債務整理よりも書類などの準備の手間が少なく済みます。

また、対象とする借金を選べる点も大きなメリットで、例えば自動車ローンや住宅ローンについては今まで通り返済を続けつつ、消費者金融の借入だけを減額するといった柔軟な対応も可能です。

一方で、任意整理では元本は減額されず、借金自体の支払い義務は残るため、安定した収入がある人でなければ利用が難しい点に注意が必要です。

任意整理をしたという情報は信用情報機関に事故情報として登録され、一定期間クレジットカードやローンの利用が制限されるデメリットもあります。

それでも、手間をかけずに借金を整理したいという人にとって、任意整理は有力な選択肢といえるでしょう。

任意整理と個人再生や自己破産などの債務整理手続きとの違い

債務整理には複数の種類がありますが、任意整理・個人再生・自己破産・特定調停はそれぞれ手続き方法や手続き後の生活への影響が以下のように大きく異なります。

 

任意整理

個人再生

自己破産

特定調停

裁判所を介さずに済む

×

×

×

借金自体が減る

返済が不要となる

×

×

×

財産を手放さなくて済む

×

これらのポイントを理解することで、自分に合った債務整理の方法を見つけやすくなるでしょう。ここでは、4つの観点から、任意整理とそれ以外の手続きとの違いを解説します。

1.裁判所を介しておこなう手続きかどうか

債務整理の方法の中でも、任意整理は裁判所を介さずにおこなえる手続きです。

これに対し、個人再生と自己破産はどちらも裁判所に申立てをして手続きが進められます。

そのため、必要書類が多く、手続きにかかる時間や労力も大きくなりがちです。

また、裁判所からの通知が自宅に届いたり、債務整理をした事実が官報に記載されたりするため、家族や勤務先に知られる可能性もあるでしょう。

その点、任意整理は裁判所を通さない分、プライバシーが保たれやすく、ほかの手続きと比較してスムーズに進められることが多いため、生活への影響を最小限に抑えたい方に向いている手続きといえます。

2.借金そのものを減らすことができるかどうか

任意整理では、原則として借金の元本自体を減らすことはできません。

交渉によって将来利息や遅延損害金をカットできるケースはありますが、元本はそのまま残るため、返済能力がある程度ある人向けの制度といえます。

一方で個人再生は、裁判所の認可を受けて元本の一部を大幅に減額することが可能です。

さらに、自己破産においては、基本的に全ての借金の返済義務が免除されるため、借金そのものがなくなります

借金の総額が大きく、将来の返済が困難な場合には、任意整理では根本的な解決にならない可能性があります。

そのため、借金額や収入の状況に応じて適切な手続きを選ぶことが大切です。

3.手続きが終了したあとに返済が続くかどうか

任意整理や個人再生では、手続き終了後も借金の返済が続く点が共通しています。

任意整理では交渉で利息が減ったとしても元本の返済は必要であり、債権者との和解内容に従って3年〜5年かけて元本を返済していくのが一般的です。

また、個人再生も減額された借金を原則3年間かけて分割返済していきます。

一方自己破産は、免責が認められれば全ての借金の返済義務がなくなるため、手続き後に返済をする必要はありません。

ただし、税金や養育費など一部の非免責債権は自己破産後も支払いを続ける必要があるため注意しましょう。

4.手続きに伴い財産の処分が必要になるかどうか

任意整理では、原則として財産の処分は必要ありません。

現在保有している車や家、預貯金などをそのまま持ち続けることができるため、生活への影響も小さく済みます。

一方、自己破産の場合は、一定額以上の財産(20万円以上の資産など)は原則として処分され、債権者への配当に充てられます。

住宅ローン付きの自宅なども原則として手放す必要があり、生活への影響は大きいでしょう。

また、個人再生では、住宅ローン特則を利用すれば住宅ローン返済中の自宅も残すことが可能です。

ただし、自動車や有価証券などの高価な財産については、清算価値保障原則により手放す必要が出てくるケースもあるので注意しましょう。

財産を守りながら借金問題を解決したい場合には、任意整理や個人再生の選択を検討すべきです。

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債務整理と任意整理の違いがわかりにくい場合は弁護士に相談しよう

債務整理の中には任意整理・個人再生・自己破産など複数の選択肢があり、それぞれ借金の減額幅や手続き方法、生活への影響などが大きく異なります。

自分の状況にどの手続きが適しているかを判断するのは難しいため、法律の専門家の助言が欠かせません。

迷ったときは弁護士に相談すれば、自分の経済状況や希望に合う最適な解決策が見つかるはずです。

ここからは、債務整理や任意整理で悩んだときに弁護士に相談するメリットを見ていきましょう。

1.債務整理の手段について説明してもらえる

債務整理には主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの手段がありますが、それぞれ手続きの流れや生活への影響が異なります。

それぞれの制度の細かい違いをより詳しく理解するには、弁護士の説明が非常に役立ちます。

弁護士に相談すれば、各手続の概要や流れ、利用できる条件についてわかりやすく教えてもらえるため、制度を正しく理解しながら前向きな選択ができるはずです。

2.それぞれのメリット・デメリットを教えてもらえる

債務整理の各手続には、以下のようにそれぞれ異なるメリットとデメリットがあります。

債務整理の種類

メリット

デメリット

任意整理    

・手続きに時間や手間がかからない

・家族や勤務先に借金について知られる心配が少ない

・財産を手元に残せる

・保証人に迷惑をかけなくて済む

・借金の元本は減額できない

・利息カット後に残った借金は原則3年〜5年で完済する必要がある

・債権者によっては交渉に応じてくれない可能性がある

個人再生

・最大で10分の1まで借金を減額できる

・住宅ローン返済中の自宅を手放さずに済む

・減額後の借金は原則3年で完済する必要がある

・手続きに手間がかかる

自己破産

・ほぼ全ての借金の返済義務が帳消しになる

・持ち家や自動車など一定以上の価値がある財産は手放す必要がある

・保証人がいる借金がある場合、保証人に返済義務が移る

・破産手続中は資格制限により一部の職業に就けなくなる

また、どの手続きを選んだとしても、債務整理をしたという情報は信用情報機関に記録されてブラックリストとなり、手続き後5〜8年程度の期間はクレジットカードやローンを利用できなくなります。

弁護士に相談すれば、以上のようなメリットやデメリット、さらにはデメリットへの対処法などについて、具体的な数値や事例を交えて教えてもらうことが可能です。

安易にどれかを選んで後悔することを防ぐためにも、弁護士から中立かつ丁寧な説明を受けることをおすすめします。

3.どの債務整理手続が自分に合うか判断してもらえる

借金の金額、収入の状況、財産の有無など、債務整理において考慮すべき要素は多岐にわたります。

そんな中でどの手続きが自分にとって最も負担が少なく、かつ確実な再建につながるのかを見極めるのは簡単ではありません。

弁護士であれば、自分の置かれた状況をもとに適切な債務整理手続きを提案し、問題解決に向けた支援をしてくれます。

自分では見えていない選択肢がある場合も多いため、弁護士に判断を仰ぐことで、無理のない生活再建への一歩を踏み出せるはずです。

弁護士に相談する際は無料相談を活用して、複数の弁護士の意見を聞いておくと、後悔せずに債務整理を進められるでしょう。

さいごに|債務整理は総称でそのひとつに任意整理があると覚えておこう

本記事では、債務整理と任意整理の違いや、債務整理について弁護士に相談するメリットなどについて詳しく解説しました。

債務整理とは借金を法的に整理する手続きの総称であり、そのひとつが「任意整理」であることをしっかりと覚えておきましょう。

任意整理は裁判所を介さずに手続きが可能なため、比較的手軽に取り組める方法です。一方で、個人再生や自己破産といったほかの手続きは大幅な借金の減額や免除を可能にする反面、手続きが複雑だったり生活への影響が大きかったりします。

どの債務整理が自分に合っているかを見極めるには、法律の専門家である弁護士に相談することが大切です。

借金問題に関する相談は、初回無料で引き受けてくれる法律事務所も多数存在するため、まずは話だけでも聞いてみるのがおすすめです。

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この記事の監修者
かがりび綜合法律事務所
代表弁護士 野条 健人 (大阪弁護士会)
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編集部

本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。