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自己破産で免責許可を得られる条件と認められなかった時の3つの対策!

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二
監修記事
自己破産で免責許可を得られる条件と認められなかった時の3つの対策!
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自己破産を検討している大半の方が、多額の借金を抱えているあまり、返済の当てがない場合が多いです。

自己破産は、返済を視野に入れた債務整理ではないため、ある一定以上の返済能力を問われることがなく、低所得者の方でも適用される債務整理です。

自己破産を行う最大のメリットは借金が全額免除されることですが、自己破産を行ったからといって、必ずしも借金が免除するわけではありません。

自己破産の手続きの中で、最終的に裁判所から免責(借金の免除の許可)を認めてもらう必要があるからです。

今回の記事では、自己破産における免責について解説していきます。また、免責が認められない場合を踏まえた上で、免責を認めてもらうためのポイントについても紹介していきます。

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破産申し立てと免責申し立ての違い

まず、自己破産とは、最終的に裁判所から借金の免除(免責)を認めてもらう手続きですが、自己破産を申立てるためには、破産手続きと免責手続きの二つの手続きを並行して行わなければなりません。

破産手続き

破産手続きとは、破産者が保有する資産の処分を行うための手続きです。

車や家など換金価値のある資産は全て処分の対象になりますが、これらの資産は換金した後、債務者の借金に対する債権者へ配当されます。

これは自己破産が、債権者にとって不利益の大きい手続きであるため、債権者の権利を少しでも保護するための処置です。

同時廃止事件と管財事件

また破産手続きが開始すると、同時廃止事件と管財事件のどちらかの手続きへ進まなければなりません。債務者が換金する価値のある資産を保有している場合、管財事件に進みますが、保有していない場合、同時廃止事件へ進むことになります。

大半の場合は、同時廃止事件に進むことになりますが、同時廃止事件の場合は、そのまま免責手続きに進むことになります。

反対に管財事件に進む場合は、免責手続きに移行する前に手持ちの財産を処分しなければならないため手続きに半年から1年の時間を要するのが一般的です。
 参照:「自己破産の手続きを効率的に進める方法と手順のまとめ

免責手続き

免責手続きは、破産者が借金の免除をするのに相応しいかを判断するための手続きです。

「免責の許可が降りない場合」で詳しく説明いたしますが、尋問や陳述書を通して、破産者の借金に対する反省の意思や借金を作った原因を元に、破産者の免責(借金の免除)を認めるのが妥当かどうか判断していきます。

【参照】
▶「自己破産とは|自己破産の方法と破産後の生活の完全ガイド
▶「自己破産のメリットとデメリット

自己破産の免責許可が降りる条件と降りないケース

つまりは、破産手続き、免責手続きの二つの手続きを完了させることが必要です。

自己破産の手続きにおいて借金が免除されない場合として、破産手続きの申立が適用されない場合、免責の許可が降りない場合、債権の中に非免責債権が含まれている場合の3つが考えられます。

所得水準が低いこと

自己破産は、免責する債権における債権者にとって最も不利益の大きい債務整理であるため、破産者の所得水準が低いことが条件になっています。

まず、破産手続きの申立が裁判所から受理されなければ、自己破産の手続き自体を行うことができません。破産手続きの申立が受理されない場合とは、申立人の所得水準、資産を元に、個人再生など他の借金解決方法で、申立人が借金問題を解決できると判断された場合です。

免責不許可事由に該当しないこと

では、借金を免除(免責)するのに相応しくない場合とは、どのような時でしょうか。

一般的に自己破産において借金が免除されない理由のことを免責不許可事由と呼びますが、借金を作った原因がギャンブル、風俗など、債務者自身に借金を作った落ち度がある場合に免責不許可事由と判断されます。

免責不許可事由に該当する例

以下の例に該当している場合、借金が免責されないかもしれません。

  • 意図的に財産を隠したり、不動産の名義を変えたりするなどの行為

  • 換金行為(クレジットカードで購入した商品を現金に換える行為)

  • 一部の債権者にだけ返済

  • ギャンブルやショッピングなどの浪費

  • 収入や負債額を偽り、借り入れを行った場合(破産申し立て前から1年以内)

  • 債権者を故意に隠していた

  • 裁判所への嘘の供述

  • 過去の免責申し立てから7年経過していない

  • 裁判所などが行う調査へ非協力的な行為

傾向としては、債権者側の権利を最低限保護するためにあると思います。やはり免責が通ることで、免除された借金は債権者側には不利な要素が大きいです。

自己破産では現金であれば99万円まで残すことができるのですが、自己破産をする人の中にはどうせカードローンが免除されるのであれば、手続きの前にカードで購入して換金することで現金を残した方が得だと考える人がいます。

しかしながら、その手の換金行為は、債権者側(カード会社)にとって不利益であるため、換金行為は免責不許可事由に該当します。

免責の許可が降りない場合

通常、破産手続きは、申立が受理された後は申立人の財産を処分するだけであり、処分するに値する財産がない場合は、手続きはすぐ済ませることができます。

自己破産において、一番、懸念すべきポイントは免責手続きにおいて免責の許可が降りないことです。

免責手続きでは申立人が借金を免除(免責)するのに相応しい人物かどうかを、裁判管との面接、管財人とのやりとりを通してチェックされます。

非免責債権

免責の許可がおりたからといって全ての支払いの義務がなくなるわけではありません。裁判所から許可がおりてもなお、支払いの義務が残る債権のことを非免責債権と呼びます。非免責債権の一覧は以下の通りです。

  • 滞納している年金、健康保険、住民税などの税金

  • 損害賠償請求権※1

  • 離婚の際の、慰謝料、婚姻費用※2、養育費

  • 破産者が故意に債権者一覧に載せなかった借金

  • 滞納している罰金

※1 損害賠償請求権:交通事故や暴行など、故意、または過失による損害に対して被害者側が加害者側へ請求できる権利

※2 婚姻費用:結婚生活を営むための費用であり別居中であれ収入の多い方が配偶者へ支払う義務がある

また多くの離婚した夫婦が自己破産する場合、養育費や婚姻費用(離婚時の取り決めによる)は免責されませんが、慰謝料に関しては免責されることもあります。

慰謝料を請求するに至った原因によるのですが、損害賠償請求権においても実は同じです。

裁判所が非免責と判断する基準は以下の2点になります。

  1. 1.破産者が悪意を持ってその行動に至ったかどうか

  2. 2.悪意ではないが相手に重大な過失(生命に関わる)を与えたかどうか

慰謝料の免責が認められないケース

例外もありますが、慰謝料に関して、免責が認められる場合と認められない例は以下の通りです。

慰謝料の原因

免責・非免責

浮気

免責

家庭内暴力

非免責

損害賠償請求の免責が認められないケース

例外もありますが、損害賠償請求に関して、免責が認められる場合と認められない例は以下の通りです。

損賠賠償請求の原因

免責・非免責

一方的な暴行などの傷害

非免責(悪意があるため)

飲酒運転

非免責(悪意があるため)

軽度の過失の交通事故

免責

重過失の交通事故

非免責(重過失のため)

免責不許可事由でも免責が通る可能性はある

申立人が免責不許可事由に該当する場合でも、実は裁量免責により免責が通るケースが多いのが現実です。

免責不許可事由に該当する項目のほとんどが未然に防ぐことでき、多くの場合、ギャンブルや浪費による免責不許可事由が問題視されます。

※裁量免責:裁判所の判断で、免責不許可事由に至った原因や自己破産までの経緯を考慮し免責を認めること

免責が通りやすくするためには、裁判所の印象を良くすることも重要です。

裁判所の心象を良くする

免責不許可事由に関わらず免責が認められるかどうかは、裁判所に委ねられます。

当然、裁判所の心象を良くすることが重要です。

以下の2点が免責を認めるうえでの基準になります。

  • 負債を抱えたことによる反省の度合い

  • 経済的な立て直しに対する姿勢

誠意ある姿勢を示すために、裁判所や管財人の行う調査に協力的な対応をとることが賢明です。

 

また裁判所へ反省文を提出する必要があるのですが、口頭で伝えるよりも時間をかけて文面を仕上げることができるため誠意を伝えるチャンスかもしれません。

自己破産が完了したら、同じ過ちは繰り返さずに、生活を立て直していく旨と、それに対しての心がけを反省文に書いていきましょう。

自己破産の免責を通すためには専門家へ依頼するのが重要

自己破産の手続きを行う上で、専門家を利用することは免責の許可を貰う上でも効果的です。

裁判所の心象が良くなる

免責手続きでは、破産者が免責するのに相応しいかどうかを判断するために、反省文の作成や裁判管との尋問を行います。

どのような文章を書けばいいのか、裁判管との対面するときどのように対応すればいいのか、裁判所側からの心象を良くするために必要なアドバイスを専門家からもらうことができます。

記入漏れによる免責不許可事由の回避

また、自己破産の手続きにおいて裁判所へ提出する書類の作成や準備などを個人で行うのは大変でしょう。裁判所へ提出する書類は厳格にチェックが入るため、書類の過不足や誤字脱字があると書類が受理して貰えません。

特に、裁判所に提出する書類には、借金に関する内容を記述することができる陳述書が含まれていますが、返済不能であることを裁判管に理解してもらうためにも陳述書の作成には特に力を入れるべきです。

また、債権者一覧表に債権者の記入漏れがあった場合など、免責の許可がおりない原因になりかねないことからも、免責の許可を貰うためには専門家に任せた方が確実でしょう。

民事法律扶助制度の利用

もし、専門家の費用を工面できない人は法テラスの民事法律扶助制度を利用しましょう。民事法律扶助制度は、低所得者のために設けられた制度であり、法テラスから専門家の費用を立て替えてもらうことができる制度です。

立て替えた費用は、自己破産の完了後、法テラスへ月5000円の返済を行う仕組みになっております。自己破産における専門家費用を安く抑える記事として以下の記事も参考にしてください。

 参照:「自己破産の弁護士費用相場と弁護士費用を安く済ませる方法

自己破産において免責が認められなかったときの対応策

もし裁判所から免責が認められなかった場合、次の対応策を取ることができます。

  • 即時抗告を申し立てる

  • 他の債務整理を行う

即時抗告を申し立てる

即時抗告とは、裁判所の判決に不服がある場合、高等裁判所へ不服の申立てを行うことができる制度です。

自己破産においては免責が不許可と決定されてから、2週間以内に即時抗告をすることができ、即時抗告によって判決が覆る(免責が認められる)こともあります。

抗告の正当性が必要

抗告を行う上で、裁判所の免責不許可の決定に対してどうして不服を抱いているのか、抗告の正当性を説かなければなりません。そのため、明らかに債務者側に落ち度がある場合など、抗告によって判決が覆る可能性が低いです。

個人再生を行う

裁判所を介すことで、借金の減額を行い、減額後の返済計画を立てていくための債務整理です。個人再生と自己破産を比較したものが以下の通りになります。

 

自己破産

個人再生

借金の減額の幅

全額

裁判所の介入

有り

有り

借金の理由

問われる

問われない

資産

没収

残すことができる

個人再生に関して詳細は以下の記事を参考にしてください。

 

【関連記事】
▶「個人再生ガイド
▶「個人再生に必要な費用とできるだけ費用を抑える3つの方法

任意整理を行う

債権者と直接、交渉しながら借金の減額を行い返済のプランを立てる債務整理であり、法律の専門家を間に挟むことが一般的です。任意整理と自己破産を比較したものは以下の通りになります。

 

自己破産

任意整理

借金の減額の幅

全額

裁判所の介入

有り

資産

没収

残すことができる

免責不許可事由に関して、自己破産以外の債務整理には存在しません。任意整理に関して、裁判所を介さないため借金の理由が問われることはありませんが、債権者を納得させる必要があるため債権者による裁量が大きいです。

任意整理について詳しいことは以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】
▶「任意整理のデメリットとメリットと任意整理を成功させる秘訣
▶「任意整理の費用相場と任意整理の費用を抑える方法と注意点

まとめ

免責が認められ破産手続きが完了したのにも関わらず、債権者から返済の請求されることがあります。破産者に経済的な余裕がでてくることから、つい返済に同意してしまう人も中にはいます。

請求された場合、支払う義務はないため拒否しましょう。もし仮に支払いに同意しても、支払いに関する法的な効力はありませんので無視しておいて問題はありません。どうしても不安な方は専門家へ相談することをオススメします。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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本記事はベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債務整理(旧:債務整理ナビ)に掲載される記事は弁護士・司法書士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。